原神 自分を一般人だと思い込んでいる主人公の兄 作:アリエイルでしょ
閲覧、感想ありがとうございます。モチベになってると思います。
目の前の誘拐をするような不法滞在の犯罪者に口論で無様にも敗北した俺は、腹いせに戦闘となった現在水鉄砲で顔を狙う嫌がらせをし、人としての程度が知れるほどの底の浅い仕返しをしていた。
俺がそんな器量が狭いことを繰り広げている最中、刻晴は戦場を縦横無尽に動き回り、相手を片っ端から滅多打ちに、鍾離先生はどうやってるのか知らないけど何らかの手段で倒れた相手を捕縛し、それはもう見事な連携プレーを見せている。
「流石刻晴… やっぱり強いね」
「それに鍾離も凄い。そんでもって俺たちはこの手もあって無能晒してるけど…これでいいの?」
「いいでしょ。感電させてるし、そこそこ役に立ってるはず」
繋がれた手を掲げ、やや遠回しな非難をするが、彼女は一顧だにせず俺と同じように水鉄砲で遊んでいた。彼女も俺と同様に相手の顔を狙っている。変なところで気が合うね俺たち。
「なぁ、オマエたちその調子だといつか本当に痛い目みると思うぞ」
「痛い目に遭って解決するなら是非とも遭遇したいもんだけど」
一時の苦痛でこの先の安泰が得られるなら安いものだと心から思う。マジでどこからか痛い目降ってこないかな…
「大丈夫だよ、私たち強いから」
「まあそうだけど… 大体空も本当に嫌なら強引に振りほどけばいいんじゃないか?」
「難しいことを言うなパイモン。それを実行したら腕が1本減っちゃうだろ」
流石にそんな力強くないよ、と俺の発言をただの冗談と受け取り無邪気に笑う蛍。当然俺からしたら冗談でもないし、仮に強引に振りほどけたとしてもその後が怖いと思う。とはいえ俺のこういった考えを口にしたら彼女の反感を買うだろう、態々虎の尾を踏むような真似はしたくないしもう黙っていよう。
…そういった凡そ戦闘時とは思えない会話を得て、俺たちの周りだけ若干和やかな雰囲気が流れ始めていたが… その一方で目の前に広がる光景はまさに阿鼻叫喚と言えるような状態だった。
「クソっ! 誰かあの女を止めろ!」「む、無理だ! 早すぎる… うおッッ!!」「こ、の…! なんだこれは…動けねぇぞ!?」
宝盗団の抵抗も虚しく、後から駆け付けた援軍らしき者も数秒で地に伏せ他の奴ら同様拘束される。それほどまでに隔絶した実力差があるのだろう。
それに、俺を不当にシスコン扱いしてきたやつらが一方的にやられていく様を見てざまあみろという気持ちが湧いてくる。気分がいい。
「千岩軍があれ程までに慎重だった意味がわからないわ、この程度の相手なら彼らでも問題なく取り締まれたでしょうし… 軍の意識改革を提言した方がいいかしら…」
「国を、そして民を守ることこそが彼らの職務だ。ここが陽動などの可能性も考慮し、万が一が絶対にないようにすることも大切だろう」
「それもそうね、私が行けば済む話でもあるし…」
「いや、それはそれでどうかと思うけどね」
テイワットは武闘派が多くて困る。まだ実際に会ったことはないけど、どこぞの国の書記官とかもなんであんなに強いんだろうね。
自らが解決するという、やや強引な解決策を改めて認識した刻晴。彼女ほどの実力者の身になにかあるとは中々思えないが心配ではある。
「…計22人? 結構居たね」
「だな! 何事もなく制圧できたみたいで良かったぞ」
刻晴と鍾離が無力化した人数を数えていた蛍。それにしても22人とは…誘拐にしては大規模すぎるような気がしなくもない。この規模で取引ってなれば相手は大体想像通りの…
「グゥオパァーの場所がわかったわ、ついてきて頂戴」
連中の取引先のことをぼんやりと予想していた中、刻晴がグゥオパァーを発見したとのことで声を掛けてきた。
「まあ態々彼らに聞かないでもわかってたとは思うけれど…向こうのテントの中ね、あの露骨に見張りが多かったところよ」
「だろうね、隠す気あったのかな」
「げ、オイラ全然気づいてなかったぞ…」
なんだか露骨に見張りが多かったテントがあったらしい。蛍は気がついていたようで刻晴の話を聞いて頷いていたが、俺は全くわかってなかった。が、当然知ってるというような雰囲気でやり過ごした。
「?」
「おお! グゥオパァーだ! やっと見つけたぞ…!」
「~? ~♪」
誘拐されていたことを感じさせない様子のグゥオパァー。見ていて癒される…可愛いね。
「私たちのことを覚えてるのかな。なんだか嬉しそうに見えるねお兄ちゃん」
「初めまして、蛍の兄やってます、空です。どうぞよろしく」
「お兄ちゃん…?」
「「…」」
俺の得意技、先手必勝挨拶が決まる。一応挨拶を…と思って実行したけど、なにやら場の空気がなんか変な空気になっていた。やめろ、そんな目で俺を見ないでくれ。
「…コホン、とにかく友をここから出して連れて帰ろう。香菱や堂主も待っているはずだ」
「そうね、鍵は…これね」
刻晴が宝盗団のリーダー(俺を言い負かしたやつ)から取り上げた鍵を使いグゥオパァーを檻から解放する。
「ふぅ! これにて一件落着だな。安心したらなんかお腹が減ってきたぞ…」
「香菱のところまで案内して解決でしょ。気が早いよパイモン」
「とはいえもう辺りは暗い、今から移動するのは得策ではないな」
「そうね、今日はここで夜を明かしましょう」
刻晴から出た発言にしては珍しい意見だ、時間の無駄と言うものだと思っていた。俺と同じことを感じたのか、パイモンが率直に疑問をぶつける。
「刻晴がそういうなんて珍しいな! てっきり今から帰るべきーって言うと思ってたぞ」
「捕まえた彼らもいるしそうもいかないわ。それに明日の昼頃には千岩軍に来るように伝えているもの、私はそれまでここに残るつもりよ」
「ここで一夜を明かすか… それならば、お前の持っている塵歌壺の世話になっても良いだろうか」
「いいよ。部屋なら余ってるし、刻晴もどう?」
「ありがとう、気持ちはとても嬉しいのだけれど… ごめんなさい、彼らから目を離すわけにはいかないもの。私はここで見張っておくわ」
捕縛した連中に目をやりつつ、申し訳なさそうに謝罪する刻晴。その様子を見た鍾離が刻晴に1つ提案を出す。
「ふむ、であれば見張りは俺が引き受けよう。刻晴殿は明日の軍への引継ぎのためにも身を休めておくべきだろう」
「…でも」
「鍾離がこう言ってるんだし、いいんじゃないか? オイラから見ても刻晴は頑張りすぎだと思うぞ」
少し呆れた様子でパイモンが刻晴に言う。確かに、今思えば主に計画を立てたのは刻晴、道案内も刻晴、戦闘も刻晴だ。流石に休んだ方がいいだろう。
「…そうね、ご厚意にあずかるわ。鍾離先生、それに蛍たちもありがとう」
「どういたしまして。でも鍾離はそれでいいの?」
「気にするな。今の時刻から日が昇るまで大体10時間程度だろう。この程度なら茶を淹れていればすぐに経過するものだ」
「…茶?」
神である鍾離の感覚からすれば、10時間ぽっちの時間など茶を淹れて啜る程度の感覚なのだろう。しかしこういった常人とはかけ離れているような噂が知れ渡ってしまえば只人となることを決めた鍾離の意に反することになるか。…でもその割に隠す気があまりないように見えるのは気のせいかな?
とりあえず打開策としてパイモンになんとかしろとアイコンタクトを送っておこう。
「ま、まあまあ! とりあえず早いところ休んじゃおうぜ! ほら、グゥオパァーもな!」
「~♪」
「友を頼む、俺はまたの機会に語らうとしよう」
意を汲んでくれたパイモンの誘導によって話を打ち切り、鍾離に見送られながら蛍がいつの間にか出していた壺に入る。今日も疲れたな。特に役に立ってないけど。
壺内の屋敷にて食事中、グゥオパァーへの友情を感じさせる鍾離の発言を思い出し刻晴が呟く。
「鍾離先生ってグゥオパァーとどういった仲なのかしら。友とか語らうって言っていたけれど…」
「んー… どっちもよく散歩してるし、それで仲良くなったんじゃない?」
「適当すぎる… けど案外そういう感じかもね」
そういうものなのかしら…と一応の納得をしている刻晴。
「ご馳走様、美味しかったわ。お礼の代わりと言ってはなんだけれど、私に洗い物は任せてくれないかしら?」
「ありがと。でもどうせ明日の朝もお皿汚れるだろうから、水につけて置いて朝やる感じでいいと思う」
「わかったわ。明日は任せて頂戴」
「おお! ありがとな刻晴、これでオイラも朝のんびりできるぞ…!」
手足をばたつかせ、好きな食べ物を前にした時のような喜びを見せるパイモン。実は手繋ぎ生活が始まってからは蛍や俺が家事などをやるにはあまりにも効率が悪くなってしまい、多くの負担をパイモンに強いていたという背景がある。それもあってかパイモンも手繋ぎ生活には若干反対派なのだろう。
「刻晴はそこの部屋使ってね。私たちはこっちの部屋で寝るけど… なにかあれば全然起こしてくれていいからね」
「ありがとう。 ……私たち?」
「げ」
食事を済ませ、刻晴を部屋に案内する最中、余計なことを言ってしまった蛍とスルーしてくれればいいのに引っかかってしまう刻晴。これは寝る前に面倒な弁明が必要になりそうか…?
バルゲ、パルワ、4.4アプデ、P3R、リリンク… 時間が足りない。