異世界転移し、最弱と決め付けられたが少年が世界救う為に戦闘機と共に空へ羽ばたくだけの無双物語 作:デルタイオン
外が街灯の明かりに照らされる深夜。部屋の中でテレビに向かい合い真剣にコントローラーを操作している男の子が居た。彼の名は
今しているのはゲーム。ソフトは『エースコンバット7』と言うもの。戦闘機を操りミサイルを回避し画面酔いするほどの高速戦闘をしている最中である。
「クソ!!やっぱ強いなメビウス先生は!?」
当てられない。当たりそうなのに絶対に当たらない瀬戸際を5分も続けている向こうの神経に恐れを感じる。
0.1秒の操作ミスすらも許されないこの戦闘。追い込んでいるのは確実にこちらのはずなのに追い込まれているかのような危機感が頭から離れない。
隙がない。見えるはずなのに見えていないまるで幻を見ているかのように。
「機体に『幕引き役』だなんて入れるから本気だとは思っていたが!!」
いや、そうではない。雲の隙間から見える奴の機体。遊んでやがる。遊ばれているのだ。
F-22Aと言う最新鋭ステルス戦闘機ですら奴の機体には追いつけない。特殊兵装に搭載されている8連ミサイルを全弾発射するが、軽く躱されてしまう。
「なんで追いつかない……だって向こうは世代落ちのM2000だぞ!?」
戦闘機には世代があり、M2000と呼ばれる戦闘機は第四世代。それに対しこちらは第五世代戦闘機である。
ミラージュ2000。機体名の幻影の如し動きを行う奴に張り付くのだけでも至難。ミサイルは回避され、機銃すらも照準を合わせた瞬間そこに居なかったかのように消えている。
「離れれば後ろに。このまま引っ付いても状況は変わらない。まるで奴の敷いた線路の上を走ってるような気分だ……」
敷かれたレールを走ってるだけのような気分。そのレールは気を抜けば脱線してしまうような複雑な線路だ。線路の上を走っていれるだけでもかなり上達したのかもしれない。
「ならば……意図的に脱線してこちらに!!」
ずっと回っていても状況は変わらない。一か八かに賭け反対方向へ機体を旋回させる。
それを見逃さずミラージュはこちらに旋回を始めた。どうやら乗ってくれるようだ。
このゲームには少し面白い操作がある。コブラ機動だ。ミラージュにはできない変態機動。
ヘッドオン時に攻撃を仕掛けるが悉く回避されシザース状態へ入った。何度も交差する2機は次第に推力を失い減速する。車と同じように減速すればするほど小回りが効くし前に進まなくなれば旋回もできなくなる。
だが、こっちは違う。
推力を規定の値まで下げたF22-Aをポストストールマニューバと呼ばれる状態にし、機首をミラージュへ向ける。
機銃の照準が機体に重なれば引き金を引く。これでこちらの勝ちだ。
照準が機体と重なるまであと少し。時間にしてやっと1秒になるかもしれない。気づいたがもう遅い。毎分6000もの弾丸。まるでレーザーのような実体弾が蜂の巣の言葉通りに機体を粉々にするだろう。
だが、それは当たればの話である。
突然視界内から消えたミラージュ。何が起きた?
消えた?何処にだ?下だ。真下?いや違う。この
『アルファ1!ロスト!!撃墜された』
AWACSの監視員が無慈悲にそう叫ぶ。負けたのだ。
想像ができない。何故後ろを取られた?わからない。
「何をしたんですか……メビウス先生」
そうマイクに告げる。帰ってきたのはメッセージのみ。
『いつかできるようになるのかもしれない。君にはその才能がある』
「え〜……」
いっつもそうだ。いつかいつかとのらりくらり躱して一切教えようとしてくれない。だから負け続けるしかないのだ。違う条件で同じ動きをしてもらうしかない。その度に敗北を重ねる。
サドだ。生粋のサディストだこの人は。
『もう夜遅い。明日に響くだろうから今日はここまで』
「あ、そっか。明日は月曜日か……」
学生の自分は必ず投稿しなくてはならない。地獄の5日。その日が今日である。
楽しみはここまで。来週を夢見て自分は寝なくてはならない。
「わかりました。でもこの前のもあるんですよ!!それも教えてくださいね!!」
そう告げ俺はグループを解きゲーム機の電源を切った。
深夜0時を過ぎた。身がやっと休息を取れるとベットに沈み込んでいく。
そして、まぶたを閉じた。