機動戦士ガンダムSEED OVERLOAD   作:新米くん

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イメージOP:Line of sight(ガンダムアーセナルベース主題歌)

イメージED:SOLDIER-哀しみの詩-(ガンダムEVOLVE ep8主題歌)


PHASE12 紅のパワード

アルテミス全体に響き渡る轟音と収まらぬ強い揺れーー要塞外部では激しい爆発がアルテミス外面で次々に起こり始めていた。

ガルシアは激痛走る顔を抑えながら、通信端末でアルテミス司令室へ連絡をとる。

 

「管制室!この振動はなんだ!?」

 

《不明です!周辺に機影なし!》

 

ガルシアが司令室に怒鳴るが、狼狽した声のみで原因が向こうでもサッパリ不明らしい。

しかしこれが異常であることは分かっていた。

 

「だが、これは爆発の振動だぞ!」

 

その原因何なのか直ぐに分かった。何もない宇宙空間に突如として其処に、ミラージュコロイドを解除したブリッツが出現した。

その出現は漸くアルテミスの司令室でも確認できたーーっが遅すぎると言える。

攻盾システム「トリケロス」からビームサーベルを展開したブリッツは、アルテミスの光波防御帯発生装置であるリフレクターを次々に破壊していく。

 

《ぼ、防御エリア内に!モビルスーツが!リフレクターが落とされていきますッ!》

 

「なんだと!?」

 

司令室からの報告にガルシアたちは呆然とする。堅牢な要塞たるこのアルテミスがまさかの敵襲に合うなど、前代未聞だと憤慨する。

シンラとドクターは、その隙をついて動いた。二人は目線を合わせたと思いきやーードクターが傍にいた二人の武装した兵士に……

 

「兵士さん」

 

「ん?」

 

「ちょっと申し訳ないけどーー下着がズレたの、見てくださる?」

 

「へ?」

 

っとーードクターは徐に繋ぎ作業服のジッパーをゆっくりと焦らすように下げる。

兵士ら二人は美人であるドクターの魅惑の色香にまんまと嵌まり、鼻の下伸ばして下ろされるジッパーに続くように下へ、下へと頭を下げていく。

そしてジッパーが股関部に到達したその瞬間ーー彼女の躊躇いのない力強い鋭い回し蹴りが炸裂、兵士たち二人の頭に直撃し卒倒させる。

 

「な、なんだ!?ーーぐあ!!」

 

倒れた兵士から銃器を奪ったエイダは素早く、まるでベテランの兵士のような洗練された動きで他の兵士らを射殺する。

 

「シンラ!!」

 

「了解!!」

 

彼女の声にシンラは強く頷き、キラの手を握ったまま近くの兵士らを懐に隠していたナイフで近くの兵士たちを次々に斬殺していく。

キラはこの状況に恐怖するが、シンラから「眼を閉じて、俺の手を握っていろ!!」と言われてそれに従う。

これにガルシアは驚愕するも、時既に遅く……シンラはキラを連れたままパワードのコクピット周辺のアルテミスの兵士や調査員らを容赦なく殺して彼女と共に機体の中に入る。

ドクターも1人で周りの兵士らを片付けながら、上手く逃走する。

残ったのはガルシアと副官のビダルフ少佐のみとなり、唖然となる中でパワードが起動する。

 

「だーッ!?貴様ッ!」

 

《死にたくなければ、艦から出ていくことだな!》

 

「くそ!!」

 

ガルシアはビダルフと共にアークエンジェルから出ていく為、格納庫を後にする。

その間、パワードはカタパルトデッキへ向かう。

アークエンジェルの格納庫管制室にたどり着いたドクターエイダは、たった1人で迅速且つ無駄のない動きで管制室のシステムを操作ーーそして彼女はインカムで、機体の中にいるシンラに直通で通信する。

 

「シンラ!閉鎖的な要塞内でパワードの通常兵器を使うの出来ないわ!アークエンジェルや私たち居るんだから!」

 

《ではどうします?》

 

シンラの問いにドクターエイダは暫く思考する。その間にもブリッツが要塞を攻撃し、遂には港ドックへの入り口を見つけて侵入してくる。

そして彼女は意を決したかのように、"在ること"を覚悟した。

 

「仕方ないわね……シンラ!"ウェア換装"を行うわ!」

 

《本気ですか?》

 

「やるしかないの!やるわよ!」

 

《了解》

 

彼女の言葉にシンラは同意する。するとカタパルトにてある作業が行われるーーパワードの頭部とバックパックが、胴体部分である大型部から切り離され、新たに胴体となるパーツと連結する。

パワードの分離した頭部とバックパックは変形して小型航空機「コアレイダー」となるAパーツと、Bパーツとなる胴体「Gフォート」というモノにそれぞれ分離変形もできる。

 

流線型のフォルムーー両肩部の大型のブレードベーンに、機体各所にエッジ装甲を多く配し、また、大型化された両前縁外側に仕込み式のビームブーメランが装備されており、全身11機のビームブレード展開部、多数のスラスターを備える。

更に両肩部先端に大型のレーザーブレードが装備され、頭部のストライク顔はそのままに、スパルタ兵を意識した頭頂部のトサカ部分は前方斜めに向いて鋭く尖った角ーーレーザーブレードホーンが配されている。

その血のように赤いカラーリングの新たなパワードの姿ー赤い鬼を彷彿とさせる。

 

これこそパワードのストライクの換装機構「ストライカーシステム」の参考に、強化発展された換装システム「パワードウェア•システム」であり、この姿のパワードは超近接特化型形態ーーパワード•シュナイダー。

 

ドクターエイダの発進合図がコクピットに響く。

 

《発進いいわよ!行って!》

 

「了解ーーキラ、しっかり俺に抱きついていろーーいいな?」

 

「は、はい!」

 

彼女はシンラに言われるがまま、彼の首に腕を回して必死に縋るようにしがみつく。

その際、軍服越しではあるが、彼女の発育した胸がシンラの身体に密着してしまう。

彼はそれを一瞬だが動揺をしてしまうーーっが、彼女が自分に身を任せてくれるという喜びが勝ってしまう。

 

ドクターの操作でカタパルトハッチが開き、新たな姿のパワードが出撃する。

 

「シンラ•ユーリ、パワードシュナイダー、出る」

 

 

________________________________

 

要塞内部に侵入し抵抗する連合軍の戦力に対し、容赦なく葬るブリッツ。

メビウスを数機撃破し、モニターに漸くアークエンジェルを捕捉する。

 

「居た!!」

 

そんな中、ガルシアは司令室に入って船を出すように命令している。

 

「船を出せ!!このアルテミスが、たかが一隻の船ごときに!!」

 

その時、ブリッツが破壊した一機のメビウスが爆発しながらガルシアたちのいる司令室に突っ込んできた。

 

「う、うあああああ!!!」

 

無惨にも惨めにそして地味に死んだガルシアの末路など、誰も気づかずーー漸く獲物を見つけたニコルは、そのまま一気にアークエンジェルに向けて襲いかかる。

このまま行けば、ここであの船を沈められるーーっとそう思った矢先、アークエンジェルを守るようにして現れた深紅の機体ーーシンラが乗るパワードシュナイダー。

 

「あ、あれは!新型?!ーーいや!!ちがう!!あの顔!!死神!!?………なら、あいつ!今度こそ!!」

 

ブリッツは左腕に装備された有線式ロケットアンカー「グレイプニール」を発射する。

それをパワードシュナイダーは、大型化された両前縁外側に仕込み式のビームブーメランを展開してこれを迎撃し破壊する。

 

「くそ!!なら!!」

 

ビームサーベルを展開するブリッツに、パワードシュナイダーは腰左右にマウントされた大出力ビームサーベルを展開し、刀みたく湾曲したビーム刃でブリッツに襲いかかる。

 

「こんなところまでーー鬱陶しいぃいっ!!!!」

 

二機のサーベルがぶつかり合う。刃を重ね睨み合う二機のガンダムーーだがパワードシュナイダーは意表を突くかのように、突如として状態を一回転……サマーソルトをブリッツにお見舞いする。

唐突の思わぬ一撃にブリッツは満足に反応できず、無重力下で大きく仰け反る。

追撃とばかりにブリッツのバイタルエリアに、強烈な蹴りを叩きつける。

 

「うわぁああ!!!」

 

モビルスーツでこのような動きや攻撃をする敵に、ニコルは苦悶の顔を浮かべながらモニター越しに睨む。

何とか態勢を整え、ビームライフルを撃つブリッツ。

パワードシュナイダーは、両肩部先端の大型レーザーブレードを取り出してブリッツに斬りかかる。

戦闘をするなか、シンラは先程のガルシアがキラに対しての言葉を思い出した。

 

 

 

 

だが、君は裏切り者のコーディネイターだ

 

違います!!!……私は……!

 

 

「くぅ!!」

 

「シンラ、さん……?」

 

シンラは憤るーーヘリオポリスという居場所を亡くした彼女に課したのはモビルスーツに乗って、同じコーディネイター同士での殺し合い。

彼女にとって辛くてやりたくないことばかり、そんな彼女を見る度にシンラの心は、見ていて辛く押し潰されるものだった。

これから先もきっと戦いは、彼女に無理矢理迫って来るだろう。

そしてまた理不尽に彼女の心を傷つけるーーそれが堪らなく苛立ち、そしてそんな戦いを強いてくるあらゆるモノにシンラは怒り狂う。

 

「…くそがっ!…もういい加減にしろぉおおおおー!!!!」

 

「シンラさん……」

 

二本の大型レーザーブレードを抦の先端同士を連結させた「ハルバードモード」で巧みに操り、ブリッツの攻盾システム「トリケロス」を真っ二つにする。

 

「しまった!!」

 

メイン武装をやられては不味いと焦るニコル、そしてその隙を見逃すほどシンラは情け深くない。

大型レーザーブレードの剣先が、ブリッツのコクピットを捉え一気に突っ込む。

 

「しねぇえええええええええええーーーーっ!!!!!!」」

 

「っ!?」

 

もう真面に抵抗が出来ず、逃げる隙すらないブリッツは最早ただ殺られるだけの案山子となった。

このまま行けば、パワードの大型レーザーブレードがコクピットを貫くーーっが、その時だった。

 

「だめぇええええええええええ!!!!」

 

「っ!?」

 

キラが泣きながら、シンラの身体に力強く抱きつき、それに彼は思わずブリッツへの止めを刺すのを辞めたーーっと、同時にアークエンジェルから通信が開かれる。

 

 

《シンラ中尉!戻ってください!!艦長たちが帰還しました!!アークエンジェルも発進します!》

 

「っ!ーー了解」

 

間もなくブリッツ撃破を目の前にして、シンラはパワードシュナイダーを反転させアークエンジェルへと引き返すのだった。

 

「な!ーーくっ!逃げるのかッ!!」

 

自身に止めを刺さずに引き返すパワードを追おうとするが、アルテミス内部が爆発していき、どんどん崩壊していく。

その爆発によって進路を妨害され、追尾を断念したニコルの表情は苦虫を噛み潰したように悔しさが滲み出ている。

甲板にパワードが着艦したことを確認し、アークエンジェルは次々に誘爆するアルテミスの反対側の港口より最大戦速で脱出したのだった。

そのコクピットの中で、キラはずっと涙を流してシンラに抱きついたままだった。

 

「シンラさん………ごめんなさい………ごめんな、さい………私………わたし………」

 

「……………キラ」

 

「ごめんなさい………ほんとうに、ごめんなさい………」

 

彼はただ、静かに自分の胸の中で泣き続ける彼女を優しく抱きしめながら眼を閉じた……。

 

 

 

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