キョウリュウジャー×シンフォギア 無敵の詩姫《スーパースター》 作:地水
獣電戦隊、シンフォギアと共に復帰です←
某所。
暗闇が広がるその空間に、その人影は立っていた。
映し出されるのはキョウリュウジャー達が神槍を纏いしシンフォギア装者の一人と共に巨大ゾーリ魔を貫き倒す光景。
自身の同胞がやられる姿を見て何かを思ったのか、口を開く。
「キョウリュウジャー、思っていたより早く来たな。これは何とかせねば」
人影は彼らキョウリュウジャーの知っているのか、その危険性を熟知している。
彼奴等はかの自分達の大本である【蝶絶神デーボス】、さらにはそのデーボスを創ったとされる宇宙からやってきた黒幕【創造主デビウス】すら倒したという強敵だ。
せっかく蘇ってこの自分らにとって脅威のがない世界にやってきたのだ。キョウリュウジャーに倒された彼らの二の前にはなるものか……と、人影は思った。
そう、何を隠そうこの人物の正体はかつてキョウリュウジャーに倒されたはずのデーボス軍に所属していた者だ。
とあるキッカケで現世への復活を果たし、そして今は同じく蘇った同胞達と共に侵略活動を進めている。
狙うはデーボスすら果たせなかった人間が絶滅した世界を作り出す事、そして自分達を阻むキョウリュウジャーや邪魔をするこの世界の守護者――歌女ことシンフォギア装者を倒すことだ。
「待っていろ、キョウリュウジャー……そしてシンフォギア装者。お前達は我らが必ず絶滅させる」
「――尖兵を消し掛けて落ち込んでいると思っていたら、どうやら我らの勘違いだったようだな」
もう一人の声が聞こえたかと思えば人影が振り向くと、そこに立っていたのは異形の怪人達。
それぞれ異なった異様な体躯を有する『ソレら』は人影の名を口にする。
「ハクアンダー、我らは貴方の目的に従おう。力はオレ様が上だがお前のその【狂気】は共に人間を滅ぼす者として戦うに値する」
「フッ、今のは誉め言葉として受け取っておこう。かのデーボスの一員であり一翼だった者にそう言われれば気分はいいかもな」
異形の怪人の一人の言葉を聞いてニヤリと笑う『ハクアンダー』と名乗った異形の怪人。
まだその双眸は暗き影に隠れたままだが、その身に秘めた狂気は同じデーボスから生まれた者として認めざるおえなかった。
異形の怪人はハクアンダーに背を向けると、その姿を露にする。
そこには姿も形も全く異なる3人の怪人がそこに立っていた。
「いくぞ、ゼツメイツ! 我ら大地の闇から復活した者達がかつてデーボス軍を滅ぼしたキョウリュウジャーを退け、人間を滅ぼす力を手に入れるぞ!」
「「おうよ!」」
流れ星、
かつてデーボス軍から生まれ、恐竜や地球の人々を滅ぼそうとした『デーボスモンスター』の一味である。
彼らが狙うのは、一体何なのか。
~~~~
一方、S.O.N.G.本部。
潜水艦内部に設けられた休憩室にて、ソウガは椅子に座っていた。
彼の前には響、翼、クリス、そして風鳴弦十郎の4人が向かい合った席の椅子に座って向かい合っていた。
「あったかいものどうぞ」
「Oh、サンクス。冬の海は冷えるからなぁ」
響から渡されたコーヒーを受け取り、さっそく飲み始めるソウガ。
彼は香ばしく香る匂いと黒い苦みに甘いシロップが少々入った二つの味を楽しみつつ、優雅に一人で舌鼓をうっていた。
……1人?
そう、1人なのである。
総勢7人にもいたキョウリュウジャー達だが、今この場にいるのはソウガただ一人だけなのである。
その光景に翼は戸惑いながら訊ね始めた。
「待ってくれ、同行してくれたキョウリュウジャーとやらは貴方しかいないのか?」
「すいませんね。先輩曰く集まりの悪い戦隊で。次はアポイントメントとっておくといいよ」
「う、うむ。そうしよう」
さも当然のように受け入れているソウガに翼は面を食らった表情を浮かべる。
だがそんな彼を置いてクリスが眉を潜めて話しかける。
「で、ソウガだったか? あの時は助けてくれて感謝するんだが……SFじみたことを言ってたじゃねえか」
「俺達が君達の知らない未知の世界から来たってことか? 最初言った通り、そうだぜ」
クリスの言葉を聞いて、コーヒーをすすってソウガは聞き返した後に答えた。
訝し気な視線を送るクリスに対し、ソウガはやれやれといった表情をしながらとあるものを一同の前に差し出した。
それは、あの時キョウリュウジャーが使っていた獣電池だった。
「あん、コイツは……?」
「獣電池。こいつは俺らの世界の物だ。コイツを技術力に理解ある奴らに渡して調べてもらえればいやでも異世界の物だって証明できるぜ」
ソウガの差し出した獣電池を見て、クリスはそのうちの2本を手にする。
【SPEEDRUS】や【KARATETA】といった文字が恐竜のシンボルと共に刻印されており、いったいこれが何を意味するのか分からない。
とにもかくにも未知の物だと分かった弦十郎は差し出さした獣電池を預かる事にした。
「わかった。これは我々が預かっていいんだな」
「ああ、少なくともその獣電池は空っぽでな。使いたくても使えなくてな……おっと、そうじゃなかった」
獣電池を弦十郎達へと預けたソウガは自身の経緯の続きを話す。
「事の発端は俺のいた世界でデーボス軍が復活した兆しを察知したところだ。俺達キョウリュウジャーはデーボス軍の企みを止めるべく各地で動いていた。のだが……」
「アンタたちが見たゾーリ魔や巨大ゾーリ魔が大量出現するし、今まで戦ってきた敵も復活するわ、おまけに極めつけは……これだ」
ソウガが差し出したのは専用の情報端末・獣電モバックルを取り出し操作すると、そこに浮かび上がったのは立体映像。
……それは、響が出くわした巨大ゾーリ魔と、それらと戦う巨大な巨人だった。
~~~~
そこは、正義と悪が集いし合戦場。
多くの巨大ゾーリ魔が
「キョウリュウジン・ブレイブフィニッシュ!」
まず登場したのは、巨大な体躯を持った人型の巨人。
右肩の恐竜の頭部から極光の光線を放ち、巨大ゾーリ魔達を何体も薙ぎ払った。
――【キョウリュウジン】、キョウリュウジャー達の巨大戦力の一つにして幾千の闘いを潜りぬけた獣電巨人。
その内部にある搭乗席の空間にはレッド、ブラック、ブルー、グリーン、ピンクの5人が操作していた。
「とんでもねえ数だな! まるでアイドルライブのすし詰め状態だ!」
「だな。嬉しくないファンサービスだね」
レッドとブラックが軽口をたたき合いながら、自身の身体を動かしせキョウリュウジンを操作していく。
繰り出される攻撃をいなしながら武装の一つである三本のドリル型の突貫武器・ドリケラドリルで攻撃。
何体かの貫かれると、巨大ゾーリ魔は口から破壊光線を繰り出し、焼き尽くそうとする。
だが、そこへ現れたのは黄金の雷光を携えた新たなる獣電巨人だった。
「プテライデンオー・ブレイブフィニッシュ!」
降り注ぐ黄金色の雷電が巨大ゾーリ魔へと襲い掛かり、さらに金色の両翼に生えた刃が切り裂く。
袈裟斬りにされた巨大ゾーリ魔らを他所に空から降り立ったのは黄金色が煌めく戦士のような巨人。
――【プテライデンオー】、キョウリュウゴールドが搭乗する雷鳴を轟かせし獣電電巨人である。
キョウリュウジンと共に並び立つと、彼らは共に巨大ゾーリ魔らへ立ち向かっていく。
「皆の衆、大丈夫でござるか!」
「ウッチー! ああ、なんとかね!」
ゴールド達の加勢にグリーンは喜びつつ、キョウリュウジンを用いて襲い掛かる巨大ゾーリ魔達を上手くさばいていく。
この勢いならば掃討できる……そう勝ち誇っていた時。
――何者かの攻撃が頭上から降り注ぐ。
無数の光線とけたたましい轟音。
誰もが何者かによる攻撃によって二大獣電巨人は倒されたと思った……その時だった。
爆炎の中から1つの大きな影が飛び出してきたのは。
「「「「「雷電カミツキ合体!」」」」
『ライデンキョウリュウジン!』
けたたましい電子音声と共に巨影は上空へと舞い上がる。
その名は【ライデンキョウリュウジン】、キョウリュウジンとプテライデンオーがカミツキ合体した姿である。
なんとか未知の奇襲を避けた一同は、自分達へ仕掛けてきたその襲撃者を目撃する。
「あ、危なかったぁーっ……で、でも!」
「なんなの、あのロボットっぽいの!?」
ブルーとピンクが言葉を漏らした通り、巨大ゾーリ魔らの前に立っている4体のロボット。
キョウリュウジン達とは異なる禍々しい姿形をしたそれらのロボットたちは明らかに自分達を敵視していた。
恐らくキョウリュウジャーの敵なのは確かだが、レッド達にとっては見たこともない相手だった。
そこへ、キョウリュウジャー達への通信が入る。
それは凛とした知性的な女性の声だった。
「気を付けてください、皆さん!アレはボージン魔です!」
「その声、弥生か!?」
その声の主にレッドが気付き、周囲を見回す。
そこにはライデンキョウリュウジンと共に飛んでいる紫の巨大な影……キョウリュウジャー達にとっては仲間がいた。
片腕がプレシオサウルス型の首を模したロングキャノンと化した獣電巨人【プレズオー】が飛んでおり、巨大ゾーリ魔達を蹴散らしながらやってきた。
そのプレズオーの中には、紫の女性戦士『キョウリュウバイオレット』が搭乗していた。
「かつて韓国を襲ったデーボス軍【ネオデーボス軍】の巨大ロボットです!」
プレズオーのロングキャノンであるプレズキャノンによる砲撃で巨大ゾーリ魔を撃ちぬいていくキョウリュウバイオレット。
彼女から言い放たれたネオデーボス軍という単語にブラックとブルーが反応する。
「ネオデーボス軍って、前にトリン達が言っていたあの!?」
「なんでそんな奴らのロボットがここに!? 誰かが直したってこと!?」
かつて、デーボス軍から離れ独自の勢力を手に入れたというネオデーボス軍。
その彼らが使役していたロボットの登場に驚いているが、その間にも地上にいる4体のロボット・ボージン魔による破壊光線が迫る。
ライデンキョウリュウジンは高い飛行能力によって避けた後、得物である剣型武器・獣電剣を装備。
そのまま急降下からの斬撃を叩き込もうとする。
だが、片腕がドリルとなったボージン魔1体による防御でそれを受け止める。
その間に片腕がガトリング砲となったボージン魔が迫まろうとしていた。
一瞬その間を気を取られた……と思ったその矢先、挟み込もうとしたガトリング砲のボージン魔の攻撃を巨大な戦斧で阻む存在がいた。
ボージン魔達を退けて現れるのは、大きな刃の斧を持った銀色の体躯を巨大な巨人。
その搭乗空間から最初に声を発したのは銀色の巨人を駆る人物からだった。
「間に合ったな。ダイゴ!」
「ギガントブラギオー……つうことは、親父か!」
威厳ある声の主に対しレッドに名前を呼んだ。
銀色の巨人【ギガントブラギオー】、それに駆るのは銀色の戦士『キョウリュウシルバー』。
実の父の名を呼んだレッドは頼もしい加勢がやってきて嬉しさの声を上げる。
場所を越してシルバーはギガントブラキオーをその身で操縦し、巨大な戦斧・ブラギオアックスで巨大ゾーリ魔達叩き切る。
「俺だけじゃない、お前たちの後輩もいる」
シルバーの言葉を口にした直後、飛んでくる青い刃。
そのブーメランのような刃型武器はボージン魔を斬りつけていく。
……やがてその武器を掴みながら姿を現したのは、キョウリュウジンとよく似た姿形の獣電巨人。
『スピノダイオー!』
けたたましいほどの電子音声が鳴り響いた後、ボージン魔を蹴散らしながら現れた5体目の獣電巨人『スピノダイオー』。
両腕のアンキドンハンマーとブンバッキーボールを巧みに操り、正確無比の重い一撃を叩き込んでいく。
スピノダイオーへ搭乗して暴れまわっているのは、キョウリュウネイビーその人だった。
「先輩たち、キラっと参上したぜ!」
ネイビーの駆るスピノダイオーは手に持ったブーメラン・スピノブーメランと背鰭型の盾・スピノディフェンサーで斬撃と殴打を駆使した攻撃を披露。
そうして4体の獣電巨人によってボージン魔らデーボス軍を追い詰めていく。
「おっしゃ! いくぜ、みんな!」
レッドの言葉と共に巨大なる巨人達は進撃していく。
ライデンキョウリュウジン、プレズオー、ギガントブラギオー、スピノダイオー。
彼らはデーボス軍残党を倒すべく動き出そうとした。
そんな時だった、彼らがいる戦場の大空が割れたのは。
その場にいるキョウリュウジャー一同。
空がまるで窓ガラスが壊れるように、割れたのだ。一体なにが怒っているのか……。
それを理解しているのは、ひときわ驚愕しているバイオレットだった。
「そんな、あれは……時空の歪んでいるの!?」
バイオレットは急いで獣電モバックルを操作し、プレズオーを通じて何が起きているのか探った。
その結果、判明した事実を口にして他のキョウリュウジャーを驚愕させた。
「皆さん、アレを放置してはダメです! 時空間のバランスが傾いて最悪この場所ごと世界が崩壊します!」
バイオレットの言葉を示す通り、時空が歪んでいるような音と共に亀裂が走り、そこから大きな罅が自分たちのいる空間を、場所へと広がっている。
ただでは済まないとキョウリュウジャー達は悟り、咄嗟にネイビーが叫ぶ。
「弥生先輩! どうすればいいですか!」
「他の皆さんがギガントキョウリュウジンとなって、最大限の力で押し返してください!」
「把握した! オレと先輩はカラッと時間稼ぎか!」
自分達の役割を悟ったネイビーはバイオレットと共に咄嗟に体を動かし、それと同期してスピノダイオーとプレズオーは必殺の一撃を繰り出した。
スピノブーメランを無数に分身させて繰り出す『スピノダイオー・ブーメランフィニッシュ』。
プレズキャノンから放つ大きな砲撃『プレズオー・ブレイブフィニッシュ』。
二体から繰り出されたそれらは邪魔しようとした巨大ゾーリ魔を貫き、爆炎と共に散った。
それでも4体のボージン魔は必殺技を掻い潜り、他の獣電巨人を倒すべく迫る。
だが、そこで飛び込んできたのは金色の雷撃。
どうやらキョウリュウジンから分離したプテライデンオーが放った雷撃が直撃し、動きを阻む。
――そこへ飛んでくるのは、鋭い三叉の刃と、一発の狙撃。
4体のうち2体のボージン魔へと炸裂し、その場で地面へと倒れ伏して沈黙する。
見れば、天すら突きあげる程の大いなる巨大な巨人が立っていた。
キョウリュウジンとギガントブラギオーを含めた6体の獣電竜が合体した『ギガントキョウリュウジン』は、間髪入れず自身最大の必殺技を叩き込もうとしていた。
「ダイゴ! 時は一刻を争う! 初手から最大限でいくぞ!」
「ああ! いくぜ、みんな!」
ギガントキョウリュウジン。
そしてプテライデンオー、プレズオー、スピノダイオー。
並び立った4体の巨人は自身の力をギガントキョウリュウジンへ一つにして集め、そして最大かつ強力な一撃を目がけて放った。
「「「「「「「「超獣電オールギガントエクスプロージョン!!!」」」」」」」」
放たれたのは虹色の如く煌めく砲撃『超獣電オールギガントエクスプロージョン』。
10体にも及ぶ十大獣電竜による最大限の火力によるその一撃はどんな敵でも一撃で粉砕するほど強力な一撃であり、当たればひとたまりもない。
砲撃を邪魔しようとした残り二体のボージン魔は掠れただけで跡形もなく撃破され、その極光は次元の歪みへと直撃。
侵蝕する破壊の足音を止めつつ、ギガントキョウリュウジンらの必殺の一撃は時空崩壊を抑えていく。
――やがて、力の限り照射し続け、獣電巨人を構成している獣電竜達、そしてキョウリュウジャー自身の限界に近づいた時の事だった。
時空の崩壊が押し留まるように、その壊れる音は鳴る事をやめた。
後に残されたのは、いまだに空にて存在する時空の裂け目と、その中から覗かせる欠けた月の夜空だった。