─── ライル・モンソン ───
ライル・モンソン 28歳 男性
水色の髪を後ろで一纏めにしており、ポニーテールのように纏めている
身長体重
???cm
??kg
※詳細不明。測ろうとすると逃亡する為
ライルに国籍はない。某国のスパイであった事が確認されてはいるものの、某国にはライルと言う男の存在は書類上存在して居らず、完璧なまでの証拠隠滅がなされている
トレイターズの反乱、その引金を引かせたのが彼を含むスパイの1団であった。根回しをして看守達を少なくさせたのも、反乱を起こすように落盤事故を起こさせたのも、天石教の人間が出入りしやすくしたのも、全て彼等が引き起こした
反乱発生後は彼等も感染者となり、トレイターズの反乱に加わりゲリラ戦を展開させた。各国の力を削ぎ、天石教をスケープゴートとし、某国の一人勝ちを目指したのである
しかし、ここで予想外の事態が発生する。天石教の教主が前線へ出張り、トレイターズの反乱を鎮静化させたのだ
任務は失敗。捕まらぬように何とか脱出を終え、回収地点に集合した彼等を待ち受けていたのは、某国によって派遣された暗殺部隊である
暗殺部隊によって捕縛され、源石鉱山内で処理される寸前にライルのみが命からがら脱出。暗殺部隊による追撃を受ける前に、絶命した一人が源石爆発を起こし、ライルを除く全員が死亡した
某国へと戻る事も出来ず、保証された身分も無く、感染者になった為にいつ死ぬかも分からず、某国によっていつ殺されてもおかしくないライルにとって、スラムで過ごす事は酷くストレスがかかった。現在ポニーテールで纏めているのもこの時に出来たストレス性脱毛症を隠す為である
そんな恐怖に怯えながらスラムで暮らして行く中で、天石教の保護を受ける事は簡単であった。混乱中であっても毎日の炊き出しや子供達への教育は途絶える事は無く、裁判中で無ければ、直接教主の説法を聞くこともできた
酷い話ではあるが、ライルにとってこれ程充実した時間は無かった。持ち前の教え上手を活かし、教師役を買って出た事もある
日が経つにつれ、ライルの恐怖は薄れて行った。もしかしたら殺しに来ないのでは、鉱石病もこれ以上進行しないのでは、なんの保証も無い希望が照らし始めた時、某国の新たなスパイがライルに指令を手渡した
教主を殺害する事。そうすれば今後某国は一切関与しない
書面で用意されたその一文は、ライルを悩ませるのに十分であった
説法中でも、就寝中でも、いつでも良い。教主を殺害すれば自分の祖国は関わってこない。それだけでライルにとっては値千金である
だからこそ、ライルは調べた。教主の一日のルーティンも何もかもを。そして決めた。地下室にある源石結晶の前で自殺に見せかけて教主を殺す事を
決行当日。ライルはナイフを懐に忍ばせて、地下室で教主を待ち侘びた。これが終われば全てから解放されると信じて
そして彼はやってきた。フラフラとした足取りで、答えぬ自らの咎と罪に贖罪するように
無防備な教主の後ろに立ち、息を整える。大丈夫、訓練で何度もしたと言い聞かせ、謝り続ける教主の首にナイフを当て───
─── ようやく死ねるのか、俺は ───
殺気に気付いていた教主の一言に、ライルは動きを止めた。物悲しく、されど何処か嬉しそうな一言は、ライルに口を開かせるのに十分であった
傍から見ればおかしな光景である。教主の首にナイフを押し当てている暗殺者が教主の懺悔に聞き入っているのだから
事の成り行きを聞き、地獄の始まりを聞き、大きすぎる責任から自死する事も出来ず、他人の期待に応える事を求められ、トレイターズの反乱によって終わる筈だった天石教は寧ろ勢力を増し、日に日に増える巫女や神子の数に嘆く事すら許されない
ライルの胸にあったのは、哀れみであった。目の前で懺悔するサルカズの男は潰れる事すら許されず、それどころか潰れようとすれば強制的に支えられる。神輿ですら無い、1本の屋台骨を無理矢理補強し続けている歪な現状
そして、自分のような男に殺されるのを待っていた。誰かのせいにすれば誰も責めないから
そんなの間違ってる
気付けばライルは、教主を抱き締めていた。遠からず天石教は崩壊する。一気に勢力を伸ばす宗教と言うモノは誰からも疎まれる。その時にこの人を逃がす算段を付けよう。この人と自分だけでも生きていられるようにしよう。ライルの哀れみは、最早慈愛と言っても過言では無かった
後日、某国のスパイがカジミエーシュ警察署前に縛られて放置されている事件が発生したが、犯人不明のまま幕を下ろした