原神 自分を一般人だと思い込んでいる主人公の兄   作:アリエイルでしょ

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雑にカットしたモンドの面々は未来の自分に任せます。頼むぞ。


お礼参り-璃月編-1

 

 モンドを出て数日経過。遂に、ようやく、やっとのことで璃月港に到着した。

 結構な距離だったが、この身体は頑丈なのか全くもって何ら問題ないのが逆に怖い。でも精神的にすごく疲れたと思う。なにせ毎日何時間も妹と手を繋いで移動していたので、そんな非日常を過ごしていればそりゃもうゴリゴリと精神が削れていくのを感じた。

 

 

「ふぅー…着いたか、そうだ! 街の中入ったし手離していい?」

 

「駄目。それにしてもこっちに来るのも久しぶりかも」

 

「そうか? 白朮に会うために割と最近に来た気がするけどな~」

 

 

 ごく自然な流れで提案した手離しは即否決され、そのまま何事もなかったかのように話が進む。因みに道中も同じようなことを何回か試してみたけど必ず却下されてる。話の勢いでいいよって一回も言わないのは地味にすごい。

 

 

「この後どうしよっか。お昼でも食べる?」

 

「おお! 香菱も居るだろうし万民堂行こうぜ! オイラ、スライムを食べたいぞ!」

 

「まだ昼食には早すぎる気もするけどな」

 

 

 時間を確認するも、まだ正午までは2時間近く残されている。ついでに朝食を取ってから時間も大して経過していないので腹もそんなに減っていない。それにスライムって…可能なら遠慮したいところだ。

 

 

「んー… あ! そういやオマエって最初璃月に行こうとしてたんだってな。 ジン団長が言ってたぞ!」

 

「え? ああ、鍾離に会えば帰り方とか自分のことなんかがわかったりしないかなって思ってた」

 

「なら折角だし会いに行こう。 …胡桃なら居場所とか知ってるかな?」

 

「とりあえず行ってみればわかるだろ! 早く行こう、そしてその後は昼食だ!」

 

 

 鍾離に会えるのはいいんだけど…さっきからどんだけメシ食いてえんだよこの非常食。

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、あそこで講談を聞いてるのって鍾離じゃないか?」

 

 

 往生堂へ向かう途中、声を上げたパイモンの指さす方向を見れば そこには凛とした佇まいの男性がテラスの座席に腰を掛け、優雅に茶を啜る姿が視界に映る。うーんこのイケメン。流石は神といったところか。

 なにやら彼は講談を聞いていたみたいだが、丁度終わった頃合いなのか、タイミングよく講談者が立ち去る瞬間だった。

 

 

「今終わったのかも… ラッキーだね。ほら、行こう?」

 

「いや手… せめて普通の手繋ぎにしてくれない?」

 

「嫌」

 

 

 現実は非常である。今現在手を繋いでいる状況だが、問題なのはその繋ぎ方で、普通に手を繋いでいるのではなく、指を絡める恋人繋ぎであるというところだ。

 常時恋人繋ぎって訳では決してない、ほんとマジで。その辺は彼女の気分で決まってるらしく、確率的には多分半々くらいだが… 人(というか神)に会うタイミングでこれはつらい。

 

 

「おーい! 鍾離ー!」

 

「ん? 久しいな、お前たちか。隣にいる者は…その様子だと再会できたみたいだな」

 

 

 そう呼びかけるとこちらの方に身体を向け、薄い笑みを浮かべながら挨拶を返してくる。目の前に居る兄妹の恋人繋ぎで手を繋いでいるという、少々おかしい絵面にも特に反応せず、まあ座れと促す鍾離。触れないのもありがたい配慮ではあるが… 咎めて欲しかったな。

 

 

「うん。紹介するね、なんか記憶が変だけど…お兄ちゃんの空だよ」

 

「なんか言い方悪いな… どうも。空です、妹が世話になってます」

 

「鍾離だ。そうかしこまる必要はない。今の俺は只人だ、それに俺と彼女との間には[契約]がある、その血縁であるお前もまた同様に[友]だ」

 

 

 当然、お前がよければの話だがな。と真っすぐこちらを見つめて言ってくる鍾離。顔面偏差値の暴力で殴ってくるのやめてくれない? 油断したらときめいてしまうかもしれない。

 

 

「して、記憶が変とはどういうことだ? 俺がどこまで役に立てるかはわからないが、聞かないことには始まらないからな」

 

 

 先ほどの挨拶にて、その言葉が引っかかったのだろう。彼にもウェンティにも伝えたように蛍と過ごしたこれまでの記憶ないことや、この世界のことをある程度知っていることを伝える。多分異世界から来たっていうことも念のため伝えておいた。おそらく信じられてないと思うけども。

 

 

 

 

 

「そんな感じで、コイツはこのテイワットに来る前に蛍と一緒に居た記憶がないらしい。その他にもオイラたちのことや、鍾離のこととか、この世界の住人について知ってたみたいなんだけど… なんか知ってたりしないか?」

 

「ふむ… 」

 

 

 俺の記憶に関してなんか知らないかなどと、曖昧な内容かつざっくりとした質問をぶん投げるパイモン。とはいえそう伝えるしかないのが実情ではある。

 そして、そんなこれまでの経緯を聞き、なにか心当たりがあるのか思い出すように俯き考え込む鍾離。

 

 

「お前のそれは摩耗とは異なり、記憶の混濁が引き起こしているが故の事象か? …もしかするとスメールに存在する缶詰知識と呼ばれるものを使ったのかもしれないな」

 

「記憶の混濁…?」

 

「缶詰知識なら使ったことあるけど私は平気だったよ。お兄ちゃんって頭の容量少ないの?」

 

 

 茶化すな。そしてナチュラルに煽るな。俺はお兄ちゃんだぞ。

 …記憶の混濁という言葉だけを読み取れば複数の記憶が混ざっているという風に聞こえる。でも空としての記憶なんてないが… それ程この俺の記憶が強いとか? いや、こういうのは一旦すべてを聞いてから考えるべきか。

 

 

「きっとお前が使ったのは一部の経験だけを抜き取った記憶だったのだろう」

 

「確かに… 戦闘経験がどうこうとかだったはず」

 

 

 蛍の言葉を聞き、直前の言葉だけでは説明が足りていないと感じたのか、鍾離が言い足らなかった所を補足する。

 

 

「今回のケースはそういう話ではない。 先ほど言ったことが仮に事実であるとすれば、短期間で余程の量を詰め込んだのだろう。例えばだが…短時間に多くのことを覚えようとすれば、どこか抜け落ちたまま覚えたり、複数のことが絡み合って間違ったまま覚えてしまうということもあるだろう。それらと比較すれば些か規模が違い過ぎるが、それに近しいことがお前に起きているのかもしれないな」

 

 

 最も、あくまで今聞いた話から推測しただけではあるが、と彼は言うがとても腑に落ちた気もする。異世界から来たという俺の過去を詳しく思い出せないのも、蛍のことをたまに懐かしく感じるのも、記憶が混ざった結果…ということか? しかし仮にそれが事実ならなんでまたそんなことになったって話が浮上するが。

 

 

 

 

 

「あー! やーっと見つけた! 鍾離さん!! なんでまた財布忘れて出掛けちゃうの!?」

 

 

 自分なりに考えをまとめていると遠くの方から(一方的に)知っている声が聞こえてきた。どうやら彼は財布を忘れたまま出掛けていったらしい。

 

 

「むっ… どうやら失念していたようだ。どうもモラを持ち歩くという感覚には慣れん」

 

「げっ! オマエまた財布持ってなかったのかよ… 胡桃が来てくれなかったら、ここの代金はオイラたちが支払うことになってたかもしれないぞ…」

 

「今は便利な財布も居ないしね」

 

 

 その財布ってもしかして、どこぞの執行官のことを指して言っているのか…? なんとも扱いが可哀そうなやつだと思う。

 しかし鍾離はそんなやり取りを聞きながらも笑い、その場合は後ほど返すと言っているが…なんでだろうか、契約の神なのにそのイメージが全然できない。

 

 

「おやおや~? 久しぶりだね蛍にパイモン! それと初めまして蛍に似た人!」

 

「おう! 久しぶりだな胡桃!」

 

「こんにちは胡桃。こっちは私のお兄ちゃん」

 

 

 いつも通り紹介される俺。その後の雑な自己紹介もモンドで何度も経験したからか慣れたものだ。いつも通り適当に挨拶しておく。

 

 

「空です、よろしくね」

 

「うん、よろしく! それにしても… 鍾離さんってば、私に内緒で彼女たちと会ってるなんて! 少しずるくない~?」

 

「俺もつい先ほど出くわしただけだが…」

 

 

 目の前ではハイこれ、と胡桃が鍾離に財布を渡しているが、そんなことよりも彼女のある一点に目が奪われる。

 

 凄いな、瞳孔どうなってんだこれ。実際に目の当たりにすると気になってしまい、ついつい彼女の目を見つめてしまう。

 

 

「んん? どうしたのお兄さん、さっきから私のことじーっと見つめてるけど」

 

 

 目だよ。その瞳がどうなってるか気になったんだよ。逆に聞いてみたい、一族が皆そんな感じの瞳孔をしているのか。 …なんて、初対面で聞くのは流石に失礼すぎるので口が裂けても言わないが。

 

 

「ん、なんていうか瞳孔が… いや、瞳が魅力的だと思って」

 

 

 おまえは何を言っているんだ。

 

 いや違う、違うんだよ! 会って早々相手の目を見て変だなんて言うのは論外だし、特徴的って言うのもちょっと良くないだと思っただけで…

 言葉を間違えたんです。本当にそれだけなんです。なんだよ目が魅力的って、ナンパかな? 我ながらセンスはないみたいだ。

 咄嗟に出た言葉に気恥ずかしさを覚え、つい目を逸らすが…これも良くない反応だ。なんかこう、照れて目を逸らしたみたいで最悪… なんで全部やらかした後に気がつくのか。

 

 

「…これってもしかして、口説かれてる?」

 

「違うよ胡桃。そんなことないよ、絶対。 ………ふぅ、お兄ちゃん。なに変なこと言ってるの?」

 

 

 驚異的な反応速度で胡桃に対して即否定する蛍。違うってことは合ってるけどなんでそんなスピードで反応できる? しかし変なことを言って場の空気をおかしくしたのも事実なので大人しく反省して謝罪する。テーブルの下で握られてる手も痛みを通り越して何も感じないしね。

 

 

「ごめん、本当にごめん。言葉を間違えた… ただこう、瞳を見ていただけなんだ」

 

「瞳?」

 

 

 こちらの言葉に疑問を浮かべる胡桃。中々個性的な瞳をしているため言われ慣れているか~なんて思っていたが、案外言われないのかもしれない… テイワットではそんなに珍しいものでもないのか?

 

 

「胡桃の目はキラキラしてるからな! 引き込まれるのもなんとなくわかるぞ!」

 

「なーんだ、そんなこと? そんなの好きなだけ見ていいよ~」

 

「あー、うん。ありがとう?」

 

 

 これ以上やらかしてしまうと隣に座る妹にまた噛みつかれるかもしれないので、余計なことは言わずに適当にやり過ごす。来たばかりの国で首筋に花を咲かせることになるのは絶対に避けたい。

 隣からの圧力を警戒しながら自分なりに今後の方針をまとめていると鍾離が席を立ち始めた。用事かなにかだろうか。

 

「そろそろいい時間だ。お前たちも居て、胡堂主も居る。実にいい機会だ。これから昼食でもどうだろうか?」 

 

「おっ! いいね~ じゃあ鍾離さんのおごりで!」

 

 

 当然だ。と、彼は気さくな笑みを浮かべながら財布を掲げるが…その財布はたった今目の前で世話になっている、うら若き堂主に忘れ物として届けられたという事実が、彼の神秘的なカッコよさを台無しにしていた。風神に続き彼までも…この世界の神は皆どこか抜けているのだろうか?

 




この度は自分が書き溜め作るのに向いてないことに気づけた貴重な機会だったと存じます。
展開だけ雑に決めたのでライブ感で適当に生きていこう。
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