ヴォーティガーンの息子   作:エドアルド

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久しぶりにかけました。
どうぞお納めください(⊃ ´ ꒳ ` )⊃


父と子

 

 ブリテン島、ロンディニウムにて卑王ヴォーティガーンと騎士王アルトリア・ペンドラゴン、太陽の騎士サー・ガウェインによる最後の戦いが起きていた。

 邪龍へとその身を変じさせたヴォーティガーンによる光を塗りつぶすかのようなブレスがアルトリアの聖剣より放たられる星の息吹とガウェインの聖剣より放たれる炎が激突する。

 優勢なのはヴォーティガーン、ブリテン島の意志と同化したことによるブリテン島からのバックアップに悪竜現象(ファヴニール)により邪龍に転身したことにより得た力は強大だった。

 

 しかし、それでもアルトリアとガウェインを討ち取る事はあたわず。更には少しずつだが劣勢へと傾き遂には二つの聖剣により磔にされ動けないところに聖槍ロンゴミニアドによりその心臓を貫かれあと少しで息絶えようとしていた。

 

 そんな場所に突然、ローブを纏った人物が現れた。そしてアルトリアとガウェインを蹴り飛ばす。本来ならば容易に避けられたはずの素人同然の蹴りは二人がヴォーティガーンとの激闘で消耗していたが故に避ける事が出来なかった。

 

「ぐっ!?」

「何もの!?」

 

 ガウェインは地面を転がりアルトリアは聖剣を盾に後退するだけですんだ。

 

 二人を蹴ったローブの人物はヴォーティガーンの横に降り立つ。ローブにより顔は見えず、何を考えているかも分からない。その事にアルトリア・ペンドラゴンとガウェインは注意深く警戒する。確かに消耗してたい事もあるが素人同然の蹴りで二人を吹き飛ばす程の膂力の持ち主なのだ。

 

 しかし、2人の警戒とは裏腹にローブの人物は二人を一瞥した後ヴォーティガーンの顔に近付いていく。

 

「……お主はいったい」

 

 突然の乱入者にヴォーティガーンも困惑しローブの人物に問い掛ける。そしてローブの人物の返答にヴォーティガーンは目を見開き驚きを顕にする。

 

「ヴォーティガーン。我が父よ」

「っ!?」

「なんだと!?」

「なっ!?」

 

 ローブの人物の言葉にはアルトリアとガウェインも驚愕する。

 

「何故ここに来た!?……カフッ!?」

 

 ヴォーティガーンはローブの人物が息子とわかるやいなや大声を上げるが血反吐を吐いて苦しそうにする。

 

「親不孝者の私をお許しください父上。これは私のワガママなのです」

 

 ヴォーティガーンは息子の言葉に咄嗟に「違うのだ」と。私の身勝手で生まれてきたお前にそんな事を言わせる為に自由を与えたのでは無いと。しかし、傷のこともあり上手く声が出せなかった。

 

「我が父よ。私は貴方と言葉が交わしたかった、父である貴方と。あのような言葉だけでお別れとは悲しいでは無いですか。例え貴方が卑王であろうとも罪深きものであっても確かに私は貴方の愛を受けて生まれたのです」

「……私は……お前に愛など渡せてはいない。お前を生み出したのは元より自己満足の為なのだ。……故に──」

 

───私はお前を愛す権利も無いのだ

 

 ヴォーティガーンから出てくる否定の言葉。お前に愛は渡せていない、渡す権利もないのだと。

 しかし──

 

「おそれながら我が父よ。それは違います。確かに私は貴方の願いの為に生まれてきたのしょう。しかし、貴方はこう書き残しました『自由に生きろ』と『これからの生に幸があらんことを』と。例え貴方が納得していなくても愛と認識していなくとも私はそれをと感じたのです。故にこう言わせて下さい。私を生んでくれてありがとう、私の父が貴方で良かった」

 

 その言葉にヴォーティガーンは知らず知らずのうちに涙を流していた。

 

「我が息子よ。我が愛おしき息子よ。我は良き子を持った」

 

 ヴォーティガーンはそう言うやいなや最早生きているのが不思議なその体を起こし自身の心臓を貫いた聖槍を引き抜いた。

 

「まだ動けるのか!?」

 

 その事に親と子の会話に聴き入ってしまっていたアルトリアは驚愕に目を見開く。だか次のヴォーティガーンの行動に更に驚愕する事となる。

 

「ぬぅぅぅ!!」

 

 自らの胸の傷口にその手を突き刺し自らの心臓を抜き取ったのだ。更には邪龍へと転身した我が身の逆鱗を引きちぎる。

 

「……最後の、餞別だ、受け、取る、が、良い、我が息子よ」

 

 そう言って彼は己が心臓と逆鱗を息子へと与えた。息子はそれを優しい手つきで受け取り腰に着けた袋へとそっと収めた。

 

「ありがたく頂戴致します。我が父よ」

 

 そしてヴォーティガーンはその凶暴な顎を開き魔力を高める。その目標はアルトリアとガウェイン。ヴォーティガーンの口より放たれるは二人を何度も焼き払わんとしたブレスであった。

 

 全てを塗り潰すようなその息吹はすんでのところで二人に避けられる。しかし、それだけでヴォーティガーンは良かった。

 

「生きよ!これは王の勅命である!!」

「はっ!!」

 

 ヴォーティガーンのその言葉によく響く声を張り上げ彼は背を向けて走り出した。そんな彼の耳に微かに声が聞こえた。

 

我が誇り、我が息子、()()()。とくと駆けよ、何処までも何処までも、お前の心のままに

「はい」

 

 ヴォーティガーンの声は彼のイアンの耳だけに聞こえた。ヴォーティガーンの父親としての言葉が。

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