機動戦士ガンダムSEED OVERLOAD   作:新米くん

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遅くなって大変申し訳ありませんm(__)m
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PHASE 23 砂塵の中で

「あ...こ、ここは....」

 

長い眠りから目覚め、シンラはその口をたどたどしくも開いた。それを見て、キラとラクスは瞳を潤ませて彼の目覚めを喜ぶ。

 

「シンラさん!」

「シンラ!...よかった!」

 

2人は涙目でゆっくりと起き上がる彼に喜びながら抱きつく。シンラは目覚めたばかりで何が何だか分からず、戸惑いつつも2人に問い掛ける。

 

「い、いったい...何が....」

「此処は艦の医務室です」

「シンラはずっと意識を失って、ここで眠っていたのですわ」

2人の話を聞いてからシンラは周りを見渡し、更に身体に重みが感じた。これはまさか重力と気付き、シンラは「もしかして...」と呟きながらキラを見ると、彼女は笑みを浮かべて頷く。

 

「はい、ここは地球です。昨日降りることができたんですよ」

「そしてアークエンジェルがいるのは砂漠ですわ」

「砂漠....アラスカじゃ、ないのか...」

 

シンラは自分たちが今、地球軍勢力圏から遠く離れたザフト支配圏に居ることに言葉を無くす。

そんなシンラが目覚めた頃、格納庫ではムウがマードックと話していた。

 

「マニュアルは昨夜見たけど、なかなか楽しそうな機体だねぇ…。しかしまぁ、ストライカーパックも付けられますってのは....俺は宅配便屋か?」

「はっはっはっは!大尉なら...じゃねぇや。少佐ならどんなとこにもお届けできますってね!」

二人の目の前にとある機体がある、それは二機の戦闘機であった。それは新型戦闘機、その名は――スカイグラスパー。

開発を担当したのは地球連合の軍事企業であるP・M・P社であり、原機となったのは同社が開発した制空戦闘機F7Dスピアヘッド。

本機はストライクの大気圏内支援戦闘機として位置付けられるが、G兵器開発の折に、軍上層部においてMSが主力兵器としての有用性を疑問視する声も挙がったことから、次期主力戦闘機としての運用も視野に入れて開発された。

コクピットはタンデム方式となっており、前面にパイロット、後方にはナビゲーターが乗り込む。これによって操縦担当と兵装担当を分けることも可能。

更に本機はストライカーパックをノンオプションで装備可能となっており、直接スカイグラスパーの武装として使用される。これらは前線で僚機に供与させることも可能となっており、兵装運搬機としても機能する。

そのスカイグラスパーを眺めつつ、ムウは自分の上がった階級に関して口にする。

 

「ハルバートン提督の計らいとはいえ、この状況で昇進してもなぁ...」

戦死してしまったハルバートン提督はアークエンジェルのクルー全員に対して、階級を昇進させてくれていたようだ。

因みにアークエンジェルとは関係ないシンラも階級の昇進がなされている。つまり彼の階級は現在、中尉から大尉へと変わっている。

 

「ガキ共は野戦任官ってことらしいですよ。嬢ちゃんは少尉ですって?まぁ…パイロットですからねぇ」

「ああ、その他もまとめて二等兵さ。やれやれ…」

「はっはは。すぐに一人前になりますよ。そういや、中尉、じゃなく大尉さんの容態は?」

話を切り替えるようにマードックが尋ねる。

 

「朝には下がったってさ!パワードが凄いんだか、あいつの身体が凄いんだか。...あいつもピンピンしてるし」

「そう、ですね...実際宇宙であの人一人で、ザフト艦隊やっつけてしちまいましたからねぇ」

「....あいつ、凄いな」

「あの人....コーディネイターなんですかね?それともナチュラルなんですかね?」

マードックの問いかけにムウは唸る。

 

「どうだかなぁ....だがそれに関して知っているのは、彼女だけかもな...」

「ん?」

ムウが見ている方向には、エイダが部下たちと何やら会話をしている。

 

「調整も大分良くなったようね」

「はい。火器管制も彼の能力があれば良くなりますので、次の出撃でいけます」

「わかったわ。引き続きよろしくね」

「「「「「はい!」」」」」

 

それを見つつマードックはムウに近寄り彼だけ聞こえるように言う。

 

「あの姐ちゃん、それとその部下のあいつら、凄腕ですよ。怖いぐらいに...」

「だろうなぁ。ほんと何者って感じだよ....」

肩を竦め苦笑いを浮かべるムウであった。

 

一方その頃、医務室ではマリューが目覚めたシンラに喜びに満ちた笑みを浮かべる。その胸中では先ほどの医師からの報告を聞いて深まる謎に複雑な気持ちを抱く。

しかしここは彼の回復を素直に喜ぶとしよう、マリューはそう自分に言い聞かせるのであった。

 

「シンラくん...本当に....よかった」

「艦長、すみません...ご心配をおかけして」

「気にしないで...今はゆっくり休んで」

「はい...」

マリューにそう言われて顔を俯くシンラ。その時、キラは徐に制服のポケットから何かを取り出した。

 

「あ、そうだ!さっき整備士の人からコクピットの中から、これ」

「...っ!!?」

彼女が取り出したのは、それはシンラがキラやラクスと共に、ヘリオポリスの避難民であるあの幼い女の子から貰った折り鶴であった。

それを見た瞬間、彼の頭の中でデュエルに撃墜され大気圏の中で爆発したシャトルを思い出す。

あの少女が無垢な笑みを浮かべた記憶すらも思い出すが、シンラの動悸が早くなる。

 

「あ...あ.....あ゛あ゛...」

 

「シンラさん...?」

「シンラ、どうかしましたの?」

「シンラくん...?」

 

三人はシンラの異変に気付き、彼の様子に動揺する。だが当の本人は堪らず……

 

「うあああああーーーっ!!!」

 

彼は堪らず両手で頭を抱え、医務室内…どころか外にまで響くぐらいの叫びを上げる。

突然のことに彼女ら三人は思わず、彼の身体を抱きつき暴れそうな彼を抑えようとする。

 

「シンラさん!落ち着いて!」

 

「シンラ!」

 

「シンラくん!」

三人は何とかして彼を落ち着かせようと奮闘するも、このままでは彼の力に振り回されるのは必至であった。

だがその時、医務室の扉が開いた。

 

「エイダさん…!」

マリューは突然入ってきたエイダに驚きつつも、シンラを抑える力は緩めないがもうどうにも出来なさそうであった。

そんな彼女らを見て、エイダは無言で素早くシンラの傍まで向かい、マリューたちに一言…。

 

「そのまま抑えてて」

 

「え?」

 

キラやラクスは、不安そうにエイダを見つめマリューは彼女にシンラ対して何をしようとするのかと睨み声を上げた。

 

「シンラくんに何をするの!!」

 

「黙って」

 

すると彼女は懐よりピストル型の注射器を取り出し、そのまま彼の首筋に上手く刺し、何かを注入した。

 

「あー!あ……ぁ………」

シンラは直ぐに意識を失い、自然と彼の傍で密着するようにいたキラの発育した大きな胸に埋めるようにして眠りにつく。

 

「シンラさん!!」

 

彼女は直ぐに眠りについた彼を抱きしめつつ涙を流し、ラクスもまた彼女と同様に、シンラをキラの反対側より挟み込むようにして抱きしめる。

一方マリューはエイダに対して怒りを浮かべて睨んでいた。

 

「エイダさん!貴方……!」

 

「なに?なにを怒っているのかしら?マリューさん」

そんなマリューに冷淡な顔を浮かべるエイダ。だがその態度が余計にマリューの怒りを加速させる。

 

「彼は道具ではないのよ!!もっと大切にできないの!!」

 

「シンラは私が育ててきたのよ。なら、私がこの子をどうするかは私が決めるわ」

 

「貴方って人は……!!」

彼女がエイダを掴みかかろうとするも、エイダは綺麗に躱して見せる。

尚もマリューはエイダに食って掛かろうとした時、エイダは口を開いた。

 

「どうしてシンラがいきなり発狂したか、その理由を知ってるわ」

 

「本当ですか!?」

キラはエイダに問いかける。彼女はキラの問いに対して、静かに首を縦に頷く。

どうして知ってるのかも答えた。

 

「パワードの戦闘データの映像にね、映ってたのよ……メネラオスから射出されたヘリオポリスの難民たちを乗せたシャトルが、デュエルによって撃墜される光景がね……」

 

「え…………?」

エイダから語られた話に、キラは眼を丸くした間の抜けた声を漏らす。

ヘリオポリスの難民をシャトルが撃墜………そのシャトルには、あの小さな女の子も乗っていたはず………キラは心が苦しくなるのを感じた。

だが同時に彼女は察した、シンラはそれを目の前で見てしまったのだと。

彼はきっと今の自分よりも、もっと激しく心を病んだに違いない。

そう思うと挫折しそうだったのが、シンラへの心配へと変わる。

そして自分の腕の中で眠りについているシンラの頬を、そっと優しく、まるで今にも割れそうなガラス細工を扱うように触れ撫でる。

気づけば彼の目尻に一つの雫が流れ落ちていった。

 

「シンラさん…」

彼はこの地球に辿りつく間ずっとアークエンジェルの皆や、自分の為に自分を顧みず戦ってくれた。

そんな彼が心折れるまでこんなになるのを見て、キラは辛く感じる。

自分にもっと何かできないか、何か彼にしてあげたいと強く思い始める。

その時艦内アナウンスが流れる。

 

《艦長、ブリッジにお戻りください》

 

「………私行かなくちゃ。キラさん、ラクスさん、申し訳ないけどシンラくんのことお願いね」

それを聞いたキラとラクスに共に頷く。そしてマリューはエイダに向かって鋭く一瞥した後に医務室から出ていったのであった。

エイダは苦笑いを浮かべつつ、残された彼女ら声をかける。

 

「それにしても、貴女たち。随分とシンラにご執心ね?」

 

「……いけませんか?」

キラが警戒するようにエイダに問いかける。だが彼女は「悪くない」っと彼女らの警戒を緩ませるように笑みを浮かべる。

 

「貴女たち。特にキラちゃんは、シンラのことをなくてはならない存在として見ているのでしょう?」

 

「そ、それは……」

否定できない、寧ろ彼女にとってシンラはもう自分にとって掛け替えない存在と言える。

否定なんてできるわけも、したくもないのも彼女の意思である。

そんな彼女を見て、エイダは真顔で呟いた。

 

「こんな状態じゃ、起きてもシンラはまともに戦えないわ」

 

「え?」

 

「精神状態がこうも不安定じゃ、宇宙での戦いみたくザフトを赤子の手を捻るみたくは出来なくなるわ」

 

「じゃあ、どうしたら………」

恐る恐るその問いを投げるキラに、エイダはゆっくりと彼女の傍まで近づく。

そして耳元まで顔を寄せてキラにしか聞こえないように言う。

 

「ーーーー」

 

「…………っ!?」

自分の耳元で囁かれるエイダの言葉に、キラの顔は紅潮するのだった。

 

 

 

 

 

一方そのころ、ここ砂漠にはアークエンジェルとは別に一つの戦艦が点在していた。

ザフト地上軍アフリカ方面部隊•レセップス級大型陸上戦艦•レセップス。

主に砂漠地帯で運用される大型陸上戦艦。船体喫水線下が砂中に没する半没式船体構造を持ち、底部全面に配されたウロコ状の推進装置「スケイルモーター」で砂を振動・液状化させて移動する。砂中でより高い浮力を得るため、底部は表面積が広く設計されたザフト地上軍の主力陸上戦艦である。

そのレセップスの司令官専用私室にて、1人の男が珈琲を嗜みその憩いの時を浸っていた。

 

その彼の私室の外より声が響く。

 

「隊長!ダコスタです!」

 

「入りたまえ」

 

「は!」

その男の返答に部屋に入ってきたのは、マーチン・ダコスタ…この大型陸上戦艦レセップスの副官を務めている。

彼は敬礼した後に手にしている報告書を、目の前の男に手渡す。

男はダコスタからの報告書を読み、少ししてから口を開いた。

 

「クルーゼが取り逃した艦、ね…」

 

「はい、既に我々の支配圏で発見されています」

ダコスタからの報告にその男は徐に立ち上がり、不敵に笑みを浮かべる。

 

「出撃の準備だ、ダコスタくん」

 

「は!」

彼の名はアンドリュー・バルトフェルド…ザフト北アフリカ駐留軍司令官で、「砂漠の虎」の異名を持つエースパイロットでもある。

その砂漠の虎の牙がまもなくアークエンジェルに剥かれようとしていた。

 

 

 

 

 

 

再びアークエンジェルに戻り、医務室ではエイダの囁きに戸惑うキラ。

その顔は紅潮し、眼の焦点が定まっていない。

 

「あ、あの………」

 

「何もそこまで動揺することはないでしょ?」

 

対してキラに笑みを浮かべるエイダは、大人の女としての余裕を見せる。

ラクスは首を傾げるが、エイダは気にせず話を続ける。

 

「アークエンジェルにとって、シンラは一番まともな戦力よ。その彼がこうではどうにもならないわ」

確かに彼女の言うとおり、現状のアークエンジェルの最高の戦力はモビルスーツであるパワードとストライクの2機。

しかしストライクに乗るキラは戦闘にはやはり不慣れ、シンラと同じ地球軍兵士であるムウもいるが、彼はモビルアーマー乗りでありモビルスーツは専門外。

なのでアークエンジェルで最高レベルでの戦力は、シンラとパワードであるのは明白であるが、その彼がこれではどうにもならない。

 

「で、でも………そ、その……」

 

「その反応で分かるわ。貴女、"初めて"なのでしょう?」

 

「っ!?///」

エイダからのストレートな問いに彼女は益々顔を赤く染め、茹で蛸みたくなっている。

それを見てエイダはキラに言う。

 

「これはね、シンラの為と思いなさい」

 

「シンラさんの……?」

 

「そうよ、貴女にとって彼は無くてはならないのでしょう?ちがう?」

 

「それは………」

 

シンラの為……その言葉がキラの心に突き刺さる。いつもシンラは戦いに怯える自分の為に、いつも先頭を行ってくれる。

いつも思っていたどうにかして、彼に何かしてあげられないかと。

それがキラの中で大きくなっていることは本人も自覚していた。

そしてそれがエイダの言葉によって、その想いが益々大きくなっていく。

彼女は今も眠りつく彼の頬を優しく撫で、そして……

 

「わかりました。やってみます」

 

「そう。じゃあラクスさん、貴女は私と一緒にお部屋に戻りましょ」

 

「え、ですが……」

 

「ここはキラちゃんに任せれば大丈夫よ、さぁ……」

ラクスは渋々であるが、だが彼女はこれ以上ワガママを言えるわけもなく諦め、エイダと共に医務室を出る。

その道中にてラクスは1人聞こえないように呟いた。

 

「…………キラ、羨ましいですわ」

 

彼女がそう呟く頃、キラはずっとシンラの頭を自身の胸に抱かせたまま、優しく笑みを、そして恍惚な表情をも浮かべ見つめていた。

 

「シンラさん…」

 

「う……うぅ、お、おれは………」

 

「シンラさん!」

 

「き、キラ………おれは………っ!!!」

 

そしてまたシンラの脳裏にフラッシュバックが鮮明に、映画のフィルムみたく次々に映る。

 

『いままで、まもってくれて、ありがとー』

彼の脳裏に花をくれた幼い少女の姿が浮かぶ。それはたちまちデュエルに撃たれ、爆発したシャトルへと映り変わり、大気圏の熱で灼かれ燃え尽きた映像へとなった。

 

「があ…はぁ、はぁ、はぁ…ぐあ!」

呼吸が荒くなる。心臓が早鐘を打つが如く、動悸が激しく満足に息も吸うことも出来ない。

そしてシンラは、キラの胸にしがみつくように抱きつく。

 

「し、シンラさん…!」

 

「俺は!!……あの子…を……守れなか、った…ッ!」

 

彼女の胸の中で泣き呟くシンラ。自分には力があるはずなのに救えなかった。

その虚しさが、悲しみへと変わり泣く声を漏れ出す。

自分の胸の中で泣く彼を見つめるキラ、その時先ほどエイダの囁きを思い出した。

 

 

 

 

貴女のその身体で、シンラを癒せばいいのよ

 

 

彼女のその言葉に耳を疑った。自分は今まで恋愛なんてしたことないし、幼なじみの異性であるアスランに対して一番仲の良い男の子としか見てないから、そう言う男女間での機微が分からない。

だがシンラに対してもっと自分の傍にいて欲しい、もっとずっと触れてほしいと想いが溢れ続けている。

 

彼が苦しいのなら癒してあげればいい、彼が悲しいのなら抱き締めて包んであげればいい、彼の為ならそれがきっと自分にとって幸せなんだと思う。

 

「シンラさん…」

 

「…っ……うぅ…っ…き、ラ」

 

いつの間にか彼女はシンラの頬をを優しく包み込む。そのままそっとゆっくりと自分の顔に近づかせる。

そして唇と唇が重なる二人、少しして互いに口を離すと銀色の糸が引いていた。

だが直ぐに二人は唇を重ね、最初よりも強く、そしてエスカレートして互いの唇を貪り合う。

遂にはシンラがキラをベッドに押し倒した。

 

「シンラさん…はぁ…はぁ」

 

「キラ…はぁ…はぁ…俺は」

彼に押し倒おされ、このまま為すがままにされるのだとキラは直ぐに理解する。

だが寧ろそれでいい、それは彼女自身望むところである。

故に彼女はソッと両手を広げ、彼を誘う。

 

「いいの………私は、シンラさんの、シンラの為に居るから………だから、お願い………きて」

 

その言葉が引き金となり、彼は過剰にキラと激しいキスを行う。

そして二人はとうとう互いの軍服を脱ぎ、床に放り投げ、ベッドがギシギシと軋み、彼女の艶やかで厭らしい声が部屋に響くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

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