ひょんなことから、このライン生命に入った俺は、
天才、変人、天災に絡まれる日常をおくることになる。
正直、我慢の限界だった俺は考えた。ならば、こちらは奇行だッ!と
ことあるごとに、部屋を爆破し、食事を作り、警備課のお世話になる。
そうすれば、無茶ぶりをされることなく、ヤバい人認定され、
ライン生命の後方から、腕組みしながら推しを眺めることが
できるのでは?
勝ったな、第三部完ッ!
そんな、おじさんの話である。
クルビア ライン生命 エネルギー課 実験室
「ジェッセルトンの馬鹿はどこだッ!」
「いえ、それが煙草を吸いに行くと出ていったきり......」
ジェッセルトン・ウィリアムズ
我がエネルギー課に、新人たちが入ってくる中に、上の命令で入れられた新人。
本来なら、私こと―――――フェルディナンド・クルーニーが選んだ素晴らしい人材が入ってくる予定だったのだが、
ヤツは、怠惰、能天気、自由人の三拍子そろった私が求めるのとは対極の人間である。
入ってから半年、毎度、面倒ごとを起こし、
警備課のお縄になったことが何度やら。
私が何故サリアに頭を下げないといけない。
ヤツは、我が課の汚点である。
「あの馬鹿、今回はエネルギー課の炉の中で焼き肉を作りやがったッ! おかげで、今日の実験は、匂い取りから始まったんだぞッ」
「そうですね......とても香ばしくておいしかったです」
「......」
そう口を滑らしてしまった研究員を見る。
周囲を見ると、他の研究員も気まずそうだ。
貴様たちも、食べたのか.....
どうりで問い詰めるまで、誰も口を割らないはずだ。
ジェッセルトン・ウィリアムズ......
奴が、我がエネルギー課を崩壊させる前に
早急に対処する必要がある。
「それと、貴様らは減給だ」
例え、お腹が減っていても、実験器具では調理をしないでくれ。
匂いをとるのは結構大変なんだ。
いっその事、調理台と冷蔵庫でも、上に申請をしておくか。
◇◆◇
「タバコがうめ―」
何も考えずに、一服する人生。
肺をニコチンが見たし、脳がすっきりとする。
――――――――ああ、この瞬間が最高だ。
「いっそこのまま―――――――――ブハッ」
余韻に浸ってたら、頭の上から水がッ
おいおい、服までびちゃびちゃだぜ。
もちろん、火をともしていたタバコは見る影もなく地面に沈んでいた。
「何度言えばいいの。庭園内は禁煙よッ!」
「水をかけて言うセリフか?それは」
見れば、生命生態課の主任ミュルジス。
俺がことあるごとに、抜け出し庭園で一服するのを咎めてくる、迷惑エルフだ。
「いいか、俺の一服には、理由がある」
「へぇ、どんな理由よ」
最初、己の分だけ、羽獣を焼く予定だった。
だがそれを、共同で研究している連中に見つかった結果、口止めにさらに肉を焼くことになり、さらに匂いにつられた連中が......
の無限ループである。
おかげで後始末もできずこのザマだ。
次の器具の使用は、主任だった気もするが......まあいいだろう。
つまり、この件がバレると俺が職を失う可能性があるのだ。
別に進んで、就活失敗おじさんになりたいわけではないのだ。
「ざっと、俺の命がかかっている」
「どう考えても、自業自得でしょ」
自業自得とはなんだ。
夜遅くまで拘束する研究が悪い。
一体、何回徹夜してると思ってんだ。
そもそも、警備課志望だぞ。それを、エネルギー課にぶち込みやがって。
おかげで、毎日、悪戦苦闘しながら実験だ。
たまには、一服しても罰は当たらんだろう。
思い出すは、日々の情景―――――――
『ジェッセルトン、データ明日までに頼む』
『いや、フェルディナンド主任、どう考えても無理だろ』
(無言で、睨みあう)
『総統に選ばれた、君にならできる!』
『ほざけ、絶対この前の後始末を根に持ってるの間違いだろ』
(無言で殴りかかる)
『ただの主任ごときが、腕力で勝てると思う
――――なっ、パワードスーツは卑怯だろ』
『うるさいッ!勝てばよかろうなのだァ』
ロクでもないの一言だな。
どう考えても、パワードスーツは駄目だろ
まあ、殴って壊したが。
というわけで、日々の休憩のために
目の前のエルフを言いくるめるとするか。
「いいか、このタバコは、自然由来のモノでできている。故に―――――――」
「いい加減、サリア呼ぶわよ」
「すまん」
それは、本当に勘弁願いたい。
◇◆◇
空が堕ちたにも関わらず、
クルビアの都市は明るい。
その中でも、一際明るいライン生命の
高そうな実験器具がある研究室にて
「それで、貴様は何をしてるんだ」
「見れば分かるだろ。羽獣を焼いている」
そんなことは、見ればわかる。
部屋は、羽獣を焼いたと思われる煙と匂いであふれていた。
聞きたいのは、何故そんなことをする方だ。
「安心しろ、調理器具は自前のを使っている。ヘマは二度はせん」
「いや、問題はそっちじゃない」
頭が痛くなる。
この男のせいで、毎日が本当に忙しい。
今回はどう絞ってやるか。
そう考えいると目の前に皿が差し出される。
上には、照りがのった、羽獣の照り焼き。
―――――――その匂いは、私の食欲を刺激するものであった。
「後始末の詫びだ」
「......こんなもので懐柔はされんぞ」
ヤツから皿を受け取る。
直に見ると、その照りといい、匂いがますます私のお腹を刺激する。
時間帯によるものか......食欲の我慢ができなくなり、
むさぼるように食べる。この時間だ、
目の前の奴以外は見ていないだろう。
「――――――うまい」
悔しいが味は一級品であった。
他の連中が黙っているのも頷ける。
「そうか、よかった」
「キサマ、ここをさっさと辞めて、料理人にでもなった方がいいぞ」
きちんと感謝を伝えたいことたいのだが、
日ごろの恨みからか、皮肉しか出てこないな。
「......生憎、料理人をやるにはこの手は汚れすぎててな。遠慮したいところだ」
「――――――すまない。失言だった」
クソったれなコイツにも、そんな過去が......
少し短絡的であったな。
他人の過去に土足で踏み込みそうになった、自分が恥ずかしくなる。
ジェッセルトン・ウィリアムズ
ヤツにとっても、仕事は大変なのだろう。
深夜にいるのも、どうせ実験のためか。
そもそも、警備課志望の奴をどうしてエネルギー課に入れたのか。
本当に、総括課の考えは読めない。
ヤツも、奴なりに頑張ってはいるんだが、
どうにも行動が先んじている部分がある。
――――――――そう、思い、少し冷めてしまった皿を見る。
まあ、少しは面倒ぐらいは見てやってもいいかもしれない。
「まあ、心配ごとがあったら言え。少しは融通してやる」
「そうか――――――」
ヤツは片づけを終え、荷物の整理中か。
意外と整理整頓は速い奴なんだな。
てか、あれッ、後ろの実験器具から煙が......
アレ、羽獣を焼いた煙じゃないの!?
「すまん、そのクソ高そうな実験器具ぶっ壊したわ――――――――恩に着るッ!」
「またんかァッ!」
こうして警備課に援軍を要請することで、深夜に始まった壮絶な鬼ごっこは
ジェッセルトンの敗北で終わる。
もちろん、代金は給料から引かれるのであった。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
どうも作者です。思ったより続き.....の感想をいただきテンションが上がって書きました。クソクオリティなのは許してください。
さて、一日もたって私語ともクソもありませんが、ミュルジスを当てたにもかかわらず、タブチとロスモンティスを追い求めて爆死したことをここに記します。
感想をくれた皆様ありがとうございます。その感想は、作者のモチベになっています。
皆様に良きガチャライフがありますよう。