機動戦士ガンダムSEED OVERLOAD   作:新米くん

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PHASE29 敵との会話

初心な二人を見て笑うバルトフェルドとアイシャ、彼らに対してシンラは忌々しそうに睨む。

だがバルトフェルドは気にせず、笑いつつ悪びれる。

 

「すまないすまない。だが彼女、ドレスがよく似合うねぇ」

 

「アンタ、ほんとに砂漠の虎か?何で彼女にドレスを着せたりする?変装してヘラヘラ街で遊んでみたり、住民は逃がして街だけ焼いてみたり──アンタ、何がしたんだ」

 

そう鋭く睨むシンラ、バルトフェルドと言う人間が理解できなかった。

ザフトという敵軍の人間というには、余りに陽気で快活な男と言うだけにしか見えない。

疑問を叩きつける彼に、陽気に話すバルトフェルドの顔がキッと引き締まり真剣な表情になる。

 

「なら君も死んだ方がマシなクチかね?」

 

「なに?」

 

「君たち二人に聞くが、どうなったらこの戦争は終わると思う?モビルスーツのパイロットとしては…」

 

彼のこの言葉にキラの警戒心が高くなった。しかしそれは図星だと言っているようなものだ。

だがバルトフェルドは更に問いかける。

 

「因みにストライクはどっちかな?」

 

「わ、わたし、です……」

 

おずおずと手を小さく上げるキラ、それならばもう一機はとシンラに眼を向けると──

 

「………もう一機の機体、パワードは俺が乗っている」

 

「………パワード、それがあの機体の名前かい?なるほどパワード、力、か………確かにそれに恥じない強さだよ」

 

自分たちザフトが警戒する死神が乗る機体の名前を知り、バルトフェルドは何故か嬉々としている。

そんな彼にキラが問いかける。

 

「どうして、わたしたちが...そうだと?」

 

「はっはっはっは。あまり真っ直ぐすぎるのも問題だぞ。

戦争には制限時間も得点もない。スポーツの試合のようなねぇ。ならどうやって勝ち負けを決める?」

 

「………」

 

シンラはバルトフェルドを睨み、隙を見せないようにする。

その一方でバルトフェルドは尚も話を続ける。

 

 

「どこで終わりにすればいい?」

 

「どこ…で…?」

 

バルトフェルドのどこで終わりにすべきか、その一言にキラは心が揺れる。

しかしシンラは一切揺らぐ様子を見せない、するとバルトフェルドは徐に腰に手を回した。

次の瞬間、腰に回した手がシンラとキラに向けられ……その手には銃が握られている。

 

「敵である者を、全て滅ぼして!…かね?」

 

一気に緊張感が跳ね上がる。キラはいつの間にかシンラの腕に抱き付き、身体を寄せる。

シンラも彼女を守るべく自分の身体に引き寄せるが、しかし彼は冷静なままバルトフェルドを見る。

 

「ほぉ。冷静だな、青年くん」

 

「……殺すのであれば、この屋敷に入った瞬間にやってるだろ。それに──」

 

「それに?なんだね?」

 

「………弾どころか弾倉すら入っていない空の銃など、オモチャ同然だ」

 

っと彼が言うと、扉の前で陣取っているアイシャが口笛を鳴らし驚嘆し、バルトフェルドは不敵に笑みを浮かべて見せ、銃を下げた。

 

「……素晴らしい観察力だ。ならば止めた方が賢明だなぁ。君のようなバーサーカー、暴れられたら此方がとんだ手痛いことになるしな」

 

「バーサーカー?」

 

その言葉をキラは繰り返し口にしつつ、バルトフェルドを睨むシンラを不安げに見つめる。

そのキラにバルトフェルドは語り掛ける。

 

「彼女の戦闘を二回見た。砂漠の接地圧、熱対流のパラメーター。君は同胞の中でも、かなり優秀な方らしいな。

あのパイロットをナチュラルだと言われて素直に信じるほど、私は呑気ではない。

見てれば分かる君と同じ、コーディネイターなんだからなねぇ」

 

「っ!」

 

その言葉にキラの心臓がドクッドクッと跳ね上がる。自分がコーディネーターだとバレて焦ってしまう。

しかしバルトフェルドは目線をキラから、シンラへと向くと目付きが鋭く変わる。

 

「だが、君はそれ以上にヤバいな。最初の戦闘──重力に手こずって苦戦していたのにどういうわけか、すぐに接地圧の適合、更には機体の稼働速度の変更、次に3機のバクゥを纏めて撃破し、レセップスの砲撃をも撃ち落とした──まるで"その状況を瞬時に学習し、瞬時に適合した"かみたくだ」

 

「………」

 

「それだけじゃない。前回の戦いで君、高速移動中のバクゥを一撃で、しかも遠距離から狙撃しただろ?

それに先ほどの武装集団たちの件もそうだ。

生身で、それもたった一人で、完全武装した連中を全滅させるなんてとんでもないよ、君は」

 

シンラに対して厄介な敵と辟易しているバルトフェルド、苦笑しながら彼はシンラに尋ねる。

 

「君は一体何者なのかね?ナチュラルか?それともコーディネーターかな?」

 

「………」

 

だがシンラは答えない。何せ相手はつい最近まで殺し合っているザフト軍の兵士なのだから、無闇に此方の情報を言うなんてバカはしない。

それにシンラ自身も、自分がそのどちらなのかすら知らない。

だが知ろうとも思わない、仮にそのどちらだとしても自分は地球軍の兵士であることには変わらないのだから。

 

「………俺がナチュラルとかコーディネーターなど関係ない。ただ地球軍の兵士として、お前らザフトと戦うだけだ」

 

「…………そうか。ま、今日の君は命の恩人だし、ここは戦場ではい。

帰りたまえ。話せて楽しかったよ。よかったかどうかは分からんがねぇ。また戦場でな」

 

バルトフェルドはアイシャを呼ぶ。彼女の案内で部屋から出ていく、その時バルトフェルドが何かを思い出したように口を開いた。

 

「君たちの名前を聞いてもいいかね?」

 

バルトフェルドにそう問われ二人は互いの顔を見合わ

した。

 

「シンラ•ユーリだ」

 

「キラ•ヤマト、です…」

 

「そうか。良い名前だ…じゃあ戦場で会おう」

 

二人はそのまま部屋から出ていく。一人残ったバルトフェルドは寂しげに笑う。

 

「……フッ、やっぱり、どちらかが滅びなくてはならんのかねぇ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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