─── アラン ───
アラン 32歳 男性
黒髪を乱雑にカットしており、いつもボサボサの髪型をしている
身長体重
170cm
70kg
アランの父親は闇医者であった。物心の着いた頃からそうであった為、元から闇医者だとアラン自身は思っていたが、自身が医師免許を取得した後にれっきとした外科医であった事を名簿で知った
母親はその事をひた隠しにしていたが、事実を知ったアランに対してバツが悪そうに"闇医者じゃないと救えない人が多すぎるからなの"
と告げた
無論、そんな事をしていれば悪い意味で寄ってくる者達も多い。アランの父親はアランが医師免許を取得した後、姿を消した
暫くの間アランはカジミエーシュで外科医として病院に勤めていたが、母親が急病で亡くなり天涯孤独となった時、彼は病院に退職届を提出した
目標があった訳でも無ければ、父親の背中を見て医者と言う職種に憧れを抱いていただけであった。気持ちばかりの退職金とすっかり寂しくなった実家を処分し、アランは父の背を追うように移動都市から離れていた
そして、アランはスカウトされた。外科医である事とフリーである事が重なり、裏騎士競技を行うマフィアにスカウトされ、辺境に存在する裏騎士競技場での常駐医となる
最早目標も無ければ生きる意味も無い。その点に置いて、アランは使いやすかったのだろう
結局自らも父親と同じ闇医者になっていくのを体感していると、ある時、1人の裏騎士競技参加者が治療されて戻ってきた
曰く、近くに出来た診療所で治して貰ったと。その診療所ではある教えを説いていると。アランは何故かその診療所と教えに興味を持ち、独自に調査を行いはじめた
昼はフリーの外科医として診療所に名を連ね、夜は常駐医として裏騎士競技場で待機する。睡眠時間は3時間あればいい程だったが、そんな事は些細な事であった。何よりも教主の人柄に触れる事が出来た事が、アランにとっての刺激になっていた
─── 感染者も非感染者も同等の生活を ───
夢物語である。医療従事者であっても鉱石病が移ると言う迷信を信じる連中が居ると言うのに、教主たる男は恥ずかしげもなくそんな事を宣うのだ
故に、アランは聞かざるを得なかった
「一体なんでそんなにも助けようとするんですか。自己満足?英雄気質?」
面食らったように教主が一瞬押し黙る。チラリと器具の消毒を行う子供達の方を見てから、恥ずかしそうに頬を掻きながら告げた
「俺にしか出来無いから、かな」
ハンマーで頭を殴られた気分だった。アランはそう述懐する。自分にしか出来ないからと言う理由だけで、この男は地獄への道を歩いている。そんな事実に、今まで生きる目的の無かったアランに、少しばかりの目標が出来上がったのだ
この男の行く末を見てみたい、と
その晩、アランはマフィアに足抜けしたいと懇願した。最初はなんとか説得しようと考えていたマフィアも、その意志の強さから説得を諦め、独房へと監禁した
競技参加者と同じ房で無いのは彼等なりの敬意だったのだろう。3ヶ月間、アランはマフィアによって監禁され続けた
監禁される事に慣れてきた頃、アランの独房が開かれた。マフィア曰く、アランの所属していた裏騎士競技関係者なら無償で治療を行うからアランを解放してくれ、と言うお願いがあったからだと言う
そのお願いをしたのは、アランが行く末を見てみたいと思っていた男、教主であった。外に連れ出され、久しぶりの日光に思わず目眩がして足がふらつけば、教主がアランを支えた。おかえりアラン、と声をかけられてしまえば、返す言葉も無く、ただ黙って頷くしか出来なかった
少ししてから、アランは暗躍を始めた。自らを天石教の使徒と宣う裏騎士競技騎士を味方にし、騎士の言葉に感化された参加者を協力者とし、彼はゆっくりと、しかし着実にマフィアと裏騎士競技を潰しはじめた
救われた恩を返すべく。教主の目指す理想郷を実現する為に。1人ずつ着実にマフィアを消していき、天石教が形になる頃には、この辺境に居を構えていたマフィアの痕跡すら無くなっていた
教義が出来上がった後、マフィアの痕跡まで消したアラン達に対し、教主は頭を下げた。辛いことをさせたと。手を汚させたと。深く深く頭を下げる教主に心を痛めたアランと協力者達は、以後、教主を守る盾になる事のみを是とした