水の少女   作:k a

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好感度10を達成したので投稿。壺でのボイスがめちゃくちゃ良かった…


少女と会長と代理人

 

「やあナヴィアにクロリンデじゃないか」

 

フリーナと旅人のデートの邪魔をするのを悪く思っていたのだが別に隠れていたわけではないので普通に二人は見つかった。

 

「ふ、フリーナ久しぶり〜」

「お久しぶりです、フリーナ様」

 

ナヴィアはいつものように、クロリンデは水神だった時の彼女への態度が未だに抜ききれないため少し仰々しく挨拶を交わす。

 

「何やら二人でコソコソ話してた見たいだけど何かあったのかい?」

「あっ、えっとですね、それは〜」

「フリーナ様、私から話させていただきます」

 

隠そうとつい敬語になってしまう彼女に代わってクロリンデは話す。

 

「ナヴィアがフリーナ様への感謝のプレゼントを考えていたんです」

「ちょっとクロリンデそれはサプライズの予定でしょ!」

 

どうやらクロリンデは彼女のサプライズを犠牲に本当のことを隠すことにしたようだ。

 

「ナヴィアがフリーナに?そんな感謝するようなことがあったなんてオイラ知らなかったぞ」

「パイモンお姉さん、お口チャック」

「むぎゅ」

 

フリーナ役を行う少女は空気を読んでパイモンの口を塞いだ。

 

「君が僕にプレゼント・・・?」

「あーもう!この際だから言っちゃうけどね私ほんとにフリーナには感謝してんの。あんたはずーっとフォンテーヌのために頑張って、事情を知らない人間から馬鹿にされてもポワソン町に定期的にきて復興を手伝ってくれてるでしょ」

 

フリーナは今も定期的ポワソン町に顔出しては復興を手伝っている。今の神の目を手に入れた彼女は四人力といっても過言ではない力を持っているのだ。

 

「それはフォンテーヌを愛する者として当然のことをしたまでさ」

「それでも!私はすっごくありがたかったの。それにね計画のために仕方なかったとはいえあんたに原始胎海の水に触れさせたことや裁判にかけて晒し者にしたこと、ちゃんと謝ってなかったじゃない」

「お、オイラもちゃんと言った記憶ないぞ…」

「それは…フォンテーヌを守るためにやったことじゃないか。僕と君たちの気持ちは同じだった。それに君たちを騙してた故に起きたことと考えれば罪は僕のほうが大きいさ」

 

神を裁く裁判。フォンテーヌを守るためにお互いの思考がすれ違った故に起きた悲劇。それでも残酷なものであったのは事実だ。しかしフリーナにとってそれは相手の過失ではない。人であるが彼女の精神は神に近いものであるのだ。

 

「フリーナ、俺はそうは思わない」

「君は確かにみんなを騙してた。でもそれは絶対に罪なんかじゃない」

 

旅人は知っている。彼女の182375にも及ぶ日々を、彼女の痛みを、努力を。

 

「旅人…」

「そういうこと!とにかく私も、フォンテーヌにいる人もあんたに感謝してんの。だからさ、みんなの代表ってことでプレゼントさせてよ」

「私もフリーナ様にプレゼントしたいです!」

「ナヴィアと一緒にプレゼントを選ばせていただきます」

 

糾弾する声は確かに存在する。しかし彼女の真実を知る人間で彼女を責めるものは一人もいない。そして多くの真実を知らない者も彼女という大スターに魅了されている。彼女がフォンテーヌを愛するようにフォンテーヌも彼女を愛すのだ。

 

「…ありがとう。この僕に相応しいプレゼントを期待しておくよ。君の極上のスイーツを超えるようなものをね」

「えぇ、楽しみにしておきなさい。あんたが嬉しさのあまり部屋を水没させちゃうようなプレゼントを用意しておくんだから」

「部屋の水没…?な、なんで君がそれを知っているんだ!旅人?どうして目を逸らすんだい?」

 

フリーナは以前神の目の力を研究していたところ誤って建物全体を水没させてしまったことがあったのだ。

 

「フォンテーヌ国民はみんな知ってます!」

「少女よ、詳しくだ。詳しく事情を教えておくれ」

「フリーナ様のお家の管理人さんがスチームバード新聞に情報を渡してそこから広まったんです。切り抜いてこの本にまとめているので見ますか?」

 

そう言って少女は『フリーナ様かんさつ日記』と書かれた本を鞄から取り出した。記事の見出しは『フォンテーヌの大スター、国の次は我が家を沈める!?』とあり管理人へのインタビュー内容が記されていた。

 

「ぼ、僕の醜聞が国中に…プライバシー権をもっと法律に盛り込んでおくべきだった」

 

フリーナはショックで片膝をつく。

 

「フリーナ様安心してください。私たちと酒を交わしたときの様子に比べたらこんなもの醜聞というのも烏滸がましいです」

「ぐはぁっ」

「オイラ何があったか知らないけどクロリンデがトドメ刺したのはわかったぞ…」

 

心が折られ両膝をつく彼女はしばらく起き上がれなさそうだ。

 

「あっ、相棒。私とクロリンデはこの後用があるからあんたがちゃんと二人をエスコートしなさいよ」

「うん、わかってる」

「オイラもいるから安心だぞ!」

 

ナヴィアは自分の言葉にわかってると返した彼がその奥に隠された意味を読みとっていなさそうな様子を見て少し苦笑した。

 

「じゃあ時間があったらまたお茶しましょ」

「じゃあな〜」

「さようなら〜」

 

フリーナを横目に少女と旅人とパイモンは二人に手を振って別れを告げた。

 

「フリーナ、また醜聞が広まるよ」

 

旅人が声をかけると彼女は姿勢良く立ち上がる。

 

「倒れ伏してる僕に対して君は人の心がないのか!」

「俺なりのエスコートだよ」

 

フリーナは不満げな顔を浮かべながら手を差し出す。

 

「エスコートというならどうするべきかわかるよね?」

「…はい、喜んで」

 

舞台上のように少しわざとらしく旅人は手を取る。彼女は先ほどの落ち込みが嘘のようにパッと顔を明るくさせた。

 

「よろしい」

「よし、フリーナも立ち直ったみたいだし劇のための活動再開だぁ!」

「はい!」

 

二人の手繋に少女とパイモンも加わり四人は巡水船へ乗り歌劇場に向かう。ただ旅人とフリーナの間で握られた手はお互いに少し赤くなっていた。二人の手の握り具合を見ればそれが強く握りすぎたのが原因でないのは明らかだ。しかしそれに二人が気づくことはない。恋との距離はまだまだ遠そうだ。

 




4.3までにひとまず完結させます。

※追記
諸事情により更新がしばらく無理そうです。待っていてくれた方、申し訳ありません。
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