キョウリュウジャー×シンフォギア 無敵の詩姫《スーパースター》 作:地水
元ネタがなんなのか考えながらお探しになると楽しくなります。
そんなこんなで謎のヒーローが衝撃を駆け巡った第1話、どうぞ。
響達が謎の伊達男・ソウガと出逢って翌日の事。
Squad of Nexus Guardians――S.O.N.G.本部。次世代型潜水艦の内部に設けられたブリーフィングルームにて一人の男が険しい顔をしていた。
「ノイズとも聖遺物とも違う未知の怪物に、謎の戦士か」
そのいかつい体格に赤髪と髭が特徴的な壮年の男性――『風鳴弦十郎』は目の前の立体モニターに映し出された視覚情報を見て、何とも言えない様子を浮かべていた。
それは数週間前、欧州の捜査機関が秘密結社・パヴァリア光明結社残党の捕縛のために派遣した戦闘部隊が遭遇した出来事。
そのレポートには『恐竜としか見えない巨大生物と共に戦う謎のヒーロー』の存在が記されていた。刻まれていた記録映像にもその存在が描かれており、彼(仮称)は未知の怪物と対峙、倒したという。
自分達が今まで遭遇した脅威……人類を脅かす認定特異災害・ノイズや超古代の異端技術・聖遺物、そのどちらとも異なる新たなる存在に頭を悩ませていた。
「まるで特撮映画に出てくる大怪獣だな。もっとも、大怪獣を倒すヒーローがいるのは流石に予想外だがな」
大怪獣を倒した謎の戦士……もとい、その紺色のヒーローに弦十郎は関心を示す。
彼のもらした言葉を聞いて、部下の一人である若い男性――『藤尭朔也』は冗談混じりに呟いた。
「まるで画面の向こうのヒーローが現実に登場なんて驚きもいいところですよね」
「司令の好きな映画の中のヒーローが助けに来た……ってわけでもないのよね」
藤尭の口にした冗談に反応したのは、同じく弦十郎の部下である若い女性――『友里あおい』。
オペレーターである彼ら二人は手元の操作盤を打ち込んで目の前の立体モニターに情報を映し出す。一同の立体モニターに映し出されたのは、巨大な怪物を撃ち抜く紺色のヒーローとスピノサウルス型の紺色の恐竜。
先程まで言っていた特撮ヒーロー映画のような一面に、弦十郎はポツリと呟く。
「彼らは俺達の味方なのか、そうでないか……一抹の不安だな」
「司令はどっちがいいんですか?」
振り向いて視線を送るあおいの質問に弦十郎はそれを聞くと、今までのしかめっ面から次第に豪快な笑顔に変わる。
まるで迷いが吹っ切れたような顔をしている彼は部下の二人へ嬉しそうに言葉を口にした。
「そりゃまあ、味方の方だと信じるよ」
「ああやっぱり……司令がそういうのは想像通りだけど、それはなんでですか?」
やはりと言わんばかりに分かり切った答えを聞いて藤尭は理由を尋ねる。
弦十郎はモニターの紺色のヒーローへ視線を移すと、ニヤリと不敵な笑みを浮かべて答えた。
「こんなにかっこいいヤツ、我々の敵とは思えないのだ」
司令官のものとは少しかけ離れた、子供じみた答えを聞いて藤尭とあおいは納得した表情を浮かべた。
堅苦しい立場とはかけ離れた性格と自身の直感を信じる心……こうした行動が風鳴弦十郎という男の良さであり魅力なのだ。
藤尭とあおいは弦十郎という男の一端を改めて知り、今調べるべき情報を洗い直すにした。
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その一方、S.O.N.G本部のとある個室。
最新鋭の研究設備が整った研究室では一人の幼い研究者の姿があった。金髪碧眼の外国人じみた華奢な女の子の見た目をしている彼女の名は『エルフナイン』。
かつてとある事件で響達と出会い、厳しい戦いの果てにS.O.N.Gの技術研究者として仲間入りした経緯を持つ。
今の彼女はとある修復作業に勤しんでいた。
「うぅぅ、あの戦いから早数ヵ月、ようやくここまで修復できました」
彼女の目の前に並べられているのは、いくつもの紅色の結晶体のペンダント。
それは響をはじめとした装着者・装者が有する"FG式回天特機装束"……通称『シンフォギア』。先のシェム・ハとの戦いで大きく損傷した六機のシンフォギアは今の今まで修復に時間がかかったのだ。
幸いにも修復が終わる目途の間に何事もない平穏な時間が流れていたのはエルフナインにとって助けにはなったが。
完全修復にはもう一息……と、そこへ研究室へと入ってくる二人の人物がいた。
「エルフナイン、元気か?」
「一息付けよ、ほら飯だ」
自分の名前を呼ばれてエルフナインが振り向くと、見知った相手が自分の食事を持ってきていたのだ。
一人は凛とした雰囲気を持つ大人びた藍色の髪色の見た目の少女――『風鳴翼』。
もう一人はぶっきらぼうな口癖が特徴的な白髪の少女――『雪音クリス』。
2人ともシンフォギア装者であり、同時に頼もしい仲間は戦いが落ち着いた今もこうして本部に訪れいる。
食堂でもらってきた食事を近くにある空いたテーブルの上に置き、翼が進捗を訊ねた。
「ギアの修復はどうなのだ?」
「アマノハバキリ、イチイバル、シュルシュガナ、イガリマ、アガートラームはあと三日あれば完璧に終わらせられます」
「そうか。となると、立花のガングニールは……」
そう言いながらあるペンダント……ガングニールのペンダントへ視線を落とす。
自分達の仲間である響が装着するソレの近くには『修復完了!』とかわいらしい付箋が貼られていた。
どうやら既に使えるように直っており、付け加えるようにエルフナインが言葉を付け加えた。
「響さんのガングニールは何とか修復を終えました」
「先にガングニールが修復終えてるとはねぇ。今のあのバカには無縁だというのに」
クリスは苦笑しながらそう言うと、ガングニールのペンダントを手にして眺める。
確かに抗うべき脅威もいなくなった今、このペンダント――シンフォギアは無用かもしれない。だが何時また別の脅威が人類を脅かすのか、または無辜の誰か悲しまないために、このシンフォギアの力が必要になる。
エルフナイン達S.O.N.Gはそれを見越してシンフォギアの修復作業をしていた。僅か数ヵ月で破損していたシンフォギアシステムを今までの様に使えるようにしたのも、元錬金術師であり技術職であるエルフナインの腕があってこそだとクリスと翼はそう感心していた。
ガングニールのペンダントを見回した後、クリスはエルフナインに対して訊ねる。
「アイツのペンダント、アタシが代わりに渡していいよな? 今日は用があるからこっちに寄らないだってよ」
「それは構わないですけど響さんの用、とは?」
「なんでもロックで面白い人が出会った、とかなんとかだとよ」
クリスは相変わらずの響の行動に眉を顰めた。
人助けが趣味のような響が誰かを探すとは思ってもみなかったのか、エルフナインは謎だと言わんばかり首を傾げる。
その一方で翼は納得した表情を浮かべ、頷く仕草を見せた。
「立花からの話だけだが、私も興味深いと思っていたのだ。音楽に携わる者として、一度手合わせしてみたいと思う」
翼の発言を聞いて、クリスは微妙な表情を見せる。
「手合わせって先輩……そんな侍同士の手合わせじゃないんだから」
「なんだ雪音、別に戦うわけじゃないんだぞ。人を戦狂いと間違えてるのではないのか?」
「アンタ、馬車馬が躍り高ぶって痛い目見たの忘れたんすか?」
腑に落ちない様子で焦る翼と、ジト目でクリス……二人のやり取りを見て、エルフナインはクスリと笑う。
ここ最近の修復作業続きで疲労しているが少しだけ元気の出た彼女は二人の持ってきた食事をとることにした。
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同じ頃、S.O.N.G本部からかけ離れた都市部のとあるお店。
時刻は昼時、古き良きの昭和の雰囲気を醸し出すそのお好み焼き店・"ふらわー"にて、響は店内のカウンター席にてうなだれていた。
「うぅーん……見つからないよぉ」
探し人が見つからない様子である響は、目の前で焼かれているお好み焼きの玉にも目もくれずテーブルの上に突っ伏していた。
彼女の落ち込む様子を見て、その隣には三人のクラスメイト達が口々に宥める言葉を告げた。
「ビッキー、そう落ち込まないでよ。気持ちはわかるからさ」
黒鉄色のショートカットが特徴的な少女『安藤創世』。
「私達を連れてまでその人と会わせたかったのは理解しましたから」
長い金髪が特徴的なおっとしとした少女『寺島詩織』。
「っていうか、そんなアニメキャラみたいな人をこのまま会わずに諦めきれないっての!」
黒髪のツインテールが特徴的な少女『板場弓美』。
彼女達三人はシンフォギア装者となった響の良き理解者の一人。
何かと戦い続きで疎遠になりがちになってはいたが、ようやく日常へと戻って彼女達との交流も元に戻り、こうして以前通っていたお好み焼き屋ふらわーへと足を赴く。
今回、響が出会った"凄腕のギターリスト"と聞いて興味を惹かれた三人は響達二人と共に街を駆け巡っていた。
うなだれる響の隣では未来がいい感じに焼き上がったお好み焼きを皿によそい、箸を使って彼女の口へ差し出す。
「はい、響。美味しく焼けてるよ」
「うーん……あむっ、もぐもぐ」
差し出されたお好み焼きの一部に反応して、響は口を開いてお好み焼きを食べる。
うなだれながらも美味しそうに食べる響の姿に、詩織はにこやかに笑う。
「うなだれていても食欲は衰えていませんね」
久し振りに見る響の食べっぷりに詩織は嬉しい様子を見せる。
もぐもぐと咀嚼しながら早くも一枚目を食べ切ろうとする響へ、弓美は激励の言葉を投げかける。
「そうだよ響、アニメの主人公だって諦めたことないんだしまだ会ってないのに諦めるなんてらしくないよ!」
バシィン、とカウンターテーブルを叩いて弓美は響を元気づける。
その言葉を聞いて、響は差し出された二枚目のお好み焼きを半分切って口へ運ぶと、うなだれていた首を持ち上げた。
「そうだよね、皆。私、あの人を皆に会わせたいよ! まだ会えてないだけでへこたれるもんかぁ!」
「その意気だよビッキー! それでこそ平気へっちゃらなビッキーなんだから!」
へこたれている様子から立ち直った響に対し、創世は応援する。
クラスメイトであり友人たちである彼女達が盛り上がっていると、不服そうな表情を未来が浮かべていて口を挟んだ。
「盛り上がっている所わるいんだけど、ソウガさんを見つける手がかりがない事どうするの?」
「うぐっ……」
未来の指摘に響は痛い所を突かれたかのように苦い表情を浮かべた。
確かにソウガという人間に対して響達には情報が少なすぎる……昨日彼と共に行動していたバンドグループをはじめとした人々に話を聞いた所、意外な事が分かった。
話を聞いた人々から曰く……。
『ソウガさんかい! あの人すごいんだぜ! 奏でる音楽もすごいんだけど、音楽以外もすごいんだぜ!』
と、バンドグループのリーダーの証言。
『ソウガさんでありますか? 彼の事はよく知っているであります。指名手配の引ったくり犯を捕まえたのであります』
と、この街の駐在するお廻りさん。
『ソウガのあんちゃんか! アイツのアドバイスのおかげでうちのラーメンが美味くなったんだよ!』
と、巷で噂のラーメン屋の親父さん。
『ソウガさんか……天は彼に才能を色々と授けている。彼の刺激的な発想のおかげでいいものが生まれた』
と、日本に訪れていた世界的有名な芸術家。
……と、何かと影響力が多い事が嫌でもわかった。
どうやらすさまじい人だと判明し、響はもちろん創世・詩織・弓美の三人も驚いていた。
やはりこんなすごい人が今まで有名じゃなかった事が怪しいと未来は思った。
一体何者なのか、と三枚目のお好み焼きを響へ食べさせていると、未来の耳にとある会話が聞こえてきた。
それは、この店の店主であるふらわーのおばちゃんと、聞きなれないとある男のやりとりだった。
「おらよっと! どうだ、これが新メニューの呉越同舟焼きだ!」
「あらまぁ! 大阪と広島、相反する粉物が合わさっちゃうなんて!」
「中国の香港で思いついたメニューだ! これなら千客万来間違いなしだぜ!」
聞きなれない元気そうなその声に未来は振り向いた。
そこにはTシャツズボンというラフな格好の上にお店のエプロンを腰に巻いた若い男がいた。
波打った黒髪に日本人じみた顔立ち、何より特徴的になのはニヤリと不敵かつ豪快な笑み。
まるで何物も恐れないその笑顔は何処かの誰かを彷彿とさせた。
「一体誰だろう、あの人……」
未来が不思議そうに見ていると、男がその視線に気づき笑顔で話しかけてくる。
「よぉ、新メニューの呉越同舟焼きが気になるか?サービスしとくぜ!」
「え、ええっと……入ります。響が入ります」
「まいど! んじゃあブレイブに焼くぜ!」
男の勢いに負け、本日5枚目のお好み焼きが焼かれる。
慣れた手付きでお好み焼き――一般的な"大阪焼き"と、キャベツをベースにした"広島焼き"、相反するその二つが文字通り融合したのような通称"呉越同舟焼き"を作る。
暫くして出来上がったそれを見て、未来をはじめとした五人はまじまじと見る。
「「「「「お、おぉぉぉ……」」」」」
「さぁみんな、食いな食いな!」
男に言われ、響達一同は五等分にして分けて、それぞれパクリと食べる。
――――その瞬間、衝撃という名の革新が五人に響いた。
今まで味わったことのない美味しさに言葉を失い、響に至っては先程落ち込んでいたのが嘘かの様に歓喜の様子を浮かべていた。
「美味しい、美味しい! 決して手に取ることない二つの料理が手を組むなんて!」
「そうだろう? ブレイブな料理だぜ!」
喜びの声を上げる響に対し、男は『ブレイブ』という単語を口にしてVサインを向ける。
ふらわーに現れた出現したこの謎の男。
彼が"もう一人の男"と共に響達シンフォギア装者に衝撃を与えるのは、すぐそこまで迫っていた。