FXで有り金を全て溶かして公園で凍死してしまった俺は、気付くと異世界——
ではなく、氷の牢獄『ニブルヘイム』に収監されていた。
俺「クソが‥‥転生ちゃうんけ?ハーレムちゃうんけ?神は死んじまったのか?」
不貞腐れながら刑務作業を開始すると、某救世主と思わしき人物が話しかけてきた。
ジーザス「ふふ、あなたも災難ですね。私は迷える子羊に福音を与える者です。どうです?あなたもこの機会に悟りを啓いてみては?」
俺「あんた‥‥地獄に落とされてもまだそんな事言ってんのかよ?ただの詐欺師だと思ってたけど、マジモンの変態エンターテイナーだったんだな」
俺は密かに戦慄した、マッドは死んでも治らないのか?と。
しかしジーザスはそんな俺の言葉にも慈愛の笑みを浮かべ、天へ手を翳して言うのだった。
ジーザス「最初は誰でも不安なものです。でも大丈夫、神は乗り越えれる試練しか与えません」
俺「はいそうですか‥‥‥刑務官!ジーザスが刑務を放棄して遊んでます!」
俺が獄卒にそう報告すると、ジーザスは今までの微笑みはどこへやら、一気に血の気を失ったかと思うと半狂乱で俺の足に縋りついたのだった。
ジーザス「そ、そんな!違うんです!私は本当にあなたの事を思って――」
俺「やめろ!汚い手で触るな!刑務官!早く彼に馬鹿に漬ける薬を処方してやってくれ!」
獄卒が慣れた様子でジーザスを滅多打ちにする。やはり神は死んだのだろう。俺はアーメンと十字をきりながら、ジーザスが裁かれる光景を眺めていた。
暫くするとジーザスはようやく力尽きたのかぐったりと動かなくなった。しかしゆっくりと目を開き俺を見つめると、どこか吹っ切れたような表情でこう笑ったのだった。
ジーザス「ふ、ふふ……残念ですが私の祈りは天には届かなかったようですね……良いんです、私はいつでも待っているんですから」
俺「いい加減目を覚ませよジーザスさん。地獄があるなら天国だってあるんだろうけど、ここに居るって事は、見放されたって事なんだぜ?」
俺は若干ウンザリしながら言った。するとジーザスは再び俯いて呟いた。
ジーザス「……それでも、私は信じます。いつか神に会える日が来ると」
俺はやれやれと肩を竦め、再び牢獄の片隅へ戻って作業を再開した。
すると今度は某キング・オブ・ポップと思わしき人物が無駄に格好いいステップを踏みながら馴れ馴れしく話かけてきた。
マイケル「ヘイ、ユー。しょぼくれた顔シテるねえ?」
俺「‥ええまあ」
塩対応を決め込むが、そんな事はオカマいなしと言わんばかりに絡みついてくるマイケル。
マイケル「ハハ、マアそうカリカリすんなよベイビー。ほら、チョコレートでも食べな」
そう言ってマイケルは何か黒い塊を取り出し渡そうとしてくる。
俺「なんすかそれ」
マイケル「安心してくれ。コレはファッジ。チョコレートのボーイフレンドみたいなモノサ♡」
そう言うとマイケルは髪を搔き上げながらうっとりとファッジをしゃぶり始めた。
キモい。キモすぎる。完全に変質者である。俺は再び刑務官を呼び出し、奴を撃滅するよう求めた。
獄卒が容赦なくマイケルを滅多打ちにする。
マイケル「ン゙ア゙ッ゙!!ポオォッ!ダディッ!?ノオッ!ア゙ッ゙ダッ!!!」
奇妙な断末魔を上げながらのたうつマイケルを見て、俺は改めて自分の置かれた境遇を呪うのだった‥‥。
fin.