機動戦士ガンダムSEED OVERLOAD   作:新米くん

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PHASE27 敵との邂逅

前回の戦闘より2日経った今日、シンラとキラはカガリの案内のもと、此処ザフトの砂漠の虎が支配する町バナディーヤに来ていた。

 

「じゃぁ、4時間後だな」

 

車から降りたカガリは、いつも傍にいて付き従う大男、キサカと話す。

 

「気をつけろ」

 

「分かってる。そっちこそな。アル・ジャイリーってのは、気の抜けない奴なんだろ」

 

2人は目を合わせて頷く──っと前の車に乗っていたナタルが振り向いた。

 

「ユーリ大──ゆ、ユーリくん、彼女をよろしく頼みます」

 

ユーリ大尉と呼びかけようとしたが、赤面し何とか誤魔化して言う彼女。

隣のトノムラは、「はぁ…」と呆れてため息を吐いてしまう

車が発進し、シンラとキラ、そしてカガリの三人だけが残された。

街の様子を見ていたシンラとキラに、カガリが声をかける。

 

「おい!何ボケッとしている。お前は一応護衛なんだろ?」

 

っとカガリはシンラに突っかかる。

今回三人はアークエンジェルクルーの日用品を入手するため、シンラとキラ──そして案内人のカガリを連れてバル砂漠の虎が支配する街バナディーヤに入る。

本来アークエンジェル主戦力であるシンラとキラ両名が、揃って船を離れることなど考えられない。

しかしアークエンジェルの中で、モビルスーツだけでなく生身での戦闘でもプロフェッショナルであるシンラが護衛として選ばれたのだ。

初対面時でのコンタクトが悪印象になってから、カガリの中でシンラは苦手なのであるが、彼女の連れであるキサカたっての願いとなっては彼女も鵜呑みにせざる得ない

ではキラは?──答えは単純、シンラが自分以外の女性と二人っきりなど許せないのだ。

 

あとアークエンジェルから出かける時、ムウに絡まれた際──「しっかり彼女のボディーガード頼むぞぉ~?ナイト様♪」──などとニヤニヤしながらそうからかってきた。

シンラは無表情で了解とだけ返事して出たが、ムウとしてはシンラ自身にも息抜きをしてほしかったのだ。

キラにしてもそうである、戦闘力を自分より遥かに上のシンラに完全に心を許しているし、彼女にとって理解者でもある。

それに2人の様子が宇宙にいた時に比べ、かなり親密化してることにムウは気づいていた。

なのでマリューにその事を話し、2人に息抜きをさせて欲しいと願いでたのだ。

買い物も大体済ませた三人、そこでカガリは丁度いいと昼飯を提案する。

そこで三人は露店にたどり着き、席に座る。

時間は少し経ってテーブルの上に所狭しと並べられたのは、薄いパンの上にトマトやレタス等の野菜、そして羊肉が乗せられている。

 

「何、これ?」

 

はじめて見る料理に目を丸くするキラ、シンラに至っては無表情でその料理を見つめる。

カガリは自慢気に話す。

 

「ドネルケバブさ!あー、疲れたし腹も減った。ほら、お前も食えよ。このチリソースを掛けてぇ…ほらキラ」

 

「う、うん…あ、美味し」

 

「だろお!」

 

「シンラも、ほら」

 

「俺か?俺はこのままかけなくても………」

 

それを聞いてカガリは許さんとばかりに食いかかる。

 

「ダメだ!チリソースかけると旨いんたぞ!!ほら………」

 

「あーいや待ったぁ!ちょっと待ったぁ!ケバブにチリソースなんて何を言ってるんだ!このヨーグルトソースを掛けるのが常識だろうがぁ」

 

そこへ帽子と被りサングラスをかけ、アロハシャツを着た如何にも陽気そうな男が割って入ってきた。

しかもその手にヨーグルトソースの入った容器を持って力説しだした。

 

「ああ?」

 

突然割って入ってきておいて、いきなりヨーグルトソースを薦めてくる謎の怪しい男にカガリは睨む。

だが男はそんなの気にも止めず、自身の好物のソースを推してくる。

 

「常識というよりも…もっとこう…んー…そう!ヨーグルトソースを掛けないなんて、この料理に対する冒涜だよ!」

 

「見ず知らずの男に、私の食べ方にとやかく言われる筋合いはない!ハグッ…」

 

「あぁ…!なんという……」

 

男の目の前で自分のケバブにチリソースをかけ、それを美味しそうに頬張るカガリ。

男はそれを頭を抱える。

 

「えっと………あのう」

 

「キラ、気にせず食べよう」

 

ことの内容についていけてないキラは、右往左往する。

一方でシンラは興味ないのか2人の言い争いなどなかったように、キラに一緒に食べるのを薦める。

その時シンラがケバブを手を出そうとした時、カガリが狙いをつける。

 

「ほぅらお前も!ケバブにはチリソースが当たり前だ!」

 

「なに?」

 

自分のケバブにチリソースをかけようとするカガリに、シンラは正気を疑う。

しかしそこへサングラスの男が見逃す訳などなく…

 

「だぁぁ待ちたまえ!彼まで邪道に堕とす気か!?」

 

「何をするんだ!引っ込んでろ!」

 

「君こそ何をする!ええい!この!」

 

カガリとサングラスの男は、シンラのケバブに自分達好みのソースをかけようと互いに譲らず鬩ぎ合い──結果、二人のソースが混ざりつつシンラのケバブにぶっかけられ、チリソースとヨーグルトソース相反する味によってもう人が食べられるものでは無くなった。

余りのことにシンラは言葉を無くし、絶句していた。

そんな彼を見てキラは苦笑いをしつつ、自分のケバブにケチャップをかけたのを半分にしてシンラに──

 

「はいシンラ、あ...あーん、して」

 

「え?」

 

「はい、あーん、あーんしてシンラ」

 

「あ、あーん」

 

キラに言われるがまま、シンラは口を開く。彼女はそれを確かめると手にしたケバブをそのまま彼の口に運ぶ。

 

「美味し?」

 

「あ、ああ」

 

「良かったぁ」

 

キラは嬉しそうに頬を赤く染めつつ笑みを浮かべる。シンラは動揺しつつも彼女から食べさせてもらったケチャップ合わせのケバブの味を堪能するのであった。

一方、カガリとサングラスの男は、キラがケバブにケチャップをかけシンラに食べさせる光景を見て「ケチャップに負けた」と項垂れていたのだった。

 

 

 

─────────────────

 

「チィ!いい気なもんだぜ」

 

「あのテーブルに居るヤツらは?」

 

「その辺のガキだろ、どうせ虎とヘラヘラ話すような奴だ」

 

その様子を覗き見て忌々しそうに見つめる者たちがいた。

彼らはそれぞれ武器を所持しており、中にはロケットランチャーまで持ち出していた。

彼らが狙いをつけているのはサングラスの男であった。

彼らは聖戦を行うべく、銃を手にしている。

そして開戦の言葉を口にした。

 

「では行くぞ。開始の花火を頼む」

 

「ああ。魂となって宇宙へ還れ!コーディネイターめ!」

 

男たちは武器を持ち、今正に自分たちとって邪魔となる物を消すために動く。

 

「!」

 

「!」

 

その時、シンラは周囲からの微かな殺気を気づいたのか、キラとカガリの二人の腕を掴んで共に身を屈める。

サングラスの男もその殺気に気付き、素早くしゃがむ。

すると店内にロケット弾が飛び込みけたたましい轟音を響かせて爆発する。

その直後、アサルトライフルを乱射しながら武装集団が店に雪崩れこむ。

 

「死ね!コーディネイター!宇宙の化け物め!」

 

「青き清浄なる世界の為に!」

 

「ブルーコスモスか!!」

 

青き清浄なる世界の為──その言葉は、反コーディネーター組織•ブルーコスモスが掲げてるものである。

それを口にし信奉する者はブルーコスモスの証であると皆の周知である。

サングラスの男は険しい顔をし、ピストルを取り出し身をのりだそうと瞬間──それよりも先に武装集団に突撃する者がいた。

 

「シンラ!!」

 

それはシンラであった。彼はキラの悲鳴にも似た声が響く中向かっていく。

手にしているのは常に携帯している軍用ナイフ1本──それを片手に誰より素早く動き、武装集団の1人に狙いを定め首筋を深く切り裂く。

頸動脈を正確に斬られ、堪らず悲鳴を上げてのたうち回る武装集団の1人が落としたアサルトライフルを奪い、3人射殺。

仲間が殺られたのを黙っているわけにはいかず、武装集団は皆シンラに銃口を向けるが、その時彼が瞬きし見た瞬間スローモーションのように遅く見えた。

シンラはそれよりも速く、連中の視界から消えて死角より襲撃して至近距離でアサルトライフルで撃ち殺し、ナイフで斬り殺した。

店の中は武装集団の亡骸が幾つ倒れていた。

 

 

「お………おまえ……一体………」

 

「シンラ……」

 

たった1人で完全武装をしたテロリスト集団相手にして、それを全滅させるまるでハリウッド映画宛らの人外な実力を見せたシンラ。

カガリは言葉を無くし、目の前の凄惨な光景に震えていた。

キラはシンラが今成したことに対しての恐怖はなく、ただ彼が無事なのが嬉しいと感じていた。

そして彼女はいつの間にかシンラに向かって走る。

 

「シンラ!!」

 

「キラ…………っ」

 

その時だった。倒れて死んだと思っていた武装集団の1人がヨロヨロしながらも立ち上がり、銃口をキラに向ける。

 

「キラ!!!危ない!!!」

 

「え…?」

 

っとその時、キラに銃口を向けていた男の頭から血潮が飛び、そのまま物言わず倒れて今度こそ絶命した。

シンラは急ぎキラに駆け寄り、彼女を無事を確かめる。

 

「キラ!!無事か!?何処かケガは!!」

 

「大丈夫だよ、シンラ。わたし全然どこもケガなんてしてないから」

 

そう優しい笑みを浮かべて見せるキラを、シンラは力強く抱きしめる。

 

「いやはや、無事なようだな」

 

キラを助けたのはサングラスの男であった。彼は先ほど倒した男が生きているのを気付き、すぐさま銃を向けて撃ったのだ。

サングラスの男はシンラを見ると、先程会った時の陽気な笑みとは異なり、獲物を見つけた時の獰猛な笑みを浮かべる。

 

「隊長!御無事で!」

 

「ああ!私は平気だ。彼のおかげでな」

 

複数のザフト兵士たちが荒れた店内に入ってきた。しかもサングラスの男に1人駆けつけ、おまけに隊長と呼んだ。

これをシンラとカガリは聞き逃さなかった。

カガリは思わず口を開いた。

 

「ぁ…アンドリュー・バルトフェルド…」

 

「え?」

 

キラはどういうことかシンラを見ると、彼は───

 

「この地域でザフト兵士、しかも隊長となると現状俺たちと戦ってる、砂漠の虎しかいない」

 

彼の言葉を聞いてキラは、サングラスの男──砂漠の虎•アンドリュー・バルトフェルドに驚いたように眼をみはった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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