機動戦士ガンダムSEED OVERLOAD   作:新米くん

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原作準拠の方、オリジナル展開が嫌な方、ブラウザバック推奨します。

因みにこの作品のイザークの顔には、この段階でまだ傷はありません。


PHASE31 熱砂の開戦

シンラとキラの帰還から翌日、レジスタンスの拠点内で話し合っていた。

 

「この辺りは、廃坑の空洞だらけだ。こっちには俺達が仕掛けた地雷原がある。戦場にしようってんならこの辺だろう。向こうもそう考えてくるだろうし。せっかく仕掛けた地雷を使わねぇって手はねぇ」

 

サイーブは地図に示した場所の説明を行い、其処を砂漠の虎と雌雄を決しようと言う意思をマリューたちに伝える。

 

「本当にそれでいいのか?俺達はともかく、あんたらの装備じゃぁ被害はかなり出るぞ」

 

ムウの言う通り。彼らレジスタンスの装備や戦闘力など雀の涙にすらならない。

だがサイーブは迷いない表情で訴える。

 

「虎に従い、奴の下で、奴等のために働けば、確かに俺達にも平穏な暮らしは約束されるんだろうよ。バナディーヤのようにな」

 

彼はそう語りながら、住んでいた町を焼かれ拠点に身を寄せる女子供老人を見つめる。

 

「女達からはそうしようって声も聞こえる。だが、支配者の手はきまぐれだ。何百年、俺達の一族がそれに泣いてきたと思う?」

 

「ぅ…」

 

その言葉にぐうの音もでないムウ。ザフトがここを占拠する前にも此処を支配していた人間は過去多くいたのだ。

その中にムウが所属する地球軍だって含まれる、結局支配する組織が違おうと同じ人間、彼らレジスタンスからすればそうなのだ。

 

「支配はされない、そしてしない。俺達が望むのはそれだけだ。虎に押さえられた東の鉱区を取り戻せば、それも叶うだろう。へぇ…。こっちはあんたらの力を借りようってんだ。それでいいだろう、変な気遣いは無用だ」

 

「おーけー、分かった。艦長?」

 

サイーブの心意気に納得したムウは、マリューに確認する。

彼女もそれに頷く。

 

「分かりました。では、レセップス突破作戦へのご協力、喜んでお請け致します」

 

「ああ!」

 

こうしてアークエンジェルとレジスタンスによる共同戦線となった。

共に共通の敵である砂漠の虎を撃つため動き出すのであった。

アークエンジェルではバナディーヤで武器商人より交渉して確保できた補給物資を搬入中である。

その中で格納庫の隅にて操縦シミュレーター置かれており、それをレジスタンスの少女カガリが使用している。

 

「おっと!」

 

「へぇー」

 

「何やってんだ?」

 

カガリの腕前に感心するミリアリアの傍にトールがやってきた。

 

「あー、トール見てぇこの子凄いのぉ」

 

「確かにやるねぇ…えっと…カガリちゃんだっけ。実戦経験あるの?空中戦」

 

ミリアリアがトールにカガリが凄いと賞賛し、ノイマンも同じく褒めて実戦経験の有無を聞いてきた。

 

「えへへーおっ!」

 

笑顔で返すカガリはシミュレーターの採点結果を見る。その内容は、今まで何人か挑戦しているがその中でカガリが断トツにトップの成績を飾った。

この結果にノイマンは口笛を吹き、カズイとミリアリアは驚いていた。

 

「すごいじゃん、俺なんか戦場に入った途端落とされたもん」

 

「あたしも」

 

「なになに?もうみんなやったの?」

 

カガリの腕前にカズイとミリアリアは自分たちの実力の無さにしょんぼりする。

その隣でトールが好奇心旺盛に聞いてくる。

感情の上げ下げ別々な彼らにカガリが情けないなと口にする。

 

「お前ら、軍人のくせに情けなさ過ぎるよ。銃も撃ったことないんだってぇ?んなこっちゃ死ぬよ?戦争してんだろ?戦争」

 

「確かに」

 

ノイマンはその通りだなと頷く。ミリアリアは悔しそうに頬を膨らまし、銃撃ったことあるなんて威張れるようなことじゃないとそっぽ向く。

だが操縦シミュレーターの主電源を何者かによって消されてしまう。

 

「あ!なにを!!」

 

「悪いけど、ここはゲームセンターじゃないの。お嬢ちゃん」

 

「ドクターエイダ…!」

 

現れたのはエイダであった。彼女の登場にノイマンはビシッと背筋を正してしまう、トールたちも同様である。

だがカガリはエイダの言い方にイラっときたのか、噛みついた。

 

「お嬢ちゃんだと!?子供扱いをするな!!これでも戦闘だって経験済みなんだぞ!!」

 

「あっそ…で?」

 

「なに?!」

 

「それが何だと言うの?たかがレジスタンスごときで何が出来てたの?精々穴掘って地雷しかける程度でしょ?」

 

っと辛辣にカガリに物申すエイダに、カガリの怒りは跳ね上がる。

 

「バカにするな!!!これでもそれ以外で武器を使って………」

 

「あらそう。なら……人間を殺すことに躊躇いはないのね?」

 

「………………………え?…」

 

エイダのこの一言にカガリは目を丸くし間の抜けた声を漏らす。

だがエイダのカガリを見る目は、冷めており見下ろし彼女を鋭く見つめる。

 

「それだけ言うなら、兵士のように躊躇いなく人間を殺せるのよね?先ほどのシミュレーターみたく、楽しげに…違う?」

 

「…そ、それは……」

 

「貴女みたいな人間が一番戦場に出てほしくない人種ね。皆真剣に命のやり取りしてるのよ?それなのにゲーム感覚で自慢げにされたら、聞いてるもの達からすれば胸糞悪いわ」

 

「…………く」

 

「次からは考えてからモノを言いなさい。そんなんじゃ、死ぬわよ」

 

それだけ言い残してエイダはその場から去る。彼女が居なくなったその場の空気は重く、誰も言葉を発するのを躊躇った。

だがそれを遠くから密かにシミュレーターを見ていた赤毛の少女が居たことを気づきもしなかった。

 

 

 

──────────────────────

 

 

一方、ザフト軍の砂漠の虎ことアンドリュー•バルドフェルドはレセップスの艦長室にて、副官ダコスタから手渡された資料を読み苛立たしげに、それを少し乱暴に机の上に放り投げた。

 

「なんでザウートなんて寄こすかねぇ、ジブラルタルの連中は。バクゥは品切れか?」

 

「はぁ…これ以上は回せないと言うことで…」

 

申し訳なさそうにそう説明するダコスタ。彼らバルドフェルド隊は二度アークエンジェルとの戦闘で、モビルスーツバクゥを多く失いその補給をザフト地上拠点の一つであるジブラルタル基地に要請、だが返ってきたのはバクゥではなくザフトの陸戦用砲戦型MSであるザウートが回ってきた。

この機体はタンク形態への変形機構を持ち、砂漠などの環境で移動砲台としての機能を発揮し、砲撃時の安定性を高める効果を持つ。

だがしかし、MSとしての基本性能、特に機動性は大きく乏しく、戦争緒戦においては機動性に優れたバクゥがより圧倒的戦果を挙げ、こちらが主力として君臨している。

 

 

「だからその埋め合わせのつもりですかねぇ。あの二人は…」

 

ダコスタは二枚の資料をバルドフェルドに手渡す。それに対してバルドフェルドは苦笑しつつ辛辣な言葉を述べる。

 

「かえって邪魔なだけのような気がするけどなぁ、宇宙戦の経験しかないんじゃぁ」

 

「エリート部隊ですからねぇ」

 

「大体クルーゼ隊ってのが気に入らん。僕はあいつが嫌いでね」

 

バルドフェルドがそう苦言を呈している最中、レセップスの近くに、ザフト軍のMSを直立したまま輸送可能な大型輸送機•ヴァルファウが垂直着陸し、中からクルーゼ隊によって奪取された機体デュエル、バスターの2機が姿を現す。

バルドフェルドはそんな2機の近くまで出迎えとしてやってきた。

2機のモビルスーツから降りたクルーゼ隊所属のイザーク•ジュール、ディアッカ・エルスマンの二人は、砂漠の地に立ち前へと歩く。

 

「うわっ!なんだよこりゃ…酷えとこだなぁ」

 

砂混じりの風に悪態付くディアッカ、イザークも口にはしないが忌々しそうに顔をしかめていた。

二人はバルドフェルドに対して敬礼する。

 

「クルーゼ隊、イザーク・ジュールです」

 

「同じく、ディアッカ・エルスマンです」

 

「宇宙から大変だったなぁ。歓迎するよ」

 

「ありがとうございます。足つきの動きは?」

 

バルドフェルドの歓迎の言葉に礼を返すイザークは、そのままアークエンジェルのことを問いかけた。

 

「あの船なら、ここから南東へ180kmの地点、レジスタンスの基地にいるよ。無人偵察機を飛ばしてある。映像を見るかね?」

 

「は」

 

するとバルドフェルドは徐にイザークたちのモビルスーツを見上げる。

 

「なるほど、同系統の機体だな。あいつらとよく似ている」

 

「バルトフェルド隊長は、既に連合のモビルスーツと交戦されたと聞きましたが」

 

「ああ。したよ…ストライク、そして、パワードととね」

 

「……パワード?なんです?それは」

 

イザークは首を傾げて聞いてきた。今までパワードの名前など知るよしもなく只死神と呼んでいたのは仕方ないことである。

 

「なんですって、君たち宇宙で散々相手しただろ?グリマルディの死神が操る機体と…」

 

「「っ!?」」

 

彼の言葉に驚愕する二人。自分たちが苦戦し、地球まで降りるハメになった最大の障害である死神が操る機体の名前を知り、イザークはバルドフェルド食って掛かる。

 

「どうしてバルドフェルドは、死神の名前を!!」

 

「いやなに、偶然知れる機会があったのさ。それだけだ」

 

「いや、偶然って………」

 

ディアッカはそれに納得できないと不機嫌そうに言うが、彼の相棒はそうではなかった。

 

「………なんでもいい」

 

「イザーク?おいどうした?」

 

ディアッカに呼び掛けられるも、イザークは不敵に笑う。

 

「パワード……フフッ、死神よりもこっちがいいだろうさ!ヤツの墓標に死神ってだけじゃ味気ないだろうしな!」

 

「おいおい…」

 

 

─────────────────────

 

一方、此処アークエンジェルの格納庫では、シンラとエイダや彼女の部下たちと作業を行い、そしてキラにもその手伝いをしていた。

 

「もうこれでいいわね」

 

繋ぎ作業着姿のエイダが汗を拭いつつ、作業が終わったことを告げる。

 

「はい。これで次の出撃にはコイツを出せますよ」

 

部下の1人が嬉しそうにそう言う。

 

「キラ、手伝ってくれてありがとう」

 

「ううん。シンラがやった作業量に比べたらそんな……」

 

シンラはキラに手伝ってくれたことへの感謝を告げた。

キラも嬉しそうにしていると、そこへムウがやってきた。

 

「こいつは、初めて見るなぁ」

 

彼がそれを見ているとエイダが近づいてきた。

 

「えぇ、重武装でありながら高い機動力を持つパワードの重火力砲撃用形態、"パンツァー"よ」

 

そう説明するエイダの視線の先には、深緑色の装甲、重厚でマッシブ、力強いフォルムをしており、上半身にはビーム系の大型火器を複数搭載、脹脛部分には太く大型のスラスターを内蔵している。

腰部にも機動装備の一種として小型のスラスターを多方向に複数基内蔵し下半身に集中して配されており、より繊細な姿勢制御をおこなうことができる。

頭部には前面を覆うようにバイザー型複合センサーユニットが配置されている。

これがパワードの第三のウェア、重火力特化砲撃戦仕様形態──パンツァーである。

 

「またもや、とんでもないなほんと」

 

パワードの新たな異様で圧倒される姿に苦笑するしかないムウ。

 

「あら、そのお陰で私たちは生きていられるんじゃない?少佐殿」

 

そう悪戯気味に笑みを浮かべるエイダに、ムウは確かにと二度苦笑するのである。

 

「にしてもコイツ、砂漠の上でも動けるのか?」

 

「心配無用。このパンツァーは重力下での高機動ホバリング移動が可能だから」

 

「………あのさぁ、お宅らほんと何者?」

 

ムウは堪らずエイダに探るように聞くと彼女は……

 

「まだ生きてたいなら、余計な詮索はしないことね」

 

吐き捨てるようにエイダはその場を後にするのである。

 

「へいへい」

 

残されたムウは後ろ髪を掻きつつそう答えるしかなかった。

 

 

 

 

────────────────────

 

 

そしてパワードパンツァーの調整を終わらしたシンラとキラ、ムウは、食堂で鉢合わせたマリューと共に食事に。

そして…

 

「はい、シンラ。あーんしてくださいな」

 

「あ、いや、その……」

 

「なんでお姫様が居んのかねぇ…」

 

ムウの疑問が投げ掛ける中、シンラの右隣にキラ、そして何故か左隣にはラクスが座っている。

本来保護されてるとは言え、無闇に艦内を彷徨くことは出来ないラクスではあるが、マリューの権限で一部の区画出入り許可してもらったのだ。

 

「私が許可を出したのお忘れですか?フラガ少佐」

 

「いやさぁ、でも副長がよく許したねぇ」

 

「ナタルには、シンラくんの監視付きという条件で賛成してくれたわ」

 

「それはよろしいことで」

 

あの規律やルールにうるさいナタルが良く寛大に許したものだと感嘆な気持ちになるムウ。

すると目の前でラクスに食べさせられたシンラが、今度はキラにも……。

 

「シンラ、はいあーん」

 

「いや、えっと…」

 

今度はキラに食べさせるのかと焦るシンラ。

 

「おーお、いいねぇ~両手に花だねぇ~王子様♪」

 

「やめてくださいよ少佐」

 

面白そうにムウがからかい、シンラはそれにイラっとする。

 

「そうですよ、フラガ少佐。大人げないですよほんと」

 

「いやいや、だってな?こいつのこういう所滅多に見たことないからさ。つい」

 

「でも、やめてください、少佐」

 

「え、いや……はい」

 

自分を笑顔で注意するマリュー、だがその笑顔に凄まじい圧を感じる。

反論しようとするが、その笑顔の圧に圧されて萎縮してしまうのであった。

 

「シンラくん、ごめんなさいね?」

 

「い、いえ…」

 

だが向かい合わせに座るシンラに向ける笑みから、先ほどよりも強い圧が発せられる。

それに圧されシンラはただ返事するしかなかった。

すると外からアークエンジェル内にまで響く大きな爆発が起こった。

 

「砲撃か!?始まったのか!」

 

ムウとシンラ、キラは立ち上がり、互いに頷いた。

 

「艦長、ラクスをお願いします!」

 

「えぇ!わかったわ!さぁ!」

 

「は、はい!シンラ!キラ!ご無事で!」

 

三人は急いで出撃準備に取りかかる。マリューは急ぎラクスを部屋へと送り、ブリッジに戻る。

代行で艦長の席に着いていたナタルが報告する。

 

「レジスタンスの地雷原の方向です!」

 

「なんですって!?」

 

レジスタンスの方でもそれを確認できた。地雷原は彼らの意思で爆破させた訳ではないようで、皆狼狽えている。

 

「あぁぁ!」

 

「サイーブ!」

 

「狼狽えるな!攻撃を受けた訳じゃない!」

 

だがザフトが地雷原に引っ掛かったという報告は来ていない。サイーブ1人考え、砂漠の虎が強行して地雷原を突破したのではと確信する。

とうとう相手が本気に出たと覚悟と共に冷や汗が流れる。

 

レセップスを先頭に、同じく陸上戦艦であるビートリー級のネームシップであるビートリーと、同型艦のヘンリー・カーターが随行している。

敵がとうとう迫ってきたことに察知するアークエンジェルとレジスタンス部隊。

レジスタンスらは武装を用意し、ジープに載せて走しらせる。

アークエンジェルでも出撃の用意が整えられる。

 

 

「そうだよ。1号機にランチャー、2号機にソードだ!なんでって…換装するより、俺が乗り換えた方が早いからさ!」

 

パイロットスーツに着替えた三人、中でもムウが格納庫へと通信し要求していた。

通話を終えるムウはシンラとキラに向き直る。

 

「連中には悪いが、レジスタンスの戦力なんぞはっきり言って当てにならん」

 

「そうですね」

 

「は、はい!」

 

シンラは至って平常であるが、キラは表情を硬くする。

二人の反応を確認するとムウは、徐にキラに近づいて肩を叩いた。

 

「君も踏ん張れよ。まぁ、最近のお前さんなら、心配ないとは思うけどな」

 

「は、はい」

 

「俺は先に」

 

「ああ、お前には一番期待してるぜ!エース」

 

「…ふざける余裕あるなら行きますよ」

 

「はいはい、いきますか」

 

「あ、あの!フラガ少佐」

 

呆れつつもシンラは先に行く。苦笑しつつムウも続こうとしたが、キラが呼び止める。

 

「”バーサーカー”って何ですか?知ってます?」

 

キラはバナディーヤで、バルドフェルドがシンラに対してそう確かに言っていたことを覚えていた。

 

「バーサーカー?それはー何かの神話に出てくる、狂戦士ことだろ?」

 

「狂…戦士?」

 

「そう。普段は大人しいのに、戦いになると興奮して、人が変わったように強くなる…」

 

「そんな…」

 

その言葉はキラに衝撃を与えるのに十分であった。

 

「なんだ?いきなり…」

 

「いえ…なんでもないです。すみません」

 

キラはシンラの背中を不安そうに目を向ける。宇宙や地上でも尋常ではない戦闘力で敵を倒している彼は、人が変わった様子があった。

キラの心の中で不安が募る、シンラがこのままではシンラじゃなくなるんじゃないかと。

 

《フラガ少佐、ユーリ大尉、ヤマト少尉は搭乗機へ》

 

「おっと…いくぞ!」

 

ミリアリアのアナウンスに呼ばれ、三人は格納庫へと急ぎ向かう。

 

「パワード、ストライク、スカイグラスパー、発進!」

 

CIC指揮者の席に座るナタルの指示により、ミリアリアのアナウンスが格納庫に響いた。

 

《スカイグラスパー1号、フラガ機、発進位置へ。進路クリアー、フラガ機、どうぞ!

APU起動。カタパルト、接続。ストライカーパックはエールを装備します。エールストライカー、スタンバイ》

 

「……」

 

コクピット内では各種調整しているキラは、未だシンラのことを考える。

 

「シンラ…」

 

彼のことが心配だが、今は戦い集中しようとキラは気を引き締める。

そこへミリアリアの発進合図がでる。

 

《システム、オールグリーン。続いてストライク、どうぞ!》

 

「キラ・ヤマト、行きます!」

 

ストライクが発進し、今度はパワードである。新たな姿での出撃する中、シンラはバルドフェルドの言葉を思い出す。

 

戦争には制限時間も得点もない。スポーツの試合のようなねぇ。ならどうやって勝ち負けを決める?

どこで終わりにすればいい?

敵である者を、全て滅ぼして!…かね?

君は一体何者なのかね?ナチュラルか?それともコーディネーターかな?

 

「……俺は変わらない。ただ敵を撃つ、それだけだ」

 

 

《APU起動。カタパルト、接続。ウェアはパンツァーを!カタパルト、接続。システム、オールグリーン。続いてパワード、どうぞ!》

 

「了解ーーシンラ•ユーリ、パワード•パンツァー、出る」

 

アークエンジェルより外へ出たパワード•パンツァー、ザフトの戦闘ヘリが待ってましたとミサイルを撃ち込んできたが、しかし背部バックパック左右に装備されているサブアームに保持されている専用シールドで防御した為無傷。

そのまま戦闘ヘリを問答無用でコクピットを、中のパイロットごと蹴り潰した。

そのまま砂漠の地面に上手く着地し、腰部や脹脛部分にスラスターを駆使しその重武装の鈍重なシルエットとは裏腹に、砂漠の上をホバリング移動で高速滑走している。

 

「バクゥは、5…いや8か。残りはザウートが6…なら全て殲滅する!」

 

手始めに肩掛け式のビームと実体の連装式構造大型バズーカ砲【ギガバスター】をストライクが相手しているバクゥ3機、狙い撃ち火ダルマにする。

ストライクもビームライフルで1機撃破し、パワードの隣に移動する。

 

『シンラ!』

 

「キラはアークエンジェルの防衛を!俺はこのまま敵艦隊を叩く!!」

 

『う、うん!気をつけて、お願いだから……』

 

「わかった」

 

パワードはそのままレセップスを旗艦とした艦隊に向けて猛進する。

それをキラは心配そうに見つめていた。

 

 

 

─────────────────────

 

 

その一方、レセップスの格納庫ではパイロットスーツに着替えたバルドフェルド、そして彼の恋人であり同じくパイロットスーツに着替えたアイシャが抱き合いキスをしていた。

もしかすればこれが今生になるのであろうと、恋人らしい行為をしていた。

キスを終えた二人、そのまま自分たちが乗る機体へと向かう途中、イザークとディアッカがやってきた。

 

「バルトフェルド隊長!どうして我々の配置が、レセップス艦上なんです!?」

 

「おやおや、クルーゼ隊では、上官の命令に兵がそうやって異議を唱えてもいいのかね?」

 

イザークの用件はバルドフェルドに対しての抗議であった。

今回の戦闘、イザークたち二人はレセップスの艦上にて艦の防衛を任じられたのである。

言い換えればただの固定砲台である、それを気づいて二人は態々バルドフェルドに食って掛かっているのだ。

 

「いえ、しかし…奴等との戦闘経験では、俺達の方が!」

 

「負けの経験でしょ?」

 

「な…なに?!」

 

「アイシャ」

 

「失礼」

 

っと横からアイシャに笑われつつ、茶々を入れられ怒りを露になるイザーク。

それをバルドフェルドは彼女に少し注意し、イザークに向き直る。

 

「君達の機体は砲戦仕様だ。高速戦闘を行うバクゥのスピードには、付いて来れんだろ?」

 

「し、しかし…」

 

「イザーク!もうよせ!命令なんだ!失礼致しました」

 

ディアッカは尚も食い下がるイザークを止め、バルドフェルドに一礼してその場から彼を連れて去る。

 

「な~に、乱戦になればチャンスはいくらでもあるさ」

 

「ん…ふん!」

 

歩く中ディアッカは不敵にどさくさ紛れて等とイザークに吹き込み、それをイザークは鼻で笑いつつも嫌な顔はしなかった。

そんな彼らの背中を見送り、バルドフェルドとアイシャはバクゥより一回り大型の上位機種にして、指揮官用として少数が生産配備された機体ラゴゥに乗り込む。

 

「では、艦を頼むぞ、ダコスタ君」

 

《は!》

 

ダコスタとの通信を終えて、バルドフェルドはアイシャに言う。

 

「アイシャ、行くぞ」

 

「えぇ、アンディ」

 

「バルトフェルド、ラゴゥ出る!」

 

 

今戦場に虎が駆け、その本気の牙を剥かんとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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