イメージED:SOLDIER-哀しみの詩-(ガンダムEVOLVE ep8主題歌)
ザフトが行動を開始している頃、ヘリオポリスにいるアークエンジェルのブリッジではキラを連れてきたシンラが、マリューに対し今後彼女をストライクに乗せるのか?と問いかけていた。
「シンラ中尉....」
マリューは眼を伏せてしまう。その問いに彼女自身迷ってはいるが、シンラは続いて言葉を紡ぐ。
「確かにコーディネイターですし、このブリッジにくる間、彼女がストライクのOSを書き換えたとも聞きました。
確かに彼女は優秀です....ですが、それでも彼女は非戦闘員――つまり民間人です。だから...」
「だから乗せないほうがいい、と?」
っとドクターエイダが彼に眼を細めて問う。それにシンラは首を縦にふるが、ドクターは鋭く指摘してくる。
「シンラ...貴方は今がどういう状況かは分かっているでしょ?今どれだけ戦力に乏しいかを」
「分かってはいます。しかし彼女は飽くまで一般人で……」
シンラとしては本来戦う必要のないキラに、モビルスーツに乗せるのは避けたいと感じていた。
確かに彼女のコーディネイターとしての能力は特筆すべきであろうが、しかし彼女は今回の騒動が起きるまで只平凡に平和に青春を謳歌する一人の女の子なのだとマリューたちに訴えたいのだ。
だが現実はそんなシンラの思いには答えてくれる何処か、許すことすらしてくれないとドクターエイダの言葉によって、その思いを真っ二つにされる。
「シンラ、貴方の言い分はもっともよ?でもね?さっきラミアス艦長と話してたけどね……このアークエンジェルを、地球軍本部に届けないといけないわ。当然あのストライクもね?」
そう。奪取から間逃れたストライク、それにそれを運用するアークエンジェルを地球軍の大西洋連邦本部に送り届けるという使命があるのだ。
それにそれだけでなく……。
「それにね?シンラ中尉………実はこのヘリオポリスの民間人を多く収容しているのは分かるわね?このブリッジに来るまでに見たと思うけど……」
「それは、はい……」
ザフト襲撃の際、ヘリオポリスには民間人全てに避難シェルターに退避するよう避難命令が出されたが、しかし避難に遅れてシェルターに入れずこのアークエンジェルに助けを求める人々が収容されている。
更にマリューからヘリオポリスの警戒レベルが9にまで引き上げられ、最悪このコロニーが崩壊しかねないとヘリオポリス管制室から報告が来ているのだ。
「それにザフトが今の俺たちを見逃すはずか無いしなぁ」
ムウが副橾舵手の席に座って腕を組ながらそう口にする。
ザフトがまだ彼らに攻撃してくるのは明白で、これ以上此処に居続けるのは良くないのも理解している。
「フラガ大尉の言う通りです、ユーリ中尉。私も不本意ではありますが、今は彼女の力が必要と愚考します」
規律や規範などに厳しいナタルでさえも、この状況下ではこの際形振り構っては居られないと自覚しているようである。
シンラも彼らの話のまた正しくもっともだと分かっているので、これ以上強く反論できないーーそれ故に、彼は険しい顔つきで伏せて、拳を握りしめてしまう。
不甲斐ないと己を責めるシンラを、キラは心配そうに見つめそしてそんな彼の手をそっと包みこむ。
「シンラさん……その、私なら、大丈夫です」
「だが……」
「確かに戦うのはとっても怖いです………でも、私がやらないと、トールやミリィたちが死んじゃう――そんなのは、絶対イヤなんです……大切な友達だから……」
「………キラ」
っと必死に作り笑いでシンラに心配掛けまいとするキラ。
彼女の儚げにも感じるその様子に彼の表情は無ではあるが、だが握る拳の力が更に強く増していくのだった……。
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だが、事態はやはり彼らをそう簡単には手放す気はないようだ。
ヴェサリウスより3機のジンがそれぞれ要塞重爆撃装備を纏って発進したのだった。
しかし………
「――キラ」
キラの幼なじみであるアスラン・ザラは、ヘリオポリスより地球軍から奪取したモビルスーツ•イージスを起動させ、ヘルメットのバイザーにモニター類の光が反射する。
操縦桿を握り締めて、出撃したジン3機を追いかけるようにして、ヴェサリウスから出撃していった。
「なにっ!?アスラン・ザラが奪取した機体でだと!?呼び戻せ!すぐに帰還命令を……」
アデスは部下からの報告に驚き、帰還命令を出すが、クルーゼはそれを制止する。
「行かせてやれ」
「は?」
「データの吸い出しは終わっている。かえって面白いかもしれん。地球軍のモビルスーツ同士の戦いというのも」
「は、は!!」
クルーゼは眼前に広がる、虚空の宇宙を見ながら嗤いを湛えた。
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先の話し合いが終了し、時間が過ぎた頃……。
「コロニー全域に電波干渉。Nジャマー、数値増大! 」
アークエンジェルのオペレーター兼、CIC電子戦担当のダリダ・ローラハ・チャンドラが監視していたレーダーに異常を察知し、彼の声がブリッジに響く。
「ちっ、――やっぱこっちが出てくまで、待つ気はないか、あの野郎!」
「またヘリオポリス内で仕掛けてくるつもりですか?」
格納庫でのムウの言葉が確実な物となった。更にまだブリッジに居たドクターエイダが口にする。
「楽な話よ、こっちは発砲できない。向こうは撃ち放題だもの」
「エイダさんは、どうか格納庫でマードック曹長たちと連携に整備をお願いします」
「了解しました、ラミアス艦長ーーあ、それとフラガ大尉のメビウスゼロですが、修理に時間を要するので今回は無理です」
マリューに持ち場に移動をお願いされたエイダは、ムウのメビウスゼロが未だ修理完了でないことを伝えると、彼は「あちゃー!ダメか、やっぱり」っと後ろ髪を掻きながらぼやく。
「では、フラガ大尉にはCICをお願いします。バジルール少尉、シンラ中尉とキラさんは?」
マリューはムウに指示を下すと、今現在、アークエンジェル内で戦力になる2人の居場所をナタルに問いかけた。
その頃、格納庫にてシンラはキラに対して本当に戦うのかと問いかけていた。
「本当に戦うのか?キラ」
「は、はい……怖い、ですーーでも」
「でも?なんだ?」
「その………」
彼女は何か言いずらそうにしモジモジと、自分の指と指を絡めている。
「嬢ちゃん!中尉さん!艦長が話があるそうですぜ!」
マリューからの内線を取ったマードックが、慌てるように2人を呼び掛ける。
それを受けとるシンラは迷いなく応答する。
「はい、シンラです」
《シンラ中尉、キラさん、もう一度、戦ってもらえないでしょうか……?》
内線モニターからマリューの申し訳なさそうな声を聞くと、キラは強張った表情を浮かべて震える声を口から発する。
「て、敵、ですか?」
《ええ、ごめんなさい……。フラガ大尉のメビウスゼロが、修理の殆ど済んでいなくて、彼は出られないのよ。
今、この船の戦力はストライクとパワードだけなの。
これを乗りきらないと………》
「私が戦わないと……みんな、死んじゃうかもしれないって事、ですよね……?」
尋ねるキラの問いに、内線モニターからマリューの「ええ、ごめんなさい……」っと肯定と謝罪の言葉だった。
すると彼女の身体が震えているのを、シンラは目の当たりにする。
ーーやはり無理だ、彼女に戦闘なぞ……シンラはもう一度マリューに直訴しようと声を挙げようとしたが……
「……わかりました……。やります」
「キラ……君は」
彼女は必死にまたも作り笑いで、何とも無いように見栄を張っている。
そんな彼女を見て居たたまれないと思うシンラ、そんな最中格納庫にやってきたエイダが自分のスタッフたちに声をかける。
「パワードの専用装備の用意!急ぐ!」
彼女の言葉に瞬時に行動に移るスタッフらは、パワードの専用装備の換装に取りかかる。
「やるねぇ、あのモルゲンレーテの姐ちゃんよぉ。3番コンテナ開け!ストライクは、ソードストライカー装備だ!こっちも負けてらんねぇぞぉ!!!」
エイダたちの働きに感化されたのか、マードックの整備士としてのプライドに火が着き、自分の部下たちに命令する。
その間、キラはマードックに「出撃するなら、パイロットスーツに着替えろ」と言われたので、女性用のパイロットスーツに着替えることになった。
着替える際、彼女のスタイルの最高に良い身体が露になる。16歳とは思えない引き締まったウエスト、締まりつつ張りのある大きく魅惑的なヒップ、そして女性の象徴でもある大きな胸。
そして流れるような綺麗な茶髪のロングヘアーも相まって、これが夏のビーチで彼女が水着姿であれば、男は皆魅了されるに違いない。
「サイズ合うかなぁ...」
キラが着用したスーツは白を基調に緑寄りの青と黒を配したものでGATシリーズのパイロット専用に用意されたものであった。
スーツを着替え終えた彼女は、パイロットの待機ルームに入るとそこにはシンラが待っていた。
彼もパイロットスーツを纏っており、黒を基調としているが本来の地球軍パイロットスーツとはデザインが大幅に異なり、ヘルメットが一回り大きくなって、前頭部部分が尖っている。
「着替えたか」
「は、はい」
「....戦術はこうだ、俺が全面に出る。君は艦の守りだけに集中すればいい」
「わかりました...」
「よし、行こう」
「はい」
2人はそのまま格納庫へと向かい、シンラはパワードへ、キラはストライクへと乗り込む。
カタパルトデッキに先に向かうのはストライクである、機体をカタパルトデッキに進めると、両壁と天井が開き武器がストライクに装備される。
「ソードストライカー?剣なんだ」
コロニー自体に傷はつけられない、なのでストライクには近接特化型のストライカーパックであるソードストライカーを選択される。
何としても、コロニーの崩壊とアークエンジェルの撃墜だけは阻止しなければならない。
彼女は心を決めると、操縦桿を握り締め、ストライクを出撃させた。
一方、パワードには専用のシールドと専用ビームライフルを装備し、カタパルトデッキに移動しそのまま出撃する。
アークエンジェルのブリッジではジャッキー・トノムラがレーダーにて敵を捕捉した。
「レーダーにて敵機を捕捉!ジンです!」
「なんてこったい!!拠点攻撃用の重爆撃装備だぞ!!あんなもんを此処で使うのかよ!!」
CICに着いていたムウがジンの装備に驚愕し、苦言を口にする。しかし同時にコロニーの内壁が突如爆発を起こし、そこから新たにジンが二機入ってきた。
「タンネンバウム地区から更に別部隊侵入!」
だがその破壊された部分より、更にもう一機侵入してきた。
「っ!!更にもう一機!これは....X303!イージスです!!」
イージスの出現にブリッジクルー全員は驚愕するが、ムウが一喝する。
「今は敵だ!!あれに沈められたいか!!」
彼の言葉にマリューは気を引き締めて各員に命令する。
「主砲、レーザー誘導、焦点拡散!」
アークエンジェルは戦闘態勢に入った。アークエンジェル主砲であり、艦首両舷に1基ずつ装備されている2連装のビーム砲――225cm連装高エネルギー収束火線砲「ゴットフリートMk.71」を展開して、そのままザフトのモビルスーツ部隊に発射する。
だが初撃は回避されてしまう、そのザフト部隊をミゲル・アイマンが指揮する。部隊の中で彼がベテランのパイロットが故にそうなった。
「オロールとマシューは戦艦を!俺とアスランはモビルスーツをやる!!アスラン!勝手についてきた根性、見せてもらうぞ!」
「....ああ(キラ....)」
そのキラが乗るストライクはアークエンジェルの直掩として随伴している、そしてシンラ操るパワードはアークエンジェルから出撃して真っ先にザフト部隊を捕捉した。
「ジン三機に、イージスか...これより撃破する」
パワードは専用ビームライフル――87mm大出力エネルギービームライフルを構え、そして発射した。
「うわぁああ!!」
「っ!!オロール!!くそぉ!!死神ぃいいい!!!」
いきなり仲間の一人がやられてしまい、ミゲルの怒りが込みあがる。あのモビルスーツ――パワードには自分のエースパイロットとしてプライドをズタズタに引き裂いた、あの死神が乗っている...ミゲルは怒りの名の下引き金を強く引く。
彼のジンが装備するM69バルルス改 特火重粒子砲がビームを噴き、パワードを狙う。
しかしそれを読んだかのようにローリング回避しつつ、更にもう一発発射する。
だがその一発はミゲルでも、ましてやアスランのイージスでもなく、それはもう一機のジン――マシュー機を狙っての射撃である。
その一撃によって先ほどのオロール機と同じように直撃し、爆発する――っが、その直前にマシュー機のジンが装備していたM66キャニス 短距離誘導弾発射筒から、要塞攻略用であるD装備に分類される大型ミサイルが発射され、ヘリオポリスの全体の支柱とも言うべきセンターシャフトに直撃してしまう。
それが原因でセンターシャフトは非常に不味くとても不安定な状態となってしまう。
そんなことなど気づかず、シンラのパワードは対するジンと戦闘中。
その間にもミゲルは怒りの引き金を引き続け、尚もパワードを付け狙う。
「この!!当たれ!当たれ!!当たれぇええええ!!!!」
M69バルルス改 特火重粒子砲から放たれる攻撃を全て回避するパワード。苛立つミゲルは生き残っているアスランに命令する。
「くそ!!こうなったら戦艦ともう一機はアスランにやらすしかない!アスラン!お前は戦艦ともう一機をやれ!!!」
「....分かった」
「イージスが、行かすか」
そのアスランはアークエンジェルに向かっていく。それを確認したシンラはそれを阻止しようとするが、ミゲルがそれを邪魔する。
「お前は行かせねぇよぉ!!!死神ぃいいいいい!!!」
「く!」
ミゲルによって阻まれ、援護に行けないシンラ。その中でイージスがアークエンジェルとストライクに迫る。
アークエンジェルはストライクを援護するかのように、イージスに向けて主砲を放つ――っが、易々と躱され、後方のセンターシャフトを掠める。更にコロニーを支えるワイヤーが千切れ、密かにシャフトの崩壊と誘爆が起こり始めていた。
「あの機体!!」
キラはコクピットモニターでイージスを確認すると、あれはアスランが乗っていた機体だと気付く。
だがそうしている内に、間合いを詰めてくるイージスに対し、ストライクは対艦刀を構えた。すると、イージスから通信回線が入る。
《キラ!キラ・ヤマト!やはりキラ…キラなのか?》
「――アスラン!アスラン・ザラ!何故…何故貴方が!?」
《君こそ、どうしてそんなものに乗っているんだ!?》
モルゲンレーテでの事が嘘であってほしかった。アスランにとってとても大事で大切な幼馴染の女の子との戦場での再会――そんな残酷なことに彼の心は押し潰される感覚がしていた。
イージスに捕捉されるストライクを見てシンラは「不味い」と察し、今すぐに助けに向かおうと考える。
だがそれを嘗ての恨みを持つミゲルがそれを許さず、M69バルルス改を連射しコロニーの内壁をズタボロに破壊しながらパワードを追い詰めようとしている。
「キラ!!」
「余所見すんじゃねぇ!!!!死神ぃいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!」
「っ...邪魔だぁあああああああああ!!!!」
ミゲルが鬱陶しいのと、キラを助けなければという二つに挟まれるシンラは苛立ち激昂しながら、パワードの新たな武装――両肘に備え付けられ、マウントされたビームブーメランを展開、その三又構造のブーメランをミゲルのジンに目掛け投擲。
真っ正面から来たものだから、軽々と回避し嘲笑うミゲル。
「何処投げてやがる、間抜けが!!」
バルルス改の銃口をパワードに向けるジン――しかし、先ほど投げたビームブーメランがミゲルの機体の後方に戻ってくる、っがそれに気づかぬ彼の機体の胴体は真っ二つにされる。
「なにぃいい!!!???」
「消えろぉ!!!」
止めとばかりに大出力ビームライフルを発射し、見事命中したミゲルの機体は爆発を起こした。
「ぬあああああああああああああああああああ!!!!!」
「ミゲルぅうううう!!!!」
彼がやられた事にアスランは叫んだ。更に悪いことにこの戦闘での影響によって、無情にも人工の大地は裂け、その先には漆黒の宇宙空間が姿を現して、急激な空気の減圧によって、ありとあらゆる物が宇宙に飲み込まれていく。
「きゃああああああ!!!!シンラさぁんっ!!!」
「っ!?キラァっ!!!」
ストライクもまたその例外に漏れず、バーニアを全力噴射して逃れようとするが、シンラの名を叫びながら宇宙空間に引きずり込まれていった――。