デュエル・マスターズ 【=%ゴールデン%=】 作:ルピコ
「まさか、こんなことに……なるなんて……」
私は会場の席から、デュエルを始めた先生とカツヤの姿を見守る。
先行を取ったのはカツヤのほうで、二ターン目に『ドラゴン・マナホール』によるマナ補充。
そのカードを見た観客席がどよめき始める。
見たことのないカード……唯一無二カードを扱っているから、それも当然の反応か。
一応この学園にも何人か唯一無二カードを持つ人はいる。
だが彼らは……公の場でデュエルをすることは滅多にない。
やりたがらない、と言ったほうが正しいか。
「どうじゃ、向こうは」
「ん……教授。用事は……?」
「一瞬じゃったぞ。で、どうなっとる?」
「……先生のデッキは……多分【火単連ドラ】。『コッコ・ルピア』が出てきたら……まずいかも……」
「『メンデルスゾーン』がないだけ、遅れでマシと見るか……まぁ、早く動けるのは間違いなくカツヤじゃな。だが……【火単連ドラ】ってことはあやつ、本気を出しとらんな?」
「……遊び九割程度、かな……」
「と、言っても。その遊びで敵を徹底的に叩き潰すのが、あやつのやり方じゃからな……」
先行きの見えない不安な戦い。
私たちはそれをただ、上から見ることしかできなかった。
三ターン目、これで五枚目のマナを置き、『バルガイト・ルピア』を召喚する。
登場時能力は不発だった。
「そして『バルガイト・ルピア』の持つ、ドラゴンのマナ軽減能力で、①コストで『
「なるほど……さっきから見たことのないカードばかり……面白い!」
俺が①コストで召喚したのは、火闇の③コストのクリーチャー。
【ニンジャ・ストライク6】*1とスレイヤーを持ち、【ニンジャ・ストライク】で出た時、【ブロッカー】を得る、ハヤブサマルのコストが重くなったバージョンだ。
ちなみにパワーは3000。
「ターンエンドだ」
「ドロー! ……マナに置き、『コッコ・ルピアGS』を召喚……ターンエンドだ」
思ったより攻めてくる感じがない。
マナゾーンを見る限り、【連ドラ】っぽいが……。
……コッコ・ルピアを出してきた以上、次のターンに向けて警戒を進めるべきか……それとも、破壊しておくべきか。
ちょうどいいカードがあるしな。
「ドロー。マナに置いて……『進撃竜双バルガフーライ』を召喚!」
『バルガイト・ルピア』の効果で、②コストで召喚。
「登場時効果で『フレガーシ・ドラゴン』を破壊し、『コッコ・ルピア』を破壊!」
召喚時、強制能力で自分のクリーチャーを一体破壊。
そうすることでパワー6000以下のクリーチャーを破壊できる。
そして今回は……もう一つの能力も扱う。
「そしてこいつは自壊せずに召喚できた時、自分のシールドを一枚回収できる。それがドラゴンなら手札に、火文明の呪文かシールド・トリガーならば踏み倒しが可能だ!」
「……なるほど。お前も【連ドラ】か!」
俺は真ん中のシールドを回収、そのカードは……火文明の呪文。
踏み倒し発動できる!
「よし! 呪文『バルガの陰謀』!」
こいつは⑨コストの大型呪文……だが。
役割的には水文明にかなり近い。
なんせこいつは手札の上から五枚を見て、その中から一枚捨てることで、好きに置き換えて山札の上に戻す。
【連ドラ】をするためだけのカードだからだ。
「…………呪文『竜の取引』を墓地に置き、他四枚を入れ替えるぞ。そしてスピードアタッカーだから攻撃! ……するときに!」
「まだ能力があるのか……!?」
「攻撃時、こいつはブロックされなければ山札の上三枚を見て、その中からドラゴンを好きな数手札に加えられる! 今回は三枚ともドラゴンだったから、全て手札に加えるぞ!!」
山札が勝手に動いて上三枚をこちらに見せる、そしてその三枚が手札に加わった。
そして『バルガフーライ』をタップし、相手のシールドをブレイク。
「なかなかの引き運だが……まだ、甘い。シールドトリガー! 『熱血龍バトクロス・バトル』を召喚!! こいつは登場時能力で相手のクリーチャー一体と強制でバトルする! 『バルガイト・ルピア』とバトルだ!!」
「くつ……!!」
『バルガイト・ルピア』が破壊され、墓地へと飛んで行く。
それ以上、何もできることのない俺はターンエンドを宣言。
すると『バトクロス・バトル』は山札の下へと落ちていった。
「ったく……教授も人が悪い。私をこんな風に扱うなんて」
「……どういうこと、ですか?」
少し黙りこくった後、山札を勢いよく引いて言い放つ。
「お前はもう終わりってことだ!! マナをチャージし、呪文! 『スクランブル・チェンジ!!』」
『スクランブル・チェンジ』……!?
あれはドラゴンの召喚コストを⑤少なくするとんでもない呪文だ。
その上、出てきたドラゴンには『スピードアタッカー』が与えられる。
だが何をするつもりだ……!?
何を出してくる。
……いや、だが。
ここで何を出したとしても、俺の手札にはもう『バルガ・シュヴァルツ』がいる。
一応マナのほとんどもドラゴンで埋められている。
少なくとも【龍マナ武装5】は発動するはずだ。
だからここで出して来ても、このターンを耐えきれば。
「『メガ・マナロック・ドラゴン』」
「……へ?」
「こいつを召喚する!」
あ……あぁ!?
まずいまずいまずいまずい!!
あのカードは! あいつは!!
「その顔。わかったようだな」
「そ、それはないだろ!?」
「あるんだよ。デュエルマスターズってゲームにはな! こいつは登場時と攻撃時の能力で相手のマナ、一種類一枚ずつタップさせ、次のターンにアンタップさせない能力を持つ! ちょうどいい感じに揃ってくれてるおかげで、とても発動しやすい。火、自然、闇!! それぞれロック!!」
俺のマナゾーンが勝手に動いて、三枚をタップ。
こいつらはもう次のターン使えない。
そして奴の能力は攻撃時にも発動する。
本来、奴は『スピードアタッカー』を持たない。
だが! 『スクランブル・チェンジ』の能力で……!!
「行くぞ!! ダブルブレイク! ……するときに! もう一度能力を発動! 残り三枚もロックだ!!」
残った三枚、多色カードと単色、それぞれの文明だったが故にタップしてしまった。
これで俺は次のターン、⓪、もしくは①マナしか使えない。
「くそッ……!! い、いやっ! まだだ!! 『フレガーシ・ドラゴン』の【ニンジャ・ストライク6】を発動!!」
「っ! さっきのやつか……」
『フレガーシ・ドラゴン』の【ニンジャ・ストライク】によって召喚。
そしてその時の能力で、【ブロッカー】を得たこいつによってブロック。
「そしてこいつは【スレイヤー】だ!」
「……いいだろう。『メガ・マナロック・ドラゴン』を破壊」
「た、助かった……」
お互いのクリーチャーが墓地に。
なんとかギリギリのところでシールドブレイクは免れた。
「だが次のターン、お前に何ができる?」
「……ま、まだ『バルガフーライ』がいる!」
五ターン目を迎える。
俺の手札から一枚をマナゾーンに……だがほとんどタップしていて使い物にならない。
『バルガイト・ルピア』がいれば、出せたのだろうが……それはさっき、『バトクロス・バトル』に破壊された。
だからこのターン、俺は攻撃以外何もできない。
次のターン。
次のターンさえ来れば、俺は勝つことができる。
「……くっ。『バルガフーライ』で攻撃! 今回もブロックされないから能力を発動……よし、二枚回収!」
「シールドチェック……なしだ」
「これでターンエンドだ」
残りシールド三枚。
だがこのまま悠長にやるわけにはいかない。
もう一度『スクランブル・チェンジ』とかやられたら、もう普通に終わるし。
それに、【連ドラ】の本領はここからだ。
「ドロー。おっと……運がいいな、私は」
「なんだと……!?」
運がいい、だと……?
引いたのか、何か……この状況で攻撃できるようなカードを。
まさかまた『スクランブル・チェンジ』を……!?
そして先生はマナをチャージせずに、それを宣言する。
「まず……呪文、『スクランブル・チェンジ』」
「引いたのか!? それを!?」
「……勘違いするな。これは最初から手札にあったカードだ。引いたのは、こっちだッ!」
そうしてバトルゾーンに向けて差し込むように投げる。
カードは自動で動きバトルゾーンに。
①コストで、そいつは出てきた。
「『
「な、なんだと!!?」
【連ドラ】、『バルガ』。
その始まり、その全ての始まりがやつだ。
効果は……言わずもがな、というやつだ。
奴は本来スピードアタッカーを持っていない。
が、例によって『スクランブル・チェンジ』で、奴はスピードアタッカーを取得している。
即ちこのターン、奴は攻撃してくる。
【連ドラ】の要である、攻撃を!
「『バルガゲイザー』で攻撃するとき! 山札から一番上を全員に公開できる! それがドラゴンならば……召喚だ!!」
そうしてカードの一番上を公開、そしてそのままバトルゾーンへ。
先生が出してきたのは……。
「『
これは……まずい!!
まずシールドが一枚割れる。
シールドチェック……なし、シールドトリガーはなかった。
「そして『バルガライザー』で攻撃する……時に! もう一度山札の一番上を公開!!」
それがドラゴンならば、またもや召喚ができる。
これ以上、破壊されるのは流石にまずい。
だが……無慈悲にも、それはバトルゾーンへと出てきた。
出てきたのは……。
「『ボルシャックライシス・
まだ、まだ止まらないのか!?
あれも攻撃する時……いや、自分のドラゴンが攻撃する時に、山札の一番上を見て、それがドラゴンならば召喚できるクリーチャー。
奴自身も、またドラゴンだ!
「ダブルブレイク!!」
『バルガライザー』のダブルブレイク。
音ともにシールドが割れ、手元に……シールドトリガーはない。
「『ボルシャックライシス』で攻撃! もう一度だッ!!」
出てきたのは……二体目の『バルガライザー』。
もはや全ては、このシールドにかかっている。
このシールドが、このシールドに何もなければ。
俺はもう……負ける!
「トリプルブレイク!!」
激しい音ともにシールドが割れる。
その瞬間だった。
シールドは大きく光り輝き、そして俺の手元へと。
「き、来たッ!! シールドトリガー!! 『
⑫コストの大型呪文。
その効果は三つ。
まず、お互いのバトルゾーンのクリーチャーを全て破壊。
次に、お互いのマナゾーンを三つ残して、全て墓地に。
最後に、お互いの手札を三枚残して、墓地に。
とにかくお互いの陣地を壊滅的にする、火文明の呪文。
「ほう……シールドトリガーに救われたな」
「……た、たす、かった……」
「だが、そこからどうするつもりだ?」
どう、するか。
手札には『シュヴァルツ』、『マナホール』、『バルガフーライ』のみ。
墓地には八枚のドラゴンに、たくさんの呪文。
……いや、待て。
全て、全てを賭けるしか、ないか。
『マナホール』に……!
「ターンエンド。最後の足掻き、見せてみろ」
「ど、ドロー」
手札を引く……が、出てきたのは三枚目の『フレガーシ・ドラゴン』。
重要なのはここじゃない。
ここからだ。
俺は一先ず、『フレガーシ・ドラゴン』をマナゾーンに。
「……行くぞ。『ドラゴン・マナホール』!! 『バルガフーライ』を墓地に!」
まず召喚条件……墓地にドラゴンが九枚。
これで『シュヴァルツ』をコスト①で召喚できる。
問題は……ここでマナゾーンに落ちるカードだ。
今、マナゾーンにドラゴンは四枚ある。
あと一枚、あと一枚だけ来てくれれば。
「来い……! よしッ!!」
二枚マナに……ドラゴンは一枚、『バルガバースト』が来た!
「『金色竜星バルガ・シュヴァルツ』!! 俺の切り札を召喚!!!」
「何……!?」
『シュヴァルツ』自身の軽減効果で①マナで召喚。
そしてマナにはドラゴン五枚。
これで【龍マナ武装5】が発動できる!
「【龍マナ武装5】!! 山札の上を三枚見て……! 『墓守竜バルガ・グラープ』を召喚!!」
一枚だけしか召喚できなかった……が、何も問題はない!
この時点で『グラープ』は『シュヴァルツ』の能力でスピードアタッカーを得ているからだ。
「そして『バルガ・グラープ』の登場時能力! 『ガチンコ・ジャッジ』を行う!」
「「『ガチンコ・ジャッジ』!!!」」
俺が出したのは『燼滅の息吹』。
先生が出したのは『ジャックポット・エントリー』だった。
「勝った時、俺は『ガチンコ・ジャッジ』で出したカードのコスト以下のクリーチャーを、墓地から召喚することができる!! 召喚するのは『バルガバースト』!!」
『バルガバースト」、スピードアタッカーでマッハファイターで、ダブルブレイカー。
盤面は揃った、これで攻撃ができる。
「……盤面が、ひっくり返った、だと……!!?」
先生は目を見開いて、バトルゾーンを見ている。
そこへ俺は容赦なく攻撃を始めた。
「『グラープ』でブレイク!」
「……なしだ」
「『バースト』でダブルブレイク!!」
「……なし、か」
シールドは0、もはや手立てはなし。
かと思われたが。
ここで先生は最後の足掻きを見せる。
「【革命0トリガー】!! 『革命の鉄拳』!!」
山札の上から四枚を見て、その中から火のクリーチャーを選び、そのパワー以下のクリーチャーを破壊する。
アンタップしている『シュヴァルツ』の方がパワーは22000。
つまり『ボルシャックライシス』を出されれば、俺の負けだ。
「っ……!」
そうして先生は上から四枚を見る。
……ニヤリと、笑みを浮かべた。
「……私の負けだ。認めよう、お前のことを」
そうして提示したのは『コッコ・ルピアGS』。
どうやらほとんどクリーチャーが来なかったらしい。
「……『シュヴァルツ』でダイレクトアタック! トドメだ!!」
こうして学園最初のデュエル。
それは俺の勝利で幕を閉じたのだった。