原神 自分を一般人だと思い込んでいる主人公の兄   作:アリエイルでしょ

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4月(絶望)
当方推しはディルックですが、召使の実装でインフレというものを強く実感しました。悲しい。


お礼参り-璃月編-9

 ――前回のあらすじ 甘雨の案内で群玉閣へ行くことになった。

 

 凝光に会いに行く、というのはわかっていたけど… どうやってあそこまで行くんだろうと考えていたが、それは杞憂に終わった。

 意外…というか当たり前のことではあるが、インフラが整えられていて普通に浮遊石がある場所まで案内された。この石に乗っているだけで到着するとは…思っていたより遥かに普通に入れるらしい。

 

 

「そういえばこんな行き方だったね」

 

「オイラたちはいつも直行してたからな~」

 

 

 そのままの流れで「思い返せばお兄ちゃんと再会するまではワープ移動を繰り返すだけでこういうのは久しぶり」などとそこそこメタい話を続ける2人。まあ使えるなら新天地に行く以外で徒歩なんて使うことないか。

 

 

「悪いね、俺のせいで手間かけて」

 

「ん? あ、いやいやいや! 今のは別に皮肉とかじゃないぞ!」

 

「うん。前にも言ったと思うけど、こうやってのんびり移動するのはデートみたいで楽しいよ」

 

 

 兄妹でデートて… いや掘り下げるのはやめておこう、多分墓穴だ。

 

 

「お前たちは特に急いでいるわけでもないだろう。観光のつもりでゆっくりと世界を巡ればいい」

 

「そうだぞ! 変に急いでも楽しさ半減だ! のんびり行こうぜっ」

 

「いや、そこまでフォローしなくても… 別に卑屈になってるわけでもないし」

 

 

 

 

 

 

 

 その後も浮遊石に揺られ続けること数分。甘雨に案内されるままに群玉閣の内部へとお邪魔する。

 

 

「…なんか見るものすべてが高価っぽくて気遅れしそうだ」

 

 

 室内に入ってまず煌びやかな室内に圧倒される。壺だの棚だのカーペットだの…何もかもが凄い高そう。…場違い感が半端なくてあまり長居したいとは思えないな。

 

 

「いい装飾だ、どれも一級品の代物だが誇示するのではなく、荘厳な気品を感じさせるような配色や配置になっている」

 

 

 流石は天権、良い趣味をお持ちのようだ…と、鍾離は興味深そうに室内を観察している。俺は芸術にも疎いためよくわからないが、いい感じらしい。

 

 

「皆様、こちらへどうぞ。この下で凝光様が皆様をお待ちです」

 

「ほら行こうぜ鍾離! そういうのは帰りに見せてもらおう」

 

 

 美術品に釘付けの鍾離を引っ張って甘雨の後へ続き階段を降りていく。

 

 

「凝光様、お連れしました」

 

「ありがとう甘雨。あなた達も来てくれて感謝するわ」

 

 

 彼女はこちらの姿を確認すると席を立ち、歩み寄ってきた。

 …彼女が璃月七星の天権、現璃月の実質的なトップである凝光。しかし彼女はそういった立場を感じさせることなく割とフランクに話しかけてきた。

 

 

「久しぶりだね凝光、元気だった?」

 

「それなりにはね、あなた達も変わりなさそうでなによりだわ」

 

「変わったことならあるぞ! 蛍の兄妹が見つかったからな!」

 

 

 パイモンにグイグイと背中を押され前に一歩踏み出る。2人は普通に友人感覚で凝光に話しかけているけど…この人超お偉いさんだし、美人だしで普通に緊張する。

 

 

「えっと…兄の空です。蛍がお世話になってます」

 

「そんなに畏まらなくてもいいわ、むしろ私の方がお世話になっているくらいだもの」

 

 

 例えば今回の件とかね、と彼女は挨拶しつつも今日ここへと呼び出した本題をちらつかせながらも挨拶を続ける。

 

 

「鍾離先生もこんにちは、今回の件はあなたにも助けられたわね」

 

「俺は大した事はしていない、友との契約に従い人として当然の事をしたまでだ」

 

「そんなに謙遜しなくていいじゃない、この件は本来私達が解決すべきものだったのにあなた達の手を煩わせてしまったのだから。当然お礼はするわ、何か要望があれば何でも言ってみて頂戴」

 

 

 お礼という言葉に目を輝かせて興奮を隠さないパイモン。おい待て、そのお礼は至る所に貼られてしまった俺の捜索願を剥がすためにあるんだぞ。パイモンが何か余計なことを言う前に行ってしまおうと口を開きかけた瞬間、蛍が既に話し始めていた。

 

 

「ねえ凝光、その事だけど…お兄ちゃんの捜索願の貼り出しを片付けて貰ってもいい?」

 

 

 お兄ちゃんならもう見つかったし、お兄ちゃんが居心地悪そうだったから。と俺から言い出さずとも俺の願いは蛍から提案された。

 代わりに言ってくれてありがとう… まず俺の意見を覚えてくれていたことに感謝を。

 

 …最近蛍のネガティブな面にしか意識がいってなかったけど、思えば彼女は何度も国を救い、その態度はともかく多くの人を助け、人望も厚い聖人ではあった。まあ、俺相手にその一面が見えたことはないけど。

 

 

「あぁ、その事なら刻晴から見つかったって聞いたときに片付けるように伝えているわ、多分今日か明日辺りには綺麗になってるはずよ」

 

「ありがとうございます!」

 

 

 正直今更剥がされたところで国民の頭のどこかには擦り込まれているのは確実だろうけど、子供から指を差されたり、貼られている俺らしき似顔絵に落書きされてるのを目にしなくなるだけありがたい。額に肉って書いたやつ許さんからなマジで。

 

 

「今のやつ以外で何かあるかしら?」

 

「うーん、それくらいしか考えてなかったな…どうしよう」

 

「じゃあじゃあ! 楽にお金持ちになれる方法につい――」

 

「それならば彼女に稲妻までの案内を執りなしてもらうのはどうだろうか。お前達は璃月の次は稲妻へと向かうのだろう?」

 

 

 パイモンの欲に塗れた戯言を掻き消しながら鍾離が発言する。言われてみれば北斗に直接お願いするよりも確実に凝光から話を通してもらう方が良さそうだ。

 

 

「それだ! 凝光、お願いできる?」

 

「ええ、構わないわ」

 

 

 考える素振りすら見せずにそう即答した凝光は北斗に伝えておくわねと言い、すぐさま秘書に指示をしていた。

 

 

「楽にお金持ちになれる方法………」

 

「普通に考えてそんなものはない。皆何かしら努力してると思うよ」

 

 

 凝光が秘書に指示を飛ばす中、俺はすっかり意気消沈した非常食に喝を飛ばしていた。そんな方法があるのなら人は苦労しないだろ…

 そして凝光と秘書の話が一段落ついたところで彼女はこちらへと向き直りここに呼んだ本題を話し始める。

 

 

「それじゃ、改めてそろそろ本題に入りましょうか。今回の事件の真相だけれど……」

 

「…」

 

「まあ言ってしまえば原因はファデュイの仕業ってところかしら」

 

「「ですよね」」

 

 

 凝光の口から伝えられたのはなんの捻りもない犯人だった。この世の悪事は大体ファデュイの所為といっても過言ではない位に奴らはあらゆる悪事に関わってるのだろう。

 

 

「またあいつらの仕業かよっ! やっぱり碌なことをしてないじゃないか!」

 

「ふむ…して、何故このような事に?」

 

「それについては私よりも彼女に聞いた方がいいわ、丁度自分からも謝罪がしたいと言っていたしね」

 

 

 甘雨、2人を連れてきて頂戴。と凝光が言うと彼女は礼をしてそのまま席を外した。

 

 

「ねぇ凝光、誰を呼んだの?」

 

「責任者よ、最も彼女は代理だけれどね」

 

「代理…?」

 

 ファデュイで責任者で代理って…それってもう大体予想つくんですけど、そんな人が本当にこの場に来るものだろうか?

 

 

「刻晴よ、入るわね」

 

「失礼するよ凝光殿。…どうやら初対面の方が居るようだ、まずは先に自己紹介をしようか。私はファデュイ執行官第四位[召使]アルレッキーノ。此度は迷惑を掛けてしまったようだね」

 

 

 半信半疑で待っていると普通にファデュイ執行官のお偉いさんが入ってきた。なんでこんなところに居るんだろうこの人。

 

 

「執行官…公子殿の代理というのはあなたのことのようだな。俺は鍾離、しがない只人だ」

 

「これはこれは鍾離先生、公子から噂はかねがね…」

 

 

 そして神とのご対面… 彼女のことだから彼が神であるということは当然知っているのだろう。

 そんな2人のやり取りをボーっと眺めていたら召使の視線がこちらへと向いた。目力強いねこの人。

 

 

「そして…君が彼女が捜していたというご兄妹かな?」

 

「えぇ…? あぁ、はい空です。どうも…」

 

「兄妹が再会できたようでなによりだ。おめでとう」

 

「うん、ありがとう。タルタリヤの調子はどう?」

 

「未だに意識不明で療養中だ。そんな彼を丁度彼をスネージナヤへ送り返したところだよ」

 

 

 彼女の話から察するにフォンテーヌの一件から今に至るまでずっと意識不明とのこと。そんなになるまで戦い続けるとは…とてもじゃないけど真似できそうにないなと思った。

 

 

「タルタリヤの代わりってことは…あいつがなんか悪いことしてたのか?」

 

 

 バッッ…こいつ少しは言葉を選べよ… その可能性は極めて高いだろうけど同じファデュイ執行官、しかも位は遥かに上である召使にこうもズケズケと…怖いもの知らずですか…? と内心ハラハラな俺とは裏腹に特に気にした様子もない召使とパイモンを中心に会話が続いていく。

 

 

「端的に言えばその通りだ。彼の失言がこの状況を招いたのだからな」

 

「しつげん?」

 

「あなた達が聞き込みをしていた際、グゥオパァーが元々魔神だったって酒場で話題になったことがあるって聞いたでしょう? …彼、その場に居たらしいのよね」

 

「そこでその話を聞いた彼は『魔神だったら多分強いだろう? 一度戦ってみたいな』、というようなことを部下に漏らしていたみたいでね」

 

「タルタリヤ……」

 

 

 刻晴と召使から語られる真相を聞き、蛍が額に手を当て心底呆れるような素振りをしている。

 

 

「そしてその話が北国銀行のお偉いさんがグゥオパァーを求めている、というような感じで曲解されながら広まっていったみたいね…」

 

「…その結果、この事件が起きたということか」

 

 

 拘束した誘拐の実行犯や、北国銀行に勤めているファデュイの面々から確認した情報を元に刻晴が事件に至るまでの経緯を説明してくれた。誘拐なんてけったいな事件の切っ掛けは蓋を開けてみればしょうもない失言が原因だったようだ。

 

 

「当の本人がこの発言を覚えているかは不明だが、このような事件が起きてしまったのにわからない、で済ますのは無責任だろう? 信頼関係は大事なものだ、それが国同士のものとなれば尚更… それで私がここに来たんだ」

 

「つまりタルタリヤの尻拭いってことか… そりゃ災難だぞ…」

 

「済まなかった。君たちには迷惑を掛けたね、公子にもいずれ直接謝罪するよう伝えておこう」

 

「お、おう… でも謝るならオイラたちじゃなくて凝光とか香菱とかに対してじゃないか?」

 

「パイモンの言うことは無論わかっているさ。被害者の元へはこの後、直接顔を出すつもりだ」

 

「それに当然、私との話ならあなた達が来る前に既に済んでいるわ。こちらからスネージナヤ側に対する謝罪もね。事の発端が公子殿にあったとしても実行犯は璃月の民だもの。こちらにも非はあるわ」

 

「…まぁ遺恨が残ってないなら何よりだね、お兄ちゃん」

 

「お、そうだな」

 

 

 適当に相槌を打って話を流す。俺は情勢にも疎いから国と国の話とかわからないし、なにより首を突っ込みたくない… そういうのは本編だけで結構だし、関わるのは主人公である蛍だけで十分だろう。

 




召使の実装ということで様子見してました。それに伴い修正が多々あったので最新のキャラを出すのはちょっと控えた方が書きやすいって思いましたね。
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