一度【遺跡】から魔物と呼ばれる大量の化け物が溢れ出したことにより人類は大多数が数を減らした。
しかしそんなことも次第に人類は忘れ去り。
遺跡から出土する財宝を求めて人々は日夜遺跡へともぐりこむ。
そんな彼ら、探求者と呼ばれるもの達が1人。
エンダ・ウォルドが織り成す物語である。
【遺跡】・・・何故か昔の地球にあった『世界遺産』に似ているものが多い。専門家に言わせると「1人焼肉」と「友人たちとのキャンプ飯」くらい違うらしい。外観からは想像できないほど広かったり逆に狭かったりと広さはまちまち。攻略をすると自然と崩壊する。ごく稀に新しく生まれる。出現場所はランダムであり稀に街中にできたりする。現在確認できているもので1000程。
【魔物】・・・西欧の童話などに出てくるゴブリンやピクシー、キノコに手足が生えたものなど多種多様。ほとんどが知性を持っておらず【遺跡】内で自然発生する。数が増えすぎると地上に溢れ出すが、【魔物】から取れるものは有用な物が多いため近年では無限資源としてみなされている。
【魔人】・・・知性ある【魔物】。極々少数であり確認されているのは10人程。それぞれが固有の〔魔法〕を持っており討伐するには多大な犠牲が必要となる。過去討伐されたのは3人。
〔魔法〕・・・全ての生命が持っている"魔力"を使用することで異なる理を世界に反映する術。これとは別に〔魔術〕が存在するが、大まかな違いは概念であるか否か。確認できているのは【魔人】か【魔人と契約した存在】のみでそれ1つで国を相手取れる。また稀に適性を持った人間が〔魔術〕を扱える。
過去観測されている〔魔法〕は以下
・〔有限〕視認したもの全てに刻限を刻み込める。刻限はその生命に宿っている魔力に起因し、ゼロになるとすぐさま崩壊する。討伐済み
・〔腐蝕〕自身を中心とした腐敗した世界を作り上げる【魔法】。【遺跡】内に入りこんだ"モノ"は須らく腐敗させられる。それは精神も例外では無い。討伐済み
・〔落胤〕子をひたすら産み落とす魔法。その子供に触れられるた箇所には方陣が出現し体が変容していく。
・〔正義〕魔法を持つものこそが正義であり法である。自身の正義がゆらがない限り決して折れず曲がらず振れなくなる魔法。契約者:ニコラス・ハート
・〔無法〕ありとあらゆるものに縛られなくなる魔法。死を枷や死だと考えるとそれすら克服する。【遺跡】に囚われていないにもかかわらず自由に世界を旅する魔人。討伐済み
・〔自愛〕ただ眠り続けるだけの結晶体が無差別に放つ魔法。この魔法は周辺一帯を非殺傷空間に侵食し、一切の殺傷行為を不可能とする。契約者:フローレンス・マリア
・〔観測〕世界の行く末を見通す魔法。過去未来現在全ての事象が見通せるはずだがこの魔法の持ち主は現在にしか興味が無いため無用の賜物だと考えている。契約者:クロード・シモン
「おい、カス。しっかり探知してんのか」
(オレは別に便利道具でも何でもないんだけどなあ)
「チッ、返事すらできねえ木偶の坊。マジで使えねえなこいつ」
1人の少年が悪態をつきながら森の中を進む。
周りの木々は背丈が非常に高く光が一切入り込んでこない。鬱屈とした空気が充満している世界は少年なんかすぐにでも覆い隠せてしまいそうだ。
「いい加減鬱陶しい。なんなんだこの森は!俺以外誰もいねえじゃねえか。出て来いや雑魚ども金になれ。」
『なー、やっぱやめといた方がいいんじゃないのか相棒。おれぁ厄介事の匂いしかしない気がするんだけども。』
「うるさいぞ腰抜け。お前としか喋れないってのが1番イライラする。黙ってろ。」
(返事しないとしないで怒るくせに理不尽だなあ)
ザッ ガサ ザリ
少年が1人で騒いでいると木々の奥から何かしらの音が聞こえてくる。
(、、、おいゴミムシ。探知は?)
『してるぞ。してたけどさっきまで何もいなかったのは確かなんだ。まるで今生まれたみたいに探知内に湧いてきた。それに真っ直ぐこちらに歩いてくる。』
(セオリー通りなら撤退すべきか。。。カスは使えねえが探知だけはましだからな。それに引っ掛からねえってことはよっぽどだ。いやあいつがサボってただけか?それに何も見つけれなかったじゃ俺の輝かしい功績に傷が出来る。それだけはナシだ)
ザ ザ ザッ ザッ
考え事をしている間にも物音は次第に大きくなりすぐそこまで近づいて来ていることに選択を迫られる。
「撤t「あれ!君こんなところでどうしたの?1人?私アーリって言うんだけどなんだか急にこの空間に飛ばされちゃってさ。困ってたんだー。君はなんて言うの?さっき誰かと話してなかった?ねえねえねえ!」」
(殺してやろうかこのクソアマ)
「僕はエンダって言います。遺跡に潜ってたら急にこの空間に飛ばされてこまってたんです。独り言が大きかったかもしれないですね。気をつけます。」
「困ったねー。出口も分からないし目印とかもない。それどころか魔物すらいないんだからどうなってんだー、てね。」
(出口については大凡の位置は把握している。1箇所探知で魔力が薄いところを見かけたからな。それよりもこの女だ。こいつの話はホントなのか?転移型で飛ばされたってんなら一緒の境遇だが2人きりってのがなんとも。飛ばされた遺跡も全く別タイプだ。どこかで撒きたいところだが...)
相も変わらず鬱屈とした森の中を歩き続ける。もう1時間は歩いただろうか。その間も彼女、アーリは濁流と称すべきか滔々と言葉を綴り続けている。
ガンッとなにかに体がぶつかる。
あれほど喋っていた彼女もすっかり黙りこんでしまっている。
「アーリさん?」
眼前には森が開けており月明かりが差し込んでいる。広場になっている場所の中央には巨大な木が一本。葉には煌めく果実を実らしており幻想的な風景を描いている。
「これってさ。落胤の大樹じゃないのかな。おかしいとは思ってたんだ。この森になんの生き物もいないのってさ。この森に魔物が湧く暇がないくらい食べられてたからじゃないのかな。なんて....」
「そんな...」
(おいおいおいおい、なんで探知に引っ掛からねえんだ。おいカスムシ、早く起きろそして働け。)
『相棒、おれぁ嫌な予感がするって言ったんだけどな、、まだ間に合うからよ。今からでも急いで逃げようぜー』
「いや、待て。ならなんでこいつの"子供"がいない?何かしらの異常があったんじゃないのか?」
木からは一定の距離を取ったまま幹の周辺を見回ってみると一部分抉り取られた部分があった。
(いやこれは抉り取られたと言うよりは中から何かが食い破ったような、、、)
「なあ、アーリさん。あんたどうして森の中を俺の方に歩いてきたんだ?それも迷わず真っ直ぐに。」
「ん?エンダくんが独り言を喋ってたからだよ。その声を聞いて人がいるんだーって。」
「はは、あんたがこの遺跡にワープしてきたのはそうなのかもしれない。でもよ、おれは物音が聞こえるのと同時に喋るのはやめたんだ。それにしては迷わず真っ直ぐに進んできたよな。」
「言葉使い、崩れているよ?」
「お前人間じゃないだろ」
『下からなにか来るぞ相棒!!』
すぐさま背後に飛ぶと地面の下から木の根が出てくる。
木々がゆっくりと、しかし確実ににじりよってくる。
(ここはあいつのホームグラウンドだ。クソクソクソクソ、なんでこんな奴と戦闘になるんだッ。おいカスヘビ、どうにかしろ)
『おれぁなんにもできねーですよーだ。腰抜け間抜けのゴミムシですんでー』
「おいおい、音に聞く魔樹様が随分とまあ弱ってるんじゃねーのか、おい。一体何があったってんだ。」(なんで拗ねてんだ気色悪い。このままだと俺という世界の宝が傷つくんだぞ!)
「嗚呼、一体いつからか誰もこの森に来てくれなくなってね。このままじゃ養分が足りないんだ。すっかり子供たちも息絶えてしまってね。可哀想に。」
「お前がどうせ食ったんだろ。枯れ木野郎が。ぶつかった時の感触、すっからかんだったぞ。よく燃えそうだなあ!」
「死ね。」
『相棒、いくら弱ってるからってこのままじゃ絶対に勝てねえよ。逃げようぜー。』
(おい負け犬。探知回せ。魔力が1番強いところを教えろ。いい加減にしないとまじで殺す。)
『一応胸の部分だけど、、、』
「上々」
駆ける駆ける駆ける
1度でもさわられたらアウト。こっちは何発入れればいいのか分からない。負ければ泥被り、勝てば最高の栄誉が手に入る。
(勝つ。絶対勝つ。それにロウレスとかいうよく分からんやつが〔無法〕の魔人を討伐したとかこの前聞いたからな。そんな駄馬にできて俺にできないわけが無い。うん、やればできるだろ。)
短剣でひたすら木々を捌きながら近づいていく。ふんぞり返っているあのカスを見ていると苛立ちが募っていく。
『相棒、右右下左、、しゃがめ!』
「お前は一体なんなんだァ!!」
(なんなんだこの人間はァ!見るからに弱い。実際ギリギリのところで生きているに過ぎない。だが死なない。殺せない。それだけじゃない。先程から気味の悪い影がまとわりついてくる。この気配どこかで、、、)
あと10m。
1歩1歩、着実に近づいてきた。
(こんな泥臭いのは俺に似合わねえー!もっと華やかな舞台を用意しろよ。そしたら少しは神とか言うやつのことも認めてやる。」
『よ!相棒!神すら恐れない自信に溢れたその姿!かっこいいぜ!』
一撃だけでいい。確実に胸に突き刺してやればおそらくあいつは姿を保てない。なんで人間の姿をしているのだとか。どうして今弱っているのだとか。そんなのはどうだっていい。刺せば死ぬ。それだけ分かれば十分だ。
真っ直ぐに伸びてきた木の上に飛び乗る。
「大人しく踏み台しとけ。枯れ木野郎。」
「そんなのじゃあ傷ついたりしないよバカが。」
ザクッ
「な、に?」
(なぜただのナイフごときが刺さっている。なぜ魔力が急速に漏れ出ていく?何故。何故。何故。。。影?まさかまさかまさかぁ!?)
「そうか、お前、裏切り者の。原初のォ!!!!!」
「何言ってっかさっぱりわかんねえ。くたばれ枯れ木野郎。」
もう一度振り上げた短剣を振り下ろす。
途端に周辺の木々が枯れだし世界にヒビが入っていく。
同時に短剣の歯が朽ちる。体が異様に熱い。
『大量の魔力を浴びたから器が持たなかったのか!?相棒、無事か?!』
「はは、はははは。やった、やってやったぞ!!祝え世界!俺が落胤の魔人を討伐した最新の英雄だぞ!!!!」
エンダはそれだけ叫ぶと地面に倒れ込む。
少しづつ世界は白んでいき崩壊していく。
それには色彩豊かな透明の鍵盤が浮かんでおり、その存在を祝福するかのように音色が流れ出す。
『相棒?相棒、相棒!』
これは誰彼構わず見下す塵芥が(本人の望まぬ形で)世界を救う物語である。
『おや、これはこれは。また1人、希望の星が生まれたみたいだぞ、シモン。落胤のが討たれたみたいだ。』
「ほぉー、それはニコラスに悪いことをしたかな。謝罪文と共に報告文をよこそう。それにしても素で魔人を討伐か。なかなかに久しぶりでは無いのかな。」
「んー?この感じ、落胤のが死んだか。ちょーっとちょっかい出しただけだけど結構弱ってたのか。あのまま食っちまえば良かったかもなー。それよりも落胤をやったのはまたニコラスか?クロード、、はないな。あいつは世界が滅ぶ事態以外動かないだろう。次点でフローレンス。大穴で一般探索者か?大穴ならちょーっと楽しみだなァ。」
読者の皆様お読み頂きありがとうございました。
駄文、誤字脱字等のご報告ございましたら随時修正させて頂きたいと思います。
気が向いたらいくつか話を上げると思います。