キョウリュウジャー×シンフォギア 無敵の詩姫《スーパースター》   作:地水

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 2012年登場した『獣電戦隊キョウリュウジャー』が10周年を巡りました。
元気の塊のような彼ら、そんなブレイブな戦隊を主役にした彼らを出すためにこのSSを書きました。
昔知り合いと話しあって決めていたネタをお出しすることに。


強き竜の者達が巡り合うのは、歌を力に変える戦姫達。
戦う歌女として戦う彼女達はブレイブな彼らと出会いどんな物語を巻き起こすのか。


ブレイブだぜ!


ブレイブ00:プロローグ!出会いしロックな男!

 

 それは今より一ヵ月前の事。

 

欧州のとある国、砕けた月が空に浮かぶ夜空を背に古びた城が佇む森の中……そこでは秘密裏に動く何者かがいた。

重武装を身に纏った兵士というべき彼らは、銃器を片手に密かに城へ忍び込もうとしていた。

彼ら――国際機関の戦闘部隊はココを根城にしているであろう"対象"を摘発すべく動いていた。

 

ある戦闘員が仲間と共に城の中へ入り込み、内部へと進んでいく。

やがて深淵部へと辿り着き、そこに見つけたものにフルフェイスマスクの下で驚きの声を上げた。

 

 

「なんなんだ、これは」

 

 

城の最深部、そこにあったのは『巨大な怪物』のような見た目の何か。

白と緑を基調とした軟体生物をどことなく彷彿とさせる部位を持つ怪獣は静かに佇んでおり、それらを見た戦闘員は自分達がよく知るある存在を口に出した。

 

「コイツは、"ノイズ"か?」

 

「だが、何かが違う……アイツらほどの危機感が感じない」

 

「だとしてもよ、何かのモンスター映画のセットかよ……」

 

未知の怪物に恐れ慄く戦闘員達……それほど目の前の存在を信じたくないのだろう。

本来の目的である『対象の捕縛』とは大それてしまったが、この怪物を放っておくわけにはいかない。

戦闘員達は武器を構えながら外にいる仲間へ報告をしようとする。

 

だが、その瞬間であった。

怪物がゆっくりと動き出したのは。

 

『―――――!!!』

 

「「「ッ!?」」」

 

言葉では言い現せないような咆哮が城に響き渡り、次第に崩れ始める。

このままでは危ない……そう悟った戦闘員達は急いで城から脱出。

怪物が周囲の壁や天井を破壊しながら外へ出ている様子を背に、城の内部へ先行していた戦闘員達は何とか脱出をする。

だが、切羽詰まった仲間の声が状況がいまだ変わってない事を気付かされた。

 

「隊長!怪物が!」

 

その叫びと共に振り向けば、城を崩しながら現れる巨大な怪物。

まるでモンスター映画の如くの光景を目の前で繰り広げながら、怪物は大きな口を開き、口の中で溜めた光弾を繰り出そうとする。

避けられる暇はない……、と戦闘員達が悟った今、怪物が繰り出した破壊光線が迫った。

 

 

「しまっ……!」

 

 

もうだめだ、とその場にいた戦闘部隊の誰かが思ったその時だった。

勇者の音色(メロディ)が、耳に届いたのは。

 

 

【GABURINNCYO! TOBASPINO!】

 

 

そこに聞こえてきたのは、けたたましいほどの電子音声。

まるで絶望的な状況を張り倒さんとする勢いのその音声がサンバのようなリズムと共に聞こえ……。

 

 

「ハァッ!!」

 

 

一閃。

目にも止まらぬ速さで男へ襲い掛かろうとした怪物の破壊光線を何かが撃ち落とした。

一体何なのか、と思った矢先に戦闘員達の元に一人の人物が姿を見せる。

 

 

――鮮やかなネイビーブルーの強化スーツ、その上には右肩から左胸までかけて描かれたギザギザの牙上のデザイン。右肩には金色のトサカのような肩当てがあった。

そして頭部には何かの恐竜のようなデザインが描かれたフルフェイスマスク。

 

未知の強大な怪物を前に堂々と面と向かって立つ姿に、戦闘部隊の人々は呆然としていた。

一方、謎の戦士は片手に持った恐竜の頭部のデザインが施された派手なイエローカラーの銃をくるりと回し、軽口を叩く。

 

「おうおう、こんな異世界に巨大ゾーリ魔とはな!」

 

戦士はイエローカラーの銃――『ガブリボルバー』を構え、引き金を引く。

放たれた弾丸は怪物の巨躯へ直撃し、怪物――『巨大ゾーリ魔』を怒らせた。

 

『■■■■!!!』

 

「そうだ、お前の相手はこの俺達(・・)だ!」

 

そう言いながら、謎の戦士が叫んだ直後、一同が立つ地面が揺らぐ。

戦闘部隊の一同が突如起こった地鳴りに何かと思えば、森の木々を掻き分けながら巨大は何かがやってくるのが見えた。

それは、大きな背鰭が特徴的な巨躯を誇る一匹の青い竜……戦闘員の誰かが『スピノサウルス』と呟いた通り、恐竜と思わせるその存在は巨大ゾーリ魔へと突撃を仕掛けていく。

巨大ゾーリ魔を蹴散らしながら恐竜――『トバスピノ』は咆哮を上げ、その頭上に謎の戦士が飛び乗る。

怯んでいる巨大ゾーリ魔に対し、謎の戦士は余裕の声を上げてガブリボルバーのシリンダー部分を回転。そして銃口を巨大ゾーリ魔へ向けながら叫ぶ。

 

【VAMOLA! MUCHO!】

 

「行くぜトバスピノ、――獣電ブレイブフィニッシュ!」

 

ガブリボルバーから放った銃撃と、トバスピノが放った光弾。

二つの力が重なり合い、一つの光線として巨大ゾーリ魔を貫いた。

巨大ゾーリ魔は『獣電ブレイブフィニッシュ』を受けて爆発……。

 

後に残されたのは、謎の戦士の戦いを一部始終目撃していた戦闘部隊の兵士達と城の残骸だけ。

 

 

怪物を倒した英雄(ヒーロー)達は、どこにも姿がなかったのだ。

 

 

 

~~~~

 

 

 

季節は冬、とある寒さが染みる昼時。

珍しく午後の授業はなく、数少ない自由な時間ができた高校生たちが街へと繰り出していた。

何かとイベントが多い年末に近づいているのか、多くの人々が賑わっている中で二人のうら若き少女が散策をしていた。

 

「未来、今日も寒いねぇ」

 

「そうねぇ。昔から地球温暖化なんて言われていたけど、この寒さは凄いよね」

 

1人は明るい茶髪のような色合いの元気活発な印象を受ける少女――『立花響』。

もう一人はリボンをつけた黒髪にしっかりとした印象の少女――『小日向未来』。

彼女達二人は人混みの中でも離れないようにしっかりと手を握りながら、冷たく張り詰めた空気も楽しみながら冬の街へ出かけていた。

 

だが、彼女達が現在の平和を掴むまで、厳しい道のりをしていた。

立花響は歌を力に変える特殊戦闘服(パワードスーツ)『ガングニールの装者』であり、彼女は多くの仲間と共に人類の脅威と戦ってきた。

 

終末の巫女・フィーネによる"ルナアタック"。

 

武装組織フィーネとの激突、そして"フロンティア"の浮上。

 

錬金術師キャロルが引き起こした"魔法少女事変"。

 

さらには錬金術師たちの組織"パヴァリア光明結社"との対立。

 

最後は旧き神"シェム・ハ"との激闘。

 

辛く苦しく、決して少なくない犠牲もあったが、それでもいくつもの戦いをもって勝ち取ったこの日常。

大勢の人と勝ち取ったこの日常を掛け替えのない報酬と言わんばかりに満喫していた。

最後の戦いから早数か月、冬の寒さすら嬉しく思いながら響は呟いた。

 

「ねぇ未来、近くのコンビニに寄って行こうよ! やっぱり冬と言ったら肉まんだよー!」

 

「もう響ったら、さっきおひるごはん食べたばっかりじゃない」

 

「もう分かってないなぁ……肉まんとおひるごはんは別腹だよ!」

 

「そんなスイーツとごはんが別腹理論は無理があるよ」

 

肉まんを食べたがっている響を他所に、未来は眉を顰めて彼女を諌める。

仲睦まじい様子の二人はいつもの様に見知った道を歩く二人……昨日と同じ今日、いつもと同じ日常が繰り返し時を刻み、変わらないように見えた。

 

だがしかし、とある広場に差し掛かったところで、二人はとある光景を見つけ、足を止めた。

特に響にとっては、鼓動を高鳴らせるような光景だった。

 

 

「「「わああああああああああ!!!」」」

 

 

それは、熱狂する人々の歓声。

スーツの中年男性、若い男女、少し年上な女子学生、何人もの子供達、老夫婦……老若男女問わずの観客達が冬の寒さなど平気へっちゃらと言わんばかりの熱気を上げながら盛り上がっていた。

そのすさまじさは熱気が冬の冷たい空気によって冷やされて可視化されるほどだった。

 

「すごい、まるで翼さんやマリアさんのライブと同じだ……」

 

一体何を熱狂させるのか……そう思った響はなんだろうと盛り上がっている集団が見ている中心へと視線を向けた。

 

 

―――そこにいたのは、いつも見かけているはずの若いバンドグループ。

響と未来によっては見過ごしてしまう何気ない日常の一部分だったが、今は違う……彼らの奏でる音が、彼らが刻む音色が、心の奥底まで響いているからだ。

特に一目置かれるのは一人の異質な男だった。

 

「さぁて、これで〆のラストアンコールだ! ブレイブな一曲をぶっ放すぜ!」

 

そこにいたのは前に見かけた時にはいなかったはずの派手な見た目の若い男。

恐竜のようなマークを背中に描いた群青色のジャケットを身に纏い、青いメッシュが入った黒い髪、整った美貌というまるで芸能人のような見た目の彼は、手に持ったギター片手に巧みな演奏技術と独特な歌唱力で人々を引き込んでいた。

彼が伝える音色をベースに響かせる歌は人々を、そして響と未来を圧倒していった。

 

「凄い、凄いよ未来!」

 

「う、うん! ……でもあの人、一体何なの?」

 

まるで子供のようにはしゃぐ響に対し、未来は浮かれつつもジャケットの男に疑問符を浮かべていた。

あれほどの歌の力は並大抵のものじゃない……自分達のよく知る"とある仲間"と比べても遜色ないほどのものだと未来は感じた。

だがここまで人を惹きつけるような魅力を持つ彼のような人物が無名のままのはずはなく、何かしら活動している人物として耳に届いているはずだ。

海外から来た、というのならそれまでだが、少なくとも音楽に興味がある響が何かしら反応するはずだ。

でもそうじゃないとすると、彼は一体何者なのか……未来がそう考えを巡らしていると、あっという間にバンドグループのゲリラライブは終わり、御捻りの嵐が演奏者へとお見舞いされる。

その数は数千、数万……少なくとも焼肉代を奢っても余り余るほどの量を観客からもらったのだ。

観客達からの報酬をもらったリーダー格の男はジャケットの男の名を呼んで、喜びの声を上げる。

 

「うへぇ、凄い数だ!これもソウガさんのおかげっすね!」

 

「よせよ。オレはお前らが才能があるから教え込んだだけだ」

 

そう言いながらジャケットの男――『ソウガ』はある程度のお札と小金を拾うと、小さくまとめて懐にしまう。

その金額は今回もらった御捻りの1割満たすか満たさないかの物であり、リーダー格の男は目を見開いて驚く。

 

「ちょっとソウガさん、ソウガさんの取り分はそれでいいんすか!?」

 

「いいんだよ、当分の日銭があればオレは食っていける。後のはお前達に全部やるよ」

 

「そんなっ、オレ達、売れないバンドグループだったのにこの一週間ソウガさんに教えを受けてここまでやれたんすよ!?」

 

リーダー格の男は他のメンバーと共に、もらった御捻りのお金をソウガへ渡そうとする。

だがソウガはそれを一瞥すると、首を振りながらニヒルな笑いを浮かべた。

 

「いらねえよ。それよりお前らはそれを元値に大きくなれよ。オレが教え込んで見込んだんだから、立派になれよ」

 

「ソウガ、さん……ッ!」

 

ソウガの言葉を聞いて嬉し泣きをするリーダー格の男とバンドグループ一同。

自分達を思って泣く彼らを見てやれやれと言った表情で、あばよと言わんばかりに愛器のギターを背負いながら、何処かへと去ろうとする。

その際に響と未来の横を通り過ぎようとする……そこへ、響が声をかけた。

 

「あ、あの!」

 

「ん?」

 

ソウガは過ぎ去ろうとした所に足を止めて響達の方へ何事かと言わんばかりに振り向く。

響は目を輝かせながらソウガに音楽を聴いた感想を語った。

 

「アナタの奏でた音楽、すっごい素敵でした! まるで、生命力の爆発のような力強さで!」

 

「へぇ、いいねぇその例え。ありがとうよ、そんな事を言ってくれてよ」

 

響の口にした感想を聞いて嬉しそうな様子を見せるソウガ。

彼は元気一杯の笑顔を浮かべ、自分に親指を立てながら名乗り上げた。

 

「オレはソウガ。そう気軽に呼んでくれ」

 

「ソウガさん、ですね! 私は立花響です! こっちは親友の……」

 

「小日向未来です」

 

ソウガの名前を聞いて響は嬉しそうにしながら隣にいる未来を紹介し、未来は自分の名前を名乗った。

二人の名前を聞いてうんうんとソウガは頷くと、彼は何かに気づき、少しの間響を見つめる。

端正な顔立ちが迫り、少し驚く響と若干不満そうに未来が見つめる中、ソウガは少し唸った後に声を出す。

 

「お前さん、面白い音の色しているな。いい歌だ」

 

「「それって……!」」

 

ソウガの口にした言葉を聞いて、響と未来は首を傾げた。

音の色……それを聞いて思い出したのは、とある人から言われたかつての言葉。

 

――胸の歌を信じなさい

 

かつての強敵であり、そしてかけがえのない恩人からの言葉。

それを彷彿させるような言葉を彼は告げられ、二人は思わず驚きの表情を見せる。

どうやらその言葉を口にしたソウガ本人は意外な反応を見せられて戸惑った様子を見せた。

 

「あっ、すまん……いつもの悪い癖が出てしまった。謝る」

 

ついうっかりといわんばかりに申し訳なさそうにソウガの謝罪の言葉を述べる。

どうやら軽い見た目に反して誠実な様子で、その言葉を聞いて未来が慌てて頭を下げる。

 

「ああいえ、気にしていませんので!」

 

「そうか……それならよかった」

 

響と未来に悪い想いをさせなかったことにソウガは安堵した様子を浮かべる。

そうして束の間の会話をやり取りした後、ソウガはある事を思い出したのか焦った声を上げる。

 

「やっべぇ! じゃあ俺はここらへんで!」

 

「あっ、ちょっと!」

 

響の呼び止める声も聞かず、ソウガは地面を蹴って走り出す。

まるで一陣の風の如く瞬く間に去っていく彼の姿に響は未来と共に耳届けるしかなかった。

やがて面白いミュージシャンな彼の姿が人混みへ完全に消えた後、響は未来に対してポツリと呟く。

 

「ねえ、未来」

 

「なに、響?」

 

「私、またソウガさんと話してみたいな」

 

「――えっ!?」

 

響が徐に呟いた言葉を耳にして未来は驚きの声を上げた。

目を見開かんばかりに驚く彼女に対して響は自分の想いを言葉に続ける。

 

「今度は翼さんやクリスちゃん、みんなと一緒に」

 

「な、なんだ……響ったらてっきり」

 

何気なく無邪気に振る舞う響に焦っていた未来は胸をなでおろす。

まさか一番の親友がついに異性への恋に芽生えたのかと考えが過ったからだ。

彼女が人生で感じた一番の驚愕と危機感を味わったのを他所に、響は心の中で思う。

 

 

(きっとまた出会うよね……)

 

 

響は冬の冷たさを感じる寒空を見上げ、ソウガとの再会を夢見ていた。

 

肌寒い季節に起きた一つの出会い。

 

その出会いは一つの戦いの前触れだとは、この世界の人々は思ってもみなかった。

 

 

 

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