【完結】殺帝の子   作:ねをんゆう

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30-1.女神イシュタル改造計画

 時間は巻き戻って少し前。

 

 イシュタル・ファミリアの終焉、それはあまりにも唐突にやって来たものだった。

 手を出してはいけないものに手を出してしまった、踏んではいけない尾を踏んでしまった。元より計画していたものがたった1人の英雄候補の手によって破綻してしまった事も大きかったが、仮にそれが無かったとしても結果はそれほど大きく変わることは無かっただろう。

 

 女神イシュタルは、女神フレイヤに勝てない。

 

 ファミリアとしても、美の女神としても。

 

 完膚なきまでに叩きのめされる。

 

 

 

 

 それは分かっていた。

 

 

 

「気は済みました?イシュタル様」

 

「っ………何故だ、何故だ!!何故この私があの女に負ける!!それもファミリアの規模だけでなく、魅了の力でさえも!!あの女と私に何の違いがあるというのだ!!」

 

「"品"と言われたのでは?」

 

「っ、貴様まで私を愚弄するかァ!!」

 

「いえ、まあ、わたくしは最初から忠告していましたし。あと魅了しようとするのやめて貰えます?神威も抑えて頂けると。気持ち悪いので」

 

「〜〜!!何故お前にも効かんのだ!!」

 

「はぁ、何度このやりとりをすれば気が済むのでしょう。そんなんだから神フレイヤに勝てないのですよ」

 

「貴ッ様ァ……!!」

 

「全部わたくしの忠告した通りになったのですから、そろそろ信用して頂きたいものです。反抗して逆張りするのはいいですが、このままでは品がないどころか学習能力もない、単なる敗北者のまま終わりますよ?」

 

「ぐ、ぐぬぬ……!!」

 

「自尊心が強いというのも大変ですわね」

 

 

 神イシュタルが目の前の女と出会ったのは、ヘルメスの紹介だった。

 ヘルメスを呼び出して女神フレイヤの弱味を探ろうとしたところで、彼はこの少女を自分の前に連れて来た。……そして今こうしている通り、イシュタルはこの少女にコテンパンにされている。それは決して実力ではなく、頭で。

 

 

「わたくしの言った通りに出来れば、女神フレイヤに勝てます」

 

「っ……」

 

「もし全てを失った今の貴女が、それでも女神フレイヤに勝ちたいと思うのであれば、もうわたくしの手を取るしかないでしょう。……もちろん闇派閥に協力するという手もありますが、そうした場合、今度は敵の勢力にロキ・ファミリアまで増えて、難易度は更に増すことでしょうね」

 

「………………本当に、本当にお前の言う通りにすれば、フレイヤに勝てるのか?」

 

「はぁ、まだ実績が足りないと?」

 

「……」

 

「メレン港での一件、今回の一件、どれもわたくしが最初に予想した通りの展開になった。それを無視して突っ走って、最終的にはこの通り。……断言致しますが、何も残っていない貴女が闇派閥に助けを求めたところで、利用されるだけされて惨めに送還されるのがオチです」

 

「……」

 

「まあ、それでも信じたくないと言うのなら好きにすればいいでしょう。わたくしとしては、ただフレイヤ・ファミリアに痛い目を見せたいだけ。その協力者であれば他にも目星はありますし、別に貴女でなくてもいい」

 

「っ……」

 

「それで?どうします?」

 

「……くっ」

 

 

 全知の神である自分以上に賢い存在など居る筈がない、そんなことを考えて子供達を見下していた。だが今その自分が1人の子供に見下されている。むしろそれを超えて呆れられている。それは凄まじく屈辱的なものだ。

 だが何故か分からないが、目の前の女には自分の神威も魅了も通用しない。むしろ気持ち悪そうな顔をするのだから、本当にやっていられない。

 

 

「やれやれ……女神フレイヤは、もう明日には貴女のことを忘れているでしょうねぇ」

 

「っ!!」

 

「彼女は貴女のことなど好敵手とさえ思っていない、興味さえ無かったでしょう。面倒だからそろそろ潰すかと、その程度の認識だったのでは?」

 

「ぐぅっ!!」

 

「まあ彼女からしてみれば、仮に今回の計画が成功して団員全てのランクが上がったとしても、獣化した猛者1人で全てを粉砕出来る訳ですし。計画そのものが脅威でも何でも無かったかと」

 

「お、おのれぇ……おのれぇ!!」

 

「本当に、変な近道を使おうとするからそうなるのですよ。闇派閥を頼ろうとしたり、奇妙な道具に頼ろうとしたり、魅了を軽々しく使ったり。わたくしの助言を素直に聞いていれば、今頃はファミリアをより大きくすることが出来ていたでしょうに。ご自分でもそう思うでしょう?」

 

「っ……」

 

 

 正直に言ってしまえば、イシュタルだってそれは薄々と思っていたことである。特に『魅了を軽々しく使う』という辺りについて。それだけは自分とフレイヤの明確に違う点だ。フレイヤは普段は滅多に使わずむしろ抑えているが、イシュタルは使えるものは使う派である。そしてだからこそ効力が薄くなっていると言われると、反論は出来ない。魅了勝負で負けた理由も、何となく分かってはいるのだ。

 

 

「……フレイヤに、勝てるんだな?」

 

「そうでなければ、何もかも失った貴女をわざわざ危険を冒してまで助けるはずがないでしょう。落下する貴女をフレイヤ・ファミリアの目を潜り抜けて助けたのは誰です?少しは感謝の言葉をいただきたいところです」

 

「フレイヤに勝ちたい」

 

「……本当に自分本位ですね、貴女は」

 

「フレイヤに勝たせろ。相応の報酬は用意する」

 

「だから、立場に対して頭が高いと何度言えば分かるんです?貴女は私より立場が下なのですよ?命令するな。あと今の貴女に出せる報酬などありません。調子に乗るな」

 

「ぅぐっ……」

 

「まずは『私のことを助けてください、お願いします』と言ってみましょう。話はそこからです」

 

「なっ!?……貴様こそ調子に乗るな!!蟻の分際でこの私に頭を下げろなどと!!」

 

「知りませんよ、誰なんです貴女?魅了の出来ない美の神に何の価値があると?……全知の癖に頭は弱い、他者の助言を聞けないほどに心はお子ちゃま、武神でもないから生身は雑魚。恩恵を刻む以外の価値が貴女にあるのなら、是非とも教えていただきたいものですわね」

 

「〜〜っ!!」

 

「結局、貴女は自分自身の価値を美貌と魅了という先天的な能力以外で作っては来なかった。それが女神フレイヤとの違いですわ。……彼女であればたとえ魅了を失っても、変わらず団員達は着いてくるでしょうし、むしろその状況を楽しむことさえするでしょう。反面、貴女は?自分で考えてみてくださいな」

 

「……」

 

「団員達は着いてこないでしょう。貴女が生きていることは知っていても、表に出て来ないことを良いことに自分達の力で復興し始めていますし。なんなら晴々としているくらい」

 

 

 そうだ。イシュタルがこうして一室に監禁されている間にも、イシュタル・ファミリアのアマゾネス達は自分達の力で自分達の居場所を探して、作り始めている。彼女達はイシュタルを必要とはしていない。イシュタルのことを慕ってなどいない。

 

 

「これも薄々分かっていたことでしょう。フレイヤ・ファミリアは眷属達が自分達の意思で主神に忠誠を誓っている。しかしイシュタル・ファミリアは眷属達がフリュネ・ジャミールの暴力と主神の魅了によって支配されていただけ。神としての器が違いますわ。……こんなものを比較して見せ付けられれば、それは貴女が選ばれる訳もないでしょうに」

 

「……」

 

「そんなやり方しか知らなかった、そのやり方が一番簡単だった、そんな怠けの積み重ねが今の貴女と女神フレイヤの差なのです。……魅了という強大な力を乱用する女神と、本当に必要な時にだけ使う女神。前者の方が下品に見えるのは、決して私達だけの価値観という訳でもないのでは?」

 

 

 ボッコボコ、ボッコボコである。

 いつもはあれだけ自信満々に他者を見下す態度を取っている女神イシュタルが、まるで母親に叱られている子供のように縮こまって行く。

 心にグサグサと刺さる正論、何なら久しぶりに泣きそうにもなっている。それくらいにショックだった。でもそれくらいに納得できる内容でもあった。

 

 

「私は別に貴女に頭を下げさせたい訳ではありません、その頭には砂糖ほどの価値もありませんし。ただ自分の愚かしさと今日までの間違いを屈辱と共に認めろと言っているのです。……何も変わらないままでは勝てませんよ?何も変えない、不変のまま勝ちたいと言うのは、"神の力"を使っても無理な話。貴女にその覚悟があるのか、それを問うているのです」

 

「に、人間の分際で……神に、説教などと……」

 

「ちょっと涙目になってますわよ。既に威厳も何もないことを理解しなさいな」

 

「ぅ、ぐぅぅうぅぅぅ………!!」

 

 

 今更オラリオの表舞台に戻ったところで、もう何も残ってはいない。差し出せるものも無ければ、指示を聞くものも居ない。魅了によって無理矢理にいうことを聞かせることは出来ても、それが酷く下品なことであると既にイシュタルの頭の中には刻み込まれている。

 ……フレイヤに勝ちたい、だが今の自分では勝ち目がないことは嫌でも分かった。分かっている、分かっているのだ。仮にも全知零能の神の一柱、あそこまでのものを見せられてしまえば認めたくなくても理解せざるを得ない。

 

 

「………力を、貸せ」

 

「ん?何か言いました?」

 

「わ、私を助けろ!!」

 

「は?聞こえませんね。ここだけの話なのですが、わたくしの耳はそこの床についていまして。そこに向けて話しかけて貰えます?耳が悪いので口も近づけて下さいな」

 

「……ゆ、許さないからな!!絶対に後悔させてやるからな!!」

 

「ああ、ではこのまま帰ります。次は女神カーリー辺りにでも話を持っていきますわ」

 

「ま、待て!嘘だ!!冗談だ!!だから私を見捨てるな!!もうお前しか残っていないのだ!!」

 

「へぇ?では、どうなさいます?」

 

「く、くぅぅ……屈辱だ……こ、このようなことを、これほどの屈辱を味わう日が来るとは……」

 

「ほら、そこにどうぞ?」

 

「〜〜っ!!」

 

 

 これまで何人もの人間を、何柱もの神々を、自分の前にひれ伏させて来た。魅了を使えば何もかもが自分の思い通り、自分こそが崇高な存在であると思い続けて来た。

 自分以外は所詮蟻、下界に来たのも自尊心を満たすため。この世界においても自分が一番であると証明する、どころか思い知らせるために降りて来たというのに……

 

 

「…………私のことを、助けてください。お願い、します」

 

 

「ふふ、いいですよ。何の関わりもない我々ですが、助けて差し上げましょう」

 

 

「うぅ……」

 

 

 年若い女の前で、ひれ伏す。

 頭を地に付けて、惨めを味わう。

 湧いてくるのは憎悪を超えて、羞恥。

 

 この女は自分に憎悪を抱かせるより、羞恥を抱かせるように言葉を操る。自分がどうしてこんなことになってしまったのか懇切丁寧に説明してくるし、神である自分の頭はそれを嫌でも理解させに来る。神の性質さえも利用してくる人間に、やはり自分は子供達を舐めていたのだと思い知らされる。

 ……それこそ、自分があのフリュネという眷属をもう少しコントロールできていれば今頃は。

 

 

「さて、では手始めに3つほど進めましょうか」

 

「3つ……?」

 

「1つ目は、今の貴女の眷属達の恩恵を全て解きます」

 

「は……?な、何故だ!?彼奴らを使えば私はまだ!!」

 

「無理でしょう。というか、どの面下げて命令するつもりです?こうなってしまった以上、今のように頭を下げても着いて来てくれる眷属が何人居ると?また魅了します?それこそ品を下げる行為でしょう」

 

「そ、それは……」

 

「変な危険を抱え込むくらいであれば、全て手放すべきです。未練にしがみ付かず、解放した方が楽ですよ。貴女にとっても」

 

「………………………どうすればいい」

 

「全てわたくしにお任せを。神ヘルメスを通してその機会は作ります。貴女は神ヘルメスに脅されて、眷属達の早期転職のために恩恵を解く。そして女神フレイヤに突き出される前に、貴女は逃げ出した。概ねの筋書きはこんなところでいいしょう、そこまで深く書く必要もありません」

 

「……分かった、お前に任せる」

 

「良い傾向です」

 

 

 一度コテンパンにされたからか、少し物分かりのよくなったイシュタルに彼女は微笑む。今は自分が何を言っても、その意見に自信が持てないのだろう。それもまた良い傾向だ。自分の意見に100%の自信を持つようなこと、本来すべきではないのだから。

 

 

「2つ目は?」

 

「ええ、取り敢えず彼女の人格を消し去りたいので手伝っていただきたいのです」

 

「彼女……?」

 

「実は先程からそこのカーテンの裏に眠らせていたのですが」

 

「なに……?」

 

 

 そうして彼女は手元の紐を引っ張り、カーテンを開ける。するとそこに居たのは、そこに倒れていたのは、ボッコボコにされて眠る……というか普通に気絶させられているフリュネ・ジャミール。イシュタルが唯一持つLv.5の眷属であり、大の問題児でもあった。

 

 

「フ、フリュネが何故……」

 

「猛者に殺されかけていたので、偶然を装って最下層に叩き落としてきまして。アレは流石にわたくしも冷や冷やとしました、猛者に対して話術はあまり意味がないと聞いていましたので」

 

「そ、そうではなく……!お前はさっき眷属の恩恵は全て解けと言ったではないか!」

 

「ああ、彼女は別です。彼女はその人間性からしても、野放しにすれば罪を増やすだけですので。そうなると貴女の品格まで同時に失墜します」

 

「……!」

 

「貴女が大事に手元に置いていた彼女こそ、誰よりも貴女の品格を下げていたのです。……とは言え、彼女は貴重なLv.5。これを利用しない手もないでしょう」

 

「……だから、人格を消すということか」

 

「ええ、再教育を施します。貴女の駒たるに相応しい人格に矯正し、まあ見た目ももう少しマシなものにしましょうか。……使える要素を持った人間を、使える形にして利用する。これもまた支配者に必要な品格」

 

「支配者の品格……!」

 

「ご安心を、わたくしも手伝いますので。イシュタル様であれば直ぐにでも身に付ける事が出来るでしょう。……もちろん、相応に努力が必要な大変な作業にはなりますが」

 

「構わん!!私の支配者としての素質を見せてやろう!」

 

「あー、はいはい」

 

 

 この程度の煽てで調子に乗り始めたイシュタルを放って、グラナは3つ目の用意をする。まあなんならこれまでの2つは割とどうでもいい。無くても、やらなくてもどうとでもなる。一番重要なのはこれ……

 

 

「さてイシュタル様、最後の3つ目ですが」

 

「よかろう!なんでも申すが良い!!この私が手を貸してやろう!」

 

 

「イシュタル様に"品"を身に付けさせます」

 

 

「……ん?」

 

 

「イシュタル様に"品"を身に付けさせます」

 

 

「……んん??」

 

 

 何度聞いたところで、何度も同じ答えが返ってくるだけである。

 シャッと開いたもう一枚のカーテンの裏、そこにあったのは凄まじい量の書物と衣服、そして化粧道具。もちろんそれだけではなく、なんだか色々と痛そうなものまであって……

 

 

「女神フレイヤに勝つためであれば、自分を変える努力をする。ここからはその具体的な話です」

 

「な……何を、する気だ……」

 

「常識、口調、佇まい、所作、雰囲気、容姿、心構え……直すべきところは多くありますわ。それらを徹底的に叩き直して、美の女神たりうるに十分な品格を備えさせます」

 

「そ、それではフリュネと同じではないか!!」

 

「する側とされる側、どちらも体験出来るとは幸運ですわね。ご安心くださいな。こちらも一切手を抜くことなくぶっ殺しますので」

 

「ぶっ殺すと言ったな!?今ぶっ殺すと言ったろう!?」

 

「今日までの自分は全て殺されると考えていただければ」

 

「嫌だ!!嫌だ!!絶対にやるものか!!お前のような女はやると言ったことは本当にやるだろう!!私は知っているぞ!!」

 

「つまり、諦めると?」

 

「う……」

 

「わたくしの頭の中には貴女が女神フレイヤの顔から余裕の笑みを消せるほどに成長する光景がありますが、貴女はそれを必要ないと。苦しい鍛錬より、女神フレイヤに完全敗北した上に再挑戦さえせずに逃げたという現実を受け入れると。そういう理解でよろしいでしょうか」

 

「〜〜!!」

 

「残念です、女神イシュタル。貴女であれば"必ず"成し遂げられると考えていたのですが、どうやら見込み違いだったようです」

 

「……………だ、だれもやらないとは言っていないだろう!!」

 

 

 (言ってましたけどね……)

 

 

 もう面倒くさいのでツッコミも入れない。

 まあある意味では、彼女のこういった挑発に乗りやすい部分は強味にもなるからだ。まあ治すべきところはまだまだ多くあるが、期待しているというのも本当のこと。

 

 

「では、先ずはその衣服全部脱いで、これを着て下さい。捨てるので」

 

「……なんだこれは」

 

「衣服ですが」

 

「いや、そうではなく……なんだ、このデメテル辺りが着ていそうな衣服は。彼奴より露出がない上に暑苦しいではないか、センスがない」

 

「こんな頭のおかしい痴女のような服を毎日着てるような奴に、お洒落を語る資格があると思っているのですか?ぶん殴りますよ」

 

「こ、こんなものは好みではない!!そもそも肉体とは見せ付けてこそだろう!!」

 

「はい、品がな〜い」

 

「なんだと!?」

 

「美とは女の手札、肉体とは女の切札。これを年中見せびらかしてるような女、どう考えても馬鹿でしょう。正しく馬鹿丸出し」

 

「ば、馬鹿……」

 

「そもそも、何もせずとも眼を惹ける美貌を持っていながら、わざわざ露出するとは大盤振る舞いもいいところ。それともイシュタル様はご自身の美貌に自信がないのです?だから露出を?」

 

「そ、そんなことがあるものか!!」

 

「ならさっさと着替えて下さいな。……いえ、その前に化粧を落としましょう。水浴びして来て貰っていいです?うわ臭い」

 

「臭い!?」

 

「化粧も香水も落とせ、濃過ぎる。あとその髪に付けてる変な油も2度と付けるな、全部捨てろ。その趣味の悪い金色の装飾品も売っ払いますので。髪型も絶望的なので修正しますわね」

 

「何も残らないではないか!!」

 

「何も残さないって言ってるんです」

 

「私のこだわりが何故わからない!!」

 

「誰にも理解されないような拘りなど捨てるが吉。1人で生きていくのならまだしも、貴女は美という大衆的な観念で彼女に勝ちたいのでしょう。個人の感性など捨てて大衆の好みに合わせなさい」

 

「ぐ……こ、これで何の成果も得られなかったら許さないからな!!」

 

「少なくとも今の貴女よりマシな評価は貰えるはずなので安心しなさいな。ほらさっさと行け、美の底辺」

 

「覚えていろよ!!」

 

 

 こうして女神イシュタル改造計画は密かに始まった。

 いつか必ず女神フレイヤに再挑戦するために……彼女は文字通り何もかもを捨てて、努力をし始めた。

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