機動戦士ガンダムSEED OVERLOAD   作:新米くん

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後編です。


PHASE 21 宇宙に降る星 後編

激戦渦巻く衛星軌道上、その中でイザークのデュエルとディアッカのバスターが突っ走り、その後ろをニコルのブリッツが追随する。

 

「落ちろぉぉ!!」

「時間がないんだ!とっとと落ちろよ!」

第8艦隊に砲撃を食らわせ次々に撃沈させる。こんな大規模な戦闘は初めてであるのか、ディアッカは調子づいた。

 

「ヒュ~♪もう一つ!」

ザフトに次々に落とされる味方艦艇、その報告をハルバートンは聞き受ける。

 

「ヘルグラード、撃沈!」

「くそっ!」

「大気圏突入限界点まであと五分」

オペレーターからの大気圏突入への時間が差し迫っていることを知る。その横から味方が次々にやられ、今度はこのメネラオスが危ないと危機感を激しく騒がすホフマンが口を開いた。

 

「閣下!これ以上は!これでは本艦も持ちません!!」

「まだだ!!」

その時だった。オペレーターから信じられぬ報告が舞い込む。

 

「アークエンジェルよりX105ストライク、X00パワード、メビウスゼロ発進!!」

「なに!?」

 

パワードとストライクが先行し、その後ろをメビウスゼロが追う。戦場に入る三機、それを視認しイザークのデュエルが真っ先に向かったのは、パワードであった。

 

「やっとお出ましかぁ!死神ぃ!」

「デュエルか、装備が」

「あの時の屈辱の礼だぁ!!」

デュエル・アサルトシュラウドはビームサーベルを抜刀し、パワードに迫る。

パワードはこれに対し、デュエルのビームサーベルを避けつつ大出力ビームライフルで応戦する。

だがそれを避けて尚もサーベルでパワードに食い下がるデュエル。

それをバスターはデュエルの援護をすべく94mm高エネルギー収束火線ライフルで、パワードの側面から射撃する。

 

「イザーク!援護するぞ!」

「ちっ」

バスターの攻撃を難なく回避する。だが尚も執拗にパワードに迫るデュエルに大出力ビームライフルで反撃、するとアサルトシュラウドの右肩部のレールガンが破壊される。

 

「くっ!貴様ぁ!!」

「マジかよ!」

っと舌の根の乾かぬ内に、デュエルと戦闘中である筈のパワードが、反転してからの大出力ビームライフルでバスターの94mm高エネルギー収束火線ライフルを破壊する。

 

「噓だろ!?どんな腕してんだ!!くそっ!」

そんな武装の一つを失ったバスターにムウのメビウスゼロが攻撃を仕掛ける。ディアッカは苦虫を嚙み潰したようにしながら350mmガンランチャーで、これに応戦する。

 

「くそっ!マジでそろそろヤバいぜ!」

「しつこいんだよ!!お前らぁ!!!」

対するムウはこれまで執拗に追跡してきたザフトに対して激昂する。一方キラのエールストライクはニコルのブリッツと戦っている。

 

「ストライク!アスランが居なくとも!」

「ブリッツ!!でも負けない!!アークエンジェルを守らないと!!」

ストライクは57mm高エネルギービームライフルでブリッツに攻撃、対するブリッツもシールドの裏面の50mm高エネルギービームライフルで反撃する。

その戦闘をガモフのブリッジで見ていたクルーゼは突如席を立つ。それに気づいたゼルマン艦長を尋ねる。

 

「隊長、いかがいたしましたか?」

「あの機体にはグリマルディ戦線の死神が乗っている。イザークだけでは無理がある、私もでる。シグーアサルトの用意をしろ」

「は!」

ブリッジから出ていくクルーゼを見届けたゼルマン艦長は、正面を向き直ってから第8艦隊旗艦メネラオスを睨みながら呟いた。

 

「このままただ黙っているなど....死んだアデスにも顔向けができんっ」

 

そんな混迷とした戦闘の中、パワードはデュエルと戦いながら奴に加勢してくる複数のジンとも相手取る。

 

「ひとつ」

大出力ビームライフルでジンを二機を狙い撃つ。

 

「ぎゃあ!!」

「がぁああ!!」

 

「なに!?」

自分と戦いながらも他のザフト兵を撃破してみせるパワード。イザークは憤る、自分と戦っておきながら他と相手取る余裕がある死神に苛立ちを募らないはずがない。

自分はそこまでの相手ではないと馬鹿にされたようで、激しく怒る。

 

「俺をバカにするなぁ!!」

左肩部装甲内に格納されたミサイルポッドを発射しながら、ビームライフルでパワードに連射する。

迫るミサイルをパワードは頭部のイーゲルシュテルンで迎撃し、大出力ビームライフルを腰部にマウントする。

次いで左右の腰に備えた、ビーム刃と実体の刃を合わせ持っている二刀流の剣•デュアルセイバーを取り出してデュエルに迫る。

 

「鬱陶しい」

「っ!?」

いきなり思わぬ急スピードで迫ってきたパワードにビビッてしまうイザーク。っとそこへ一筋のビームがパワードに向かって走る。

それをパワードの専用装備であるシールドーー対ビームシールド、別名アブソーバイージスでこれを防御し吸収する。

エネルギーも補給できたが、コクピット内のシンラは顔を険しくして撃ってきた方向へ眼を向ける。

そこにはクルーゼ操るシグーアサルトが悠然と宇宙空間を飛翔している。

そのコクピットでクルーゼはモニターに映るパワードを見て、嗤いを浮かべる。

 

「私も相手して貰おう」

「....ラウ・ル・クルーゼっ」

 

シグーアサルトが装備しているバルルス改・特火重粒子砲で再びパワードに攻撃する。だがこれを回避し、デュアルセイバーを左右の鞘に収納、一体化させ、変形した射撃形態の大型ビームライフル――99mm高出力エネルギーバスターライフルの二丁持ちで反撃。

 

「くっ!相変わらず、やるっ!!」

「隊長!援護します!!」

パワードと戦闘するクルーゼに加勢すべくイザークのデュエルがビームサーベルで切り込む。

 

「邪魔だぁ!!」

しかしパワードはこれを躱してからのシールドバッシュで吹き飛ばし、からの両肘に備え付けられマウントされたビームブーメランを展開、その三又構造のブーメランを投擲、避けようとしたが間に合わずそのまま左腕を切り裂かれてしまった。

そして隙間も与えず、デュエルの腹部目掛けてスラスター全開に噴射しながらの強烈な蹴りを食らわせる。

 

「ぐああああああ!!!」

 

止めを刺そうと大出力ビームライフルを向けるが、しかしその横からシグーアサルトが重斬刀で襲い掛かり、パワードの大出力ビームライフルを切り裂いた。

 

「ちぃい!!」

「私がいることを忘れては困るよ!死神くん!!」

「貴様も邪魔だ!!」

 

デュエルセイバーで斬りかかるパワード、しかしシグーアサルトはそれを躱しながらバルルス改・重粒子砲

を発射する。

だがパワードは素早く動きつつ機体本体が変形する。それを目撃したクルーゼは驚愕する。

 

「変形するだと!?」

 

左右三枚の逆さ翼の大型戦闘機型に変形したパワード、パワードイエーガーの時に比べて劣るがその加速力は十分ザフト側の眼では追いきれない。

縦横無尽に加速しながらの99mm高出力エネルギーバスターライフルの二丁からの一斉攻撃に、シグーアサルトは武装と両腕を失った。

クルーゼは冷汗を流し「不味い」っと感じる。このまま止めを刺そうと思ったが、しかし偶然彼の視界にキラのストライクがバスターとブリッツと戦っており苦戦している。

 

「キラ!!」

 

クルーゼに止めを刺さず、そのままキラのもとまで飛ぶ。クルーゼは間一髪と思いつつも、これ以上は不味いと感じ地球の重力に引きずり込まれる前に早々に離脱する。

 

__________________________

 

 

一方、ガモフのブリッジにて今戦闘に参加出来ずのアスランはゼルマン艦長に呼ばれていた。

 

「ゼルマン艦長、自分に何か?」

「貴官はこれより本艦から脱出し、随伴艦に移動せよ」

「え!?それはどういう!!」

「本艦は、敵艦隊に吶喊する」

「え!?」

ゼルマン艦長から思いもよらぬ言葉に耳を疑うアスラン、しかし言った本人の顔は冗談などこの状況下で言うはずもなく至って真面目である。

アスランはゼルマン艦長に思いとどまるよう説得するが、彼は首を左右に振りこれを拒否。処か逆にゼルマン艦長に気を遣われる始末。

 

「君はザラ国防委員長閣下の大切なご子息だ。私の勝手に巻き添えにする訳にはいかん」

「艦長....」

「さぁ、いきたまえ」

これ以上何も言えずアスランは項垂れながらブリッジを退出、そのまま乗組員に誘われるがまま艦体下部に備えられた楕円状の基部に移動、大破しているイージスと共にガモフから離れた。

それと同時にガモフは単身、メネラオスとその麾下の艦艇が展開している座標まで速度を上げて向かっていく。

 

「ローラシア級1、メネラオスに接近!!」

トノムラの報告にクルー全員息を吞む。そのローラシア級ガモフのブリッジではゼルマン艦長は鬼気迫る顔で叫ぶ。

 

「此処まで追い詰めたのだ!!元はと言えば、我らが仕留めそこねたのが原因!!ならば今度こそ!!足つきをここでっ!!!」

 

「くそぉ!!!」

それを目撃したムウはメビウスゼロの有線式ガンバレルでガモフに攻撃する。船体各所に爆発が起きるが、ガモフは気にせずにそのままメネラオス目掛けて突っ込んでくる。

 

「刺し違えるつもりか!!」

ホフマンは敵艦の狙いがメネラオスへの特攻であるのを察し、慌ててしまう。

だがハルバートンは冷静に指示を下す。

 

「すぐに避難民のシャトルを脱出させろ!」

「っ!か、閣下」

「ここまできて、あれに落とされてたまるか!!」

ハルバートンの手が握り拳になり力が増す。その間にもガモフは主砲を斉射しながらメネラオスに接近しつつある。メネラオスもガモフに対して反撃と主砲をもって攻撃する、しかし船体に幾つかダメージが発生していく。

そしてハルバートンの指示の下、船体下部よりヘリオポリスの避難民を乗せたシャトルを射出する。

シャトルと射出した直後、地球の引力に引かれてしまい大気圏に突入してしまうメネラオスとガモフ。

 

そしてアークエンジェルも大気圏突入のフェイズ3へと入る。それを操舵主であるノイマンが知らせる。

 

「艦長、間もなく突入限界点フェイズ3へ二分を切りました!融除材ジェル、展開!!」

アークエンジェルはとうとう大気圏突入限界点へ入る。CICで指揮をしているナタルはそろそろパワードとストライク、メビウスゼロに帰投命令を出す。

 

「ゼロとストライク、パワードを呼び戻せ!!」

アークエンジェルからの撤退号令にムウは「くそっ!!」っと毒づぎながら急ぎ帰還する。艦の後部に着艦できたムウであるが、まだシンラとキラが帰還出来てないことに気付く。

 

「二人は!!!」

 

 

__________________________

 

 

ブリッツとバスターと二対一の状態となってしまい苦戦する中、ストライクはビームライフルを発射しブリッツに攻撃。

 

「やられないんだから!!」

「く!!こいつ!!」

「ニコル離れろ!!もう限界点へ入る!!」

鍔迫り合うストライクとブリッツ、バスターのガンランチャーがブリッツの援護のため発射されるが、ストライクはブリッツを蹴り飛ばしてこれを回避。

ビームライフルでバスターへ反撃、何とか回避しながらディアッカはストライクに対して毒づく。

 

「くそっ!何なんだ!!一体どんな奴だよ!!」

「ディアッカ!!く!!ストライク!!」

ブリッツはビームサーベルでストライクに斬りかかるが、そこへ巡航形態のパワードが素早く駆け込みながら変形してモビルスーツ形態になってそのままブリッツの頭部目掛けて蹴り飛ばした。

 

「うああああああ!!!」

「ニコル!お前は戻れ!まだ離れられる!」

「で、でも!!」

「いいからいけ!」

「は、はい!」

ディアッカに言われ、ニコルは何とか引力に吸い寄せられる前に離脱することが出来た。

 

「っ!!シンラさん!!」

パワードを視認したキラは嬉々として喜ぶ。その彼女にシンラがこのまま帰還するよう促す。

 

「キラ!アークエンジェルへ戻るぞ!!」

「はい!!」

ストライクはアークエンジェルへと向かう、重力に引かれてる方向へ飛ぶ所為か素早く行けた。

パワードもそれに続こうと向かう途中、それをデュエルが片腕の状態でビームライフルを発射してくる。

 

「死神ぃ!!!貴様だけはぁ!!」

 

「デュエル!!まだっ!!」

 

それと同時に地球の引力に引かれてもう逃れることが出来ないでいたメネラオスとガモフは、大気圏の摩擦熱に耐え切れずガモフが逸早く爆発して塵と消えた。

だがメネラオスもまた同じく船体が耐え切れなくなり、船体各所で爆発を引き起こした。そのブリッジでハルバートンは覚悟を決めて敬礼の姿勢を崩さず、爆発するメネラオスと共にその運命を幕を閉じた。

 

「ハルバートン提督っ!!!」

目の前で自分の上官が目の前で亡くなったことに悲しみ声を上げるマリューは、そのままゆっくりと敬礼をして哀悼の意を表明する。

CICでもナタルも毅然と敬礼をする。一方、大気圏突入アークエンジェルにたどり着いたストライク、そのコクピット内でキラは未だシンラが戻ってないことに悲鳴にも似た声を上げる。

 

「シンラさぁんっ!!!戻ってきて!!」

 

その彼女に続くようにマリューやムウも彼の名を呼ぶ。

 

「シンラくん!!」

 

「シンラ!!戻ってこい!!!」

 

一方のパワードはデュエルと打ち合っている。

 

「死神ぃ!!」

 

「いい加減に邪魔だぁ!!貴様はぁ!!!」

パワードの強烈なシールドバッシュによりまたも吹き飛ばされる。デュエルはビームライフルをパワードに向けて反撃しようとする。

 

「くそぉ!!!」

っがその時だった。パワードとデュエルの間を一隻のシャトルが...。

 

「あれは、メネラオスのシャトルか!!」

それはメネラオスから脱出したヘリオポリスの避難民を乗せたシャトルであった。

 

「くそっ!」

イザークはパワードに向かってビームライフルを向けて照準を合わせていたが、シャトルの乱入のせいで儘ならず射撃の適正距離から離れてしまう。

 

「よくも邪魔をぉ!!」

突如デュエルはビームライフルの銃口をシャトルへと向ける。

 

「っ!!?」

シンラは驚愕する共に、あのシャトルにはあの折り紙の折鶴をくれた小さい女の子が乗っていること頭に浮かぶ。

シンラはパワードのスラスターを全開で吹かし、庇おうとシャトルに向かう。

 

「やめろぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!それにはぁああああああ!!!!」

 

「逃げ出した腰抜け共がぁああああーっ!!!」

 

放たれたデュエルの一筋の閃光....パワードはそれを阻もうと急いだ、しかし無情にもその一発はシャトルを撃ち貫き、シャトルは激しく爆発を引き起こした。

パワードはその爆発によって吹き飛ばされる、その最中シンラは目の前のモニターにて起きたことが信じられないと放心状態となっていた。

 

「あ....あぁ...っ....あ」

シンラはその時無意識に、折鶴をくれた小さい女の子のことを思いだす。

 

 

 

うん♪どういたしまして!おにいちゃん!えへへ

 

 

 

「あ、ああ....あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーーーーーーーーっ!!!!!

 

自分とキラが守ってきた筈の小さな命が、いま目の前で無惨に虚空へと消え、シンラの叫びが木霊するのみだった......。

 

 

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