みんなのアイドル、まこーらになってしまったようだ 作:やめちっち
『マコォ!!!!!!』
伏黒の影からは笑みを浮かべた異形が飛び出した。
「なっ!? まだ途中だぞ……ッ!!」
「うわ!! なんだこのデカイの!!」
伏黒はまだ "八握剣異戒神将魔虚羅" の召喚途中であったが、影から勢いよく飛び出してきたことに、虎杖はいきなり目の前に現れた虎杖、伏黒の身長の二倍以上ある巨大な異形の存在に驚いた。
魔虚羅は虎杖の方を向いていた体を伏黒へ向け、大きな腕から伸びた剣――対魔の剣を伏黒へ。
(元々俺の油断が招いたことだ)
「すまないな、虎杖」
伏黒の術式――十種影法術は自身の影を媒介に十種類の式神を召喚することができる。しかしそれらの式神を扱うにはその式神を調伏しなければならない。調伏は複数人で出来るが、その後調伏は無効になる。今、調伏の儀には虎杖と伏黒の二人。この時点で術者にとってこの調伏の儀は意味のないものとなる。
では何故、伏黒はこのタイミングで召喚したのか。
伏黒が今回召喚した式神は十種の式神の中で最強と呼ばれ、過去に調伏出来た物がいないと言われている程、強力な式神。勿論、伏黒にはその式神を倒す実力はまだない。目の前にいる宿儺を倒すために自分の命を捨て、召喚した。
伏黒は迫り来る魔虚羅の攻撃に目を瞑り、待つ。
待って、待って、待ち続けた。
しかし、一向に体に痛みが走ってこない。
恐る恐る目を開けて視界に魔虚羅を入れると、魔虚羅の右腕が伏黒の右手に伸びて止まっていた。
「…は?」
伏黒は思わず困惑の声を漏らす。
本来、調伏の儀に複数で参加した場合、まず召喚者である術者へ攻撃がくる。その後、残りの人へ攻撃が向かう。しかし、目の前の魔虚羅は腕を伸ばした状態でいるだけ。
すると、魔虚羅は強引に伏黒の右手を掴む。
『マコ、マコ』
魔虚羅は握った手を上下に振る。
「…どういうことだ?」
伏黒は顔を斜め上に上げ、魔虚羅の顔を見る。
(……目が合ってしまった。なんなんだコイツは……?)
伏黒と目が合った魔虚羅は口角を上げ、更に激しく上下に手を振った。
「なあ、伏黒。ソイツも式神って奴?」
「あ、ああ、そうだ。そうなんだが……」
伏黒は死を覚悟してまで召喚した式神が自分と握手をして喜んでいる? ことに何が起こっているか理解出来なかった。
そんな伏黒が頭を悩ませている時、ある人物がやってきた。
「今、どういう状況? いや、ホントにナニコレ?」
「なっ!? 五条先生! どうしてここに!」
「や! 来る気なかったんだけど……さ。って、まずなんで魔虚羅と握手してんのか教えてよ。もしかして調伏出来た?」
「……出来てないです。呼んだら握手してきて」
なにそれ、ウケる。と言いながら五条は魔虚羅と伏黒が握手をしている写真を笑いながら撮る。すると、魔虚羅はカメラに顔を向け、マコマコ〜と言いながら空いている左手を振る。しかし、そんな魔虚羅に五条は『因みに式神だから写ってないけどね』という無慈悲な通告。それによりマコォ……と落ち込んでしまった魔虚羅。そんな姿を見て虎杖が慰める。
「アレ? そっちの子は?」
五条は魔虚羅の背中を摩る虎杖を見る。
「虎杖です。コイツが……そ、そうだ! 受肉したんです、特級呪物を!!」
「え、マジ?」
「ごめん、食べちゃった」
五条は顎に手を当て、虎杖をジッと視る。
「ははっ、本当だ。混じってるよ」
「なあ、黒い鉢巻きみたいなの巻いてて見えてんの?」
虎杖は先程から視界を覆っているにも関わらず、迷いなく歩いている五条を見て当然の疑問を投げる。
「視えてるよ、バッチリとね。それより体に異常は?」
「特には……」
「宿儺と変われるかい?」
「スクナ?」
「君が喰った呪いだよ」
「あぁ、多分できるけど」
五条はそれを聞いて、軽い準備体操を始める。
「じゃあ、十秒だ。十秒経ったら戻っておいで」
「でも……」
「大丈夫、僕 最強だから」
そう言った瞬間、伏黒の横にいた魔虚羅がマコォォォオオオオ!! と雄叫びを上げ、あの大きな体でぴょんぴょ……ドンドンと跳ね……大暴れし始めた。
「は!?」
「うわっ!? ビックリした!! この式神、見た目の割に可愛いんだな」
「お、魔虚羅、応援してくれるの? じゃあ、頑張らないとね」
魔虚羅は恥ずかしくなったようで、手で顔を隠した。隠しきれていない頬はほんのりと赤く染められていた。
(コイツ…… 本当に過去に調伏した術者いないんだよな……?)
そんな魔虚羅を見た伏黒は冷たい目で見ていた。
▽
やべぇ、『僕 最強だから』を聞いてついテンションが上がってはしゃいでしまった。それに五条先生がシェイクハンドまこーらの写真を撮ってたから、ファンサまこーらしたのに……。写真に写らないことを完全に忘れてた。いい歳こいた大人なのに、お恥ずかしい限りです。まこーら、超反省マコ。
そんな恥かいた俺は大人しく五条先生と宿儺との戦闘をしっかりと目に焼き付けました。これで適応できればいいんだけどね。残念ながら、ガコンと鳴らなかったです、トホホ。まあ、たった十秒だったけど良い収穫になったんじゃないでしょうか。俺もあんな感じで暴れたいなー。
その後は原作通り、伏黒君が『死なせたくありましぇん!!』みたいな感じで、ついでに俺も頷いといた。それで五条先生が『可愛い生徒と魔虚羅の頼みだから』って何とかしてくれることになった。
それと影の中へ戻る前に調伏を近い内にしましょう、とお願いした。伝わったか分からないけど。多分伝わってない。喋ろうとしてもマコマコとしか言えないし、地面に退魔の剣で字を書こうとしても勝手に手がマコマコって書いちゃうから、サインランゲージまこーらで伝えることしか出来なかった。とても不便だ。無敵で最強で、一秒で適応する超天才式神( ガチ)、前世イケメンモテモテ成人男性(大嘘)のスーパーまこーらでも弱点があったとは……。計画を修正しないといけないマコ。がんばりまぁす!!
そんなこんなで、お疲れさまこーら! と五条先生と伏黒君に手を振って影へ戻った。五条先生は振り返してくれた。嬉しいマコ。
アニメでまこーら出てきたやんけ! 凄い綺麗な脚だった! 是非とも踏んでもらいたい(キッショ)