人類が宇宙に進出した未来、人は新たなステージへの扉を開いた。その扉を開いたのは一人の男・ジョージ・グレン。
彼は深宇宙への探検に向かう際、全世界に自分が遺伝子操作によって生み出された事を告白する。
自分が作りだした遺伝子技術の全てのデータを世界に公開、それから端を発して遺伝子操作によって生み出された人種『コーディネイター』が続々と現れ、各分野にて他の追随を許さぬ高い才能で頭角を現す。
しかしそのコーディネイターの高い能力に脅威と嫌悪感を抱く、遺伝子操作を一切受けずに生まれた純粋の人種『ナチュラル』が彼らに敵対し始めた。
C.E.70年2月11日、地球連合がプラントに宣戦布告。月面プトレマイオス基地から地球連合軍の宇宙艦隊出撃、地球・プラント大戦の開戦である。
そしてC.E.70年2月14日、聖バレンタインデーにプラントの農業用コロニー「ユニウスセブン」が、地球軍側MAの放った核ミサイルにより壊滅した事件【血のバレンタイン】が起きてしまった。
これによりユニウスセブンに居住していた24万3721名の人々が犠牲となり、コーディネイター強硬派の敵意と憎悪は頂点に達し、オペレーション・ウロボロスに代表される報復攻撃を招いた。
プラントは核の脅威を認識し、その対抗手段としてニュートロンジャマ―を実戦に投入した。
Nジャマーの影響下では自由中性子の運動を阻害するフィールドが発生し、その効果内ではすべての核分裂が抑制され、核ミサイルをはじめとする核分裂兵器、核分裂エンジン、原子力発電などは使用不可となる。
さらにNジャマーの影響は深刻なエネルギー危機すらも発生し、地球の被害者は全人口の10%にあたる約10億人にのぼった。
そこからプラントが結成した義勇軍・ザフトが開発した新型機動兵器「モビルスーツ」による電撃的な地球侵攻を行う。
そこから戦局は疲弊し、11ヶ月余り経過していた。
C.E.71年・1月25日
とある施設にて一人の金髪のスーツ姿の男性がいた。
「ドクター、今回尽力してくださってありがとうございます」
その男は、白衣を着たメガメを掛けたくびれたミディアムウルフカットの髪の美女に感謝の言葉を述べる。対する女性はワイングラスを片手に淡々とした表情で椅子に座っている。
「構いませんわミスター。我々は貴方の多大な援助とその深い寛大なお心遣いによって助けられたのですから。その恩返しですし、何よりも我々は貴方の財団の一員ですから仕事を為したまで...」
謙遜な態度に金髪の男は苦笑交じりに別の話を持ち掛ける。
「あー、それとどうですか?ハルバートン提督の計画の出来は」
「出来も何も、モルゲンレーテと地球軍が開発した例の五機、性能はいい方ですが。所詮は試作機、それに
どう考えてもナチュラルでは扱いきれるとは思えません」
そう冷静に分析する彼女はワイングラスをテーブルに置く。代わりに手元にあるPCを起動し、とある画像データを見せる。
「ですが、その試作機五機の全ての開発データを集約させた“この機体”を作らせて貰いました」
そこに映し出されたのは一体のモビルスーツ、それは多種多様な火器武装の項目が連綿と続いている。
それを男に見せる彼女は自信に満ち、笑みを浮かべている。
男も「おー!」っと感歎の声を口から溢し、画像データに食いついてしまっている。
そんな彼に対し彼女は自信に満ちた態度のまま、その画像データにある機体のことを話す。
「件の五機は試作機ですが、この機体こそ正式生産機です。我ら“カンパニー”の技術力はプラントの技術力をも凌駕しています。
この機体は正に決戦機体と認識してくださっても差し支えありません」
「素晴らしい!!この機体を元に量産が始まれば、地球を制圧しているザフトを蹴散らすことが出来る!!
ハッハッハッハッハ!! ハッハッハッハッハ!!ィやったァァァァっっ!!!
「それでですが...代表。出来ればお願いが」
先ほどの自信に満ちた態度より一変、女性は男にお願いするように告げる。男も今見せた大喜びによるハイテンションを落ち着かせて、冷静に聞き入れる。
「聞きましょう」
「よろしければ、この機体のパイロットを“彼”にお願いしたいのです」
「いいですよ」
男は彼女のお願いを即答で即決した。ドクターと呼ばれし女性は意外なものを見るかのように、男に問い掛ける。
「即答なんですね」
「いけませんか?僕は貴方たちや“彼”を信頼しているんですよ?能力や性格、人物も、ね」
男は飄々と笑みを浮かべながら女性にそう説明する。
「僕は別に全てのコーディネイターを敵視しているのではなく、現在戦争中である相手...プラントを敵視しているんですよ」
「そう言ってくれると助かります。我らカンパニーはプラントとは一切関わりはありません。すべて....アズラエル財団と袂を共にしているのですから」
「そう言ってくれて嬉しいですよ....ですが」
男は少し難しい顔に変わる。
「いかがしましたか?代表」
「“彼”にその機体を動かせますか?確か、ナチュラルのはずでは...?」
「ご心配なく。彼は我がカンパニーの技術力による強化改造を施した最高級の...生体CPUです。その実力は先のグリマルディ戦線や新星攻防戦にてご報告いたしましたよ」
「確かに、そうですね。ですが生体CPUの問題点....」
「それは些細なことです、代表。それらもいずれクリアします...あとこの機体と彼をテストの為に、件の五機が存在するヘリオポリスまで輸送したいのですが、許可をお願い致します」
彼女の透かさず畳み掛けるような頼みに、男は辟易としながら苦笑交じりになる。
「構いません。しかし彼と機体だけですか?」
「いえ、生体CPUである彼のサポートに私自らも赴きます」
「....」
男としてはそれは承服しかねるものだった。彼女は技術者の中でも最高位に位置するほどの逸材で、失えば只事では済まされない。
しかし彼女は不敵な笑みで彼の心配は杞憂だと諭す。
「大丈夫です、代表。彼の傍に居れば寧ろ安全です」
「....わかりました。ではよろしくお願いいたしますよ?ドクター」
「お任せください、ムルタ・アズラエル理事」
「そう言えば、その肝心の彼は今何処に?」
「現在は隣のシミュレータールームで訓練中です」
そのシミュレータールームの専用ポッドでは、一人のパイロットスーツの人物が無言でレバーとペダルを巧みに操作し、モニターに映るザフトのモビルスーツを次々と撃破している。
その操作は高度な精密機械の如く正確かつ一切の無駄がなく、そして最後の標的を撃破しシミュレーターはそこで終了した。
その人物はシミュレーターポッドから出ると...目の前に待っていたようにドクターと呼ばれし女性と、ムルタ・アズラエルが待っていた。
ポッドから出て来た人物をドクターは声を掛ける。
「お疲れ様。悪いけど新たな仕事よ」
「....仕事?」
ヘルメットを被っており、素顔は全く見えないが声に抑揚がなく感情がこもっていない男のものだった。
「えぇ。貴方には最新鋭のモビルスーツのパイロットとして、ある場所でテスト運用してもらうわ」
「...場所は?」
ドクターは返答せずアズラエルに視線を向けると、代わりに彼が答える。
「場所はオーブ連邦首長国所有の資源衛星ヘリオポリスです」
「了解」
「ヘリオポリスには私も同行するから、よろしくお願いね?....シンラ」
「了解」
そう告げる彼、ヘルメットを漸く外して見せる素顔は、髪型がショートマッシュの銀髪で眼の色は黒の男、彼の名はシンラ・ユーリ。
この物語の主人公であり、ザフトより「死神」と恐れられている人物である。
久しぶりに投稿しました。ウルトラマンライガはしばらくお休みします。