デュエル・マスターズ 【=%ゴールデン%=】   作:ルピコ

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俺の新しいデッキ

 と、言うわけで俺は火単、教授は水単のデッキを使用。

 現在6ターン目で向こうのシールドは三枚のみ。

 こっちの場にはコッコ・ルピアが二体。

 

 呪文を使いつつ対応してきたのもあって、相手のバトルゾーンにクリーチャーはいない。

 ……とは言っても、なんか手応えがないと言うか。

 見定めるような目つきからして、手加減されているような気がする、多分。

 

 兎にも角にも。

 プレイの感覚を思い出してきたのもあってか、なんとか勝てそうだ。

 

「場にある『コッコ・ルピア』二体のマナ軽減能力で、6マナで『ボルメテウス・サファイア・ドラゴン』を召喚!」

「ほう。手繰り寄せていたか!」

「ああ、ちょうど来てくれたんだ。サファイア・ドラゴンはスピードアタッカーだから召喚酔いせず攻撃ができる! T(トリプル)ブレイク!!」

「シールド焼却で、ワシのシールドは全部墓地に置くぞ。ふむ……コッコ・ルピアでダイレクトアタックされて終わりじゃな」

「よし!!」

 

 しばらく離れていたが、改めてプレイしてみると面白いな。

 最近は忙しかったのもあって、なかなか熱中できるものがなかった。

 デュエマ……改めて初めて見るのも良いかもしれないな。

 ……まぁ、この世界では否が応でもやらなくちゃいけないみたいだが。

 

「実力もカードを引き寄せる運もある。うむ、問題はなかろう」

「ところで……流れでプレイしたけど、なんでやったんだ?」

「一応どのくらいできるか見ておきたくてな。まぁ、問題はないじゃろう」

 

 そう言うとデッキを片付ける。

 俺も広げたカードを纏めて手渡すと、それを受け取って近くの箱に入れた。

 そしてそれを手に後ろにある机に。

 

「……取り敢えず、お主はデッキを持たねばな」

「それじゃダメなのか?」

「うむ……あっ、そうじゃった。これから外に行くが、お主が別の世界から来たことは、誰にも言わぬようにな」

「へ?」

「それを知ってるのはワシだけじゃし、バレたらバレたでめんどうだからな」

 

 教授は机の上の荷物を適当に纏めて、近くに落ちていたカバンに突っ込む。

 そして『行くぞ』と言って玄関へ。

 

 それを知っているのは……? つまり、それって……異世界のことを知ってるとは、教授だけってことだろうか? 

 そもそもなんで彼女は、異世界のことを知っているのか。

 

 考え出したら色々疑問は尽きない。

 が、今は取り敢えず何も考えずに付いて行くことにする。

 どこに行くかも知らないけど。

 

 外に出ると世界観が世界観なだけに、学生服を着ている俺は意外と馴染んでいる。

 少なくとも好奇の目に晒されるようなことはなさそうだ。

 ただ異世界から来た、ってわかったらどうなるのだろうか。

 めんどうくさいって言ってる以上……何かしら、あると思うのだが。

 

「む……そうじゃ。お主、名前は?」

「俺は間削 勝矢。教授は?」

「教授? ……ああ、うむ。ワシはアリアスという」

「アリアス……」

 

 なんかそれ聞くと、この世界に日本人っぽい名前の人、少なそうだな。

 俺の名前が違和感ないといいのだが。

 

「名前の心配しとるな? 安心せい、別に問題はないからのう」

 

 とのことだった。

 教授が大丈夫と言っているなら……まぁ、多分、大丈夫なんだろう、うん。

 細かいことは考えないことにした。

 

 ともかく彼女の後を追って街を進む。

 現代の街並みが少し未来に行ったような街並み。

 あっちこっちでデュエマをしているような声が聞こえる。

 広告もデュエマ関連のものばかりだ。

 

「とはいえ……お主の格好についてはなんとかしときたいのう」

「え? 学生服おかしい?」

「別にそういうわけではないが……基本的にみんな自由にやっとるからのう。制服着てると少し浮くぞ」

 

 馴染んでると思ったのに。

 俺の勘違いだったらしい、ちくしょう。

 

 そう言われてみると、学生っぽい子はいるのに制服着ているような人は一人もいない。

 みんなかなり自由度が高い。

 教授もそうだ。

 

 白衣に適当な女児服。

 中学生上がる寸前のような身長、髪色は派手目の水色と白色の混ぜ合わせ。

 で、のじゃロリ。

 ここまで来ると自由とかってレベルではない。

 

「なんじゃ、ワシのことをじっと見て」

 

 改めて格好を確認するためにじっと見ていると、怪訝そうな顔をされた。

 思ったより小さいと思って、と言ったら当然だが怒られた。

 そこからしばらく不機嫌そうだったが、目的地に着くと振り向いて指をさした。

 

「着いたぞ」

 

 そう言ってワクワクしたような表情で、指をさした先にあったのは箱のような建物。

 かなり人の出入りが激しく、その姿形はまるでプレゼント箱のようだ。

 

「ここは?」

「カードショップじゃ。お主のデッキを手に入れに来たのだから、当然じゃろうて」

 

 教授は足早にカードショップへ、俺もその後ろを小走りで付いて行く。

 中に入るとそこは、中心を吹き抜けとして上に4階まで広がっていた。

 

 目につくもののほとんどがカードであり、デュエル・マスターズ関連商品だった。

 スリーブやマットなどの商品も置いてある。

 中にはクリーチャーの人形とかも。

 

 そして中心には、何やら大きな機械のようなものが置いてあった。

 そしてその機械の前には大人子供が入り混じって長い列を作っている。

 

「すげぇ……! デュエマばかりだ……!!」

「お主、驚くにはまだ早いぞ」

 

 教授は笑みを浮かべると、機械の前の長い列に並ぶ。

 手招きされた俺も教授の隣に。

 列のことを聞くと着いたら説明してやると言われた。

 

 ……そんなこんなで待つこと体感一時間。

 ようやく列の先頭に、機械の前へと着いた。

 

「で、この機械は?」

「そこにレバーがあるじゃろ」

 

 機械の前、口のような排出口の横に、確かに大きなレバーが一つ。

 

「それを動かす」

「おう」

 

 ガチャコン、とレバーを下ろす。

 

「うぉっ!?」

 

 すると機械はプシューと大きな蒸気音を立てて蠢き始める。

 俺はあまりの動きように思わず後退りしてしまう。

 そしてガタンゴトンと中で何やら動いてる、かと思ったら突然目の前に、カメラが機械の中から現れる。

 パシャリと一枚、俺の顔写真を取って行きやがった。

 

「な、なんなんだ!?」

「安心せい。ただの確認じゃ」

「なんの!?」

 

 俺の質問を他所に機械は動き続ける。

 

 

 

 ただ機械が動き続ける。

 

 それだけではなかった。

 

 

 

 機械はその動きをより激しく、より大きくして行く。

 

「きょ、教授? これ大丈夫か?」

 

 横から見ていた時の挙動と明らかに違う。

 教授の方を見てみると、目を見開いて驚いている。

 これ、大丈夫なんだろうか。

 ……いや、絶対大丈夫じゃないだろ。

 

 機械の中から凄まじい音が響き渡る。

 バキバキとかメキメキとか言いながら、何故か爆発音が響いている。

 思わずまた後退りした、その瞬間。

 

 機械は目が潰れるような光を放ち……そして、落ち着いた。

 本当に突然、なんの前触れもなく落ち着いてしまった。

 なんだったんだよ、今の……。

 

 と、思った同時に、チーンというなんとも言い難い音を出して、排出口からカードの束を生み出した。

 

「……結局、なんなんだよ、これ」

 

 意味がわからないまま、俺は排出されたカードの束に手を伸ばす。

 カードに触れた瞬間、チカッと束が瞬く。

 だがほんの一瞬のことで、気づいていたのは俺だけだった。

 

「っ……なんなんだ、本当に……」

「おい……お主。ちょっとそれ、見せるんじゃ」

 

 少し呆然としていた教授はハッとして俺のそばに。

 そして手に取ったカードの束を覗き込む。

 

 俺も列から外れて、機械の横に行きカードの束の中身を見る。

 どうにも知らないカードばかりだ。

 どれもこれも連ドラで扱われるバルガの名が付いている。

 

「見たことないカードばっかだなぁ……最近はこんなカードばかりなのか?」

 

 教授の方を見れば驚嘆で目を見開いて、まじまじと俺が手に持つカードを見ていた。

 

「い、いや……このカード……いや、この()()()……! まさかっ……!!」

 

 かなり驚愕しているが、俺には何がなんだかわからない。

 

「一体なんなんだよこれ。教授、説明をだなぁ──……」

「おいっ!!」

 

 教授に説明を求めたようとしたところ、突然後ろから大きな声が。

 振り返るとそこには、これと言って目立ったところのないメガネ男が一人。

 随分と偉そうに立ちはだかっていた。

 男の次の言葉は、驚くべき言葉だった。

 

「え?」

「そのデッキ……俺に寄越せ!!」

 

 と、強盗もびっくりの寄越せ発言だった。

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