原神 自分を一般人だと思い込んでいる主人公の兄   作:アリエイルでしょ

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2日に1回投稿ってまあまあキツイ。できてるやつはすげぇよマジ。


お礼参り-モンド編-3

 

「空さんの言っていた、『蛍が捜しているお兄さんじゃない』についてですけど…占いでは半分正解で残りの半分は間違いと出ています。半分本人で半分別人…ということになるのでしょうか?」

 

 

 いい感じの答え貰えたわ。実際に身体は空くんで精神は別世界の一般人だ。俺以外からもこの答えが出たとなれば信憑性も増すってもの。あとは今の占いの内容で蛍ちゃんが納得してくれればいいんだけど…

 

 

「ほらほらほら! 今の聞いた? 本当に見た目だけ同じで中身が違うんだって」

 

「いや、今目の前に居るお兄ちゃんが本物で合ってるよ」

 

 

 今のモナの占いを聞いて改めてそう思えたよ。と特に動揺することもなく納得している蛍。

なんで? 今のを聞いても何故そう言い切れるのかよくわからない。有能占い師の力を以てしても否定するとは…なんて強情なんだ!

 

 

「で、でもモナの占いだと半分しか正しくないんだろ? なんでそれなのに本物だって言いきれるんだ?」

 

「んー…感覚? 確かに多少違和感はあるけど絶対にお兄ちゃん本人だよ」

 

「感覚って…適当だな」

 

 

 私はお兄ちゃんを間違えたりしないよ。なんて自信に満ち満ちた言葉が返ってくる。蛍ちゃんさぁ…思考停止とか現実逃避してない? 確かに目の前の俺が兄じゃなかったらコイツ誰だよってなるし、状況も振り出しに戻るけども…案外そういうのを恐れて理解を拒んでいるとかじゃない? 

 

 なんて予想したりもするが、蛍ちゃんはなにか確信しているのか、不安とかそういったものを一切見せない。ここまで自信満々に回答されるとなんだかこちらが間違っているような気もしてくる。

 

 

「一部記憶が変なだけでしょ? お兄ちゃんだってそれ以外なにも理由なくて、ただ別人って自称してるだけだよね」

 

 

 それはそうだが…記憶が一部おかしいって結構なことじゃないか? それなのになんか言い負かされてる気がするのは俺がバカだからか?

 

 

「彼女もまた運命の黙示録を知る1人…魂で運命の絆を感じ取っているのよ!」

 

「今のは[直感で確信している]という意味です」

 

「大体そんな感じ」

 

「そんな雑な考えでいいんですか…」

 

 

 割とシリアスな話なのに適当な感じで流す蛍に対して呆れの表情を見せるモナ。

俺も適当に流すのは良くないと思う! けど言っても通じない! マジで本物にいつか再会するまでこのままかもしれない感じか…? 勘弁して欲しいんですけど。

 

 

「――ていうかオイラ疑問に思ったんだけど、そんなに別人だって言うならなんでこうして一緒に居てくれてるんだ?」

 

 

 普通逃げると思うけどな、と続ける。

…なんで一緒に居るか? 確かにそうだ。会う前までは逃げようとしていたのに、一度遭遇してからはそんなこと今言われるまで考えもしなかった。

 

 

「確かに…なんでだろうね」

 

 

 自分でも自分の考えがわからなくなってくる。とりあえず自分で自分を納得させられる答えとして、逃げられる気がしなかったからということにしておこう。RPGとかで魔王から逃げられないって感じのイメージだ。

 

 

「パイモン、そういうこと言わないで。お兄ちゃんを逃がしたら本気で怒るからね」

 

「そんなことするわけないだろ! そもそも逃がすとか…自分の兄をペットみたいな扱いするなよ!」

 

「ペットって…ギリ非常食よりはマシか…?」

 

「オイラは非常食じゃない!」

 

 

 こっちは擁護している側だぞ!と言い返してくるパイモン。そう怒るなよ、非常食とペットで仲良くやっていこう。

そのままくだらない雑談に話は流れ、もう真面目な会話の雰囲気でもなくなってしまったが…まあいい、まだ慌てるような時間じゃない。これからものんびりと誤解を解いていこうじゃないか。

 

 

 

 

 

 その後は普通に雑談して解散した。モナも執筆の仕事があるし、フィッシュルは勤勉なことに図書館に行くらしい。いつまでも邪魔はしていられない。

 

それから午後には組合に所属する冒険者らしく依頼をこなして過ごした。今日は戦闘とかはなくて助かったけど近いうちに絶対ありそうで困る。こっちは一般人だぞ?

ついでに依頼達成の報告と同時にキャサリンにも軽く挨拶しておいた。どうでもいい疑問だけど他の国のキャサリンって情報共有してたっけ? 国ごとに毎回挨拶するのは面倒だが…

 

 

「よう、お疲れさん」

 

「あっ、ガイアだ」

 

「昨日言ってた通り、リサとアンバーに声を掛けておいたぜ。エンジェルズシェアに行けば会える」

 

 

 これから夕食って時にぬるっと現れたガイア。こいつこんなところでなにやってたんだろう。

 

 

「ありがとうガイア。ディルックさんはどうだったの?」

 

「あいつも誘ったが駄目だった。近頃はアカツキワイナリーに引き籠っているみたいだからな」

 

「残念。今度会いに行くよ」

 

「ちぇー! ディルックの旦那が居てくれたら食べ物も全部ただになったのに…残念だな!」

 

 

 ガイアと蛍の会話を聞いていたらパイモンがまあまあ失礼なことを言ってた。今朝のモナ宅訪問時もだが…どういう情操教育しているんだろう。

まあ器の大きいディルックなら気にしないだろうしいいか。失礼なパイモンも可愛いし。

 

 

 ガイアと共に酒場エンジェルズシェア到着、入店。

 

 

「あ! おーい旅人ー!」

 

 

 この声はアンバーかな? 声が聞こえた方を見れば立ち上がりブンブン手を振っている。可愛いね。

 

 

「座席の確保ご苦労、偵察騎士殿」

 

「久しぶり! 大丈夫? ガイア先輩に迷惑かけられてない?」

 

「ようアンバー! 久しぶりに会えてオイラも嬉しいぞ!」

 

「こんばんは。アンバーにリサさんも、2人とも久しぶり」

 

「あら可愛い子ちゃん、久しぶりね。隣の彼がお兄さんかしら? 聞いていた通りよく似てるわね~」

 

 

 ふつくしい…。とか言って見惚れている場合ではない。今朝に鼻の下を伸ばしてるって言われたばかりなもんでね。油断しないように気を付けよう。

 

 

「どうも、空です」

 

「あらあら、兄妹そろって可愛いわね」

 

「初めまして、アンバーだよ! よろしくね」

 

 

 挨拶もそこそこに席に座る。やはり主人公の双子は幼く見えるらしく酒は飲めないみたいだ、残念。

 

 

「それにしてもずっと捜していたお兄さんがモンドで見つかるなんて…偵察騎士なのに見落としてたみたいでなんか悔しい!」

 

「アンバーちゃんは仕事柄たくさんモンド城の外に行っているものね、多分モンドで一番あなたを捜していたんじゃないかしら」

 

「当然だよ! なにせモンドを救った英雄のお願いだからね」

 

 

 ここでも好かれている蛍。まあ成し遂げた偉業的にどこの国でも好かれてるんだろう。

 

 

「あなたも可愛い子ちゃん同様に神の目を介さずに元素を扱えるのかしら?」

 

「まあ一応、なんでかは知らないけど」

 

「可愛い子ちゃんと一緒に2人を研究してみたいわね~、血縁が鍵なのかもしれないしね」

 

「研究…」

 

 

 リサさんの研究対象とは…なんともまあ蠱惑的な響きだ。まあ実験内容的には楽しいどころか危険な感じになりそうではあるが。

 

 

「駄目。やるならせめて私だけにして」

 

「ふふっ、可愛いわね。わたくしはお兄さんのことを取ったりなんてしないわよ?」

 

「それでも駄目。リサさんは綺麗だからお兄ちゃんを任せたくない」

 

 

 蛍は露骨に嫌そうな声色で提案を否定したが、リサは気にしている様子はなさそうだ。むしろ綺麗という言葉に満足しているまでありそうか。

 

 

「俺的には別にいいけど…まあ蛍が嫌がるならやめときます」

 

 

 ペットだからな。飼い主の意見を尊重しよう。

 

 

「リサさんの研究については断っても大丈夫だけど…飛行免許は取ってもらうよ! これがないと空を飛んじゃダメなんだからね」

 

「そういえばそんなのあったね…」

 

「今度私が教えてあげる! 彼女もすぐに取れたしお兄さんもきっとすぐに取れるようになるよ!」

 

「じゃあ今度騎士団の方に伺い「駄目」…なんで?」

 

 

 なんで? 流石にこれはいいだろ…このテイワットを生きていくには必須事項じゃないか。

 

 

「飛行指南なら持ってるし私が教える。テストは近いうちに受けさせるから安心して」

 

「う、うん……その…頑張って!!」

 

「あ、はい」

 

 

 蛍ちゃんは空くん(の見た目してるやつ)が女性に接近することを嫌がるような反応を見せる。相手に迷惑を掛けたくないから、とかそういう意味で言ってたらいいなって思うんだけども…多分違いそう。

 

 それからは女性陣の話題は蛍によるお兄ちゃん談義に変わっていった。別に俺のことじゃないはずなのに恥ずかしくて聞いていられない。

 

 

「あっちは女同士で盛り上がってるみたいだな? だったら、俺たちも男同士で盛り上がろうじゃないか」

 

「だってさパイモン」

 

 

 男同士で盛り上がる(意味深) 

変な意味じゃないけどガイアと2人で話すのはなんか嫌だったので、せめてパイモンも仲間につけよう。

 

 

「オイラはガイアなんかと話すよりは、まだあっちに行きたいぞ…」

 

「おいおい…酷いじゃないかパイモン、こっちに来ればいくらでも食べ物を注文できるぞ?」

 

「女は3人寄れば姦しいからな、やっぱりオイラはこっち側に残ることにするぞ!」

 

 

 食欲に忠実で手のひらはクルクルだ。失礼なのはキャラだし可愛いから別にいいけども、相手を貶すのはいただけない。今度叱っておこう。

 

 

「それで、ガイアはなんか俺に聞きたいことでもあるの? わざわざ話しかけて来るなんてさ」

 

「いやいや…ただの暇つぶしってやつだ。酒の肴に丁度いいと思ってな」

 

「ふーん…」

 

 

 暇つぶしと言ってるけど割と真面目な話な気がする。こういう抜け目なくて飄々としてるやつってどう接すればいいのかわかんないんだけど…

 

 

「さっき挨拶の後、見つかる前のことについて聞かれなかっただろう。その理由、知りたくないか?」

 

「話題としての魅力に欠けるからとか思ってたけど、なにかあるの?」

 

「昨日代理団長とも話していたんだが、お前が旅人…妹の重めな束縛から逃げてたんじゃないかってな。だから一応、あの2人にはあまり過去のことは突っつかないよう言っておいたんだぜ?」

 

 

 自分でもよくわからなくて話しづらいところを前もってやんわりと別方向に誘導してくれた他、それと話題の魅力は高いくらいだから気にするなよ、と笑いながら卑屈気味な俺へのフォローまで入れてくれたガイア。なんだこのイケメン!? 今まで胡散臭いとか本当のこと思っててごめん。

 

 

「ありがとう。初めていいやつだと思えたよ」

 

「酷い言いようだな。俺はいつだっていいやつだぜ? 礼は不要だが…そうだ、よければ俺にだけは過去に何があったのか教えてくれないか?」

 

 

 なんだコイツ、全然いいやつじゃないかも。急に胡散臭いわ。それに過去に何があったかとか俺が知りたいくらいだよ。

 

 

「俺は特に…パイモンとか何か知らない?」

 

「んー…あっ! そういえば過去に蛍から空の話をいくつか聞いたことあるぞ!」

 

「ほう? どんな内容だったんだ?」

 

「寝てるお兄ちゃんの観察と称して一晩中寝ているところを見たことがあるって言ってたな」

 

「聞きたくなかったんだけど」

 

 

 他にもだなー、といくつかエピソードを教えてくれるパイモン。その話は俺に効く、やめてくれ。体を洗う際の順番とか多分自分でも知らないこと知ってるの普通に怖いんだが?

こっちの話も聞いていられねえよマジ。なんだこの四面楚歌!?

 

 

 泣けるぜ。

薄々わかっていたけど蛍はブラコンなのだろう。それも結構なレベルの高さのやつ。直々に聞くのは怖いが…牽制も兼ねてどこかで確認した方がいいかもしれない。

 

 




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