みんなのアイドル、まこーらになってしまったようだ 作:やめちっち
僕は魔虚羅マコ!
ってことで気づいたら魔虚羅になってた成人男性です(可哀想)。なんか朝起きたら、暗闇の中でビックリ。それに周りに白と黒の二匹のわんチャンや顔がイカつい鳥さん、バカみたいに大きい鹿さん、お腹に紋様のあるカエルなどがいて更にビックリ。イカれた動物園に迷い込んでしまったと思い、慌てて逃げようとすると脳内に膨大な情報が叩き込まれた。『テメェは魔虚羅だ!(意訳)』だったり、『黙って適応してればいいんだよォ!!(意訳)』だったり、『禪院家の相伝の術式だよん(意訳)』だったりと。
そこで俺はその情報から自分が『呪術廻戦』の魔虚羅になってしまったんだと理解してしまった。『呪術廻戦』ってのは簡単に言えば主人公の虎杖悠仁がひたすら曇る漫画ですね。そんな世界に来てしまったみたい。まこーら、誠に遺憾であります。いやマジでどうしよう、って焦りまくった。やれやれ、困ったもんだ。
しかし、俺はなんでも適応できちゃう まこーら。この焦りさえも適応。今では魔虚羅としていつ呼ばれてもいいように構えてます。バッチこいよ!(来ないで)
そして今の俺は伏黒恵君の影の中からサングラスかけた白髪の男を目にしてる。そう、あの自他ともに認める現代最強の呪術師――五条悟だ。ということはあと十年したら原作が始まっちまうってことですよ。それから何やかんやあって宿儺のお手本として五条先生を相手に頑張らなきゃアカンのです。
……荷が重すぎる。
一応、影の中で他の式神たちとまこーらフィットネスで体を鍛えてるから結構戦える自信がある。が、五条先生を相手にするのは訳が違うじゃないですか、ヤダー。宿儺バフが掛かるとしても無理だって!
魔虚羅としては宿儺みたいな呪術センスの優れた人のもとで働きたい。でも、『呪術廻戦』の一読者としては伏黒君には幸せになってもらいたいもので。ならこの まこーらが一肌脱ぐしかないだろう。
その前にいくつか疑問がある。そもそも影から召喚された時に俺は召喚者である伏黒君を攻撃しなければならないのか? 勝手に攻撃とかしたりするものなのだろうか? もし、俺が魔虚羅としての責務を果たすために初手で伏黒君をボコさなければならないなら原作と変わらなくなってしまう。
しかし、今の魔虚羅は成人男性と融合したスーパーまこーらだから調伏の儀で敢えて負ける……なんてことができそうだ。そしたら、まこーらフィットネスで伏黒君を鍛えてフィジカルゴリラにしようじゃないか。流石にパパ黒みたいな理不尽ゴリラにすることは出来ないけど。問題は伏黒君からまこーらを調伏しようと行動に移すのか、という点だが、困ったら即魔虚羅で片付けようとする奴なので、俺が無理やりそのタイミングで影から飛び出ようと思う。
早く外の空気が吸いたい。
今、俺たち式神は影の中で仲良く追いかけっこ遊んでいる。
ん? なんで遊んでいるかって? それは暇すぎるからだ。娯楽という娯楽が式神たちとのお喋りか伏黒君が中学で不良をボコボコにしているのを影の中から見ることくらい。
因みにもう飽きた。が、鵺や脱兎はニコニコしながらやってるため止めようにも止められない。コイツら可愛いすぎる。今度、遊び道具でも持ってきてもらうか。玉犬が影から出る際に頼めば持ってきてくれる。前にトランプを持ってきてと頼んで時に咥えて持ってきてくれた。でも気をつけなければならない。持ってきてすぎると伏黒君に負担かかっちゃう。更にそのことがバレれば怒られてしまう。怖い、怖い。だから、ボールを持ってきてもらおう。一つあればサッカーだったり、バレーだったり出来るし。
あ、大蛇が呼ばれたみたいだ。
『マコマコ!』
『……』
大蛇に頑張って! と応援したら笑みを浮かべて頷いてくれた。本当に可愛い奴だ。もし、宿儺にでも壊されたら怒り狂って禪院家をぶち壊しかねない(とばっちり) それほど愛着が湧いている。ウチの式神に手を出すんじゃないわよ!!(オマエのじゃない)
とうとう原作開始の時がきた。さっき、虎杖を追いに病院へ向かってる最中だし。長かった、凄い長かった。恐らく今日、伏黒君は俺を呼ぼうとする。そこで無理やり影から飛び出そう。最悪、本能の赴くままに伏黒君を攻撃しちゃってもすぐに五条先生が来るから大丈夫なはずだ。ばず……だよな? てか、伏黒君死んだら俺ってどうなんの? これ絶対に伏黒君に攻撃しちゃいけないやつだ。
『オマエを呪いとして祓う』
あ、伏黒君が俺に助けを求めてきた。本来だったら呼ばずに済むんだけど最悪な未来を回避するためには無理やり行くしかないんですよ。式神たちが俺に手を振って応援してくれるし。嬉しくて泣いちゃうよ、ありがとうございます。
▽
「オマエを呪いとして祓う」
伏黒は宿儺に対抗するため式神の召喚準備をする。
「いや、なんと――」
虎杖が両手を挙げ、無事だとアピールしている、その時。
伏黒の影から感じたことのない強力な呪力を纏った異形が片腕を挙げて嬉々として飛び出てきた。
『マコォ!!!!!!』