原神 自分を一般人だと思い込んでいる主人公の兄   作:アリエイルでしょ

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生きてました。
考えてた当初の終わらせ方と原神本編のシナリオで矛盾が出てそうで逃げちゃってたよ~ん。


お礼参り-稲妻編-1

 

「到着だっ! 錨を下ろせ! 船を固定しろーっ!!」

 

 

 空が白み、日も出始めてから少し経った頃…ついに目的地の稲妻が見えてきた。

 上陸に向けて北斗が指示を飛ばし、それを受けた船員たちが忙しなく船上を動き回り各々の仕事を開始する。気持ち的には手伝いたいところだけど、何すればいいかわからない素人な上、片手が塞がっているアホ2人とマスコットが役に立つとも思えない。邪魔にならない様に大人しく端っこの方で待機させてもらおう。

 

 時折り通りかかる船員たちに挨拶と感謝を伝えるbotと化しつつ、のんびりしていると万葉と北斗がこちらへ近づいてくる。

 

 

「待たせたな、ようやく稲妻に到着だ。前に乗せた時と違って快適な船旅だっただろう?」

 

「あの時は凄い嵐だったからね… 今回も船を出してくれてありがとう2人とも」

 

「いやはや…感謝するなら姉君に、でござるよ。拙者も久々に友に会いに行くという我儘を聞いて貰っている立場故…」

 

「おいおい、別にそいつはわがままじゃないだろう? それに、礼言うならそれこそ凝光に対してだ。予定を組んだのはあいつだしな」

 

「じゃあここにいない凝光にも感謝を。そしてそれとは別に2人とも送ってくれてありがとね」

 

 

 お礼のたらい回しを始めた2人を尻目に、ここには居ない凝光や目の前の2人に対して感謝の意を伝えつつ船を降りる。

 降りてすぐに先ほどまで乗っていた船上と異なり、揺れることのない地面に安心感を覚える。降りた後で今更ではあるけど、不安定な足場で常時手繋ぎとか…2人して転んだら危ないだろ。

 …それにしても、また俺の人相書きが貼ってある。船を降りたとたんにこれだ、どんだけ捜索されてたんだよ俺は。

 うんざりしつつも改めて自身の捜索規模についてを考えていると北斗が足を止めてこちらへ話しかけてきていた。

 

 

「稲妻に到着したとはいえアタシはまだ港でやることがある、みんなとは一旦ここでお別れだ。また帰りに会おう!」

 

「うん。璃月に戻るタイミングがわかったら凝光へ連絡しておくね」

 

「それで頼む、その辺の予定だったりの調整はあいつがなんとかするだろう」

 

「じゃあ姉君、行ってくるでござるよ」

 

「ああ、またな!」

 

「元気でなーっ!」

 

 

 船へと戻って行く彼女へ手を振り見送った後、離島を出て鳴神島へと向かう。

道中、話題は自然とこの後の予定についてに変わっていった。

 

 

「この後オイラたちは稲妻城を目指す予定だけどさ、万葉は友達に会いにいくんだろ? どこに向かうんだ?」

 

「目的地が近いなら途中まで一緒に行かない?」

 

「お主たちの申し出をありがたく思うでござるが…あいにく、拙者の目的地は鳴神神社の方でござるよ」

 

「って言うと……離島を出て紺田村に着いたくらいでお別れになるのか」

 

 

 共に行くというにはなんとも短い道のりだ。時間にして数十分程度だろうか。…そうは言っても船旅で割と長い間共に過ごしてはいたんだけど。

 

 

「そうであるな…とはいえ先ほど姉君も話していた通り、璃月に戻る時にまた会えるであろう?」

 

 

 そこで稲妻での土産話を楽しみに待っておくでござるよ、と万葉は微笑みを浮かべながら言葉を続けた。

 

 

「おうっ! 楽しみにしとけ〜話しきれないくらい土産話を用意してやるからな!」

 

「うむ、期待しておくでござる」

 

 

 土産話ね……ここ、稲妻での思い出が誰にも迷惑をかけず、恥ずかしくもない。そんな感じのいいエピソードばかりであればいいんだけど… などと考えつつ、少し立ち止まり鳴神島の方を見据える。

 そこには遠くからでもはっきりとわかるほど色鮮やかに桜の花が咲いていた。

 

 

「………」

 

「どうしたのお兄ちゃん」

 

「いや別に。景色が綺麗だなって見てただけだよ」

 

「いいところだよね。他にも色々と紹介したい景色とか場所があるから後で一緒に回ろうね」

 

「うん、期待しておくよ」

 

 

 つい景色が綺麗と誤魔化したが、実際に考えていたことはちょっと違う。

 勿論、景色が綺麗なのは事実だ。山に咲く桜は満開で、澄んだ青空に美しく溶け込み見事なコントラストを描いている。美しいと言う他ない。単にそれ以上の何かを特に感じなかったことが少し気がかりだっただけだ。

 稲妻に行けばテイワットに来る以前のことをいくらか思い出せるかなと思っていたけど… そううまくはいかないみたいだ。

 

 

「空ってば、そんな難しい顔してるなよ…せっかく稲妻まで来たんだから楽しまないとソンだぞ、ソン!」

 

「言われるほど思い詰めてはないと思うけど… まあ気をつけるよ」

 

 

 パイモンの言う通りひとまず難しいことを考えるのは後にしよう。こんなことは寝ながら考えるくらいで丁度いい。しかし意外とこいつ人のことちゃんと見てるんだな…少し感心した。

 そう思い、気を取り直して再び歩き始める。その後は道中の会話の盛り上がりもそこそこに時は流れて万葉と別れる地点、紺田村まで到着した。

 

 

「さて、拙者の目指す場所は彼方故、ここでお別れでござるよ。皆の稲妻での旅が良いものになることを願ってるでござる」

 

「ありがとう。またね万葉」

 

「道中気をつけろよ〜」

 

 

 離れていく背中に手を振り、万葉と別れる。後はこのまま道沿いに南下して稲妻城を目指すだけだ。

 

 

 それから歩き続けてしばらく、稲妻城の城下町がなんとなく見えてきた頃。薄っすらとではあるが火薬のようなにおいがすることに気がついた。おそらくは風に乗せられて流れてきたものだとと思うけど…

 火薬から連想して稲妻の花火師を彷彿させていると、横の蛍も彼女の気配を感じたのか、キョロキョロと首を動かして辺りを見渡し始めた。

 

 

「花火の香りがする。近くに宵宮が居るのかも」

 

「あー、そういえば宵宮のやつが花火をテストする場所ってこの辺りだったっけか」 

 

「近くに友達が居そうってこと?」

 

「うん。確か住んでるのもこの辺りだったはず」

 

 

 少し会っていきたいと言う蛍に同意し、風上から漂う火薬の香りを頼りに道から外れて道なき道を進む。

 元々そう遠くない位置に居たのか、少し歩けば両手に手持ち花火を持つ派手な格好をした少女の姿が視界に入った。

 

 

「あの姿は…やっぱりこのにおいの正体は宵宮だったな! 今日も新作のテストでもしてるのか?」

 

「そうかも。丁度いいし、町に入る前に挨拶していこう?」

 

 

 そう言うと蛍は宵宮に挨拶をするべく近づいていく。

 

 

「おーい! 宵宮ーっ!」

 

「んー? …あぁーっ! 懐かしい声やなぁって思うて振り向いたらパイモンちゃんに蛍やん!それから蛍にめっちゃ似とる人まで居る! おはようさん、めちゃめちゃ久しぶりやな〜」

 

 

 パイモンに声をかけられて振り向く宵宮。俺たちを認識した彼女はやや大袈裟にリアクションを取りつつ花火の火がこちらに当たらないよう花火を処理しつつ挨拶を交わす。

 こういう気づかいができる子っていいよね…

 

 

「久しぶり。宵宮も元気そうで何よりだよ」

 

「うちは年中いつでも元気やで! それを言うたら蛍の方こそめっちゃ元気やない? やっぱ隣に居るその人の影響なん?」

 

「そうかも。こっちはお兄ちゃんの空。モンドで見つかったんだ!」

 

「ひゃ〜兄弟言うだけあって蛍とよう似とるなぁ… あ、そんなん言うてる場合やないね、自己紹介せんと! うちは宵宮。花火屋をやっとる、よろしゅうな〜」

 

「兄の空です、妹がお世話になってます」

 

 

 改めて正面から見ると露出が凄い。この防御力の低さで花火を扱うというのだから神の目の加護はさぞ凄いのだろうか。

 

 

「あー! もう敬語なんていらんて! 大親友の蛍のお兄さんならもうそれだけで大親友みたいなもんやし、な! 蛍もそう思わへん?」

 

「思わないよ」

 

「ひえっ」

 

 

 パイモンが怯えると同時にぐい、と腕を寄せられる感覚と共に横から謎の圧を感じる… 今のはただ単に挨拶をした程度だと思うけど。俺も宵宮も変な色目を使ったわけでもないのにこの温度差。どう考えても友達にぶつけるプレッシャーじゃない。

 

 

「もーっ! そんなつれないこと言わんでええやん! ま、とにかくお兄さんも気軽に接してくれてええで?」

 

「そうするよ、蛍がごめんね」

 

「? 謝るようなことなんてなんもあらへんやろ? 変なこと言う人やな~」

 

 

 そんな敵意に近いものをぶつけられても目の前の彼女は気にする素振りすら一切見せず、変わらずに笑っていた。

 うーん、でかい(器が)

 

 

「…お兄ちゃんもあんまり私の友達に失礼なことしないように」

 

「いや俺は何も「いいよね?」はい」

 

 

 親しき中にも礼儀あり、だ。彼女の要望通りフランクに接しつつも礼儀を弁えて距離感を測っていこう。

 

 

「お兄さんは蛍に頭が上がらんようやなぁ」

 

「んー… 確かにそうかもな! 大体蛍に強く言われると折れてるぞ」

 

「そういうことは教えなくていいんだよ…」

 

「お兄ちゃんと会えたから稲妻の皆にも挨拶に来たの。捜すのとか手伝って貰ってたし」

 

 

 そのお礼も兼ねて国中を回ってる、と俺としては今や聞きなれた説明していく蛍。

 あいさつ回りなんて所詮、同じことの繰り返しだよなぁ…まあ会う人がそれぞれ異なるから飽きはしないけど。

 

 

「なんや楽しそうなことしてるなぁ~」

 

「うん、最近は特に毎日が楽しいよ」

 

「だな! いつになく蛍が幸せそうでなんだかオイラも嬉しいぞ!」

 

「まあ楽しいことは否定しないけども…」

 

 

 もう少し俺の待遇の改善をしてほしい…というのは贅沢なのか。俺と蛍へのバカップルを見るような感じの人の目とかにも慣れ始めたのがなんかこう、ちょっと嫌だ。

 

 

「この後も皆に会いに行くん?」

 

「そうだね。まずは天領奉行に行ってお兄ちゃんの貼り紙を撤去して貰おうかなって思ってる」

 

「おお…」

 

 蛍…最初にそれを何とかしてもらおうなんて、いい奴じゃないか。稲妻でも犯罪者かってくらい貼られてたからね。こっちでも早いうちに剥がしてもらいたい。

 

 

「その後は観光しながら久しぶりに稲妻の皆に会いに行くぞ! 楽しみだなぁ!」

 

「宵宮も暇だったら一緒にどう? 今日は稲妻城下辺りを回るつもりだけど…」

 

「ええよ! あんたらの用事が済むまでうちは花火弄りながら待っとく!」

 

「じゃあまた後で合流しようか」

 

 

 また後で、と宵宮と約束を取り付けてから稲妻城下へと向かって歩き出す。

和風な雰囲気の中での観光…稲妻での生活も楽しみだな。




エタってた感想としては、割と常に若干の後ろめたさがありました。
今後はプロットがある部分はのんびり書いていきます。そこから先は………?
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