─── 天石教 教主の言葉 ───
スカイストーンが商業連合の一端に名を連ねた事により、騎士競技への正式な参加が認められた
スカイストーンはレッドパイン騎士団の支援及び後援を願い出たがレッドパイン騎士団側が拒絶
以後スカイストーンはレッドパイン騎士団の後援及び治療を都度要請するものの、レッドパイン騎士団が断ると言う図式が出来上がる
その後、スカイストーンは騎士を雇用せず、負傷騎士の治療や手当てを主としたものの、それは負傷騎士の離脱を許す事が無くなり、重傷者の手当が簡易になった為に、競技の過激化の一端を担う事となってしまう
しかしながら、騎士競技自体を否定する事は一切せず、それどころか過激化する騎士競技を医療実技の研修先とすら見据えており、更なる医師及び医療従事者育成の為の場として提供している
天石教は今回のテロを受け、各国に対して謝罪と共に、本件で発生した死者家族の生活保障、負傷者への治療を行い、信徒を更に増やして行く。今回のテロにおいては天石教が被害者であると言う世論が形成された事、多数の天石教信徒が今回のテロにおいて応急処置や救助活動に従事して多くの命を救った事。この地獄のような世界において、他者を救う事を厭わないこの精神性は模範とされ、多数の弱者を惹き付け、信徒の数は右肩上がりで増え続けている
カジミエーシュ政府は天石教に対して謝辞を述べると共に、政府公認の宗教団体として容認。今後天石教は政府側の調査等を受けながら存続する事を許され、同時に聖都はカジミエーシュ第2の都市として名を高める事となった
また、炎国 龍門においては今回のテロに際しての救助活動及び救護活動が認められ、天石教の信徒であれば限定的に市街地内へと入る事が可能になる許可証が発行される事となる
この許可証は鉱石病を発症していない者である事が前提であるものの、以後段階を経て緩くなって行くと言われている
そして───
「師匠、行かれるのですね」
「ええ。これ以上ここに居ても仕方ありませんから」
カジミエーシュ移動都市 出口前
弟子の不始末を片付けた彼女は、最後に弟子と語らう機会を得た。淹れるのが得意だと言っていたフルーツティーを嗜み、久しぶりの師弟の間には、言葉は少ない
彼女は彼を
薄々分かっていたのだろうか、それとも、諦める事が出来ないのか。彼は師によっての介錯すらなされないと知れば、大粒の涙を流して感情を発散させた
誰にも見せられない感情の発露。師として出来ることは、ただ黙って抱きしめ、受け止めるだけであった
「いつでも聖都に来てください。素晴らしい
「…………ええ、そうですね。いずれ」
弟子が仮面を被ったのを見逃す師では無い。今生の別れである言葉を聞き、教主と彼女は別れの握手を交わす
弟子に押し付けた不甲斐無さ。最早彼女が出来る事は何も無く、同時に、教主も
大勢の他人に紛れ、黒いフードを被り、移動都市を出ていく。手を振って見送る教主に振り向く事もせず。彼女はただ流れに乗るように移動都市を後にする
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「ドクター。スカイストーンからまたパンフレットが届きました」
「そこに置いてくれ。後で読ませて貰うよ」
ロドスにおいて、スカイストーンからの物資提供は今や無くてはならない物へと変化していた
格安とも言える値段を提示し、それでいて質は保証されている。スカイストーンは騎士競技を実験場として様々な薬の人体実験を行っているのだ
無論、そんな事は本来許される筈も無い。だが商業連合側はソレを良しとしている。それを受け入れれば無償で騎士達の治療を行って貰えるから。自らが鉱石病になろうとも無償で治療して貰えるから
皮肉な話ではあるが、これによって安全性が証明されるのだから文句の付けようがないのだ
「天石教の信徒は6桁半ばに逼迫する勢いであり、対して我々は大局において何ら成果を上げていない、か」
医療区画の端に存在していた天石教の懺悔室は拡張され、今は宿舎の隣で誰もが利用している。影響が大きくなったと共に、我々の理念に抵触しないのでは無いか、と言う安易な考えが艦内に起こっているのだ
何人かの戦闘オペレーターや医療従事者は聖都出身であり、上手く馴染んでいる。そんなオペレーターに話を聞きに行くのも1人や2人では無い
「……それでも」
パラリ、とパンフレットを捲る。新しい薬や最新の医療機器が並んでいるのを見ながら、研究機器の欄を見る
諦める理由にはならない。源石を利用した遠心分離機が安くなっているのを見ては、ケルシーに話を通す為にドクターは立ち上がっていた
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天石教は更なる発展を遂げます。人は増え、金も土地も更に広がり、弱者の為の居場所は最早強者の街へと変貌します
それでも信徒は忘れません。慈しむ心を。自らも弱者だった事を。それを思い出させてくれる人達がすぐ近くに居るから
これからはスカイストーンと共に更なる発展を遂げ、弱者を救う為の場所を提供し続けるでしょう
そして、その過程で消費される命の重さを全て
潰れないと知っているから。その期待に応える事が可能だから。教主は死ぬ事すら許されず、その肩に消費されて来た物を乗せ、皆の手を引いて導くのが役割ですから
質問等があれば気楽に聞いてください。なるべく答えさせて頂きます