とある護符の四大使い(エレメンツクァルテット)   作:はらさきりいあ

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第二章 接触

*上条サイド*

 

 

 

 転入生へと視線をそらした上条が見たものは、想像以上の容姿の者だった。「おぉ……」とつい感嘆の声を挙げるほどに。

 

 髪はプラチナブロンドのショートヘア。左右ひと房ずつ伸ばしており、赤の細かな刺繍(ししゅう)の入ったリボンで緩く結んである。

 

 瞳は藍紫色(らんししょく)で、フレッシュ色の肌にはくすみ一つない。

 

 

品咲行火(しなさきあんか)です。どうぞよろしく」

 

 と品咲は一礼した。それに続き子萌先生は、

 

「品咲ちゃんは地毛でこの髪なのですー。えっと前は江井筑(えいつく)高校に居ましたのですよー」

 片手に生徒名簿を持って品咲のデータを読み上げる。2,3分ほど小萌先生は紹介した後「あの席ですよー」と上条の席の後ろを差す。

 

 品咲は「はい」と会釈して上条の後ろへと向かった。柔らかな花の様な匂いがし、品咲が通った後、通路沿いの生徒はみな品咲を目で追う。

 

「それでは自己紹介も終ったことですしー、その他のことはチャッチャと終わらせましょうねー」

 

 と今日の予定などを小萌先生は簡潔に伝達すると、きーんこーんかーんこーん、とチャイムが鳴った。上条はどうしようもない疲れと転校生への僅かな興味が混じった息を吐いた。……今日もどうやら長い一日になりそうだ。

 

 

 

*アンデリカサイド*

 

 

 

 授業前の自由時間になると品咲は生徒の質問攻めにあっていた。

 

『ア……アンデリカ……。大丈夫か?』

 

 とリボンから囁き声が出てきた。品咲──アンデリカ=フォン=ビンゲンは何食わぬ顔で「んー、大丈夫かなー?」と返信する。

 

 囁き声の主は大監督(だいかんとく)、正しくいえばドイツ福音詩想派(ふくいんしそうは)大監督・ヘトヴィッヒ=メンゲルベルクである。彼はドイツの総本部で真剣にアンデリカのことを心配していた。なんせ相手は自ら魔術サイドの(つい)の科学サイドの(おさ)・学園都市である。魔術サイドの小勢力のドイツ福音詩想派などが対等に接することが出来るような相手ではない。

 

 それなのになぜヘドヴィッヒはヒラの信徒のアンデリカを学園都市に送り込んだのか。それは…おそらく読者の方は察しているであろう、アンデリカは(くらい)ではヒラなものの、とっておきの武器があるのだ。まぁ、それはまたの機会に披露するとして。

 

 

『なら、いいんだがな……。それで、お前の標的は前の席の奴だからな。ベストな位置ってことで喜ぶべきだろうな。』

 

 とヘドヴィッヒはまとめて通話を切った。アンデリカは「あいあいー。」と適当に相槌を打って前の席の上条を見る。見た目は思ったより普通。ヘドヴィッヒからの書類にはただ「相手は異能の力を打ち消す『幻想殺し(イマジンブレイカー)』」とだけ書いてある不親切な資料だったので、外見等の情報はアンデリカは知らされていなかったのだ。

 

(まぁ、とりま警戒するとしましょうかねー)

 

 とアンデリカは再確認して次の授業の準備を始めた。

 

*上条サイド*

 

 

 

上条は盗み聞きをしていた。いや、聞こえは悪いが作業をしつつ品咲のプロフィールを入手し、そこで分かったのは、「品咲は水流操作(ハイドロハンド)の無能力者《レベル0》」であることや、「告白されたことは無い」こと、「英語とドイツ語が話せる」ことが分かった。

 

 その後ある程度質問が終わったのか人は品咲から人が離れて行った。そして上条は椅子を後ろに座り品咲に声をかけてみることにした。

 

「えっと、品咲……だっけか?俺は、「上条当麻クンかな?」」

 

 と途中で品咲は上条の名前をピタリと言い当てた。「は?」とポカンと口を開けて硬直している上条を見てクスリと品咲は笑い

 

「んーと、とりあえず、ごめんね。これからよろしくね☆」

 

 キラぁぁぁッ!!と天使の(よう)な満面の笑みを首をかしげつつ品咲は浮かべた。すると髪をまとめていた左側の赤のリボンがしゅるり、と落ちた。

 

 上条は反射的に右手で拾った。すると、パァン!とリボンは散り散りに散った。

 

「ッ?!なぜ幻想殺しが……?!」

「えーっと、上条ちゃんとー、品咲ちゃーん?授業始めますですよー」

 

 と幻想殺しにリボンの何が反応したのか合点がいかない顔で黒板へと視線を戻す。品咲は、

 

「ふっふー。それはまた今度ねー?」

 

 とどこか詰まる言い方で品咲は笑顔でヒラヒラと手を振って黒板を見た。

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