機動戦士ガンダムSEED OVERLOAD   作:新米くん

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イメージOP:Line of sight(ガンダムアーセナルベース主題歌)

イメージED:SOLDIER-哀しみの詩-(ガンダムEVOLVE ep8主題歌)




PHASE08 宙域戦闘

クルーゼの自室にて、アスランは重々しくも語る。

 

「あの最後の機体、あれに乗っているのは、…キラ・ヤマト!月の幼年学校で一緒に居た幼馴染で――コーディネイターです」

 

「.....ほう?」

 

アスランから語られた内容に、クルーゼは静かに興味深そうにしていた....。

その反応がどういうものでモノなのか、それはクルーゼのみしか知らない。

 

「…そうか。戦争とは皮肉なものだ。君の動揺も仕方あるまい。…仲の良かったのだろう?」

 

「はい...」

 

「分かった。そういうことなら次の出撃、君は外そう。そんな相手に銃は向けられまい。私も君にそんなことはさせたくない」

 

「え!?いえ!隊長!それは…!」

 

クルーゼより出撃を外されると言われてアスランは驚き、出撃から外されるなどそんな!!と反射的に口答えする。っがクルーゼは――

 

「君のかつての友人でも今、敵なら我らは討たねばならん。それは分かってもらえると思うが...」

 

「キラは!彼女は!ナチュラルにいいように使われているんです!優秀だけど、お人好しだから...そのことにも気づいていなくて...だから私は!説得したいんです!彼女だって、コーディネイターなんだ!こちらの言うことがわからないはずはありません!」

 

感情をヒートアップしていくアスラン、対するクルーゼは冷静に問い掛ける。

 

「君の気持ちは分かる。…だが、聞き入れないときは?」

 

アスランははっと顔をあげて息を吞む。それがどういう意味なのか?軍人であるアスランには直ぐに分かった。

口元を震えながらも彼は顔を曇らせて、苦渋の決断を下した。

 

「そ…そのときは、わ、私が!討ちます...」

 

「そうか....アスラン、もういい。退室したまえ」

 

「は、はい!失礼しました」

 

アスランが部屋から退出した直後、クルーゼは静かに、只々静かに.........嗤った。

 

「キラ....そうか、あのヒビキ博士の――フフッ....見つけたよ、フフフッ」

 

 

________________________

 

 

アークエンジェルの居住区では、キラたちがこれからの事に不安を抱いていた。

 

「どこに行くのかな、この船」

 

「一度、進路を変えたよね。まだザフト、いるのかな?」

 

「親父達も無事だよな?」

 

「避難命令、全土に出てたし…大丈夫だよ」

 

自分たちの親の安否が心配になったサイ達、キラ自身も自分の両親が心配になった。話が一区切りしたその時、シンラがやってきた。

 

「キラ」

 

「っ!シンラさん!」

 

彼の姿を見ると彼女は無意識に嬉々として、いつの間にかその傍らに駆け寄っていた。

 

「どうかしたんですか?」

 

「.....それが」

 

シンラは先ほどのムウたちとの会話の内容を重々しくも聞かせることにした。結果的にこれからも彼女にモビルスーツに乗って一緒に戦うことになったという話に、キラは暗い顔になって俯いてしまうが、すぐに顔を上げて必死に笑みを浮かべ懸命に心配させまいとする。

 

「大丈夫です!私自身、覚悟したんですから!」

 

「....キラ」

 

シンラは自分を責める。一人の少女にこんなことを聞かせて何も出来ないと恥じ、拳に力が籠る。

そんなシンラにサイがこの船が何処に向かうかを聞いてきた。

 

「あの!この船はどこに向かってるんですか?」

 

「ユーラシア連邦の軍事要塞だ....だが問題がある」

 

「問題?なんですか?」

 

キラが首を傾げて問いかける。

 

「この艦とストライクは、実は正式な味方識別コードがないんだ。だからユーラシアがそれを素直に受け入れてアルテミスへ入れていくれるか怪しい」

 

シンラの言う通り、アークエンジェルとストライクは大西洋連邦主導の下極秘裏に開発されていた機密である為、ユーラシアはその存在を全くといって知らない。

そんな事情など分からないトールたち学生、その中でミリアリアがそれが何が不味いのか聞いてきた。

 

「不味いことなんですか?」

 

「ああ――少なくとも、な」

 

その時であった、艦内にアラートが鳴り、艦内アナウンスが流れる。

 

《敵影補足!敵影補足!第一戦闘配備!軍籍にあるものは直ちに持ち場につけ!》

 

「シンラさん...これって!」

 

「嗚呼――敵、だな」

 

彼の言葉にキラたちは顔が強張り、艦内中に緊張が入る。

 

《キラ・ヤマト、シンラ・ユーリ中尉はブリッジへ!繰り返す、キラ・ヤマト、シンラ・ユーリ中尉はブリッジへ!》

 

不安げにキラはシンラの手を握りながら、彼を上目遣いで見る。

 

「ブリッジへ向かおう」

 

「は、はい」

 

2人はそのままブリッジへと向かっていく。その後ろをトールたちは何とも居たたまれない気持ちで見つめる。

 

「ねぇトール、いつもわたしたち、此処でキラに守って貰って頼って貰って....」

 

「ああ...出来ることがあれば...」

 

トールはサイと目が合い、頷き合った。

 

ブリッジへと到着した2人は、マリューより現状を説明を受けた――アークエンジェルは現在アルテミスへ向かっているが、しかしそれをクルーゼ隊はお見通しとナスカ級ヴェサリウスが同じ高速艦という利点を活かして、アークエンジェルの離れた真横の位置より現れ全速力でこれを追い抜き、本艦の頭を抑えようとしておりローラシア級のガモフが後方から追いかけてきているのが現状である。

 

「エイダさんたちのお陰で、フラガ大尉のメビウスゼロも修理完了したので今回から大尉も出撃出来ます」

 

「そう言うこと!二人ともよろしくな!」

 

「了解」

 

「は、はい」

 

 

________________________

 

 

「キラー!」

 

「あ、トール。みんなも何?どうしたの?その格好?」

 

ブリッジから出た二人、その道中トールたちと鉢合わせる。彼らは皆地球軍の軍服に身を包んでいた。

 

「お前にばかりに戦わせてるからさ、俺たちも出来ることをってさ」

 

トールが笑みを浮かべて言うと、サイも口を揃える。

 

「僕たちも艦の仕事を手伝おうかと思って。ブリッジに入るなら軍服を着ろってさ」

 

「トール、サイ...」

 

ミリアリアもキラに優しい笑みを見せて言う。

 

「こういう状況なんだもの、私たちだって出来ることをして…ね?」

 

「ミリィ....」

 

同性の友達であるミリアリアも、こうしてキラだけに辛い想いをさせまいとしている――自分の友たちが自分の為に戦争に加担していると言う状況に目頭が熱くなる。

 

「…みんな…!」

 

キラは彼らの気持ちに胸が熱くなった。彼らは「あとでなぁ!」っとキラと離れ、ブリッジへと向かっていく。

彼女はトールたちを見届けると、シンラが肩に手を乗せてきた。

 

「キラ...いくぞ」

 

「はい」

 

2人はそれぞれパイロットスーツに着替え、待機ルームへと合流する。

 

「ほおー。やる気だねぇー!」

 

二人と同じようにパイロットスーツを着替えたムウがやってきた。それを眼を鋭く、そして殺気立てるシンラが彼女を庇うようにして揶揄うムウに口にする。

 

「大尉が言ったのでしょ――この船を守れるのは俺と貴方と、キラの三人だと...だから戦う、違いますかっ?」

 

「し、シンラさん...」

 

キラはシンラの後ろ姿を心配そうに見つめる。一方でムウも、それに対して先ほどのニコニコした能天気な様相から一変して真顔になった。

 

「俺たちだってそうさ。意味もなく戦いたがる奴なんざ、そうはいない――戦わなきゃ守れねぇから戦うんだ」

 

「そうですね」

 

「は、はい」

 

「よぉし!じゃあ作戦を説明するぞぉ」

 

ブリーフィングを終え、三人は各々の機体へと向かった。コックピットに入り、機体を起動させて、各機体の発艦準備に入る。

 

《メビウスゼロ式、フラガ機、リニアカタパルトへ!》

 

ナタルのアナウンスと共にムウのメビウスゼロがカタパルトへと設置される。

 

「ムウ・ラ・フラガ、出る!戻ってくるまで沈むなよ!」

 

今度はストライクが出撃する番となり、リニアカタパルトに設置される。そしてキラのコクピットモニターに映し出されるMS管制席に座っていたのは、ミリアリアであった。

 

「ミリィ!」

 

《以後!わたしがMS及びMAの戦闘管制となります!よろしくね♪》

 

彼女の柔らかい性格にキラの緊張が和らいだ。そしてストライクには今回、大型可変翼と4基の高出力スラスターを持つ高機動戦闘用ストライカーパック――エールストライカーが用意された。

 

《ストライク、発進位置へ!カタパルト接続、システムオールグリーン!発進どうぞ!》

 

「…ッ!…キラ・ヤマト、ガンダム、行きます!」

 

そして最後、パワードが出撃する番がやってきた。そのコクピットではシンラは冷静に淡々と待っている。

その時、彼のモニターにドクターエイダが映し出される。

 

《シンラ》

 

「はい」

 

《もしかしたらだけど、ザフトの連中――奪取した四機のG全てを戦闘に投入してくると思うわ》

 

「恐らく」

 

前回の戦いでイージスが現たのだ、残りの三機も当然現れると思われる。多彩な火力を使うバスターや電撃戦を得意とするブリッツ、白兵戦のデュエル、そして可変側溝を持つイージス、これらが全力で来るのは明白。

 

《いい?パワードは五機のGよりも超えた性能を持っているわ。決して負けは許されないわ、それにあの子を死なせたくなければ、ね?》

 

「...了解」

 

彼女との通信を終えた直後、今度はミリアリアとの通信が繋がる。

 

《シンラ中尉、よろしくお願いします!》

 

「ああ。よろしく頼む」

 

彼女との手短に挨拶をするシンラ。そんな彼にミリアリアは真剣にあることを頼みこんだ。

 

《シンラ中尉...どうか、キラのこと――守ってください!お願いします!!》

 

「ああ、任せてくれ。必ず彼女を守る」

 

《はい――カタパルト接続、システムオールグリーン!パワード!発進どうぞ!》

 

「了解――シンラ・ユーリ、パワード、出る」

 

 

アークエンジェルのブリッジ内では、索敵に反応がありとの報告にクルー全員に緊張が走った。

 

「後方!!接近する熱源3!距離67!モビルスーツです!」

 

「来たわね」

 

マリューの声にナタルが指示を出す。

 

「対モビルスーツ戦闘、用意!ミサイル発射管、13番から24番、コリントス装填!リニアカノン、バリアント、両舷起動!目標データ入力急げ!」

 

アークエンジェルは火器全ての武装を展開して隣接するに入る、戦闘準備が整った中、チャンドラが声をあげた。

 

「機種特定.....これは、Xナンバー、デュエル、バスター、ブリッツです!!」

 

ブリッジはその瞬間凍りつき、クルーは全員戦慄した。

 

「奪ったGを全て投入してきたというの…!?」

 

 

________________________

 

 

ローラシア級ガモフより三機のG――デュエル、バスター、ブリッツが出撃した頃、ヴェサリウスからもイージスが発進しようとしていた、その彼にクルーゼが言う。

 

「先の言葉、信じるぞ?アスラン・ザラ」

 

《はい》

 

「最後の一機――ストライク、鹵獲が可能ならやってくれ。パイロットもだ」

 

《え?は、はい!》

 

カタパルトハッチが開き、イージスが出撃する。ヴェサリウスから発進したイージスのレーダーで敵機を確認する。

 

ストライクもレーダーにて敵機を捕捉し、スラスターを吹かして向かう。

そして互いのモニターに映し出された。

 

「あの機体!?アスラン!!」

 

「キラ...」

 

一方、ガモフより出撃したデュエル、バスター、ブリッツもまたアークエンジェルに向けて飛んでいる。

その中でデュエルを操縦するイザーク・ジュールが口にする。

 

「ヴェサリウスからもうアスランが出ている、遅れをとるなよ!!」

 

「ふん、あんな奴に」

 

バスターを操縦するディアッカ・エルスマンが嘲笑する。その時、ブリッツ操るニコル・アマルフィがレーダーで敵機の反応を検出する。

 

「っ!前方より敵機!!数は1!!」

 

「なに?」

 

「イザーク、あれじゃないか?情報にない6機目ってやつ」

 

三機の目の前に現れたのはシンラ操るパワードである。彼もまたデュエル、バスター、ブリッツの三機を確認していた。

 

「デュエル、バスター、ブリッツを確認――これより殲滅する」

 

その言葉と共に大出力ビームライフルを三機に向けて発射する。

狙い的確であり、初弾に狙われたのはデュエルだった。

アンチビームシールドでこれを防御すべく、シールドを前面に翳すーーっが、しかし。

 

「なにぃ!?」

 

「イザーク!!」

 

「シールドが!?ウソだろ!?」

 

ビームを拡散吸収する特殊塗料でコーティングされ、部材そのものも特殊な共振現象を起こす固有振動数を持った鋼材同士の複合金属で作られており、微細な振動を繰り返すことでコーティングの効果と相まってビームを屈折・拡散して無効化させるシールドが、意図も簡単に破壊された。

シールドが破壊される前に手放した為に何とか間逃れたが、いきなりのことにイザークは憤る。

 

「おのれぇ!!ナチュラルごときがぁ!!!」

 

175mmグレネードランチャー装備57mm高エネルギービームライフルでパワードに反撃する。

バスターも続くように右腰アームに接続される電磁砲ーー350mmガンランチャーで攻撃する。

ブリッツも右腕に装備された複合武装ーー攻盾システム「トリケロス」のシールドの裏面に50mm高エネルギービームライフルで追撃する。

 

赤服というエリートもあって狙い良く撃ってくるーーっが、死神と恐れられたシンラにとってそれらの攻撃はまるで教本通りみたく分かりやすくて避けやすいとすら感じた。

 

「まるで新兵みたく分かりやすい攻撃だなーーそこ」

 

大出力ビームライフルの銃口をずらして発射する、しかし撃った場所に何もないと思いきや、そこに面白いようにブリッツがスルリと入ってきた。

まるで先読み、未来予知みたくブリッツがその位置に飛んで来ると分かったかのように。

突然のことに反応できず、一瞬で左腕と左側の背部スラスターを破壊され、その衝撃で機体が振り回されて視界が回るニコル。

 

「うわぁああああ!!」

 

「ニコル!!マジかよ!!なんだアイツは!!」

 

ディアッカは何だか不味いと危機感を抱きながら、両肩に装備されるミサイルポッドーー220mm径6連装ミサイルを射出、同時に左腰アームに接続される大型ビームライフルーー94mm高エネルギー収束火線ライフルを発射。

パワードはまず躱せるミサイルを回避しながら、射程に入る物は大出力ビームライフルで全て撃ち落とし、続いて94mm高エネルギー収束火線ライフルのビームに対しては、専用の対ビームシールドを翳した瞬間ーーシールドの一部ギミックが変形し、バスターが放ったビームを一瞬で吸い込んだ。

 

「なに!!」

 

「ビームを吸収した!?」

 

余りの信じられないことに動揺するニコルとディアッカ、一方、パワードのエネルギー残量を示すシステムモニターのゲージが先ほどビームを発射して幾らか減ったが、バスターのビームを吸収した瞬間、一瞬で全てMAXまで回復した。

これもまたパワードの専用装備であるシールドーー対ビームシールド、別名アブソーバイージス。

これはビーム兵器であれば瞬時に吸収し、機体本体のエネルギー回復させてくれるカンパニーの逸品である。

つまりパワードの前にビーム射撃は悪手であるのは、今ので理解した二人。

ならばとイザークはビームサーベルを展開し、パワードに襲いかかる。

 

「このぉ!!いつまでも調子に乗るなぁ!!!」

 

パワードに迫るデュエル、対するパワードもライフルを腰後部にマウントし、左右の腰に備えたデュエルセイバーを取り出してデュエルと鍔迫り合う。

背後ががら空きだと好機と見たディアッカのバスターは、収束火線ライフルを前に、ガンランチャーを後に連結した高威力・精密狙撃モードーー超高インパルス長射程狙撃ライフルでもって、パワードの後ろを狙い撃った。

だがそれすら分かったかのように、背部ウイングユニットを大きく展開させて素早い動きでデュエルを蹴り飛ばしながら、バスターの狙撃を回避する。

 

「これも避けるのかよ!?化け物か!!」

 

 

「お返しだ」

 

パワードのデュアルセイバーと左右にマウントされている鞘と一体化させ、変形した射撃形態の大型ビームライフル――99mm高出力エネルギーバスターライフルを連結させた超遠距離用のロングレンジ形態のライフルへと合体させると、瞬時にバスターに狙いを定めて撃ち返した。

 

強力な反撃に思うよう反応できず、バスターは頭部と左肩から腕、そして足を失った。

とんでもないしっぺ返しに中のディアッカは唖然となる。

相棒であるディアッカがやられ、イザークは更に怒りまたもパワードに斬りかかる。

 

「よくも貴様ぁ!!!」

 

狙撃形態のライフルからデュアルセイバーを切り離す手間を与えぬとデュエルが迫るが、パワードは右腕部のシールドラッチに備え付けられた大出力ビームサーベルを展開、大きなビーム刃が日本刀のように湾曲している。

その刃がデュエルのビームサーベルとぶつかり合い、火花散らすが直ぐにその結果が出た。

機体とサーベルの出力の差で負けてしまい、デュエルは肩から足にかけて真っ二つにされる。

 

「バカなぁ!!!!」

 

自分が地球軍のパイロットに無様にやられることに驚愕するイザーク。

それはディアッカとニコルも同じで戦闘から始まってから凡そ1分、三機のGは見事なまでに惨敗し、パワードはそんな彼らに留めは刺さそうとしたその時、ミリアリアからの通信がーー

 

《シンラ中尉!!ストライクがイージスに捕獲されました!!直ちに救援にお願いします!!!》

 

「っ!?了解!!(キラ…!!)」

 

突然のことにシンラは直ぐに機体をとって返し、ストライクのいる方向へと全速力で飛ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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