【完結】殺帝の子   作:ねをんゆう

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25.爆弾

 まさか本当に闇派閥と遭遇するとは思っていなかった、というのが実際のところではあるものの。その辺りの報告は全てアキに丸投げしたグラナ。そしてそんな彼女が今何をしているのかと言うと……

 

 

「お前は!本当に!!少しは説明をしろ!!」

 

「シャクティさま、そろそろ血管が切れますわよ」

 

「誰のせいだ!誰の!!」

 

 

 絶賛シャクティから説教を受けていた。

 見慣れた光景、しかしこんなことにシャクティだって慣れたくはない。慣れてきているけど。

 

 

「はぁ、全く……しかしまさか闇派閥の末端を再洗脳するとは。なんでもアリかお前は」

 

「まあこの手は最初から考えていたことでもあります。というか、対集団を想定した時には重要な一手ですわ。結局、何より奇襲になるのは味方からの裏切りな訳ですし」

 

「それはそうかもしれないが……」

 

「特に闇派閥は歪な集団ですから。正直そこらの適当な集団よりもよっぽど崩しやすい。これならラキア王国で内部分裂を画策した時の方がよっぽど大変でした」

 

「お前……遂に自分がグラニア姫であることを隠さなくなったな……」

 

「もうバレているのでしょう?ヒントを出したのも随分と前なのに、また時間がかかりましたわね」

 

「むぐぐ……」

 

「ふふ、可愛らしいお顔」

 

 

 それについては悔しいが、本当に反論出来ない。

 シャクティだって自分でも『もう少し早く気付けたな』と思っているところだ。ただ本当に、普通の会話の中でサラッとそれを混ぜて来るものだから、気付くのに大変で。

 

 

 

「……は?フィルヴィス・シャリアがここに?」

 

「ああ、お前達が散策に行っている間にな」

 

 

 そんな話の流れから、シャクティは自分がこうして彼女のところに来た理由を話す。それはグラナがキャンプを離れていた間に起きたこと。あまりにもなタイミング過ぎて、シャクティも上手く対応することが出来なかった。

 

 

「それで、彼女は今どこに?」

 

「レフィーヤ・ウィリディスと話していたそうだが、気付いたリヴェリア様が間に入ってな。その後、まるで逃げるように地上に戻っていったらしい」

 

「……へぇ」

 

「どう思う?」

 

「さて、良いのか悪いのか……そのままレフィーヤ様に鞍替えしてくれるのなら良いですが、半端なままに消えられては困ります。変に仲良くされると、殺した後にレフィーヤ様に響きますし」

 

「お前は相変わらずだな……」

 

「ああいうエルフは面倒なのです。妙に頑固なせいで、自分はもう戻れないとか言い出しますから。やはりさっさと主神を殺すのが手っ取り早いでしょうか……」

 

「……フィルヴィス・シャリアは見逃すということか?」

 

「一応可能性くらいは考えていますが、それを選ぶことは大凡無いでしょう。神ディオニュソスを送還した後に、それでも頼み込んで来たのならば考えても良いです。ただまあ、そうはならないでしょうね、無駄な仮定です」

 

「そうか……」

 

 

 思うに、案外この女は罪を犯した人間に対して、それほど厳しい訳ではない。それが許されないことであると分かっていても、更生するのならば見逃す。

 

 それは彼女が大罪人の子供だからなのか、それとも培った経験によるものなのかは分からないが。そこだけはシャクティも素直に感心出来るところだ。

 

 死んで逃げるのではなく、生きて苦しめ。なんなら遺族のサンドバッグになり続けろ、とまで言うかもしれない。残りの生涯の全てを賠償に費やせとでも。……果たしてそれが出来る人間がどれだけ居るのか、という話にもなるが。

 

 

「死ねば罪が無くなるとでも思っているのでしょうね。向き合い生涯を苦しむ勇気もなく、楽な道を選ぼうとする。100人殺したのなら、1000人救うくらいの気概は見せて欲しいものです。……こんな時代なのですから、Lv.3という戦力がどれほど貴重なのか」

 

「……それを直接言ってやったらどうだ?」

 

「彼女の前に顔を出したくありません。……まあレフィーヤ様からそれとなく話は伝わってしまっているかもしれませんが、それだけは困りものです」

 

「まあ、確かにな……」

 

「はぁ、この際もうわたくしは死んだことにしてしまいましょうか。適当な病気で」

 

「お前なぁ……」

 

「一見馬鹿みたいに聞こえますが、意外と効きますのよ?こういう手法も。基本的に主導権を握り続けることこそ、政争では重要なのですから」

 

 

 自分の存在が完全に隠せているとは思っていない。怪物祭の日の闘争、最初に顔を合わせた赤髪の女、レフィーヤからの伝聞。小さくとも情報を繋いでいけば、概ねの人物像は出来てしまう。そしてその影の薄さをむしろ怪しまれてしまうということも往々としてあるだろう。

 特に敵には神がいるのだから、そこを変に思うことは当然とさえ考えて良い。

 

 

「……よし、決めました」

 

「ん?何をだ?」

 

「地上に戻ったら、少し姿を晦まそうと思います」

 

「は!?いきなり何を言う!?」

 

「いえ、別に本当に消える訳ではありません。ただ、行方不明になった事と、わたくしがヴァレッタ・グレーデの娘であったことだけは公表します」

 

「……本気なのか?」

 

「ええ、畳み掛けるのならここでしょう。その間はギルドの知り合いに匿って貰いますし、ギルドに来て頂ければ普通にお会い出来るようにはします。……この事実はシャクティさまと、ロキ・ファミリア幹部陣の中だけで情報も封鎖しましょう。一先ずはファミリア内の情報を盗んだとでも言って指名手配しておいて下さいな」

 

「……サラッと自分を犯罪者に仕立て上げようとするな」

 

 

 こんなことを彼女は、本当になんでもないことかのように言う。こんなことを聞いたら、流石のフィン達も顔を顰めること間違いないだろうに。しかし言い始めたら聞かないのも彼女だ。それはもう嫌というほど知っている。

 

 

「ロキ・ファミリアを裏切ったと、敵にも味方にも思わせることが重要なのです。幸いにも、わたくしの人格を知る人物は少ない。色々な憶測が飛び交い、それはもう大混乱でしょう」

 

「だが、本当にいいのか?ようやくレフィーヤ・ウィリディスと仲を深められるようになったのだろう?」

 

「レフィーヤ様を守るのに必要な行為です。わたくしの個人的な思いなど後回しでいい」

 

「……お前はちょくちょく人の心が分からないな」

 

「?」

 

「はぁ、分かっている。"万能者"が例の魔道具の量産に成功すれば、わざわざ顔を合わせる必要もなくなる。どうせお前のことだ、神ウラノスとも既に繋がっているのだろう」

 

「!……今日は珍しく勘が鋭いのですね」

 

「珍しくは余計だ。……それにお前の言う通り、お前という人間の存在は恐らく敵にも怪しまれている。それを利用して敵の思考を掻き乱すというのも、納得の出来る考えだ。その隙を突いて、神ディオニュソスとフィルヴィス・シャリアを処理するべきだろう。だが当然、中規模ファミリアを1つ摘発するとなると確実に大事になる。そういう意味でも、お前には陰から指揮者として動いて貰った方が都合は良い」

 

「ふふ、分かって貰えてなによりです」

 

「ただし!!……闇派閥を壊滅させたら、お前の今日までの献身については1つ残らず全て公表する。暫くは穏やかに暮らせると思うな。覚悟をしておけ」

 

「……正直あまり好ましくない展開ですが。まあ、シャクティ様がそれを求めるのなら仕方ありません」

 

「こんなこと、本当ならば許したくもない。だがそれを敢えて飲むんだ、お前も相応に苦しめ」

 

 

 闇派閥の早期処理は命題であり、同時に諸々の行動を起こす必要がある。グラナ・グレーデという存在について騒がせているうちに、ガネーシャ・ファミリアはディオニュソス・ファミリアを、ロキ・ファミリアは地下通路を攻略する。ほぼ同時に進行を進め、確実に敵の戦力を大きく削ぐ。これは彼女に冤罪を着せてでも必要なことだ。

 

 そして彼女に根回しをしやすい環境を整えることもまた、きっと今は必要。速攻で敵拠点を食らい尽くし、速攻で彼女を第二の勇者として祭り上げる。それこそシャクティが妥協した着地点。

 

 

「頑張りましょうね、シャクティさま」

 

「……ああ、本当にな」

 

 

 本当に、どうしようもない。

 

 

**************************

 

 

 グラナ・アリスフィアはこの18階層に来てから、まあ本当に色々と動き回っている。側にシャクティかアキを連れてはいるものの、帰って来たら2人とも妙に疲れた顔をしているのが当然なくらいには歩き回っている。

 

 なんなら彼女が2人経由で伝えている情報でロキ・ファミリアの幹部陣さえも普通に頭を抱えているし、次から次へと送られてくる報告書の山にはフィンでさえ顔を青くしていた。……なぜ自分はダンジョンの中で、しかも遠征中にこんな内容の濃過ぎる書類の束を読まされているのだろうと。流石の彼でさえ疲労を隠せていない。

 

 

 さて、そんな最中にまたしても問題ごと。

 

 しかもそれはグラナの関係ではない。

 

 正しく偶然によるものである。

 

 

「やあやあロキ・ファミリアの諸君。まさかベル君達を助けたのが君達だったとは思わなかったよ、グラナちゃんも久しぶりじゃないか」

 

 

「チッ」

 

 

「……あれ〜、機嫌が悪過ぎないかな?」

 

「あ〜、実は彼女は神ヘスティアに相当ご熱心でして。今直ぐにでも会いに行きたいと言っていたところを、こうして無理に引き留めている……という事情が」

 

「え、なんでヘスティア?」

 

「彼女はその……処女が好きでな」

 

「……頭でも打ったのか"象神の杖"?まさか君がそんなことを言い出すとは」

 

「私とてこんなことを言いたくはない!」

 

「ほ、本当の話なのか……えぇ……」

 

 

 神ヘルメスとそのファミリアに色々と頼み事をしているのはフィンも既に知っている。故にヘルメスが来たのならばグラナには居てもらわなければならない。

 

 ……とは言え、こんな様子なら最初からヘスティアと会わせてからの方が良かったかもしれない。これについては流石にフィンも反省する。

 

 

「ところで……幹部陣に他派閥の団長、そこに団員2人とは。また奇妙な組み合わせで出迎えられたものだ」

 

「実際は幹部陣と姫、その使い走りが2人……ってところかな」

 

「否定出来ん……」

 

「姫とその被害者でもええじゃろ」

 

 

「チッ」

 

 

「お前はどれだけ神ヘスティアに会いたかったんだ……」

 

「……いや、姫の被害者という括りなら俺達ヘルメス・ファミリアもそうなんだけどな」

 

 

 それはその通りである。

 

 

「つまり、俺達がこうしてここに和やかな雰囲気で迎え入れられたのも、彼女のおかげということでいいのかい?」

 

「ええ、闇派閥の件に関してはもう貴方と手を取る以外に方法がない。……それに少し悲しい話になりますが、ヘルメス・ファミリアにはこれからもっと忙しく動いて貰う必要が出てきた」

 

「え……う、嘘ですよね勇者?私もう既に連日の徹夜でフラフラなのですが」

 

「うん……それについては非常に申し訳なく思うけれど、魔道具の作成のためにも君にはもっと働いて貰わないといけない。というか、君に全てが掛かっていると言っても過言じゃないんだ。"万能者"」

 

 

「………………………………こふっ」

 

 

「ア、アスフィィィィイイ!!!」

 

「いや、これについては本当に申し訳ないと思っているよ……」

 

 

 魔道具というものは、そうポンポンと出来上がるものではない。一つ一つを丁寧に気の遠くなるような時間をかけて作るものである。それをアスフィは今日まで何個も何個も何個も何個も作ってきた。それなのにこうしてダンジョンにまで駆り出されて、まだ足りないとか言われる。

 それは彼女も気絶くらいするだろう。原因の女は未だに機嫌悪そうにふんぞり返っているが。

 

 

「ちなみに聞きたいんだが……59階層には何があった?」

 

「……精霊、それとモンスターが融合したような異形の存在」

 

「なっ!?」

 

「僕達が一度は全滅しかけたような存在だった。敵の狙いは恐らく、それと同等の存在を地上に複数同時召喚すること」

 

「オラリオの壊滅……なるほど、それなら確かに夢物語ではなさそうだ。それにしても壮大過ぎる計画だが、これなら闇派閥が動き始める理由にはなる」

 

「それと、ダンジョンと地上を繋ぐ地下通路についても、既に何ヶ所か出入口を見つけています。この18階層でも先日グラナとアキが見つけてくれた」

 

「そこまで調査が進んでいるのか!?……すごいな、正直本気で感心している」

 

「いえ、全てのキッカケは彼女によるものですので。なんなら彼女は恐らく、僕達にもまだ教えていないような重要な情報を幾つか持っていることでしょう」

 

 

 

 

 

「……あぁ、洗脳した闇派閥の方から連絡が来ましたので、皆さん少し黙っていて貰えます?」

 

 

 

 

「「「「「「…………え?」」」」」」

 

 

 

 ありました、教えていない情報。

 

 情報どころか、なんかとんでもない爆弾。

 

 

「い、闇派閥!?から連絡!?」

 

「な、なんだそれは!?何も聞いていないぞ!?」

 

「……はっ!?まさかあの耳飾りは本物だったんですか!?全部嘘って言ってたじゃないですか!?」

 

「洗脳!?闇派閥を!?ちょっと待ってくれ!少しは説明してくれ!!」

 

 

「あー、はいはい、後でいたしますから。一先ず黙っていて下さいます?連絡を取りますので」

 

 

「「「………」」」

 

 

 こいつ本当にいい加減にしろよ、とその場に居る全員が声を揃えて心の中で叫ぶ。しかし当の本人は魔道具で髪を黒色に変えると、声色を少し調整し、鞄から取り出した水晶に向けて笑顔を作る。

 

 ……アキは知っている、この姿を。まさか彼等に渡したあの髪飾りが本物だったなんて。正直夢にも思っていなかった。

 

 

『聖女様……聖女マリアフィール様、聞こえますか……?どうか、どうか我々の声にお答えください』

 

 

「……聞こえます、聞こえました。聞こえましたわ。わたくしの声は届いていますでしょうか」

 

 

『ああ、聖女様……聞こえる、聞こえます。本当に、本当に我々の声が届いているのですね』

 

 

「ええ、もちろん。わたくしは常にあなた方の側にいます。そう誓ったでしょう?」

 

 

 

「……おい、誰だこいつは」

 

「ひ、一先ず我慢しよう……」

 

 

 

「何かあったのですか?」

 

 

『いえ、いえ、現時点での報告をと思いまして』

 

 

「勤勉な方ですね、とても好ましく思います。どうぞお聞かせください」

 

 

『はい……色々と考えてみたのですが、やはり派手に動くことは出来ず。一先ず邪神タナトスの真の目的について、噂を広めることにしたのです。それと同時に、現代に現れた聖女マリアフィール様についても』

 

 

「それは……大丈夫でしたか?邪神に気付かれたりなどされていませんか?わたくしはそれだけが心配です」

 

 

『問題ありません。我々も『こういう話を聞いた』という体で噂を広めておりますので。……その成果もあってか、少しずつ神タナトスを疑問に思う声も出てきました。確たる成果を得られていないのが残念なのですが』

 

 

「いえ、あなた方は十分な働きを見せてくれました。それ以上に動こうとはしないでください。大切なのはあなた方の命、決して無茶をしてはなりません。……共にマリスフィアの地へと参ると、約束したでしょう?」

 

 

『あぁ、あぁ、聖女様……我々はこれからどうすれば……』

 

 

「今はとにかく身を潜め、闇派閥の内情についてこの耳飾りに映して下さい。噂の発生源であると、決してバレてはなりません。……あなた方が生き続けること、それが今のわたくし達にとって最も必要なことなのです」

 

 

『聖女様、やはり貴女は慈悲深く崇高なお方だ……どうか、どうか我々をお救い下さい……』

 

 

「ええ、必ず。必ずやかの邪神の手からあなた方を解き放ちます。……ですからどうか、どうかその時まで生き延びて下さいませ」

 

 

 ……などという会話を終えると。

 それまでまるで本物の聖女のような雰囲気を持っていた彼女は、唐突に態度を急変させて、悪女の如く口元に弧を描く。それに寒気を感じる数人。

 

 きっと狙った通りの結果になったのだろう。つまり彼女の都合の良いように話が進んだ。彼女の組織潰しが順調に進んでいる。それは頼もしい事でもあるけれど、同時に少しの恐ろしさも感じて。

 

 

「あ、あの……もういいかな?」

 

「ああ勇者様、これを差し上げますわ」

 

「っ……やっぱり他にも持っていたのかい?この魔道具」

 

「ええ、嘘を吐きました」

 

「いけしゃあしゃあと……」

 

「それで、洗脳した闇派閥っていうのは何のことだい?」

 

「アキ様」

 

「えぇ!?私が説明するんですか!?」

 

「早く」

 

「う、うぅ……え、えっと、その。私とグラナさんで18階層にあると思われる出入口を探していた時に、偶然にも闇派閥の末端と出会しまして……その時にグラナさんが嘘と話術で彼等の洗脳を上書きしたんです。その時に耳飾りを彼等に渡していて、きっとそこに魔道具が入っていたんじゃないかと」

 

「や、やってること闇派閥じゃないですか貴女……」

 

「人聞きの悪いことを仰いますね。……それと勇者様?その水晶には彼等に与えた耳飾りからの音声と映像が映し出されます。こちらから情報を渡すことは出来ませんが、通路内の情報収集には役立つでしょう」

 

「……水晶は対になっているんじゃなかったのかい?」

 

「嘘ですわ、割と自由が利きます」

 

「また嘘か!!」

 

 

 もう、もう本当に滅茶苦茶である。

 これに関しては他者に迷惑をかけることの多いヘルメスでさえもドン引きしていた。アスフィに関しては関わりたくないと心の底から思っていた。

 

 根回し根回しとは言うが、もうここまで来るとやり過ぎである。こんなのもう闇派閥は半分以上は丸裸であるし、内部分裂まで見えて来た。まだ何もしてないのに、彼等は徐々に蝕まれている。

 

 

「ああ、それとこれは昨夜に映像を見ながら作っていた地下通路の構造図です。恐らく2割程度も出来ていないとは思いますが、どうぞ御自由に。こういうのはガレス様がお得意でしょう?」

 

「……儂はもう闇派閥よりお前の方が怖いわい」

 

「あ〜、はは、彼女には流石の勇者もお手上げなのかな?」

 

「恥ずかしながら、時間が経つに連れて手が付けられなくなっていまして。最初の頃はまだなんとかなったんですが、最近は手玉に取られることの方が多いというか……」

 

「はっはっは、退屈しなさそうでいいじゃないか」

 

「いや生憎、退屈に困ってはいないので」

 

「なんなら貰ってあげてもいいんだぜ?」

 

「……来年の今頃にはグラナ・ファミリアになっていそうですね」

 

「……アスフィが泣くからやめておこうか」

 

「賢明な判断でしょう」

 

 

「皆様、わたくしのことを爆弾か何かだと思っていらっしゃる?」

 

 

 実際に今この場で特大の爆弾を爆発させた女が何を言うのか。次から次へと爆弾を作っては抱えて、なんか突然投げつけてくる癖に。

 

 

 

「さあ、神タナトスと神ディオニュソス。両者ともしっかりと天界に送還してくださいな、ヘルメス様」

 

 

 

「……………………俺がやるの!?」

 

 

 

 ヘルメスは逃げられない。

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