───アリア・ウェルザー───
アリア・ウェルザー 20歳 女性
背中まである金色の髪をポニーテールで纏めている
スリーサイズ及び身長体重
165㎝
58㎏
90-59-88
カジミエーシュの商業連合最底辺富裕層の一角を担っていた父親を持つ。母親は浮気して蒸発した
幼いころから負けず嫌いであり、努力を惜しまない秀才だったが天賦の才には恵まれなかった
誰よりも努力をすれども天賦の才を持つ者たちには敵わない。そんな事実に嫉妬して自らよりも優秀な者を見れば敵意とライバル意識を常に丸出しにしていた
13歳の頃、学校からの帰り道でスラム街から出てきた感染者の子供と知り合う。自らの経験と本能的な直感から、この子供にはとてつもない才能が眠っている事に気づいた。その才能が感染者と言うだけで摘み取られる事実に憤りを感じ、どうにかならないかと躍起になって走り回っていた時、アリアは天石教と出会った
天石教の巫女はアリアの話を聞いて子供と両親を保護し、アリアに対して深く頭を下げて礼を述べ、良かったら教主に会ってくれと懇願された
無論、会うつもりなどなかった。会って何かが変わるとも思っていなかったし、そんな暇があるなら勉強でもしていた方が有意義だと考えていた
しかし、あの感染者の子供を助けてからと言うもの胸の内のモヤモヤは大きくなるばかりである。一時の気の迷いのまま、アリアは教主に会う事を了承していた
教主と対面した時、その身体の大きさに驚いた。立ち上がるだけで2m以上はあろうと言うその風体から出てきた言葉は、礼の一言であった
保護した子供に教育を施しているが、まるで砂が水を吸うようだ、と笑いながら言う教主に、アリアは質問を投げかけていた
天賦の才を持つ者たちを見ると嫉妬してしまう。敵意をむき出しにしてライバル視してしまう。そのせいで友達も少ない。どうにかならないかと
「それは君に他人の才能を見抜く力があるからだ。自分よりも優秀だと言うのに、その才能を活かしきれていない人達の事が許せないんだよ」
胸の内のモヤモヤが晴れた気がした
そうだ。自分よりも優秀なのにその責務を果たさないのが許せないのだ。目の前に居る教主に対してなんの憤りも感じないと言う事は、この人は少なからず自らの責務を果たしているから敵意もライバル意識も向かないのだ。彼女は一人でそう納得していた
そしてこの頃から、教主と言う存在に惹かれていく事になる。この人はどんな責務を果たしているのかが気になって仕方なかったのだ
この頃からアリアは隠れ信徒となり、心の整理が出来た余裕から憑き物が落ちたかのように穏やかになり、他者の才能を開花させ、責務を果たさせる為の手助けをし始めた
最初こそ気味悪がられたものの、アリアの手助けは効果的だった。才能が芽吹いていくのを体感したクラスメイト達によって、いつしかアリアはクラスの中心へとなっていった
隠れ信徒として顔を隠して教会へ通い、天石教の掲げる理想郷が叶えられれば、感染者だろうと非感染者だろうと責務を果たさせる事が出来る。私の力を存分に発揮できる。そんな事を考えながらの大学進学の折、トレイターズの反乱が発生
父親の会社は株価の乱高下によって倒産し、ウェルザー家は没落した。借金は無いものの資産も無くなった父親はアリアの為に首を括ろうとしたが、アリアはその逃げを許さなかった
アリアは大学進学を簡単に諦め、父親と共に聖都へと向かった。父親と同じように身持ちを崩した元富裕層を引き連れて聖都に入り、最初の子供たちに向かってフロント企業を作るから支援しろと言う大言壮語を吐き、経営陣は元富裕層で固め、それを統括するのは自分とし、流入してきた者達を従業員として使い、教主の掲げる理想を叶える為に全力を尽くした
そしてこの頃になってようやく、教主が凡人に近い人物だと言う事にアリアは気付き始めた。全力を尽くすが故に教主と関わる事が多くなり、何故ここまで自分は教主に嫉妬しないのかを考えるようになっていた。導くように説法を行い、患者を診察し、皆に声をかけ続ける教主を見て、隔絶し過ぎて嫉妬すら出来ないのかと自分を納得させようとした
ある時、教主が診察室に日記を忘れて行った。看護師の1人から渡すように頼まれて、アリアは好奇心からその中身を覗いてしまった
読み進める内に、アリアは自らの好奇心を後悔し、悲鳴を上げそうになった。教主には何も無かった。アリアが嫉妬してきた者達のように天賦の才能がある訳でも無ければ、自分のように秀才になれる時間もなかった者の後悔と懺悔の日記である
もし神が居るのだとしたら何故このような試練を与えたのだろうか。教主に与えられた力は確かに素晴らしい力だ。彼を導こうとしたドクターと言う男もきっと考えがあったのだろう。しかしこの2つは教主の事を何も考えていなかった。この男なら受け止められるとしか考えていなかったのだ
結果、秀才になる時間も無かった凡人は見せかけの仮面を被るしか無く、その両肩に6桁もの人間と言う重荷を乗せてしまった
その事実にアリアは狂ってしまった。自らに他者の才能を見抜く才能があるなどと言いながら、最もその才能を見抜かねばならない筈の男の才能に気付けず、それどころか凡人でありながら責任感だけで突き進み、その両肩から落ちていく犠牲に涙を流して謝り続け、それでも前へと進む教主と言う男を支えてやらねばならないと言う使命感で。誰も教主が凡人なんて事を知らず、支えようともしない。縋り付いて救いを求める凡愚ばかりであり、自分もその1人でしか無かった
だったら、今からでも支えれば良い。アリアの狂信はここで定まったのだ