機動戦士ガンダムSEED OVERLOAD   作:新米くん

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※原作準拠の方、オリジナル要素、オリジナルモビルスーツ、オリ主主体などに抵抗ある方はブラウザバック推奨します。

再び遅くなり申し訳ございません。


PHASE36 ザフト基地襲撃

翌日、アークエンジェルでは皆浮かない顔をしていた。

ザフトによる侵入を許してしまい、皆意識を奪われてしまった。

更には保護していたラクスと、先の戦闘で捕縛した砂漠の虎ことアンドリュー・バルトフェルドらを逃がされた。

 

ブリッジにてその襲撃のことがあってか、艦長であるマリューは複雑な顔をしている。

そんな彼女にムウが話しかける。

 

「どうしたんだ?艦長」

 

「いえ……」

 

「まぁ、皆あんな襲撃受ければ士気は下がるさ。人員や艦に被害が無くて奇跡だけどさ」

 

確かにあの襲撃で誰一人とて死人が無い状態であれは奇跡と言える。

向こうはかなりの腕前とベテランと言える兵士だったのだろうとムウは判断している。

彼に同意するようにナタルが近づいてきた。

 

「確かに少佐の言う通り。敵は少数で侵入してきました、かなりのやり手でした」

 

「まぁ、俺は相手の1人にすぐ気絶されたし…」

 

「私も少佐に続くように意識を失いました…」

 

二人はそう項垂れる。マリューも艦内通路で意識を失っていたから自分は艦長という役職についていながら情けないと自身を責める。

一方ムウはあの二人組の襲撃者たちについて、未だに頭から消えないでいた。

特に自分を気絶させた男に関してだが、どうにも違和感を拭えなかった。

ムウの鋭い勘故、あの時の男が他人とは思えないと抱いていた。

 

「……あの時ヤツの後ろ姿、誰かに似てるんだよな」

 

ムウはあの時自分を気絶させた人物の背格好が誰かに似てると、しかしそれが誰なのかはハッキリしない。

 

 

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その一方、シンラはと言うと....。

 

「キラ...ここを開けてくれ」

 

彼が扉の傍にあるインターフォンから呼びかけるが、一切反応がない。彼女からの無反応にシンラは苦悶の表情を浮かべるがそれでも何とか声をかけ続ける。

だが彼女からは何も返ってこなかった。シンラはこれ以上呼びかけるのは止め、意気消沈したように顔を俯かせ去るのだった。

すると彼が居なくなったのを同時に彼女の部屋のドアが開き、そっと彼女が瞳を赤くし涙で濡らしたまま顔を覗かせた。

 

そんなことなど気付くもしないシンラはただ、項垂れて艦内通路を歩く。

 

「....何をしているの?」

 

「...っ、...ドクター」

 

そんなシンラを見かねたエイダが腕組みをし、鋭い目つきで近づいてきた。

 

「貴方は何をしているのと聞いているの...シンラ」

 

「それは....」

 

彼が先ほど何処に行っていたのかはエイダには大体予想出来ていた。

 

「まさかと思うけど、今更になって彼女の心配?あんな風に心に傷をつけておいて」

 

「....分かっています。でも...」

 

「そんなのは貴方が招いた選択の結果よ。そしてそれを躊躇なく決めたのも貴方――にもかかわらず、何なの?その腑抜け面は」

 

容赦ない 責の言葉にシンラは言い返すことができず、ぐうの音もでないとばかりに苦虫を嚙み潰したように顔を顰めるしかなかった。

確かに自分がラクスを無理矢理ザフト側へと返した。その選択を決めたのは間違いなく自分であるのも自覚している、ラクスと深く親密になっていたキラをも傷つけることになることも分かっていた。

あの時、彼女を泣かせ気絶させたのも自分なのだから。

しかしそれを今更になって後悔するなど愚かである、エイダからすればそのような私情はこれからの彼の戦いに不要なのだ。

 

「シンラ、これからはそんな甘いことは直ぐに捨てなさい。貴方には今後も戦ってもらわないといけないのだから」

 

「わかってます。俺は兵士ですから」

 

「わかってるならばいいわ。機体のメンテがあるから行くわね」

 

「はい」

 

エイダはシンラを残して格納庫ブロックへと去って行く。残されたシンラは顔を俯き、握り拳を作りそこから血が滴っていた。

 

 

 

____________________________________

 

 

 

エイダが格納庫へと入る。すると何やら騒がしく、同時にけたたましい声が格納庫中に響いた。

 

「だから!!このモビルスーツはどういうものなんだ!!何故こんなものがヘリオポリスで作られていたんだ!!6機目なんて知らないぞ!!」

 

エイダの部下たちに怒鳴り散らすように当たっているのは、強引にアークエンジェルに同行することを決めて乗船していたカガリであった。

彼女の姿にエイダはため息を吐いて、そのままゆっくりと部下たちに近づく。

 

「お疲れ様」

 

「ドクター!」

 

「お疲れ様です!」

 

「パワードの調整はどう?」

 

エイダは部下たちから現在の状況報告を受ける。だがそんな彼女にカガリが食って掛かった。

 

「おい!!」

 

「あら、何かしら?お姫様」

 

「その呼び名はやめろ!!」

 

エイダに姫と揶揄されることに怒りを更に募るカガリであるが、彼女はそれよりも聞きたいことがあるようでパワードに向けて指を指した。

 

「あのモビルスーツ!あれはお前たちが作ったんだろ!!」

 

「ええ、そうよ。で?」

 

「あんなもの!私が知るモルゲンレーテでは知らないぞ!!」

 

怒鳴るカガリにエイダは冷淡な態度で答える。

 

「そんなの貴女に教えて何になるの?」

 

「なんだとぉ!!」

 

「カガリ!!」

 

彼女の護衛を務めるキサカの声を無視し、今にもエイダに殴りかからんと言う位に距離を狭めるカガリ。だがエイダは冷ややかな目つきのまま、カガリを見下ろす。

 

「いい?お嬢ちゃん。貴女がどれだけ喚こうがアレは地球軍のモビルスーツなの、それを他国の――それも国家元首の娘が難癖をつけていいものじゃないわ。まぁ、世間知らずのお子様には分からないでしょうけど」

 

「ふざけるな!!それに!あんなもの、ナチュラルが扱えるはずがないだろ!!あの男――アイツももしかして、キラと同じコーディネーターじゃないのか!!」

 

「それこそ、お姫様に教えて差し上げる必要はありませんわね」

 

嘲笑するエイダ――またしても自分を子供だと嘲笑い、真面に相手にすらしない彼女の態度にもう我慢できないとカガリは殴りかかる。

 

「こいつぅっ!!!」

 

「カガリ!!いい加減にしろ!!」

 

当然それを黙っているわけではないキサカが、真っ先にカガリを取り押さえ止めた。カガリは「離せ!!」っと怒りのままキサカに取り押さえられたまま暴れるが、その時――

 

「何をしているの?」

 

「か、艦長」

 

マードックがいつの間にか格納庫に来ていたマリューの名を口にする中、彼女はこの状況はどういうことか周りの者たちに問いかける。

エイダの部下たちやマードックや整備士たちは、それを素直にカガリがいきなり格納庫にやってきてパワードを見た途端に怒り口調で格納庫にいた者たちにしつこく食って掛かったことを教えた。

 

「そう言うことなのね」

 

「....っ」

 

カガリはバツが悪そうに黙っていたが、マリューは彼女に言う。

 

「カガリさん、ここは軍の関係者以外立ち入り禁止よ。貴女に此処に入っていいと許可を出した覚えはないわ」

 

「だが!!」

 

「それと――ユーリ大尉のことですが、彼はナチュラルです。検査でそれは証明されてます」

 

マードックたちアークエンジェルの整備士たちはそれを聞いて、そうなのかと驚く者や同じナチュラルと聞いて安堵する者もいた。

マリューはカガリにそう告げた後、エイダに視線を向ける。一方、エイダや彼女の部下たちは淡々とした表情のまま崩すことはなかった。

マリューが言っていることは噓ではない。現に彼女が知る限りシンラに遺伝子を弄った形跡がないと、地球に降りた際に偶然知れたのだから。

 

「さぁ!皆、持ち場に戻って。間もなく作戦が始まるわ」

 

彼女の言葉に皆散り散り持ち場に戻る。その時、エイダとはすれ違い様に強く鋭い目つきで睨み合う。

 

「....」

 

「....」

 

彼女らの視線の間には見えない火花が散っているだろう、周りの者たちはそれに対して萎縮してしまう。

エイダとそんな一瞬とも言えるやり取りが終わり、キサカとカガリにここから立ち去るよう告げる。

 

「さぁ、二人とも退出を」

 

「艦長、申し訳ない」

 

一向に謝罪の言葉を口にしないカガリの代わりに、キサカが頭を下げてカガリを強引に連れて去っていくのであった。

 

 

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そんな騒ぎがあった後....。

 

 

 

「艦長、間もなく敵基地の警戒網です」

 

「分かったわ。アークエンジェルはこのまま停止」

 

アークエンジェルは紅海手前のザフト基地の警戒網手前で停止、地面に着陸する。索敵に入らないギリギリで静止し、今より作戦の準備に入るようマリューが指示を飛ばす。

 

「これより作戦に入ります!各員準備を!!」

 

「総員第一戦闘配備!繰り返す、総員第一戦闘配備!」

 

チャンドラのアナウンスが艦内全体に響き、クルーは慌ただしく行きかう。そんな中キラの部屋の扉が開き、彼女が姿を見せる。

 

「しゅつ...げき?いかなきゃ...」

 

彼女は涙で腫れたぼったくなった目を擦りながら、パイロットの更衣室へと向かう。

パイロットスーツに着替え、すぐさま格納庫へとたどり着く。

そのままストライクに搭乗しようとしたが、マードックに止められる。

 

「マードックさん?どうして止めるんです?出撃でしょ?」

 

「それなんだが、今回出撃はユーリ大尉のみって話なんだ。だからお前さんとフラガ少佐は待機だよ」

 

「え?それって…なんで…」

 

目を丸くしどうしてなのかと分からないキラ。その時、背後よりパイロットスーツ姿のシンラがキラの横を素通りする。

 

「あ....」

 

キラは手を伸ばして彼を呼び止めようとしたが、彼女は伸ばした手を下して顔を俯かせる。ラクスが居なくなってから彼女はシンラを避けてしまっている。

その彼に自分が呼びかけることなど資格がないと思ってしまう。シンラも彼女に気づいていたが彼もまた彼女を傷つけたと思い、言葉をかけることは出来なかった。

後ろ髪を引かれる思いではあるが、しかしこれから自分は単機でザフト軍基地を襲撃するという任務を遂行しなくてはならない。

彼はパワードのコクピット前に立つ、そこへエイダが話かけてきた。

 

「各種装備オールグリーン、あとは貴方の腕次第よ」

 

「分かりました」

 

「それから“例のシステム”を試運転も兼ねて...いいわね」

 

「はい」

 

シンラに対し、エイダは強く眼差しで彼を見つめる。

 

「シンラ、貴方がその気になれば奴らなんて相手にならないわ。刻みつけてあげなさい、奴らに...自分たちもまた狩られるだけのか弱い獲物だということを」

 

「...了解です」

 

彼はそう言ってヘルメット被り、そのまま機体のコクピットに搭乗する。各種システムを起動し、近接特化型形態であるパワードシュナイダーが起動する。

格納庫ブロックにミリアリアのアナウンスが響く。

 

《システムオールグリーン!進路オールクリア!パワード発進、どうぞ!》

 

「了解――シンラ・ユーリ。パワードシュナイダー、出る」

 

アークエンジェルより発進、飛翔したパワードシュナイダー。そのコクピット内でシンラはシステムの操作を行う。

 

「ミラージュコロイド展開開始、粒子放出」

 

パワードシュナイダーの機体各部から放出したガス状のコロイド粒子を磁場によって物体表面に定着させ、可視光線や電磁波は機体の後方に屈曲させる電磁的・光学的にほぼ完璧なステルス迷彩を纏う。

この為、敵はおろか味方であるアークエンジェルのレーダーからも捉えることは出来ない。その証拠にCICのレーダーから見事にパワードのシグナルが消える。

 

「パワードのシグナルロスト」

 

「分かった」

 

トノムラの報告にナタルは一度息を整えてから、艦長席に座しているマリューに呼びかける。

 

「艦長」

 

「わかってるわ。以後、パワードへの通信は禁止。索敵は厳に、ヤマト少尉とフラガ少佐にはストライクとスカイグラスパーにて待機」

 

「了解です艦長」

 

ナタルに毅然と命じたマリューではあったが、パワードが飛んで行った方角へ悲しげに見つめる。

 

「シンラくん....」

 

 

____________________________________

 

 

 

一方、そんな奇襲が来るなど知り由もないザフト軍の基地では、安穏としたような時間が流れつつも基地勤務に就いていた。

モビルスーツや陸上戦艦などを格納している整備ドックでは、整備士たちが吞気にコーヒーカップを片手に雑談をしていた。

 

「話にあった新勢力――アレは砂漠の虎を撃破した部隊のことらしい」

 

っと最近の出来事を話す相棒に、もう片方が笑いつつもコーヒーを一口味わいながら返答する。

 

「そりゃ嬉しいねぇ。砂ぼこりと戦うよりかはずっとマシさ」

 

その整備士は此処の基地に勤務に就いてから長いほうで、砂ぼこりと揶揄していたのは嘗てここアフリカ方面でザフト軍と戦闘していた地球軍アフリカ方面守備隊・戦車部隊のことである。

当時の地球侵攻作戦の折、ザフト軍のモビルスーツの威力の前に地球軍地上軍は脆くも惨敗した。此処アフリカ方面でも同様で、機動力・火力に優れるモビルスーツの前じゃ従来兵器である戦車では歯が立つ訳がなく無惨に散っていった。

そのことからナチュラルに負ける訳がないと高を括っているのだ。だが相棒はそうではない。

 

「だが、あのバルトフェルドが破れたんだぞ」

 

砂漠の虎の敗戦はもう知られているようであるが、整備士はそんなのを鼻で笑いつつ言ってやった。

 

「ふん。最新兵器すら奪われる間抜けな猿どもに負ける訳がないだろ。ちょっとラウンジでコーヒーを入れ直してくる」

 

「早くしろよ」

 

 

だが、その時であった。定期哨戒の為に出航しようとしていたザフト軍の陸上戦艦が突然大きな爆発に見舞われる。

それは基地司令部でも確認できていた。

 

「な、なんだ!!」

 

「わ、分かりません!突然一隻が爆発を!!」

 

「だがこれは事故で起きたものじゃないだろ!!」

 

司令官が怒号を上げた直後、他の同型陸上戦艦がまるで何かに斬り裂かれるように次々に沈んでいく。

基地中のザフト将兵たちが間の抜けた顔を浮かべてそれを目撃、基地司令も同じであったがハッと意識が戻り再び怒鳴る。

 

「て、敵襲だっ!!何をしている!!!早く警報を鳴らせ!!!馬鹿者どもが!!!」

 

基地全体に警報が鳴る中、基地守備隊のモビルスーツ・ジンオーカーやバクゥ、ザウートやシグーが起動し臨戦態勢に入る。

しかし....

 

 

「う、うわぁあああああーーーっ!!!!!」

 

「っぎゃあああああああああああ!!!」

 

「うがああああああああああ!!!」

 

だが攻めてきたであろう敵を迎え撃つ控えていた守備隊モビルスーツたちが、次々と見えない正体不明の敵に無惨にそして残忍に斬り裂かれていく。

一機、二機、三機、四機、五機と見る見るうちに大勢あるモビルスーツが加速度的に撃墜されていく。

 

「た、隊長!!仲間が!!」

 

「あ、慌てるな!!各自密集円陣隊形!!四方から攻撃に備えろ!!」

 

「りょ、了解!!」

 

20機のジンオーカーがそれぞれ互いに背を向けて密集し円陣を組んで、襲撃者を迎え撃つ態勢に入る。

その時彼らの前方、幾重にも無惨に横斃れている死んだ仲間たちの機体に何かぶつかる音がした。

それに気づいた彼らはその方向に向けて銃口を向ける。すると其処....何もいないその場所に、徐々にモビルスーツらしい姿が現れる。

そこに現れたモビルスーツの姿にザフトのモビルスーツパイロットたちは皆戦慄し震え上がる。

何せそこにいたのは先ほどまでザフトモビルスーツを次々に斬り裂いて、その敵機体のオイルがまるで返り血みたく濡れたパワードシュナイダーが、両手にそれぞれ刃渡り15mの対艦刀大型レーザーブレード・シュベルドヤークトを握ったまま生き残っている残りのザフトモビルスーツたちを睨む。

その姿は正に血に飢えた死神又は、悪鬼そのものである。パワードシュナイダーのツインアイが生き残りの敵を獲物を捉えた獣の如く見ている。

 

「な、なんだ...奴はっ!!」

 

「赤い...悪魔...」

 

 

ザフト兵らが怯える中――パワードシュナイダーのコクピット内ではシンラの黒い瞳が、白くなり目の周りに黒い線が浮かび上がる例の覚醒状態になっていた。

すると彼は無言でコクピットの端末操作を行う、その瞬間パワードシュナイダーの機体が青黒く輝き始めた。

ザフト兵の隊長格が無意識に危険性を感じ76mm重突撃機銃を発射、部下たちもこれに慌てつつも同じく発砲する。

だが弾丸が全て当たる前にパワードシュナイダーが目にも判断できない瞬間移動とも言えるもので、これを全て回避しながら一気にザフトモビルスーツに襲い掛かる。

二本の大型レーザーブレードを振りかざして、円陣隊形で固まっていた3つの隊を纏めて全くもって視認出来ないスピードで真っ二つにして見せた。

あと残されたのはたった五機、あれだけ居た基地守備隊モビルスーツがもう彼らしか残っていない。

 

「さ、散開し...っ!!」

 

散り散りなろうと部下たちに命じようとしたその時にもう部下たちのモビルスーツが既にバラバラにされ、最後の隊長機のコクピットに向けてレーザーブレードを突き刺した。

コクピットを見事貫かれたジンオーカーは物言わぬ人形となり、乱暴にレーザーブレードを引き抜いた時にジンオーカーのオイルがパワードシュナイダーにまた濡れた。

基地守備隊や基地施設はいつの間にか炎を包まれ、真面に生き残っている者は多くなかった。

パワードは敵が居ないことを確認し、その場から去っていく。

敵機が居なくなった直後、先ほどのコーヒーを入れると言ったあの整備士が身体中に血を流しながらフラフラと現れ、敵が去っていった方へ見ながら震える口を開いた。

 

「な、なん....だ....あれは....これを.....ナチュラルが...?う、うそ...だろ」

 

そして整備士は大量の血を流し、その場に倒れ息を引き取った。

 

 

____________________________________

 

 

 

アークエンジェルでは皆静かに待っていた。皆ずっと気が気でない心境であり、特にマリューはずっとシンラのことを心配でいながら震える手を握りしめながら艦長の席に座りながら待っている。

格納庫ではマードックたちは落ち着かない様子、ムウもそうでありパイロットスーツのままスカイグラスパーの周りを行ったり来たりしている。

エイダたちは落ち着いている様子で一切乱れた所がない。

 

「全く、あのお姉さんはほんと...」

 

慌てていない様子のエイダを遠目でムウは一人口にする。その間、キラはずっとストライクのコクピット内で膝を曲げて体を丸める姿勢で座りこんでいた。

その時、レーダーにパワードのシグナルを確認する。

 

「パワードのシグナルを確認!」

 

トノムラの報告に皆喜んだ。マリューはその報に頬を赤くして嬉し涙を流し、居ても立っても居られず彼女は格納庫へと走っていく。

誰よりも急いで、格納庫へと走っていくマリュー。だがそこで彼女が目にしたのは敵モビルスーツの返り血に染まったパワードシュナイダーであった。

格納庫にいるマードックやムウもこれには啞然としていた。そしてキラも....

 

 

「シン、ラ....」

 

驚愕し目の焦点が合わないキラは口を手で覆いつつ何とか声を絞り出した。その時、パワードのコクピットから本人が出てきた。

機体から降りたシンラは只々無言で格納庫から出て行こうとしていた。だがキラはその彼を呼びかける勇気がなく、ただシンラの背中を見つめるしかなかった。

そのキラに代わってマリューがシンラに呼びかける。

 

「シンラくん!」

 

「....」

 

「良かった...無事で。私」

 

「....ご心配をおかけしました。部屋で休みます」

 

「ええ...」

 

そのまま彼は自室へと向かって歩いていった。キラはずっとそんなシンラのことを悲しげに見つめるしかなかった。

 

「シンラ...」

 

ただ静かに彼の名を口にするしかなかった....。しかしこれでアークエンジェルは紅海への道を開けることができたのであった。

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