キラとマリューの前にその姿を見せたカンパニー開発の機体にして6機目、GAT-X00・パワード。
その性能はザフト軍のジンを圧倒するものであった。G兵器を初めてみたキラは兎も角、開発技術者であるマリューも何故か驚愕する反応を見せていた。
「な、なんなの!?あの機体は!!」
「貴女は知らないのですか?」
「知らないわ...まさかGに6機目があるなんて」
そんな彼女たちに通信コールが鳴り響く、キラは恐る恐る通信に出る。
「も、もしもし?」
《此方、GAT-X00パワード。GAT-X105ストライク、パイロットはザフト兵か?》
「(あれ...?この声、聞いた気がする...)い、いえ!違います!」
《了解した。ならこの先に広い場所がある、そこへ同行をお願いする》
キラはマリューに向くと彼女も首を縦にしてこれを受け入れる。
「わかりました!」
《では移動する。ついてきてくれ》
「はい!」
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一方でヘリオポリスの外、つまりコロニー周辺宙域では未だ戦闘が続いていた。
だがモビルスーツ・ジン相手に旧式のモビルアーマーであるミストラルでは話にならず、戦闘開始から10分も経たずミストラル隊は全滅してしまった。
更にムウが率いるメビウス隊だが、彼のメビウスゼロを残して伴にしていた部下たちのメビウス二機は敢え無く撃破され、今や宇宙で戦っているパイロットはムウのみとなった。
そして....
「操舵不能ぉおおお!!」
「う、うああああああ!!!」
ムウが母艦としていたマルセイユⅢ世級が一機のジンによってバランサーとエンジンを破壊され、航行能力を失いコロニー外壁に激突し爆沈してしまうのでだった。
もうこの宙域で戦う地球軍の正規兵士はもう彼一人となってしまった。
「く!!この戦力差ではどうにもならんか!!!」
戦いながらジンの攻撃を躱しながら忌々しく愚痴るムウ、自分と対するジンにメビウスゼロの代表する兵装・有線式オールレンジ攻撃兵装「ガンバレル」でジンを囲むように展開し、本体であるメビウスゼロの機体中央モジュールに装備された単装型のリニアガンと共に一斉攻撃にて、相手の重突撃機銃を破壊。
自分の射撃武装を破壊され、重斬刀を取り出しメビウスゼロに襲いかかろうとしたがリニアガンでによって重斬刀を装備していた腕ごと破壊され、戦い術を無くして母艦であるヴェサリウスに帰還する。
「オロール機大破!消火班はBデッキへ!」
「オロールが大破だと!?こんな戦闘で!?」
オペレーターからの報告にまさかの内容に驚愕するアデス、だが隊長のクルーゼは何かを感じているのか不敵な笑みを浮かべている。
「どうやら五月蠅いハエが一匹、飛んでいるようだぞ」
「は?」
「ミゲル・アイマンからのレーザービーコンを受信。エマージェンシーです!」
「ほう?」
「更に、これは!?」
「どうした?」
驚愕するオペレーターにクルーゼは問い掛けると、信じられないと顔が物語っているオペレーターが口を開く。
「そ、それが...ミゲル・アイマンと共にヘリオポリス内部に向かったケイルとジーン両名の機体反応と、バイタルサインが共にロスト、しました....」
「バカな!?」
更なる損害報告にアデスは度肝を抜かれるぐらいに驚き、艦長席から思わず立ち上がる。
まさかエリート部隊であるクルーゼ隊のモビルスーツパイロットらが二人も戦死、一人はモビルスーツを失うという結果に信じられなかった。
しかしクルーゼは冷静沈着なまま席から立つ。
「ミゲルが機体を失い、他の二人が戦死する程に動いているとなれば...最後の一機、そのままにはしておけん」
クルーゼがブリッジから退出したと同時にヴェサリウスよる撤退信号が打ちあがり、残ったジンも引き上げる。
「引き上げる?だが何か...」
その時、ムウ・ラ・フラガの直感が何かを感じとる。これだけではないと、っと。
「これは...!!」
ムウの予感は当たっていた。ヴェサリウスから新たなモビルスーツが出撃していた、ジンの上位機種としてジンの高い汎用性を受け継ぎつつザフトの指揮官用MSとして開発された機体・シグーである。
搭乗しているのは軍服姿のままのラウ・ル・クルーゼ。
「私が貴様を感じるように、貴様も私を感じるのか。不幸な宿縁だな?ムウ・ラ・フラガ」
そして互いに捕捉し、戦闘が始まる。
「貴様!ラウ・ル・クルーゼか!」
「貴様はいつでも邪魔だな!ムウ・ラ・フラガ!もっとも、それは貴様もご同様かな?ここで消えてくれると嬉しいのだがね...ムウ!!!」
シグーの76mm重突撃機銃でメビウスゼロを攻撃すると、ムウはそれを回避してガンバレルを展開して反撃。
対するクルーゼのシグーはガンバレルのオールレンジ攻撃を避けながら、ヘリオポリス内部に向かった。
「不味い!!コロニーの中に!!!」
ムウは急ぎ追撃の為にヘリオポリス内部に入っていく。
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ムウがクルーゼを追うようにヘリオポリス内部に入っていった頃、シンラによって事無きを得たキラとマリュー。
2人は彼の指示の下移動し、その道中偶然にもキラが通う工業カレッジの学友であるトールたちと合流出来た。
そこでシンラもパワードのコクピットから降りて、マリューやキラたちの前に姿を見せるのだった。
「あ...(あの人)」
シンラの顔を見てキラは直ぐに彼があの時ぶつかった青年だと気付く。
マリューはシンラに警戒しながら、銃口を向けている。
「貴方は?」
「自分は地球連合大西洋連邦、第13独立機動遊撃群「オルカ」所属、シンラ・ユーリ中尉です」
「....わたしは地球軍大西洋連邦、第二宙域、第五特務師団所属、、マリュー・ラミアス大尉です。....しかし、オルカ?聞いたことがない部隊名ね?」
正規の軍人である彼女に問いかけられるシンラ、しかしその無表情な姿勢は崩れずに彼女の問いに答える。
「極秘任務で動く特殊部隊です。正規軍にも認知されてもいません」
「....あの機体は?」
今度はパワードのことを問いただすその時、数台の大型トレーラーが彼らの前にやってきた。
その助手席から紫色の髪色の女性...彼の上司であるドクターが降りてシンラたちの元まできた。
「シンラ、お疲れ様」
「はい」
「貴方は?」
「初めまして、私どもはモルゲンレーテの生き残りです。そして私はエイダと申します」
ドクター...エイダは自分たちの素性を明かすのではなく、モルゲンレーテであると噓をつく。
そんなことなど知らず、マリューはそれを素直に信じパワードのことを問いただす。
「あの機体は?」
「あれは私のチームで開発したものです。GAT-X00・パワード....あなた方地球軍と我がモルゲンレーテ社の共同で開発した五機の全開発データを素にしたものです」
エイダの話に更なる衝撃を受けるマリュー、今までG兵器を開発する中で自分たちの自信作の開発データを素にして密かに新たなモビルスーツを開発してたなんて分からなかった。
それに見た所パワードはずっとフェイズシフト装甲を展開状態なのも気になった。
「あの、あの機体ですが、装甲が...」
「嗚呼、パワードはフェイズシフト装甲ではありません。あれはトランスフェイズ...フェイズシフト装甲を強化し、エネルギー消費を大幅に軽減することに成功し、余剰電力を潤沢に兵装に回せるようになったものです。
更に動力源であるバッテリーもサイズを小さく維持したまま、大容量且つ継続性を高めています」
エイダの冷静にも解説してくれたが、マリューは自分たちが作った五機のGよりも上なのではと思われるパワードに信じられないという顔で見つめ、今度はシンラに視線を向ける。
「では、彼は...」
「シンラはうちに出向という扱いでパワードのパイロットとしております」
「そう、ですか...」
マリューはシンラに対しある疑念を抱く。っがそれよりも今後に関してどうするかとエイダが問いかける。
「で、ラミアス大尉、これからどうなさるお積りで?」
「まずは友軍に通信を...」
「それは無理かと」
エイダに問われ、自分の考えを述べたマリューにシンラがバッサリと否定するように口にする。
「どうして?中尉」
「ザフトは今回の襲撃に対し、強力な妨害電波を用いた思われます」
「...そう。せめてアークエンジェルに連絡できれば...」
その時である。ヘリオポリス内部の中央のセンターシャフトが爆発を起こし、その中よりラウ・ル・クルーゼのシグーとムウ・ラ・フラガのメビウスゼロが飛び出してきた。
地上にいるシンラやキラたちはそれに気付く。
「っ!!」
「モビルスーツ!?」
現れたザフトモビルスーツに驚愕するキラやマリューに、トールたち。一方ドクターエイダはシンラに振り向き指示を出す。
「シンラ!迎撃を!」
「了解」
「あ....」
シンラはすぐさまパワードに乗り込む。その彼を声をかけようとしたキラもまたマリューによってストライクに乗るよう指示される。
「キラさん、貴女もストライクへ!奪われるわけにいかないわ!お願い」
「え!は、はい!」
「いえ、ここはパワード一機で十分です。彼に任せれば大丈夫」
「え...」
ドクターエイダに阻まれ、キラはストライクに乗ることはせず、ただパワードを不安げに見つめる。
一方、上空より二機のGを確認したクルーゼはストライクは情報で得て分かるが、パワードの姿を見て若干の驚きを浮かべる。
「ほう?まさか6機目があったのか」
「最後の一機...いや!もう一機!?」
ストライクだけでなくパワードの姿にムウは驚きを見せるが、そうも言ってはいられない。クルーゼは躊躇なく二機に向かっていく。
ムウはそれを邪魔するべくリニアガンでシグーに攻撃するが、シグーはそれを回避しながら重突撃機銃でメビウスゼロのガンバレルに命中させる。
「くそ!!」
誘爆を防ぐためにガンバレルを全て投棄し難を逃れるが、それをクルーゼは先を読んでいたかみたく重斬刀を持って襲いかかる。
何とか直撃を防ぐ為、機体の姿勢を変えるがその代償として最後の武装となったリニアガンを真っ二つにされてしまう。
「しまった!!!」
「フッ」
ニヤリとしたり顔でクルーゼは再びストライクとパワードを見据える。
「今の内に沈んでもらう!!」
シグーが襲いかかろうとしたが、パワードが逸早く起動して左右の腰に備えたデュアルセイバーを、鞘から抜いて展開。
迫るシグーが重斬刀を振り下ろす前にカウンターとばかりに二本のデュアルセイバーで、シグーの右手に持つシールドを一瞬で切り裂いて見せた。
「なに!!?」
クルーゼは驚愕する。まさか自分がこうも簡単にカウンターを受けるなど思わなかったのだ、しかしパワードは追撃と頭部のイーゲルシュテルンでシグーに発射。
だがクルーゼはそれを機体を振り回すことでこれを回避、だが逃さんとパワードはウイングユニットを展開してシグーを追う。
「ええい!」
重突撃機銃でパワードに仕掛けるが、だがその銃弾は当たらなかった。
ストライクよりも一回り大きいにもかかわらず、そのサイズには似合わない目では追いきれない高機動による高加速でクルーゼを翻弄し、彼に舌を巻かせる。
「く!この機体のパイロット、ナチュラルとは思えん!....ならばこれはどうだ!!」
パワードがシグーに片方のデュアルセイバーで斬りかかるのを見計らい、機体の右半身をずらして避ける。
お陰でパワードの真横という絶好の反撃ポジションを得たクルーゼはニヤリと嗤い、重斬刀を振り回す....っが。
「なにぃ!?」
空中で機体を振り回して斬撃を回避する。それと同時にシグーの腹部に強烈な蹴りをお見舞いして距離を離す。
流石に焦りが出たか、重突撃機銃で追撃しながらパワードに迫るが、だが向こうは放物線を描いて飛ぶように円弧になるよう軌跡を描いて加速しつつシグーを翻弄しながら、二本のデュアルセイバーを左右の腰に備えた鞘に収納した。
するとデュアルセイバーを収納された鞘を、左右の腰にマウントされたまま反対の先端部をシグーに向けて
見せたと思いきや、強力なビームを発射した。
実はデュアルセイバーと左右にマウントされている鞘は、一体化のまま変形して射撃形態の大型ビームライフルにすることができ、その威力はGAT-X103・バスターの94mm高エネルギー収束火線ライフルの三倍の威力を誇る。
シグーはその強力なビームを一発は回避するが、もう一発は右腕を破壊する。
「く!」
重突撃機銃でパワードに反撃するが、しかしそれらを当たることなく真っ正面よりシグーに迫る。
その動きにクルーゼは既視感を覚えた、何処かでこんな大胆で常識外れな動きを見たことがあると、そしてそれは確信を得た。
「この動き....まさか!貴様、死神か!!」
そう叫びながら重突撃機銃で乱射しながら距離を離すシグーに、デュアルセイバーと一体化した鞘を射撃形態にした武器・99mm高出力エネルギーバスターライフルでシグーを狙い撃つ。
「ちぃいい!!!」
っとその時、ヘリオポリス内に存在していた山が爆発、そこからゆっくりと巨大な影が現る。
その巨大な影にシンラは気を取られてしまう。
「あれは...」
攻撃を止めてしまったパワードを見て今が引き際だとクルーゼは離脱を決意し、その場から逃走するのであった。
そのコクピット内でクルーゼは仮面の下より冷汗を流す。
「まさかあの死神が、ここに居るとは....!」
一方、シンラやキラたちの前に現れた巨大な影――それを見てマリューは叫んだ。
「アークエンジェル!!」
それはG兵器と共にその運用母艦として、オーブの資源衛星ヘリオポリスのドックで極秘裏に建造が行われた、地球連合軍においては対MS戦を想定した初の艦である強襲機動特装艦・アークエンジェル級一番艦・アークエンジェルであった。