陰の組織にて№2になった物語   作:ビーザワン

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オリ主ことアイズくんの設定をそろそろ書こうかと思いつつある今日この頃…タイトル通り今回はシェリーちゃんが登場いたします、本編だと闇落ち一歩手前の状態でしたがこの作品内ではどうなるのか…

そして☆10評価のディザスター・ラグナロックさん・☆9評価の永遠の王さん・☆8評価の立花オルガさん・☆4評価のケータイさん…たくさんの評価をありがとうございます!毎度のことながら励みになっていますので皆さま本当に感謝しています!

してお気に入り件数も180を突破っここまで伸びたのほんとうにほんとうに久しぶりなので気合いが入りますっ改めまして皆様ありがとうございます!

第1期を見返しつつ今後の展開やアイズくんとベータの今後も描いていきたいと思います!という訳でエピソード5をどうぞお楽しみに♪


エピソード5:アーティファクトと家族の絆

 

 

 

-アレクサンドリア・イータの研究室-

 

 

「イータ…例のアーティファクトの開発状況はどうだ?」

 

「順調…魔剣士学園占領事件の時にマスターが入手してくれたサンプルのおかげで完成率は80%を越えました…あとは最終調整に入っての実用試験のみ」

 

「試験の際には俺も呼んでくれ。イータのお望みとあらばその最終調整の実験体(モルモット)になってやってもいいぞ」

 

「ミスト様…開発中のアーティファクトの破壊力は凄まじい…その威力はデルタの”鉄塊”も凌駕すると予測される…いくらミスト様とはいえ今回の実験は危険デカすぎて心配」

 

「いつになく弱腰だな。心配せずとも俺はイータを信頼している…だからこそ君が開発する発明品のことも信頼できる」

 

「ミスト様…」

 

「危険だからこそ最後の仕上げを務めるのは組織の上に立つ者の使命だ。このアーティファクトが完成し実用化に成功すればシャドウガーデンの戦力はより強固になる…臆することはないんだイータッ君は自分が信じた道を究め前に進み続けるんだ!それが近い未来っディアボロス教団を打ち砕く”鍵”となるのだからな‼」

 

「っ…イータやる気出た!このアーティファクトを完璧な状態でミスト様に届けます…完成をお待ちください」

 

「期待しているぞイータッ…ただ廊下で寝るのは止めてくれ。部下の子が毎回部屋に運ぶことになるから大変だと言っていたぞ」

 

「だって眠いのは仕方な……でもミスト様のお願いなら…頑張って直します」

 

「良い子だイータ。じゃあ俺は君の”助手”のところに顔を出してくるよ」

 

「うん…わかった」

 

 

シャドウガーデンの本拠地であるアレクサンドリアのイータの研究室にてミストは魔力を注ぐことでその効力を発揮する”アーティファクト”の開発状況を確認していた

 

完成の目途が立ったところでイータに更なるやる気を出させっ最後は労にと頭を優しく撫でた後、研究室の隣のある部屋の方へと向かい扉をノックした

 

 

”コンコンッ…ガチャッ”

 

「イータさんですか?なにかありましたかっ…」

 

「やぁ”シェリー”。随分とラフな格好だね…」

 

「アッアッ…アイズくん!?ちょっちょっと待ってっ…いま着替えてくるから‼」

 

「ゆっくりでいいからね~…」

 

”数分後…”

 

「ごっごめんなさい…昨日は徹夜で資料を確認していたから////」

 

「俺が言える立場じゃないけど睡眠はしっかりとってね」

 

「うっうん…本当にごめんなさい…また心配かけちゃったよね?」

 

「まぁお互い仕事中毒(ワーカーホリック)なとこがあるから気持ちはわからなくないよ。熱中するとそれしか目に入らなくなることとかざらにあるからね」

 

「アイズくん…そういえばこの間倒れたって聞いたけど体は大丈夫?」

 

「平気だよ。心配してくれてありがとうシェリー」

 

「うぇっ…えぇっと…どっ…どういたしまして////」

 

 

桃色の髪にアホ毛が立った幼顔の少女…彼女の名は”シェリー・バーネット”といいかつて”王国随一の頭脳”を持つと言われたミドガル魔剣士学園の()生徒で現在はシャドウガーデンの研究部門の一員としてイータの助手を務めている

 

イータの助手を任されるだけあって頭脳は高くアーティファクトの記述が残っている本の古代文字も読解できその運用方法を解き明かすなど数々の功績を作り今となってはミストのみならずイータを含めた七陰たちもシェリーを高く評価している

 

そんなシェリーとミストが出会った切っ掛けはシャドウことシドが全ての始まりだったともいえる、そんな話を気分転換にとミストの自室で紅茶を飲みながら2人は思い出話のように振り返る

 

 

「本当にあのバカ(シャドウ)が起こす行動には頭が痛くなる。普通そこにいたから(・・・・・・・)って理由で知らない子にチョコをあげるか?」

 

「あははは…けどあのチョコは甘くて凄く美味しかった。しかもそのチョコを作ったミツゴシ商会がシャドウガーデンのフロント企業でそこにイータさんも関わっていたなんて…冷静になって思うけど私っていまとんでもない場所で仕事しているよね?」

 

「あっシェリーもそう思う?俺も七陰の皆が起こす偉業には驚きを隠せないよ。シドの本当か嘘かもわからない話からシャドウガーデンが作られ表姿とはいえ商会まで立ちあげているんだから」

 

「そこにシドくんとアイズくんが支柱となって動いているって知った時は更に驚いたよ。私が見てきた世界なんて本当に小さかったんだなって感じるくらいに…」

 

「シドはただ上で突っ立てるだけ…運営責任者は実質オレになってるし№2とは思えない仕事量の多さに胃が痛くなる…まぁシェリーたちが結果を出してくれるのがせめてもの救いになってるから苦ではないんだけどね」

 

「アイズくんはやっぱり強いな…本当に……凄く強いよ」

 

「……ルスラン(・・・・)のこと…まだ引きずってるのかい?」

 

「自分なりに区切りはつけてはいるよっけどそれでも時々思っちゃうんだ、あの時…あの選択以外に方法はなかったのかなって」

 

 

 

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-某月某日・ミドガル魔剣士学園-

 

 

この日…ミドガル魔剣士学園はシャドウガーデンの名を騙るディアボロス教団の襲撃を受けた。一部の生徒は剣を抜き抗おうと試みたが教団は魔力を阻害するアーティファクト”強欲の瞳”を使用した

 

強欲の瞳は効果範囲内の魔剣士や魔力体から魔力を強制的に吸収し溜めこむという性質を持ち、魔力を武器や体に纏わせその能力を強化させて戦う魔剣士にとっては相性最悪のアーティファクトといってもいい代物だ

 

その強欲の瞳の効果範囲の中に入ったミドガル魔剣士学園は言ってみれば牙を抜かれた獣同然…偽シャドウガーデンを名乗る教団側は事前に魔力の波長を吸収の対象外としていたことで魔力を行使できるため戦力差は圧倒的といえよう

 

 

「だが吸収の許容を超えた膨大な魔力や繊細に細分化された魔力は吸収できない…強欲の瞳のメリットとデメリットを明確にしてくれたという意味では良い仕事をしたなシド」

 

「血も涙もない右腕だねぇ…僕が体を張って会長を守ったあの勇姿を見せたかったよ」

 

「それも込みでお前のお遊びだったんだろ?満足いく結果になったのならいいじゃないか、あと言っておくが俺はお前の右腕じゃないっあくまでも対等な関係ということを忘れるなよ!?」

 

「はいはいわかりましたぁ~…」

 

「えっえぇっと…アイズくんだっけ?シドくんとは友達なの…かな?」

 

「ただの腐れ縁だよ。それよりシェリー先輩、話を整理すると連中は魔力を吸収するだけ吸収してその力をコントロールしようと企んでいる…だがそのためにはシェリー先輩の持つそのアーティファクトと強欲の瞳を揃える必要があると?」

 

「そっその通りです!」

 

「つまりは連中が学園を襲った理由の1つにシェリー先輩が持つアーティファクトの回収も組み込まれている筈…だから必要以上にシェリー先輩を狙っているのか!?」

 

「どうすんの?このまま篭城して騎士団の助けでも待つ?」

 

「そんな猶予はない。相手はかなりの手練れ…紅の騎士団の魔剣士も敵わない程だ、増援を送ったところで魔力を生成できない以上は悪戯に犠牲者を増やすだけだ」

 

「じゃあやっぱり先輩が話してくれた作戦を実行に移しかないのかぁ~」

 

「危険を冒すがそれが最善だろう。シェリー先輩、強欲の瞳にそのアーティファクトを近づければ機能を停止させられる…つまりは魔力の阻害が無くなるってことで解釈はあってるかな?」

 

「はっはいあってます!ただ最終調整に必要な機材を私の部屋に置いてきてしまって…」

 

「なら僕が「俺が取ってくる」…へぇっ?」

 

「シド、お前はシェリー先輩を頼む。いくら大したことなくとも怪我をしてる人間に無理をさせる程オレは鬼じゃない。シェリー先輩の警護をしつつここで待っていてくれ」

 

「(おぉぉ~主人公ムーヴだこれはぁ!これはこれでテンションが上がるね!なら僕はそれに従う無能なモブを演じるとしましょうか♪)わかったよアイズ…確かに怪我を負ってる僕が行くよりはアイズが行く方が安心だよね」

 

「ごっ、ごめんねアイズくん…私がしっかりしてないせいで」

 

「気にしないでシェリー先輩。外の様子を見てくるのを兼ねてもいるからさ…貴女はここでシドと一緒に待っていてください」

 

「はい!アイズくんも無茶だけはしないでね」

 

「わかりました」

 

 

シェリーを安心させたアイズは部屋の外に出て扉に二・三重に施した魔力の結界を生成した。その後、廊下を歩きながらシェリーの部屋へと向かい歩きつつ懐から黒色の薄い板状の物体を取り出しそこに魔力を注いだ

 

 

「展開完了…こちらミストだ。ベータ…聴こえているなら返事をしてくれ」

 

『ミスト様!ご無事だったのですねっシャドウ様は!?』

 

「シャドウも問題ない…元気あり過ぎて逆に困るくらいだ」

 

『お二人が無事で安心いたしました…それにしてもこのアーティファクトの機能は凄いですね。魔力を流し込むだけで遠くにいるミスト様と連絡がとれるなんて』

 

「シャドウの陰の叡智にイータの努力あっての賜物だな。それで…外の様子はどうなっている?」

 

『はいっ、アイリス王女と彼女が率いる紅の騎士団が学園に到着しましたが、現場の騎士団長と意見が合わず救出作戦の進行は難航しています』

 

「その様子だと騎士団長も教団の手が回っている者の可能性があるな…だがむしろ好都合だ。ベータ、アルファたちにこちらが派手に騒ぐまで手は出すなと伝えておいてくれ」

 

『えっ…でっ、ですがそれは!』

 

「俺を信じてくれベータ。心配せずとも無茶はしない…シャドウと共に必ず君たちの元へ帰還すると約束しよう」

 

『ミスト様っ…わかりました!ご武運をお祈りしております!』

 

”スゥ…”

 

「本当に…ベータの前だとくさい台詞を口走ってしまうな。惚れてしまった弱みというべきなのか……っ!」

 

 

通信用のアーティファクトをしまったアイズは何かの気配を感じ取りその場から姿を消す。しばらくすると今回の学園占拠に際し教団側が仕向けた”ネームドチルドレン”の1人…チルドレン1st・叛逆遊戯の二つ名を持つ”レックス”が部下4人を連れて現れた

 

”ディアボロス・チルドレン”…孤児や貧しい平民の子の中から魔力適正のあるものを誘拐し薬物投与や洗脳教育に戦闘訓練を受けさせてディアボロス教団の尖兵として作り変えられた存在の総称でありその実力は並みの魔剣士では歯が立たない程だ

 

その中でも1stから3rdまでのランクが存在し番号が小さいランクほど優秀となる。ちなみに3rdは出来損ないとされ強い洗脳により精神が崩壊しまともに会話もできない状態となっている者がほとんどだということを考えれば1stに属するレックスはかなりの実力者といえる

 

だがそれもアイズ…シャドウガーデン№2であり霧の実力者の異名を持つミストの前では雑魚も当然、アイズは魔力を体に纏わせレックスたちから視認できない状態になると細い鋼鉄の糸を取り出した

 

 

「(まずは雑兵どもの始末だな…)

 

”シュッ…シュッ…シュッ…シュッ”

 

「(その命…俺が終わらせてやろうっ)」

 

 

”グイッ…ズバァッ”アイズが指先を動かすと鋼鉄がレックス以外の教団員の首を斬り落と血吹雪が飛ぶなか、奇襲を受けたレックスは周囲を警戒する

 

 

「なっ、なんだと!?攻撃っ…なのか…っ‼」

 

「隙だらけだな」

 

”ドォォンッ”

 

「がはぁぁっ」

 

 

だがそんなレックスの警戒をもすり抜け、アイズは彼の顔を思いっきり蹴飛ばした。しかしそこは腐ってもディアボロス教団のチルドレン1stまで上り詰めた男、瞬時に態勢を立て直し再度周囲を警戒する

 

 

「くそが‼目で追えない速さっ…自己加速のアーティファクト使いか!?なら”網”だ‼」

 

”ドォンッ”

 

「はははははっ‼何をしたかわかるか!?そう網だっテメェがどれだけ速く動こうと網にかかった瞬間に俺は気づける!テメェがアーティファクトの負担に耐えられるのはあと何度だ!?二度か!?三度か!?だがどちらにせよこの網にかかった瞬間がテメェの最後だ‼」

 

 

赤黒い網のような魔力を自身の周囲に展開するレックス。感知式ともいうべき技であり、一度この網に触れればその瞬間にレックスによって斬られる。並みの魔剣士相手なら確かに手の出しようもない…だが

 

 

「網の魔力の波長に合わせれば感知はされない…」

 

「あぁっ…なぁ!?」

 

「ふぅんっ‼」

 

”ドォォンッ”

 

「どあぁぁぁぁーーーっ‼」

 

「過信と慢心は己を堕落させる…よく覚えておくように」

 

 

一瞬にして網の中に入ったアイズはレックスに向け先ほどよりも強い回し蹴りを放った。それを喰らったレックスは廊下の壁や教室の机などにぶつかりながらその場を転げまわった

 

 

「くぅっ…あっ網の内側から喰らっただと!?そんなことっあり得る訳がねぇ!?一体どんなアーティファクトでっ」

 

”ドンッ”

 

「んっ…あぁっ?…ひぃっ!」

 

 

飛ばされた教室の中の光景を見たレックスは悲鳴を上げそうになった。それもそのはず…そこにはディアボロス教団の面々が死んだ状態で教室の机に血を流しなら倒れていたのだから

 

さすがのレックスもこの光景に悪寒を覚え…先ほどまであった威勢の強さは影を潜め彼の心に”恐怖”の感情がこみ上げていた

 

 

「なぁっ…なんだよっ…なんなんだこりゃぁぁぁぁ!?」

 

「シャドウガーデンの名を騙る愚者にお似合いの末路だと思わないか?」

 

「っ!?」

 

「安心しろ…今からお前もそこの仲間入りをするんだからな♪

 

”ザァンッ”

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーっ‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-ミドガル魔剣士学園・大講堂-

 

 

「シェリー先輩…アーティファクトの準備は?」

 

「いつでもいけます!あとは起動させれば強欲の瞳の魔力吸収を止める事ができるはず!」

 

「ではタイミングは貴女に任せます。アーティファクト起動後に俺は連中の排除に移りますので」

 

「けっ、けど向こうはかなりの数だよ!いくらアイズくんが強くてもこの状況じゃっ」

 

「心配しなくても大丈夫です。俺には頼もしい仲間たちがいて彼女たちは既にこの学園の周囲に展開し合図を待っているんです」

 

「仲間?それって一体…」

 

「すぐに分かります…だからシェリー先輩、これから何が起ころうとも目を背けずに俺のありのままの姿を見てください」

 

「わっ、分かりました!あれっ…そういえばシドくんは何処に行ったのでしょうか?」

 

「あいつはあいつで作戦通りに動くので心配無用ですよ。ではシェリー先輩…アーティファクトの準備を」

 

「…うんっ」

 

 

機材を使い、アーティファクトの最終調整を終えたシェリーを連れ、アイズは学園の生徒たちが集められている大講堂に隠し地下通路を使い潜入した

 

大講堂内の上の階から様子を確認しつつ、シェリーは指先でアーティファクトを起動させ投げる態勢をとり、それに合わせてアイズもいつでも飛び出せるように体を前のめりにする

 

 

「いきます!」

 

「どうぞ!」

 

 

”ブゥゥンッ…パァァァァーーーッ”シェリーの投げたアーティファクトは強烈な光を放ち大講堂全体に拡散される。それと同時に強欲の瞳が作り出し学園全体を覆っていた魔力吸収領域が消滅した

 

それを確認したアイズは素人目でも分かるような大質量の魔力を体から発生させ、生徒たちがいる下の階へと降り、その落下の途中で学園制服から漆黒のロングコートを羽織った姿へと変わりながら着地する

 

 

”ドォォンッ”

 

「……遊びの時間は終わりだ」

 

「あっ…貴方は?」

 

「霧の実力者…とでも名乗っておこう」

 

「霧の…実力者?」

 

 

魔力が解放されたのを肌で感じたミドガル魔剣士学園の生徒会長”ローズ・オリアナ”は反撃しようと立ち上がっていたがミストの姿になったアイズがそれを制止するように彼女の前に現れ、大講堂の正面に立つ首謀者と思われる全身を鎧で身に纏った男に歩み寄る

 

 

『貴様…何者だ?』

 

「陰に潜み…陰を狩る者。真のシャドウガーデンの霧の実力者・ミストだ!」

 

『シャドウ…ガーデンッ』

 

「ディアボロス教団…我らが組織の名を利用し悪事を働いた報い、その命を持って払ってもらうぞ‼」

 

 

ミストがそう言い放った瞬間っ大講堂の周囲に黒いローブを纏ったシャドウガーデンの構成員たちが現れディアボロス教団を包囲した

 

 

『こいつらはっ…』

 

「聞け…我等はシャドウガーデンッ」

 

「「「「「「陰に潜み…」」」」」」

 

「「「「「「陰を狩る者…」」」」」」

 

「奏でてやろう…お前たちの鎮魂歌(レクイエム)を‼」

 

 

その言葉を合図にシャドウガーデンの構成員たちが一斉に飛び上がり、偽シャドウガーデンを名乗っていたディアボロス教団の教団員たちに向かって攻め込んでいった

 

これに対抗すべくディアボロス教団も攻撃に出る…だが彼らの持つ剣はただの鉄の剣、シャドウガーデンの主力装備であるスライムソードには歯が立たず刀身は折られ一方的に斬られていった

 

保有する武器の性能もそうだがシャドウガーデンの構成員たちの戦闘能力はミストや教官であるラムダが厳しい訓練の中で鍛えたこともあり、技量の面でも彼女たちが負ける要素は何一つなく全員無傷のまま1人…また1人とディアボロス教団側の戦力を削っていく

 

 

「(ニューも含めシャドウガーデンの構成員たちの戦闘能力はかなり高い。ラムダと日夜訓練の内容を模索し実行に移してきた甲斐があったというものだ)」

 

「こっ、こいつ!ぼぉ~と突っ立てんじゃねぇぞ‼」

 

”ザァンッ”

 

「へぇっ…なぁっ…ぎぃやぁぁぁぁーーーっ!」

 

「腕が吹き飛んだくらいで喚くな」

 

 

”ザァンッ”無防備なミストに焦りを感じながら突っ込んでいった教団員の1人だったが、目で追えない速さで振るわれたミストの剣が教団員の片腕を斬り飛ばし、遅れてきた痛みを感じ叫びながらあえなくミストに斬られ絶命した

 

 

「すっ凄い…」

 

「いつまでここにいるつもりだ?戦いの邪魔だっ早く生徒たちを連れ逃げろ‼」

 

「あっ…わっ、分かりました!みんな早く講堂の外へ!怪我人を運び出すんだ‼」

 

「はっ、はい!」

 

「急げっ早く!」

 

 

ミストの言葉で我に返ったローズは生徒たちを引き連れ講堂の外へと脱出した。その最中…ミストは鎧の男が姿が消したことに気づき周囲の魔力痕を探りながら彼がどこで向かったかを探る

 

その時”シュゥゥゥーーッ…ボォォォーーッ”大講堂と学園内に火が放たれミストの周りにも炎が燃え広がり、あたりは一瞬にして地獄の業火を思わせる光景へと変貌した

 

 

「この隙に乗じて逃げるつもりか……考えることが浅はかだな」

 

「ミスト様っ火の手が迫ってきています!我々も脱出を!」

 

「ニューは他のメンバーを連れガンマたちに合流してくれ。俺はシェリーを連れ奴を追う」

 

「しかしっ」

 

「シャドウガーデンとしての最低限の汚名は返上した。最後はこの事件の首謀者に裁きを下す…シャドウも既にそこへ向かっている筈だ」

 

「シャドウ様が…まさかお二人はこうなることも想定して動いていたのですか!?」

 

「話はあとにしよう…行けニューッあとのことは任せておけ」

 

「…承知しました!全員この場より離脱!ガンマ様たちに合流するぞ‼」

 

 

ミストの指示を受けニューはシャドウガーデンの構成員たちを引き連れ大講堂から脱出した。1人残ったミストは大講堂の上の階にいるシェリーの元へ向かった

 

 

「シェリー先輩っ怪我はありませんか!?」

 

「アッ、アイズくんっ…そっそれが貴方の…本当の姿なの?」

 

「混乱しているでしょうが一先ずここから脱出しましょうっ」

 

 

火の手から辛うじて逃げていたシェリーをミストはお姫様抱っこで抱き上げ、シェリーに負荷がかからない程度に飛び上がり大講堂から脱出した

 

その後は人目がない学園の屋上へと着地し、シェリーをその場に立たせ、改めてシェリーに自分の正体と自分自身が属する組織の概要を話した

 

 

「シャドウガーデン…噂には聞いていましたがまさかアイズくんがその組織のメンバーだったなんて」

 

「ちなみに言うとシドもそうですよ。今頃あいつは副学園長室で奴に真実を聞き出してるところでしょう」

 

「シドくんも!?でっでもどうしてお義父様の部屋へ?」

 

「全てはそこへ着いてから聴くことになるでしょう。シェリー先輩にとっては辛い真実と向き合わなければなりません…知らぬまま生きていた方が楽だと思えるほどの真実とね」

 

「っ……」

 

「強制はしません。知りたくないのならこの場に残っても大丈夫です…シャドウガーデンのメンバーに貴女を保護するように指示を出すので」

 

「いえ…一緒にいきます!私に関係することなら私はそれを知らなくてはいけません!どれだけ辛くても必ず乗り越えてみせますっだから‼」

 

「わかりました…では行きましょう、副学園長室へ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-ミドガル魔剣士学園・副学園長室-

 

 

大講堂から逃げてきた鎧の男は副学長室に現れ棚に置いてあった数冊の本を床に投げ捨てるとライターを使いそれらの本に火を放った…その様子を1人の男が窓に腰掛け1冊の本を読んでいた

 

 

「随分と重そうな鎧ですね…ルスラン・バーネット副学園長」

 

『シド・カゲノーくん…』

 

”カチャッ…”

 

「……何故わかった?」

 

「見ればわかります。多分ですけど僕の友達のアイズも気づいています」

 

「彼もか…なるほどな。歩き方かあるいは視線か……確かに2人とも良い眼をしている」

 

「僕も参考までに聞いてもいいですか?副学園長ともあろう方がどうしてこんなことを?僕から見るに貴方がこういうことに興味があるとは思えなかったのですが」

 

「……かつて私は剣の道で頂点に立った…君が生まれる前の話だ」

 

「武神祭で優勝したってやつですか?」

 

「ふふふふっ…武神祭など…本当の頂点はずっと先にある。君に言ってもわからないだろうがね」

 

「…………」

 

「だが頂点に立ってすぐに病に侵されてね…苦労して上り詰めた栄光は一瞬で終わったよ。それから私は病を治す術を探し求めあるアーティファクトに可能性を見出した」

 

 

鎧の男の正体…ルスラン・バーネットは鎧を脱ぎ捨てそれらも燃え盛る火の中へと放り投げ、愛用のマフラーと眼鏡をかけシドに向け自らの人生を語りだした

 

その中でアーティファクトという単語が出てきたところで、シドは持っていた本のページを開くのを止め、ルスランの話を続きに耳を傾けた

 

 

「その研究者はシェリーの母だ…賢過ぎて学会から嫌われた不幸な女だ。そんな彼女を私は支援し彼女は研究に没頭する、良い関係だったよ…そして私は探し求めたアーティファクトに出会った」

 

「強欲の瞳…ですか」

 

「そうだ。だがね…あの愚かな女は”強欲の瞳は危険だ”と言ってこともあろうに国に管理してもらおうなどと言い出した」

 

「だから…殺したと?」

 

「その通りだ。体の先から中心へと突いてゆきっ最後は心臓を突き刺しねじ斬った‼」

 

「…………」

 

「ふふっ…あの女の娘…シェリーは何も知らずっ何も疑わず母親の研究を引き継いでくれた…私が母の仇だとも知らずにね、可愛い可愛い…愚かな娘だよ」

 

「…………っ」

 

「どうだい?参考になったかい?」

 

「おおよそは、ただ1つ気になったことがあって…シェリーを利用したというのは本当の事ですか?」

 

「勿論本当の事だ…怒ったかい?」

 

 

冷え切った低い声でそう答えるとルスランは部屋に置いてあった剣を手に取り、いまだ窓に座りながら本に視線を向けたままのシドに顔を向ける

 

 

「…僕は自分にとって大切なものとそうでないものを明確に分けてきました。みな生きるにつれて大切なものを増やしていきます…友達ができて恋人ができて仕事ができて…でも僕は削いでいった…そしてその先にどうしても捨てられないモノが残った。だからそれ以外どうなっても自分には無関係だと思って何も感じなかった」

 

「愚かな母と娘がどうなっても構わないと?」

 

”トンッ”

 

「前だったらそうだと言っていたかもしれません。けどアイズだったらきっと違う答えを言うでしょう。彼は血を分けた家族に学園でできた友人のみならず、どこで生まれたかも定かではない者たちへも愛情を注ぎ…剰え悪党にですら慈悲の心を持っていた」

 

「…………」

 

「彼は僕にこう言いました”例え自分に関係のない存在でも繋がりを持ったのならそれはもう無関係ではない…ならばその存在との繋がりがある限り俺は力を振るい戦う。そして必ず幸せを勝ち取ってみせる”と。アイズは僕とは違い背負って背負って背負い続けていまここに立っている…難しい生き方をしてるなぁと思っていたけど、どうやら僕も彼に感化されたみたいです」

 

「何が言いたい?」

 

「シェリーは僕にとって”大切な友達”になっていたって気づいたんです。アイズのお節介のおかげかもしれないけど、少なくとも彼女のために何かできないかと考えている自分がいるのは事実です…だからルスラン副学園長」

 

”シャキンッ”

 

「貴方がしたことは許せないです。僕は他人から奪った力を我が物顔で振りかざす人間は嫌いなので…だからここで貴方を止めます」

 

「冷めた男と思っていたが、意外にも情は持ち合わせているのだねシド・カゲノーくん…だが君の行動はなんの結果も生まずに終わりを告げる」

 

 

剣を鞘から抜きルスランに刃を向けるシド…だが次の瞬間”シュゥンッ…ザァァンッ”ルスランの剣がシドの剣を砕きそのまま斬り裂いた…そしてシドは血を流しながら窓から飛び出し地面へ向かって落下していった

 

 

「さらばだシド・カゲノーくん……」

 

「どこへ行く?」

 

「んぅっ……はぁっ貴様は‼」

 

「初めましてといったところか…ルスラン副学園長」

 

「シャドウッ!」

 

 

剣を収めその場を去ろうとしたルスランを呼び止めたのはシャドウの姿へとなったシドだった。シャドウはルスランに歩み寄りながらスライムソードを手にとり、ルスランは再び剣を抜きシャドウと対峙する

 

 

「っ…私も剣に生きた人間だ!向かい合えば大体のことはわかるっ()の私では分が悪いこともな!」

 

「………」

 

「悪いが…最初から全力で行かせてもらうぞ!強欲の瞳の真価はその制御装置と二つ合わせて発揮されるものだっこのようになぁ!」

 

 

”ドォォォンッ”ルスランは強欲の瞳とシェリーが持っていたアーティファクトを二つ合わせて自らの体に押し込んだ。するとルスランの体から凄まじい量の魔力が放出され先ほどまで穏やかだったルスランが顔が鋭い眼に歪に笑う口と凶悪なものへと変化した

 

 

「今こそ私は生まれ変わるぅ!うわぁぁぁぁぁぁーーーーーっ‼

 

「……醜いな」

 

「素晴らしい…素晴らしいぞぉ!力が戻るっ…病が癒える!わかるかっこの荒れ狂う魔力が!?人間を遥かに超えた力が!この力っ…まずは貴様で試すとしよう‼」

 

「御託はいい…さっさとかかってくるがいい」

 

 

”ギィィンッ”狂気に飲まれたルスランの刃がシャドウへ放たれるが、シャドウは何事もなかったかのようにその刃をスライムソードで受け止める

 

その後もルスランは瞬間移動に近い速さでシャドウに何度も斬りかかるが、シャドウは攻撃が来る方向が分かってるかのように落ち着いた剣さばきでその攻撃を防ぎ続けた

 

 

「ふふっ…認めようっ貴様は確かに強い!その強さに敬意を表してっ私も本気を出すとしよう‼」

 

「………」

 

「私に本気を出させたことを、あの世で誇るがよい‼」

 

”シュンッ……ザァザァザァザァァーーンッ”

 

「…………」

 

「………所詮借り物の力…我には届かなかったな」

 

”ザシュッ”

 

「ぐあぁっ…あぁぁぁっ……まだだっまだだあぁぁぁぁーーーーっ‼」

 

”ギィンッギィンッギィンッギィンッ”

 

「無駄だ…お前の剣では我は殺せん」

 

「まさかっ…これほどとはなっ……だが貴様がいくら強かろうとももう終わりだぁっ!一連の事件はすべて貴様らの仕業になるよう手筈を整えた!証拠も証言も全てだ!これで貴様らは反逆分子として世界中から追われる身!いくら強かろうとどうにもならんよぉ‼」

 

「いや…一連の事件の首謀者が貴様だという証拠はいまこの場で揃った」

 

「何をほざくかぁ‼」

 

「ミストッ…録音は完璧だな?」

 

「なっ…何!?」

 

 

シャドウがルスランの後ろの方へと声をかける。その言葉を聞きルスランは顔を後ろへと向けると…青い色に四角い形をしたアーティファクトを持った学生服姿のミストとシェリーが立っていた

 

 

「シェッ…シェリー!?」

 

「お義父…さま…」

 

「問題ない。いままでのシャドウとルスランの会話は全てこのアーティファクトが記録している。映像の方も外からベータが同じアーティファクトを使って撮っている…これでルスラン・バーネット副学園長がディアボロス教団と繋がり学園襲撃から占領までの事件の首謀者だという証拠は揃った」

 

「シャッシャドウッ…貴様最初からこれが目的で‼」

 

「我が意図を組んだ信頼できる右腕の技量あってのものだ。さぁて…今回の最後の仕上げはミストッお前に任せよう」

 

”ギィィンッ”

 

「ぐはぁっ‼」

 

 

シャドウはスライムソードに力を籠めルスランを剣ごと弾き飛ばした。床に体を打ちながらルスランは転げまわり、体を起き上がらせると視線の先には冷え切った瞳をしたミストが待ち構えていた

 

 

「ぐぅっ…このぉっ‼」

 

”ザシュッ…”

 

「ぐわぁぁぁぁっ‼」

 

「無駄だ…アーティファクトに頼りきった戦いをしている貴様では俺には勝てない」

 

 

抗おうと剣を振るったルスランだが、その反応速度をも凌駕する速さでミストは剣を持つルスランの右腕を斬り飛ばした。先ほどシャドウに斬られた傷に利き腕をも失い、今なお大量の血が流れるこの状況ではもはやなす術はないと悟り、ルスランはその場に膝をついた

 

 

「この私がっ…こんな小僧共に手を足も出ないとはっ……」

 

「哀れだなルスラン・バーネット。力に溺れ過去の栄光にしがみつき…お前自身を慕ってくれた親子さえも利用し彼女たちの人生を狂わせた…貴様は俺が見てきた屑の中でも救いようのない屑だ!」

 

「あっあぁぁぁ……」

 

「貴様は言ったな。世界中が俺たちを反逆分子として追ってくると…くだらん。そんなことは俺もシャドウも理解した上で動いている!元より俺たちは光ある表の道を歩むことはない…だがかといって悪に染まりもしない!我等シャドウガーデンはこの世の悪を根絶やしするために裏の道を歩むっただそれだけのことだ!」

 

「………っ」

 

「シェリー…最後にこの男に言い残すことはあるかい?」

 

「シェッ…シェリッ……」

 

「っ………」

 

「ゆっ、許してくれシェリーッ…私もっ…私も脅されていたんだっ…教団はアーティファクトの力を欲していた!持ち帰らねば私が殺されていたんだっ…やむ得なかったんだ!君とその母には本当に酷いことをしてしまったっ…君が望むのなら私ができる限りのことをしよう!君の母を殺してしまった償いをさせてくれっ頼むシェリーッ‼」

 

「…私が望むのなら…お義父様はなんでもしてくれるんですか?」

 

「あぁっ約束しよう‼」

 

「ならっ…その”命”をもって母に償ってくださいっ」

 

「……えっ?」

 

「母はっ…私に残っていたただ1人の家族でした!それをお義父様はっ…いいえ、貴方は自分の私利私欲を満たすために殺した!許せないっ…許せるわけがないんです‼」

 

「あぁっ…ぁぁぁっ…」

 

「けどっ…いまの私があるのは貴方のおかげでもある。だからそれ以上のことは望みません!貴方の死を見届けて…私はもう一度っ自分の足で前に進みます!」

 

「まっ、待て!待ってくれシェリーッ‼」

 

「さようなら…お義父様(・・・・)っ」

 

「なぁっ!?」

 

 

涙を流しながら母を失った時に抱いた悲しみと怒りを吐露したシェリー…そして最後はルスランとの袂を分かち、頼みの綱のシェリーが自分を拒絶したことでルスランが生き残る可能性はゼロとなった

 

 

”ガシッ…”

 

「ぐぁっ…がはぁぁっ…」

 

「滑稽だな。お前自身の行いが罪となって返ってきた…当然の報いだな」

 

「うぁぁっ…あの女といいっ…親子そろってっ…私をっ…」

 

「まだわからないのか!?シェリーの母親は強欲の瞳のリスクを知ったうえでお前から離したんだ!それは何故だかわかるかっ…自分に手を差し出してくれたお前を想ってのことなんだ‼」

 

「っ…」

 

「シェリーだってそうだ!母を失った悲しみを背負い今日まで頑張ってこれたのは何故かっ…それは自分に寄り添い家族として迎え入れてくれたっ…お前への感謝の想いがシェリーの足を立たせたんだ‼」

 

「そんなっ…ものはっ…所詮っ…嘘で作られたまがい物のっ…」

 

「それを嘘だとは言わせない‼シェリーにとってっ…お前と過ごした日常は全て本物なんだ‼それをも否定しシェリーの優しさまでも利用してっ…ふざけるな‼真実は一つだっお前は自分の欲望のためにっ…1つの家族の絆を壊したんだよ‼」

 

「ぁっ…ぅぅっ…」

 

「お前のっ…お前の存在を俺は認めないっ消え失せろぉぉぉぉーーっ‼

 

 

”ザシュッ”ルスランの首を掴み自らの想いをぶつけたミストはスライムソードを構え、ルスランの心臓へと突き刺し絶命させ燃え盛る炎の中へと投げ飛ばした

 

それと同時にルスランが胸に押し込んだアーティファクトが外れ床に落ち、シャドウはそのアーティファクトを回収しミストに近寄った

 

 

「大丈夫?随分感情的になってたけど」

 

「……大丈夫だ。理性は失っていない」

 

「そう…あっ、君も大丈夫?」

 

「えっ…うっ、うん…平気だよシドくん」

 

「ありゃっ、もしかして僕の正体も喋っちゃったの?」

 

「仕方ないだろ。シェリーは俺たちに近づきすぎた…もう無関係で通すことは出来ないんだ」

 

「そっか…じゃあ仕方ないね」

 

「…火の勢いが増してきた。一先ずここから離れよう」

 

「了~解」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-数日後…-

 

 

「納得できないよアイズ!どうして君が退学処分なんて!」

 

「副学園長をこの手で殺した処罰といったところだろう。思いのほか軽い処分で気が抜けてしまったがな」

 

「けどそれは副学園長が怪しい教団と手を結んでいたから止めるために仕方なくしたことだろ!?悪いのは君じゃなくて副学園長なのにどうしてこんな!」

 

「表沙汰に出来ない理由がある以上…学園側は何かしら理由をつけて俺に責任を押し付けるだろう。本当のところは処刑したいと思ってる連中もいるはず…だがそうならなかったのはアイリス王女のおかげだろう」

 

「アイリス王女の…おかげ?」

 

「あの事件の時…現場を任されていた騎士団長も噂の教団と繋がりがあった。現場での動きが遅かったのはそれが原因だ。学園はおろか、騎士団にまでその魔の手を伸ばしていた謎の教団…全ては自分の管轄不足だと学園側に非を認めたうえで、アイリス王女は俺の処罰を軽くしてくれるよう話してくれたんだ」

 

「っ…悔しいよ!あの日っ僕もあの場にいれば結果は変わっていたかもしれないのに!」

 

「紅の騎士団に体験入団中だったんだろ?なら仕方ないさ。俺1人が退学してことが静まるのならば俺はそれを受け入れる…それだけのことだ」

 

「アイズ…君はこれからどうするんだい?」

 

「一先ず実家に戻るつもりだ。それからのことはゆっくり考えるさ」

 

「そっか…寂しくなるよ」

 

「スザク…一緒にいるだけが友達じゃない。例え離れていても俺たちの絆が裂かれることはないさ…お前は引き続きこの場所で自分の力を磨け。そしていずれは王都最強の魔剣士となってこの国の安全を守るんだ」

 

「……わかったよアイズ。さよならは言わないっいつかまた会える日を楽しみにしている!」

 

「あぁっ俺も楽しみにしているよ…スザク」

 

 

ルスランが引き起こした学園占領事件。その裏で暗躍していたディアボロス教団の存在…そしてその悪行を止めるべく現れたシャドウガーデン…いくつもの出来事が重なったこの事件は、ミドガル魔剣士学園に大きな傷を残した

 

学園は教団が放った炎によって建物が焼け一部は崩壊…学園としての機能が果たせないため現在は関係者以外の立ち入りは禁止にされ生徒たちには前倒しで夏休みが訪れた

 

だがアイズには学園から退学の処罰が下った。理由としては、シャドウガーデンより渡されたアーティファクトに残っていた映像と音声にあった…そこにはルスランが一連の事件の首謀者である証拠と共にアイズがルスランを殺す様子と、シャドウガーデンの首領・シャドウと繋がりを匂わす映像も残っていたのだ

 

前日のゼノン・グリフィの件もまだ片付いていない状況での副学園長の凶行…ミドガル魔剣士学園の評判は落ち誇り高き騎士団からも不祥事を出した魔剣士がいたことで、騎士団も学園もどうすれば事態が収まるか迷走していた

 

そこで見せしめと言わんばかりにアイズの行いとシャドウガーデンとの関係を問い詰めるもアイズは黙秘を貫き、痺れを切らした騎士団はアイズの処刑を行おうとしたが、アイリス王女の説得もあり、王女の顔を立てる名目で処刑は取りやめられたが、学園側はこれ以上アイズを在籍させることは許さないと言い、結果として退学という処分が下った

 

特待生の寮から自身の荷物をまとめ親友であるスザクと握手をし、別れを告げたアイズはミドガル魔剣士学園の門を通り、これまで過ごした学び舎を最後に見ようと後ろを振り向く

 

 

「約3か月の学園生活…短かったな」

 

「アイズ様っ、お待ちしておりました!」

 

「ベータ…迎えに来てくれたのか?」

 

「はいっ、そろそろかと思い参りました」

 

「そうか…ありがとうベータ」

 

「いえ///けどアイズ様っ本当によろしかったのですか?計画通り(・・・・)とはいえ学園を去ることになってしまいましたけど」

 

「学生とシャドウガーデンの活動の両立できないと最初からわかっていたからな。どこかのタイミングで騒ぎに乗じて出ていくつもりだったからルスランが起こした事件はそのためには利用しやすかった」

 

「イータに無理言って映像と音声を記録できるアーティファクトを開発させたのはあの日のためだったということですね!?」

 

「その通りだ。けどイータにはかなり負担をかけてしまったからな…今度何かお礼をしなくてはならないな」

 

「不埒なことは駄目ですよ!」

 

「俺がそんなことするわけないだろ!」

 

 

そう…実はアイズはシャドウガーデンでの活動に専念するために学園を去る予定だった。なのでこの事件の責任を背負わされ退学という処罰が下ることも全て計画のうちに入っていたのだ

 

実家などへの報告はしなくてはならないが、そのことは追々考えれば良いと踏んだアイズは、迎えに来てくれたベータと共に、一先ずはミツゴシ商会へ向かうべく歩き出そうとした…その時

 

 

「まっ、待ってアイズくん!」

 

「えっ…シェッ、シェリー先輩!?」

 

「はぁっ…はぁっ…まっ、間に合って良かったぁ」

 

「どっ、どうしたんですかシェリー先輩?それにその荷物はなんですか?これから何処かに出掛けるのですか?」

 

「あっ、あのね!わっ私もこの学園を辞めることにしたの!」

 

「はぇっ!?どっ、どうしてシェリー先輩が!?王国随一の頭脳を持つ貴女を学園がみすみす手離すとは思えないのですが!?」

 

「今回の事件に関わっているのは私も同じ…ましてや私は首謀者のルスラン・バーネット副学園長の娘でもあった。なら私にもその責任はあるから学園を自主退学した!アイズくんを退学処分にしたのなら私にもそれ相応の処罰があって当然だって学園側に言って出てきたの‼」

 

「なっ、なんという行動力の高さ…」

 

「それでねアイズくん!もし…もし迷惑じゃなければっ…私をアイズくんとシドくんがいる組織に入れてもらえないかな!?」

 

「なぁっ…あっ、貴女は自分が何を言ってるか分かってるの!?シャドウガーデン入りを希望するということはもう二度と表の世界には戻れないということなのよ‼」

 

「分かってます!でも私はっ…これ以上ディアボロス教団のせいで誰かが傷つくのを見たくないんです!私と同じような思いをする人を…悲しい思いをする人を増やしちゃいけないんです!だから私も戦います!アイズくんたちのように剣は握れないけど…私の持てる知識で必ず皆さんのお役に立ってみせます!だから‼」

 

「……ベータ、シェリー先輩の受け入れの準備を進めよう」

 

「アイズ様、よろしいのですか!?」

 

「彼女の心が決めたことならば…それは俺たちでは変えられない。それにシャドウもなんだかんだ言ってシェリー先輩のことは気に入っていたみたいだし…王国随一の頭脳が志願して来てくれるのなら俺たちとしては願ったり叶ったりじゃないか」

 

「そっ、それはそうですが…」

 

「アルファには俺から説明しておく。だからベータ…シェリー先輩のことを認めてやってくれないか?」

 

「……ずるいです////アイズ様からそんな風に頼まれたら私が断れないの知ってるじゃないですか////」

 

「ははっ…バレてたか」

 

「そっそれじゃ…」

 

「シェリー先輩…君がこれから歩む道はとても険しいものになります。でも俺は貴女を歓迎します…これからは共に同じ道を歩む同士としてよろしくお願いします」

 

「はいっ…はいっ…よろしくお願いします!」

 

「期待していますよ…シェリー(・・・・)

 

 

 

--------------------------------------------------

 

 

 

「そんなに時間は経ってないのに…凄く昔の事のように思えちゃうね」

 

「それだけあの時の時間が記憶に残ってるってことさ」

 

「そうだね。でも…どれだけ考えてもやっぱりあれ以外の方法は思いつかなかった、母を奪ったこと…私を利用したこと…どれも許せることじゃないから」

 

「あぁ…でも同時にあの男と家族として過ごしていた時間もシェリーにとっては本物だ。許さなくてもいい…ただ君の心の中に残った幸せだった時の想い出…それだけは忘れないでくれ」

 

「っ…うんっ…ありがとうアイズくん////」

 

「こちらこそ…協力してくれてありがとうシェリー」

 

 

過去を振り返ったミストとシェリーはその後も紅茶を飲みながら他愛のない話をしてひと時の平和な時間を過ごすのだった……外野の妬ましい視線に気づくこともなく

 

 

「くぅぅぅ~~~っ…シェリーさん、ミスト様と親しくなり過ぎよ!私だってミスト様と楽しく雑談しながらお茶を飲みたいのにぃ‼」

 

「ベッ、ベータ様…あまり大きな声を出すとミスト様に聞こえますよ?」

 

「ファイはなんとも思わないの!?ミスト様が他の女性と楽しく笑い合っているのよ!?羨ましいと思わないの!?」

 

「私はミスト様が幸せそうならそれで良いかなと…っ////」

 

「えっ…何よそれっ…それじゃうだうだ言ってる私が器の小さい女に見えるじゃない‼」

 

 

 

≪to be continued≫

 

 

 

 




はい…長くなってすみませんでした!正直ちょっと詰め込み過ぎたなと感じましたが原作話は回想っぽくしてまとめてやった方が読みやすいかなと思いこんな感じになりました…あとシェリーちゃんは闇落ち回避でガーデン入りという形に収まりました♪

第二期ではまだその姿を見せていませんが果たしてアニメではどういう結末になるのやら…復讐の鬼にはなってほしくないですねほんと。

してR-18を書く予定ですがそのアンケートはこの話でも引き続き継続いたします!圧倒的にベータが人気上位なのでこれはもう確定といってもいいレベルですっ投稿次第この小説の概要にリンクを張りますのでどうぞお楽しみに♪それではまた次回のお話でお会いしましょう!

R-18の話を書く予定ですが七陰の中で一番見たいのは?

  • アルファ
  • ベータ
  • ガンマ
  • デルタ
  • イプシロン
  • ゼータ
  • イータ
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