また、死ぬほど捏造設定があり、原作の隙間を縫うような部分がいくつも散見されますが、これは個人の好みでありそういった作風であるとご理解いただければと思います。個人的にはその隙間は想像の余地のままになってたらうれしいな!
また、当作品は恋愛小説です
版権キャラクターとの恋愛描写や性行為描写が苦手な方は回避をお勧めします
主人公が大怪我したり戦闘したり場合によっては修行するかもしれませんが誰がなんと言おうとこの作品は恋愛小説です。ご理解いただければと思います
カップリングは「吉良イヅル×オリジナルキャラ」になります。ハーレム等の予定はありません、悪しからずお願いします
「チョコレート」
「…吉良副隊長」
「どうかした?」
照れる私に貴方は不思議そうな顔をする
私は後ろ手に指を絡めて恥ずかしさのあまり視線を下に向けた
「本日業務終了後、お時間を頂くことはできますか?」
渡したいものを職場に持って来れない私の意気地なし、なんて考えながら貴方の答えを待つ。周りはちらほらと甘い空気を漂わせていた
「構わないけど…あぁでも、少し遅くなる。それでもいいかい?」
「構いません。そんなに時間はかからないので…」
今日は現世の催し物があると他の隊員に聞いて…なんでも手作りで現世のお菓子を渡す催しらしく、こんな機会は滅多にないしと柄にもなく乗っかってしまった私がいる
浮かれた私を貴方は軽蔑しないだろうか
「で、では失礼します。お時間を頂きありがとうございました」
「あぁ、うん…?」
緊張して貴方の顔が上手く見れない私に貴方は不思議に思ったような声で返す。廊下でばったり会ったからそのまま約束とりつけちゃったけど、迷惑じゃなかったかな
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終業後
彼の方より少しだけ早く帰路につく。自分の机に置いた包装を手に取ってごくりと喉を鳴らして、深呼吸をしてから行動に取り掛かった
机の上にはもう一つ、現世のお菓子。ちょこれーと、と言うらしい。簡単に別のお菓子にできると聞いたので試しにいくつか買って、ついでに現世までレシピを探しに行ったのが少し前
安定の食堂の調理場を借りて、がとーしょこらというお菓子を作ってみた。多分甘すぎるのは苦手だろうし、とあれこれ調べては試作してを繰り返していたせいで完成品になったのは昨日だけど
「…こう、かな」
小さめとはいえ丸ごと食べるのは無理だろうと思って少し切り分けたそれを包装用の箱にしまって上から飾り付けをする。食品用の薄い紙に底を包まれたお菓子は、矢鱈と動かないように箱に詰められた緩衝材の中で大人しく出番を待っていて、箱を閉じて上からさらに包装紙で包むと私の緊張度が高まってきた
なにもこれから告白するわけでもないのに。わかってるのに緊張する
こんな浮かれた催しに乗っかるなんて私らしくない。でも今日は隊の中もちらほらそうやって浮かれてる人がいたし、ちょっとだけなら大丈夫なはず…
「…よし」
心を決めなければ
少し震える手で包装したお菓子を手に取る。誰にバレるわけでもないけど静かに部屋を出て彼の方のいる場所へ向かった
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こんこん、と会議室の扉を控えめに叩く
今日は夜から副隊長会議と聞いていたのと、この部屋だけ灯りがついていたのでこの部屋の扉を叩いた
「…ひ、緋月です…」
扉を叩いた音に対して飛んできた声に応えるけど、緊張で尻すぼみになってしまう。静かに扉を開いて貴方がいるのを確認したけど緊張でちゃんと見れない
「どうしたんだい、こんな時間に」
あぁ、貴方の優しい声音が聞こえる。この贈り物をしても、貴方はその声音でいてくれるだろうか
「あ、あの」
緊張してる。とにかく心臓がばくばくうるさい。顔が熱いし、体がすこしもたつく
喜んでもらえなかったらどうしよう
「?」
「あの、えと」
もだもだしてないで早く言ってしまわなくては、変な子だと思われてしまう
それにもう付き合ってるんだから、何も恥ずかしいことなんてないのに!
私は後ろ手で持っていた贈り物を前に差し出して、思いきり頭を下げた
「これ、もらってください!」
言った後もう既に顔から火を吹きそう。貴方の顔は見えないけど、引かれてないといいな…
「これを…僕に?」
「はい…」
かさり、と音がして手元から贈り物が離れていった。ゆっくりと顔を上げると、貴方は何かこう、しっくりきてないような顔をしたので事情を説明する
「えと…今日はその、現世の催し物があって。好きな人にちょこれーとでできたお菓子を贈る催しらしく…その、ちょっと乗っかってしまったというか」
しどろもどろに説明するけど引かれてないか不安で目が合わせられない。私らしくないといえばそうだし…
視界の端に映る貴方は何か少し考えるような顔をしてそれから納得したように口を開く
「…あぁ、それで今日はよく甘味をもらったのか」
その言葉に私は衝撃を受けた
私だけじゃないの!?
一番乗りできなかったの!?
付き合ってる雰囲気めちゃくちゃ出して牽制してたつもりなのに!?
「そ、そうなん、ですか…」
あまりに大きな衝撃で少し気持ちが下がる
いやわかってるよ。日付変更と同時にとか、朝とか渡せたのに渡さなかった私が悪いんだよ、うん
わかってなかったとはいえ他の人のもらうのは、すこし…いやめちゃくちゃ嫌だけど…
でも落ち込んだおかげか冷静にもなってきてやっと貴方を見ることができた
「…開けていいかい?」
「え!? あ、はい、どうぞ…!」
開けてもらうために渡してるのに開けていいか訊かれて驚かないで私…。なんて反省しているとがさがさと包みの開く音が聞こえてくる。私は緊張した面持ちでそれを眺めていて、貴方は包の向こうの箱を開くと物珍しそうな目で中のお菓子を見ていた
「えっと、これは…ケーキ、だっけ?」
「…言っときますけど焦がしてませんからね。そういうお菓子です」
なんか視線が、"焦げてないこれ?"と言ってる気がした。とりわけた中から味見もしたから絶対焦げてない
「あ、いやその…ごめん」
貴方は気まずそうに視線を逸らした。そういう正直なところ、好きだけど時折かすり傷ができる
「…甘すぎるものは苦手だろうと思って、あれこれしてたら渡すのが遅くなりました。ごめんなさい」
頭を下げて謝る。すると貴方がそんなことはしなくていいと言うのですぐに顔を上げた…のはいいけど貴方がまだ動揺してて
「…お嫌でしたか?」
つい、口からそんな言葉が溢れた
視線を少し下げた私を見て貴方は慌てたように「ごめんっ」と言ってから、少し頬を染めて箱の中身を見返す
「君がこういう催しに参加するとは思っていなかったから、少し驚いて」
それから片手で私の手をとって、それに驚いて顔を上げた私と貴方の視線が絡んだ
「ありがとう、嬉しい」
「…!」
貴方の言葉が嬉しくて、一気に緊張も解けて、思わずへなへなに笑ってしまう。それを見た貴方はようやく安心したような顔をして微笑み返してくれた
「せっかくもらったものだしすぐに頂くよ。お茶を淹れてきてくれるかい」
「喜んで!」
もちろんうきうきでお茶を淹れにいった
帰ってくると会議室の机でお菓子を箱から出して待ってる貴方がいて、喜びのあまり深呼吸をしてから中に入る
「お茶と…菓子切も持ってきました」
持ってきたものを机に置いて差し出す。貴方は「ありがとう」と返してまたお菓子を眺めた
私は貴方の隣に腰掛けてその様子を眺めている
「それにしてもすごいな。お菓子も作れるなんて」
「これは難しいことしなかったので…」
材料測ってレシピ通りに混ぜて焼いただけです
ごめんなさい難しいことしてなくて…
「初めてだったから失敗したくなくて」
「初めてなの?」
「え、はい…」
一瞬自信がなくて視線を逸らしたのに、貴方の声に思わず顔を向ける。すると貴方は肘をついてこちらになぜか笑いかけていた
「それはいいことを聞いた」
「!?」
そんないいことでもないと思うけど!?
「な、何言って」
「君の"初めて"はなんであれ悪くないと思うようになったんだ」
「……っ!」
なんだこの恥ずかしさは!
でも嬉しい、どうしよう嬉しい!
確かに貴方のための初めて…素敵かも…
「さて、食べようか」
しれっとした顔で貴方は菓子切を手に持つ。がとーしょこらにすっと匙を入れると一口大に切って口に運んだ
「ん…美味しい」
「本当ですか!? よかった…」
正直言って味の方は内心ヒヤヒヤで、貴方の言葉に心から安堵する。一口、ふた口と進む姿を見て胸を撫で下ろした
「甘すぎなくていい。よく好みがわかったね」
「心太がお好きと聞いたので、甘味らしい甘味は好まれないのかなと…」
心太が好きなことは公式的な発表である。瀞霊廷通信には席官の紹介項がある月もあるので記憶済み…何事も覚えておいて損はない
「甘いもの自体は食べないこともないんだけどね、確かに甘すぎない方が好みかな」
その言葉ににっこり笑顔。やるじゃん私、狙い通りでにっこり!
「そんなに笑う君も珍しいな」
「そんなことないですよ」
「普段はそんなに大きく笑わないじゃないか」
そうかな?
そうでもないと思うけど…
「貴方の前でだけはにっこにこですよ?」
「ならもっと見せてほしいね」
「!」
ちょっと恥ずかしくなった。やっぱりにっこにこはできないかもしれない
不意に貴方がけーきを一口、私に差し出してきた
「…?」
「僕だけ食べてもつまらないから。口開けて」
「えっ、そ、そんな」
「いいから」
こ、これは言わずもがなで間接キス!
私なんかがそんなご褒美を得ていいのだろうか、いやしかしこの機会を逃す手はない
一秒だけ間を置いて、ゆっくりと口を開く
そもそも貴方のために作ったのに私が食べてたら意味ないのでは? と気づいたのはけーきを口に含んでからだった
「んん…おいし」
味見でもわかってたけど個人的にはとても美味しい。洋菓子ってもたれると思ってたからこれは食べやすくて好きかも
「君も美味しいならよかった」
そう言って穏やかに笑う貴方はやっぱり大人びていて、貴方のそういうところが人気に違いないと確信する。そんなんだからちょこれーともらうんですよ、私以外から!
「…」
むぅ、と頬を膨らませているとそれに気づいた貴方が不思議そうにこちらを見ている。私はむくれたまま貴方の肩に頭を預けた
「…来年は、私以外から貰わないでくださいね」
大人気ないとか言われても関係ない
本当は今すぐお菓子渡した相手を調べ上げて吊るしたいくらいの気持ちを我慢してるんだから、これぐらい許して
「…しょうがないな」
「しょうがないってなんですか!?」
それはもらうのも満更じゃなかったってこと!?
私以外からもらっておいて!?
「君が誰より早く僕に渡せるなら考えないこともない」
「次はそうしますもん!」
怒る私に貴方は優位な顔をして笑っている
余裕あるな!?
私がこんなに不安で怒ってるのに!
「来年は何が貰えるかな?」
「…ご希望があれば応えます」
「へぇ…」
そして貴方は「それなら」と私に耳打ちをする。その言葉に私は顔を真っ赤にした
「なん…っ、それは」
「だめなら構わないけど」
「〜〜〜〜っ、応えて見せますとも!」
あんな人に言えないことを求められるなんて思わなかった!
でも貴方がしてほしいならする!
今日の夜はこうして更けていくのだろうか
…明日寝不足にならないといいな
終
時系列もくそもへったくれもあるか!!!!!
バレンタインだぞ!!!!!!!!