バカには読めない異世界ファンタジー ~別によくあるチートはない俺ですが、無能と蔑まれている可愛い妹を前世の知識でチートにします~ 作:神楽戯
「宜しいですか、坊っちゃま。坊っちゃまの魔法は『炎』。様々な面で秀でた属性ではありますが、理解なく振り回すだけでは無価値。正しい使い方を学んで行きましょう」
「はい!」
その言葉と共に──────座学が始まった。俺の魔法適性が判明した次の日。父は早速魔法に関しての家庭教師を雇い、俺の指導に当たらせた。そのお陰で、この世界の『魔法』について様々なことが分かった。
まず、この世界の『魔法』には属性が存在する。それぞれ『炎』『水』『風』『土』『光』『闇』の六属性だな。……古代ギリシアの
「ううむ……レクス、お前はどうやら人よりも知的好奇心が強いようだな」
「……ごめんなさい、お父様」
まあ全く悪いとは思ってないが。知的好奇心を満たすための
「……仕方ない、この際諦めよう。欲しい本があれば私に伝えてくれれば取り寄せるから、独学で頼む」
えっ、いいの!?やった、実質俺が室長で何を好きなだけ研究してもいい研究室ゲットじゃん!いやまあ流石にアホみたいに金かかるような研究はしないけど。するなら俺個人の貯蓄がある程度出来てからだ。
そうして自由に勉強出来る環境を手に入れた俺は、まず自分の魔法の適性についてを細かく突き詰めることにした。
「『爆発』、『耐火』、『躍動』、『燃焼』、『焼却』……か」
まず、書斎にあった『炎』属性の系統に関しての本で俺の系統を調べてみた。
「魔法は……なるほど、初心者は基本的に詠唱などの祝詞で不足するイメージを補正。ある程度慣れてきたら詠唱抜きの
使用者の足りないイメージを補い魔法の行使を可能とする……要は自転車の補助輪のようなものか。……使う魔法は、『爆発』の系統。イメージは、『内側から砕ける』──────こんな感じか。
「『その炎は 岩をも砕く』──────『
そう呟きながら、右手に力を込めて地面に転がっている石ころへと突き出す。すると、『ボンッ』という音と共に石が吹き飛び周囲に細かい破片が散らばった。『爆発』はその名の通り、物体を爆発させる魔法か。石の破片は……っと。
「……あっつ!」
思わず手を引っ込めるほどに熱かった。いやマジで熱いな。今度は恐る恐る、そーっと触れてみると……あれ、あんまり熱くないな。どうなってんだ?
そう思ってあちこち触ってみると、温度の高い場所と低い場所の偏りがあるのが解った。偏りとなると……行使の際の『内側から砕ける』というイメージから考えて、物体の中心部分のみを急激に加熱させることで膨張させる。しかし、あくまで加熱されているのは中心だけのために温まっていない外側の部分は膨張しない……出来ないため、その温度差による質量の違いに物体の強度が耐えきれなくなることで砕けるということか。前世では
その後も色々と実験してみたところ、俺の持つ系統に関しては以下のことが解った。
『爆発』:水分や空気などの温度変化によって質量が変化する部分を加熱し、その膨張によって物体を破壊する。あくまで俺の魔力のみで起こしているもののため、水蒸気や粉塵などのまた別の要素の影響で強い爆発を起こすものに関しては現時点では危険なので保留。
『耐火』:物体の温度耐久能力を上昇させる。俺の身体に行使したところ、『粉砕』によって熱を持った石の破片に触れても何ともなかった。火傷をする訳でもなく、そもそも触れたところで熱いと感じなかったために『行使した対象に断熱効果のある障壁を展開する』、『対象そのものの分子運動をある程度固定し、温度変化を抑制することで結果的に熱や火への耐性を獲得している』、『そもそも対象そのものを変性させて一時的に耐火・耐熱機能を上昇させている』などのの想定出来るものは幾つかあるものの、正確なメカニズムは現時点で不明。余談だが、この魔法はあくまで熱や火への耐性を得るだけなので注意が必要。調子乗って握りこんだ手の中で石を爆発させたら、火傷こそしなかったが普通にめちゃくちゃ痛かった。
『躍動』:熱エネルギーそのものを物体に付与することでの機能強化。走るなどの運動をすれば身体が温まるのに対し、この『躍動』は身体を温めることで擬似的に『運動して身体が温まった状態』にする。その結果、身体能力が向上してパフォーマンスが上がるわけだ。……本来なら体内の酵素による代謝が原因で熱が発生するから、もしかしたらその代謝を活性化させているのかもしれないな。注意点としては、調子に乗って上げすぎると普通にぶっ倒れるので一定以上の出力で使うなら『耐火』は必須だろうということ。
『燃焼』・『焼却』:正直に言おう。この二つが一番ややこしかった。そもそも言語的な違いとしては、『燃焼』は物質と酸素の反応によるエネルギー生成だが『焼却』はそれとは異なり、エネルギー生成ではなく反応による物質の破壊が目的だ。……よく分からないなら、暖を取るために木を燃やすのが『燃焼』で、処分のために木を燃やし尽くすのが『焼却』だと思ってくれ。ここからわかる通り、この二つの系統は基本的には『最終目的が違う』だけで『その過程・プロセス』はほとんど同一なんだ。そもそも過程が同じで目的だけが違うものを、魔法という『過程』の段階で区別されている。正直頭痛かった。だってさ、卵焼きとスクランブルエッグが並んでたらそりゃ別だって分かるけどその前の卵の段階だと区別なんてつかんでしょ。なんで区別出来てるんだよ。……正直これも現時点でよく分からないので、暫定保留で。
大体こんな感じだな。うん、結構応用が効きそうで嬉しい限りだ。……続いて、その『系統』についてだ。正直、これが一番ややこしい部分なんだよな。
まず、『炎』や『水』、『風』などの属性は『基盤属性』と呼ばれている。名前の通り『基礎となる属性』であり、俺の持つ五系統は全て『炎』属性に分類される。そして、系統は『基盤属性』から『原種系統』に派生する。例えば俺の系統『爆発』は、
という過程で『基盤属性』である『炎』や『原種系統』である『加熱』と繋がっている。説明が難しいんだが、まず『基盤属性』そのものに『正の派生』である『加熱』と『負の派生』である『冷却』、そのどちらでもない『虚の派生』である『防火』があり、更にその派生系統が、その派生系統にまた派生が……という風に、属性毎に樹形図のような形で広がっていく。それらの中から先天的に獲得するのが『適性』だ。人間は系統適性を最低一つは持って生まれ、多くても三つか四つなんだが……俺はそれを越えた五系統保有者なわけだ。クソエリートじゃねぇか。
そんな風に、独自に魔法についての研究を進めている中。ついに、母の出産日が来たのだった。
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