原神 自分を一般人だと思い込んでいる主人公の兄 作:アリエイルでしょ
エンジェルズシェアでの夕食も終わり、時間は夜。
蛍にパイモンと2人揃って何故か俺の話をし続けた結果、あの場の空気は俺にとってかなり過ごし辛い空間になった。しかし支払いはガイアが全額払ってくれたのでそこだけはよかったかな。
その後は先日と同様に塵歌壺に泊まることに。寝る前に明日の予定を聞いておこう。
「明日はどうするんだ? 今日みたいに、またお世話になった人に挨拶するって感じ?」
「んー…それでもいいけど。ディルックさんに会いに行こうかなって」
「いいな! 今日会えなかったし、ディルックの旦那にも久しぶりに会いたいしな!」
それにモンド城の外に行く依頼とかもあるし、と続ける蛍。外に出るってことは戦うんですね、わかります。
ディルックには会いたいけど戦いたくはねンだわ。
「ついでにお兄ちゃんに風の翼の使い方も教えよう」
「なんか忙しそうだな… じゃあ明日はそんな感じで、お休み」
「待って」
やべ、始まったか…? このタイミングで呼び止めるのって大体予想つくんだけども
「やっぱり一緒に寝るのって駄目なの?」
「駄目。昨日も別に逃げてないし、心配しないでいいでしょ」
「…それはそうだけど、長い間離れてたし、その分一緒に居たいって思うのはそんなにおかしいこと?」
「お、なんか家族みたいな感じで、それっぽく聞こえること言ってるぞ」
なんか普通に可哀想な雰囲気を醸し出す蛍。パイモンの言う通りそれっぽく聞こえるし、俺が悪いような感じに見えるが…
冷静に考えて普通の兄妹は一緒に寝ない。一緒に寝るのは大抵間違った方向に進んでいるアレな関係の兄妹だけだ。
だからこそ茶化さないでほしい。俺だけの問題じゃない、俺たちの世間体もかかってるんだぞ。
「おかしくはない、けど1人で寝たいから…じゃ、お休み」
「……お休みなさい」
「そういう感じで断るから面倒なことになるんじゃないか?」
妹から一緒に寝るのを拒絶する最適解ってなんだよ。知ってるなら俺に教えてくれ。
翌朝、まあ寝てるときにまたひと悶着あったが、多分これからはそれが当たり前の日常だと思うのでその辺はもう放っておく。
今朝は早速アカツキワイナリーに行く模様。ディルックさんに会いに行く前に、近くでヒルチャールの監視塔をぶっ壊すって言ってた。
平然と話してるけど実際やるとなると結構なことだと思うよ俺は。とりあえずできる自衛として強そうな武器を持っておこう。この緑のやつは汎用性が高そうだ。
手持ちの荷物を整理していると後ろから蛍が話しかけてくる。
「そういえばお兄ちゃんってワープできるよね?」
「蛍ができるんなら兄貴のコイツも同じようにできるんじゃないか?」
「ん? ……まあ蛍がワープすれば一緒に行くんじゃない?」
知らんけど。俺1人ではできなかったが、パイモンみたいな感じで蛍が移動すれば勝手についていくだろうという予想。行かなかった場合は知らない。
「そっか…じゃあ行くよ」
「おう!」
ぼーっと見てたら蛍の姿が一瞬で視界から消える。へー…傍から見てるとワープってこんな感じなんだ。
「ん?」
なんか俺ってば普通に置いていかれてないか? …2人戻ってきたら故意ではないことを伝えて謝ろう。それでも怒られそうな気はするけども。
とりあえず待っておくか…と思考をまとめると視界に緑色の吟遊詩人らしき人物が目に映る。彼は多分、風神のウェンティかな? 目が合ったと思ったら進行方向を変え、こちらへ向かってきている。なんで?
「やあ! キミが最近巷で噂の旅人のお兄さんなんでしょ? エヘヘ…ボクも会ってみたかったんだよね~! どうどう? これから一緒にお茶でもしようよ!」
「どうも…今その妹とはぐれてるんで後でいい?」
「いやいや! むしろ"キミと"話すには好都合でしょ! 彼女、キミに対して執着してるみたいだし…2人一緒だとあまり話せなさそうって思ってたんだ」
「執着って…そんな大袈裟な…」
横で飛んでるチビもうるさいしね。なんてまあまあ失礼なことを言う神様。これはパイモンも失礼だからいいか。
それにしても一体、神に対して俺のことをどんな風に伝えてたんだろうか。とはいえ1対1で会話できるというのが好都合なのは俺も同じか、蛍が横に居ると話が逸れそうだしね。
相手は飲んだくれとはいえ神は神。何か元の世界に帰還するのに有力な情報とか持ってる可能性が微レ存。それに蛍たちと再会後になんか面倒なことになったら全部ウェンティのせいにすればいいや。
「大袈裟じゃなくて本当にアレだったけど… それはまあいっか! で、どう? ボクと一緒に来てくれるかい?」
「いいよ。聞いてみたいこともあるし」
「決まりだね、じゃあついてきて! エンジェルズシェアでお酒を頂こう!」
またかよ。てか朝から酒かよ。それに俺もあんたも幼く見えるから酒出してもらえないだろ…
風神にホイホイと着いていった俺はエンジェルズシェアの二階にて自己紹介もそこそこに自らのこと、それからこれまでに至る経緯を簡潔に話していた。当然だが酒はもらえなかったのでリンゴジュースを飲んでる。うまいね。
「へー…じゃあキミは彼女の求めてたお兄さんじゃなくて、別の世界から来た見た目だけ同じ別人って感じなんだ」
「そうなる。誰にも信じてもらえてないけど…ウェンティはどう思う?」
「んー… それだけ聞いてもわかんない! それならキミは元の世界で何をしてたの? 生まれは? 名前とか!」
それもそうだ。最初から自分の置かれている状況じゃなくて、元の世界の自分について言えばよかったじゃないか。
俺は元々、元々…? 何をしていた? どこの生まれだっけ? 確か稲妻に似た国の出身だったはずだ。でも国の名前が出てこない。それどころか本来の自分の名前も思い出せない。何故…?
「…わからない。思い出せない…ただ俺は本当にこの世界に来たのはつい最近で…」
「うんうん、正直確かなことは言えないけど…キミが嘘をついてるとは思わないよ。キミの妹からすれば嘘なのかもしれないけど…キミにとっては本当のことなんだと思う」
嘘かもしれない。それは俺がまるで異世界から来たと思い込んでいる精神異常者みたいな感じにも受け取れるが、何故かその言葉はすんなりと腑に落ちた。
正直蛍と過ごす時間にはどこか懐かしさのようなものを感じることもあるし、彼女の反応も俺が別人じゃないという確信めいた何かがあると思わせる。
もしかするとおかしいのは俺なのかもしれないか…笑えないね。
「あ、なんか重たい感じの話になっちゃった? エヘ、エヘヘ…ごめんごめん。でもそんなに気にすることはないと思うよ! モラクスのじいさんとかならボクよりも知ってることはもっと多いと思うしね!」
適当で他人任せですね。こっちはアイデンティティの喪失を味わっているというのに…
とはいえ言っていることは概ね正しいだろう。言っちゃ悪いけど風神にはあまり期待してなかったところもあるしね。
「ですよね。少しだけ期待してたけど、そんな気はしてたよ」
そういう言い方はちょっと不敬だよ! などと宣う風神。良くも悪くも威厳というものが感じられない。
「それでそれで、キミという存在と再会した彼女の様子はどうなの? やっぱり重たい?」
「まあそれなりに…今の状況も不慮の事故ではぐれてるときに失踪って感じだから、合流したときにどうなるか今から怖いよ」
「不慮の事故ってなに? 風の翼使ってて墜落でもした?」
例えが怖えよ。そういえば墜落したら死ぬの? ダウンしたら目玉焼きとか食べて復活するイメージだけど、普通に考えたら変だよね。気になるけど試す気は全く起きない。
「違う。蛍がワープ使うって言って、俺も一緒に行くものだと思ってたら俺だけ取り残されてたって感じ」
「フフッ… まあ大丈夫大丈夫! ボクから誘ったんだし、キミはとやかく言われないって! 多分!」
「そうだといいな… とりあえず何か言われたら全部あんたのせいにしておくよ」
それにしても目の前で修羅場見れるのって楽しそう! なんてふざけたことを抜かしている彼は本当に神なのだろうか。自由の国の神とはいえ自由すぎはしやせんか? それと取り残されてたって言った後、嘲笑したの許さんからな。
のろのろ書いてると永遠に終わらないのでサクサク進ませます。
出すキャラはある程度決めてるので、どこかでアンケとか取って他キャラも書けたらいいなって思います。