機動戦士ガンダムSEED OVERLOAD   作:新米くん

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イメージOP:Line of sight(ガンダムアーセナルベース主題歌)

イメージED:SOLDIER-哀しみの詩-(ガンダムEVOLVE ep8主題歌)




PHASE14 敵軍の歌姫

物資問題を解決すべく悲劇の地となり、今次大戦の引き金となった地でもあるユニウスセブン跡にて物資の回収作業を行っていたアークエンジェルの一行。

その矢先、ザフトの偵察型ジンと遭遇するキラとシンラ。

アークエンジェルを捕捉させまいと、シンラは逸早く撃破しようとしたが、彼にこれ以上やらせるわけにはいかないとキラは意を決して偵察型ジンを自らの手で撃破した。

何とかこれ以上敵がくることはなかったが、その直後に一隻の一人用の救命ポッドを発見これをシンラは回収する。

アークエンジェルに持って帰り、中を開けるとそこには一人の美少女が出てきた。

 

 

 

シンラによって手を借りて無重力状態の格納庫の床に足をつけることができた彼女。

 

「ありがとうございます」

 

彼女はシンラに対して笑みを浮かべ、礼を口にするのだった……っが、彼女は自分がいる場所に何か違和感を抱き始め、辺りをキョロキョロとし始める。

 

「…あら?あらあら?」

 

気づいた彼女は、頬に手を当て困ったような顔をしてしまう。

 

「まぁ…これはザフトの船ではありませんのね?」

 

彼女の一言にマリューは呆気になり、ナタルはまた新たな問題が浮上したとに手で顔を覆い溜め息をつき、ドクターエイダは「彼女、たしか…」っと1人呟く。

そんな中、キラはアワアワと若干慌てる様子をしながらもシンラの傍にすり寄る。

そしてシンラは冷静に目の前の桃色髪の少女を見つめる。

 

 

 

________________________________

 

状況を詳しくするため、マリュー、ナタル、ムウ、シンラ、そしてドクターエイダは彼女を士官室に連れてきた。

 

「ポッドを拾っていただいてありがとうございました。わたくしはラクス・クラインですわ」

 

「ハロ!ラクス!ハロ!」

 

「これは友達のハロですわ」

 

ボール状のピンク色のロボットーーハロを掌に乗せて紹介するラクス。

おっとりとした口調で話す彼女に毒気を抜かれてムウが肩を落とし、同様にマリューとナタルもため息をついた。

その間、エイダは彼ら三人とは違い、真剣な顔でラクスを見つめ彼女は口を開く。

 

「クラインーーまさか、貴方……プラント現最高評議会議長であるシーゲル•クラインのーー」

 

「あら!シーゲル・クラインは父ですわ。ご存じですの?」

 

何の迷いなく自分の父親のこと話すラクスに、エイダは苦笑しながら肩を竦め、ムウは「マジかよ……」と頭を抱えた。

更に毒気が抜けるように溜め息をつくマリューは、ラクスに問いかける。

 

「…そんな方がどうしてこんなところに?」

 

「わたくしーーユニウスセブンの追悼慰霊のため、事前調査に来ておりましたの」

 

彼女の話の内容はこうである、彼女を乗せた船ーーシルバーウインドはユニウスセブン追悼慰霊の事前調査を行うべくこのデブリベルトに赴いていた。

だがそこへ地球軍の戦艦がラクスの船と遭遇し、臨検すると言って船を改めていた地球軍側であったが、ラクスたちの目的内容に気に食わなかったのか、船内で一方的なまでの凶行が行われる。

シルバーウインドの乗員には、当然護衛としてのザフト兵が幾人も居たが多勢に無勢、これまでと察し乗員らはせめて彼女だけでもと救命ポッドに乗せたのだった。

 

それを聞いてマリューは「なんてこと…」っと彼女に同情しながらも、自分と同じ同軍である者たちに憤る。

彼女がそんな気持ちを抱く中、エイダがシンラに問いかける。

 

「シンラ、貴方ーーキラちゃんと一緒に民間船を見つけたと言ってたわね?」

 

「はい………ですがもう撃沈された後でした、損傷具合からしてまだ日は立ってません」

 

彼の話を聞いて、ラクスは悲しみの表情を浮かべて顔を落とす。

 

「そう…ですか…」

 

「っ……し、しかし、自分が見つけたのが、貴方の船という訳じゃないかも知れません。どうか気を落とさないで…」

 

「ありがとうございます…お優しいのですね?」

 

「いや、自分は……」

 

自分よりも年下で、キラと同い年の彼女に笑顔を向けられるも、それを見て気まずい背けてしまう。

そこで話は終わり、シンラたちが彼女を士官室に残して出ようとした際、ラクスがシンラを呼び止める。

 

「あの!貴方のお名前を聞いてもよろしいでしょうか?」

 

「え?……自分の名は、シンラ•ユーリです」

 

「シンラ様……素敵なお名前ですわね」

 

「あ、いや……」

 

「シンラ、行くわよ」

 

「あ、はい………じゃあ、これで」

 

ドクターエイダに呼ばれシンラはそのまま退出するのだった。

部屋に残され1人座るラクスは、ハロを膝に抱き上げて話しかけた。

先程までの穏やかな笑みから、今は儚く悲しそうな表情をしていた。

 

「…祈りましょうね、ハロ。どの人の魂も…安らぐことの出来るようにと」

 

「ハロ!ハロ!」

 

 

彼女がそうハロに呟いている頃、艦内通路を歩くシンラたちは話し合っていた。

その中でエイダはマリューに問いかける。

 

「で?ラミアス艦長ーーこれからどうするの?」

 

「というと?」

 

「彼女をこのまま月本部へ連れていくのでしょ?当然」

 

エイダはこの艦ではモルゲンレーテと偽ってはいるが、本当はアズラエル財団麾下の秘密組織カンパニーのリーダーであり、アズラエルが支持する地球連合側である。

その立場を大っぴらにはしないが、しかし自分たちが有利となる材料の人間を、このまま逃すなんて勿体ないと心では思っている。

エイダの問いかけにマリューは顔をしかめる、確かに彼女はプラント現最高議長の娘だーーそれは連合にとって大きなアドバンテージとなる。

だが同時に彼女は民間人である、その彼女を月本部に連れて行けばどうなるかなど想像に難くない。

 

「私は彼女をこのまま月本部に連れていくのは、正直反対です」

 

「…………………ほう?どうして?」

 

マリューの返答にエイダは眼を細め、彼女をジッと反らすことなく見つめる。

この何とも言えない重々しい女同士の空気に、ムウはタジタジになってしまい、同じ女であるはずのナタルもこのやり取りに上手く入れず萎縮してしまう。

だがマリューはエイダに対して一切怯むことなく言う。

 

「確かに彼女はプラント現議長の娘ですーーですが彼女は民間人です。

だから……」

 

「だからーー酷い目に合うのを分かってて、連れてはいけないと?貴方…………随分甘ちゃんね?マリュー•ラミアス」

 

「………」

 

マリューとエイダ、二人の女性は静かに互いに睨み合う。

そして暫く睨み合っていたが、先に折れたのはエイダであった。

彼女は溜め息をつき、肩を竦めて言う。

 

「はぁ………ま、私はしがない技術者ーー艦の、それも艦長の方針に口出しなんて野暮はやめとくわ」

 

「エイダさん……」

 

「でも、あの娘の食事を運ぶのはーーそうね、シンラと……あとキラちゃんなんてどう?あの娘を見つけたのは二人なのだから」

 

「え?えぇ、そうね。シンラくん……悪いけど、キラさんと一緒にお願いできるかしら」

 

「はい」

 

マリューの指示により、彼女のお世話にシンラとキラが選ばれることとなった。

マリュー、ムウ、ナタルはこのままブリッジに戻り、エイダは格納庫にて作業に戻ることとなる。

シンラは食堂にいるキラの元に行き、今決まったことを伝えるべく向かおうとした、その去り際にムウがシンラの肩を掴んで、陽気な笑みを浮かべて言う。

 

「嬢ちゃんと2人でお姫様の見張りを宜しく頼むぜ?王子様♪」

 

「なんですか、それ……」

 

「お前さんにも良い経験なるって話しさ。だって戦いばかりだろ?ずっと……ブルーコスモスなら、さ」

 

「……それは」

 

戦いばかりで、戦いしか知らないシンラーームウはずっと気にかけていた。

アルテミスでの脱出戦でキラやエイダからある程度聞いてムウは思ったーーシンラは戦いによって自分という存在を体現しているが、同時にそれが彼の精神を狂わせているのではと……。

エンデミオンクレーターの戦いでシンラが見せた戦いぶりを見た危ういモノを、アルテミスでの脱出戦でも感じていた。

何とかシンラに心の安定を齎す切っ掛けがないか気にしていたのだ。

 

ムウは彼の肩をポンッと優しく叩いてそのままその場後にする。

その後、シンラはキラに自分と共にラクスの見張り兼お世話の任を任されたと伝えると、彼女は笑顔で二つ返事で了承してくれた。

彼女は先にラクスのいる部屋へと向かい、シンラは三人分の食事を積載したトレーを乗せた台車を押して、マリューがラクスの為に割り当てた部屋の前で立つ。

その際、中から女子同士の良くある談笑の声が聴こえてきた。

 

ーー入り難い。それが彼の思ったことだ、しかしそんなの彼に限ったわけではない。

男であれば女子たちの会話に入り込むなど、難しいのは当然である。

だが中では楽しい声音が聴こえてくる。

部屋の中では、ラクスとキラ、二人の美少女たちが話に花を咲かせている。

 

「そうですか……大変だったのですね?キラ様も」

 

「私もコーディネイターですから、仕方ないです。地球軍にはコーディネイターを嫌う人は居ますから……」

 

「ですが、キラ様はキラ様ですわ。同じ人であるのに何しても良いという訳ではありません……それにこんなに綺麗であるのに、酷いですわ……」

 

「ら、ラクス、さん///」

 

っと彼女はソッと優しくキラの滑らかで流れる茶髪のロングヘアーに触れる。

キラはそれが擽ったそうに頬を赤くしてしまう。ラクスはそれでもキラをまるで愛おしく、そして慈しむように優しく触れ続ける。

何処か百合百合しいような雰囲気の二人ーーそこに他の者、特に男が入って良いものではないと錯覚してしまう。

そこへシンラが漸く入ってきた。

 

彼が入ってきてキラは嬉々とし、ラクスも嬉しそうに笑みを浮かべている。

 

「食事を持ってきました、三人で一緒に食べましょう」

 

「はい、嬉しいですわ、ふふ」

 

「シンラさんと一緒、嬉しいです!」

 

二人の美少女と共に食事をするシンラ。二人とも16歳でありながらも、そのスタイルは服の上でも分かるぐらいに絶品と言えるぐらいのナイスな身体つきをしている。

だがシンラはそれに気にすることなく、食事にありつく。

そんな中、ラクスがーー

 

 

「所で、シンラ様はどちらですの?」

 

「ん?」

 

「ラクスさん、どちらって?」

 

彼女の言う意図がさっぱり分からないキラは、それに問いかける。

するとーー

 

「シンラ様はーーナチュラルなのか、コーディネイターなのか、どちらなのかと思いまして……」

 

「え…?」

 

「………」

 

キラは思わずシンラの方へ向く、その本人はラクスを見つめて無言のままだった。

 

 

 

その間、ブリッジでは大いに喜ぶ出来事が起きていた。オペレーターのロメロ•パルが地球軍の暗号パルスを気付き、解読した所ーー地球軍第8軌道艦隊先遣隊旗艦モントゴメリからのモノだと言うのが分かった。

 

 

アークエンジェルに射し込む、やっとの希望の光であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回予告

届けられたかすかな声
その向こうに見える救いの手に、さまよう船は喜びの声を上げる
苦難の日々は時の中へ去り、約束されるは前と変わらぬ平穏か?
再び銃火が宇宙を切り裂く。

次回、機動戦士ガンダムSEED OVERLOAD『振り切れぬ敵意』

彷徨う先、一撃を放て!ガンダム!
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