デュエル・マスターズ 【=%ゴールデン%=】 作:ルピコ
生きていける自信がない件
突然だが、みんなはデュエル・マスターズを知っているだろうか。
俺もあまり詳しくは知らないが、MTG……マジック・ザ・ギャザリングから始まったことぐらいは知っている。
まぁ、遊戯王やポケモンカードと並んで何かと有名なTCG……だと思う。
俺も昔はよく友達とやっていた。
今となっては疎遠で……知識は革命で止まっている。
たまに情報を見かけては新しくなったなぁ……と、よく思い返す。
で……それが何かって?
……さて、どっから話したものか。
俺は高校二年生の男、『
なんかそれっぽい名前だが、俺自身はこれといって特徴のない平凡な奴なので、勘違いしないでほしい。
それはともかく。
その日、俺はいつも通りの朝を過ごし、いつも通り学校へ行くべく玄関から外へ出た。
すると出た先には、見たこともない景色……森が広がっていた。
木! 木! 木!! とにかく周囲には木が広がって、それは森と言うしかないのは間違いないだろう。
夢でも見てんのかな、と家に入るべく後ろを見るがドアはない。
前を見ても広がるのは森。
おっ、詰んだな。
と、直感で理解した俺は、森の中心で叫び声をあげたのだった。
そしてそれが功を成したのか、森の中を彷徨っていた白衣を着た少女と出会うことができたのだ。
彷徨っていた理由は不明だが、とにかく俺は救われた。
救われたのだが……。
彼女の案内で森を出たところで俺は……そこが俺の知る地球でないと、一目で知ることになる。
明らかに科学の進んだ街並み。
広告は揃いも揃ってデュエマ……デュエル・マスターズのことばかり。
そして街のいたるところに台が……デュエルをするための台が置かれていた。
最初の話。
デュエル・マスターズを知っているか、と聞いたな。
俺は少女に聞いた。
一体この景色はなんなんだと。
なんでこんなにデュエマがあって、こんなに近未来で、一体何が起きているんだ、と。
何かを悟ったような彼女は、俺の質問にこう答える。
曰く、『ここはありとあらゆる物事がデュエルで決まる。そんな場所』だと。
「……それって……マジな話のやつ?」
「うむ」
話は先ほどの続き。
ありとあらゆる物事がデュエルで決まる、そんな場所だと知って以降の話だ。
俺は今、白衣を纏う少女の家、もとい研究所に来ている。
やはり近未来的内装で、白と水色を基調とした爽やかなデザインとなっている。
白衣を着た彼女は教授と呼ばれた偉い地位にあって、なんか色々研究しているらしい。
その割には家にカードしかないし、偉いと言っても白衣が萌え袖になるほどちっこいから、その実感がない。
が、他の世界を知っているのは彼女だけらしく、それを聞くと教授なんだなぁ、って実感が出た。
で、色々聞いてみた結果、どうやら帰れないらしい。
さっきまでそれで唸ったり悩んだりしていたが、何をしてもどうにもならないので、取り敢えずこの世界で生きていくことを選んだ。
いずれ帰る方法も見つかるだろう、とのことで。
そして俺は最後の抵抗の言わんばかりに、もう一度あることを聞いていた。
「どう足掻こうが、大抵のことはデュエルで解決する世界……お主で言うところの異世界じゃぞ」
「遊戯王とかじゃなくて? デュエル・マスターズ?」
「ゆうぎ……? それはよく知らんが、デュエル・マスターズじゃな」
そう言って懐から取り出すのはカードの束。
どうやらデッキのようだ。
彼女はデッキを台の上に置いて、俺に向かって手招きをする。
俺は誘われるがままに台の方に行き、彼女の反対側に立つ。
「お主は持っておらんのか? デッキ」
「悪いが。俺はもうデュエマをやってないんだ」
そもそも持ち歩く人間は少ないと思う。
常にデュエマやるようなやつじゃないと携帯はしないだろう。
それを聞くと少し考え込んでから俺に聞いた。
「ふむ……やっていない、と言うのはそっちにもあるのだな?」
「そっちってのは……俺の世界、だよな? それならあるけど」
「ならルールは理解できているのだな?」
「同じなら、それなりには……つっても、俺の知識は革命で止まってるけどな」
「うむ、まぁ……問題はなかろう。お主、好きな文明は?」
「好きな文明? ……当時は火が好きだったな。それがどうかしたか?」
そう言うと近くの棚に行くと色々漁り始める。
あーでもないこーでもない言って探すこと十分ほど。
やっと何か見つけたようで、歓喜の声とルンルンのスキップで台に戻ってくる。
そして少し離れたところ、俺の方に向けてカードの束……デッキを置いた。
「練習用のおもちゃのカードじゃ。この世界で生きていけるかぐらいは、見ておかねばならんからな」
デュエマはおもちゃじゃ……? と思ったが、競技専用のカードとかあるのかもしれないと思い言葉を飲み込んだ。
それはともかく、少女は自分側にも別の束を置く。
先ほど取り出したデッキは懐へとしまってしまった。
「そっちは使わないのか?」
「うむ。どーしてもやりたいと言うのならば、また今度使ってやろう」
「できたら、の話だな」
その前に帰るかもしれないし、と付け足しておく。
取り敢えず、差し出されたデッキを受け取って、その中を覗く。
デッキの中身は古いカードばかりだ。
古いカードはシンプルな効果が多く、初心者にもピッタリなのは間違いない。
「ボルメテウス・サファイア・ドラゴン! ホワイトもある! やっぱいつ見てもカッケーな」
いくつになってもこう言うのは良いものだ。
久しぶりに見たがやっぱりカッコいい。
デュエマのドラゴンで大体センスいいと思う。
「うむ。実物はないがおもちゃなら幾らでもあるからな」
「実物……?」
「気にするな。始めるぞ」
「あ、ああ!」
俺たちはカードの束をシャッフルしてデッキの場所に置く。
シールド五枚、手札五枚を引いて、台の中心から突然弾かれたコインによって先行後攻が決まる。
コインは俺の方の台に塗られている色のを指し示す。
「お主が先行じゃな」
「お、おう!」
そんなんこんなで異世界での初デュエマが、今始まろうとしていた。