また、死ぬほど捏造設定があり、原作の隙間を縫うような部分がいくつも散見されますが、これは個人の好みでありそういった作風であるとご理解いただければと思います。個人的にはその隙間は想像の余地のままになってたらうれしいな!
また、当作品は恋愛小説です
版権キャラクターとの恋愛描写や性行為描写が苦手な方は回避をお勧めします
主人公が大怪我したり戦闘したり場合によっては修行するかもしれませんが誰がなんと言おうとこの作品は恋愛小説です。ご理解いただければと思います
カップリングは「吉良イヅル×オリジナルキャラ」になります。ハーレム等の予定はありません、悪しからずお願いします
「三倍返しとまではいかないけれど」
ふぅ、とひとつため息をついた。終業後の食堂で焼き鮭定食をつまみつつ一息ついていた時、見知った姿が目に入る
「ここ、いいかい?」
そう言った声は確かに貴方のもので、私はすかさず見上げてから「どうぞ」と微笑みかけた。すると貴方はひとつ礼を言ってから目の前の席に腰掛けて、持ってきたきつねうどんを自分の前に置く
「いただきます」
丁寧に手を合わせて挨拶を口にする貴方を見ながら、また一つこの人の育ちの良さのようなものを感じた。ただ、選んだメニューがきつねうどんなのがなんか気になる
それにしても珍しいな、と目の前でうどんを啜る貴方を見ながら私は思った。三月は二回目の半期決算、つまり年度末の決算にあたるので余程余裕がなければ定時で食堂にきた私とご飯を食べるなんて難しいと思うけど
「吉良副隊長」
「なんだい?」
「何かお手伝いすることはありますか?」
今回私は決算には参加しないので定時で帰りやすいし比較的時間がある。貴方が今日ここにいるのだってたまたまかもしれないし、進行度がわからない以上何かやれることがあるならやっておきたい
「いや、問題ない。前回のようにあちこちが壊れていたり混乱しているわけではないから、とりあえず順調に進んでいるし」
「そうでしたか、少し安心しました」
ただでさえ貴方は仕事が詰まると無理をするから…今回は比較的人手も多いみたいだし大丈夫そうなのかな
「というか、ここにきたのはそういうことではなくて…」
「?」
気まずそうに視線を逸らす貴方に思わず疑問符が頭に浮かぶ。気まずそう、というか照れてる?
「渡したいものがあって。この後時間をもらってもいいかな」
「それは喜んで。どこかに集まりますか?」
「なら瀞霊廷に少し穴場があって…」
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ご飯を食べ終わってから、"用意するものがあるから"となぜか彼の方は去っていった。なので言われた場所に一人で来て今はぼーっと彼の方を待ってるわけだけど
「綺麗だなぁ…」
月明かりに照らされて桃の花が咲いているのがわかる。でも子供の頃よりその景色は暗く花は影ばかりが映って、少し勿体無いな、なんて思った
「赤い目には、あんなに月は輝いて見えたのに」
太陽は見れたものじゃなくて、月だってあの頃は周りの星が見えないくらいに輝いて見えていて。彼の方を好きだと気づいたあの時にあの眩しい月の光を思い出したのを、今でも思い出せる
今は少し落ち着いて、その輪郭がはっきりと見えるのが今と昔の違いを表しているようでそれはそれで嬉しいけど
でもこんな場所初めて知ったな。まぁ瀞霊廷は広いから全部覚えとくなんて無理なんだけどさ
それにしても、ここは私が座ってる大岩を囲むように桃の花が咲いている。案外解放されてるだけで私有地だったりして
「あぁ…」
つい、感嘆とした声が出てしまった。背後から近づいてくる貴方の霊圧と気配があまりにも綺麗だから
座っていた大岩から立ち上がって、振り向いてから静かに頭を下げる。すると見えない視線の向こうからざり、と草履の足音が聞こえた
「…頭を下げるのはやめてくれないか、仕事じゃないんだから」
「ごめんなさい、つい…」
あはは…とあげた顔からは情けない表情と声が出てしまう。貴方はまたそれに小さくため息をついた
「まぁいい…ここは僕が好きな場所の一つなんだけど、君は何か感じたりはしたかい?」
「子供みたいな感想ですけど、綺麗だなって…。昔と見え方が違うから少し新鮮で、でも今の方が好きです。見えるものと見えないものの良し悪しと言えばいいんでしょうか」
あの頃よりずっと夜が綺麗に見える、それがただ純粋に嬉しい。暗いところは暗くて、だからこそ光が映えて淡い色をした桃の花が月明かりに照らされて僅かに浮かぶような白を纏っているように見える
今いる場所から振り向くと、木々がないからひらけた景色がよく見えて…それが美しい景色を後押ししていた。本当に、こんな場所があったなんて
「そうか…良かった。まだ桜には早いけど、僕はこの淡い愛らしさもいいと思っているんだ。梅も桃も桜に比べたら地味だという人もいるけれど、それぞれに違う良さがある」
「すごい…月並みではありますがさすがですね」
「さすがってことはないと思うけど…」
「いいえ、やはり貴方はいつだって世界を見て生きている。視野が広くて世界に彩りがある…俳句を嗜まれているからだとは思うのですが、素敵な世界の見方だなって思います」
私の言葉に、貴方が少し照れたような顔をしたのを私は見た。そんなに照れるようなことなのかな、誰にでもできることじゃないのに
「…えっと、今日ここにきてもらったのは景色を見たかっただけじゃなくて」
「そうなのですか?」
「あぁ、その…これをもらって欲しい」
少しぎこちない言葉と同時に出てきたのは装飾のされた青い紙袋。よく見かけるような大きさのそれには何やらアルファベットだっけ…現世の、違う国の言葉が書かれている。なんで書いてあるかまではわからない
でも貴方がくれたものを私が受け取らないというのはありえないのでありがたく受け取らせてもらう。へへ…保存しておくものが一つ増えたな
「ありがとうございます。開けてもいいですか?」
「構わないよ」
「では早速…」
暗がりで少し見えづらいけど、中に入ってるのは…お菓子?
紙袋の中にさらに透明な袋で包まれたお菓子のようなものが入っている。彩りが豊かに思えるそのお菓子は、半円の立体的なクッキーのようなものにクリームのようなものが挟まれていた
「見たことないお菓子です…というかお菓子であってますよね?」
「お菓子だね。マカロンと言うらしい」
「なるほど…現世のお菓子は練り切りのように彩り豊かですね」
練り切りは季節を表すお菓子なので彩りが豊かであることが多い。その分仕事も細かいので価格も高いことが悲しいところ
「その…知り合いに聞いたんだ。以前君がバレンタインにケーキを焼いてくれたことがあっただろう? 本当は今日みたいなお返しの日があるって言われて…知らなかったから急いで用意したんだ」
「そんな…お気になさらないでください。私も今知りましたから」
「…そうなのかい?」
「はい。バレンタインは…たまに声をかけてくれる隊士の子がいるんですけど、その子がたまたま教えてくれて。やれることをやりたかっただけですし」
お返しの日とかあるんだなぁ…現世って言っても日本の文化とは違うらしいとは聞いてたけど、思いに思いが返ってくるのって素直に嬉しい
「でも嬉しいです。ありがとうございます」
「…!」
「? 如何なさいましたか?」
「いや…なんでもない。喜んでもらえて良かった」
貴方から貰ったお菓子…食べるの勿体無いなぁ。でも食べ物だから食べないとだめになってしまう…せめてこの紙袋は保存しておこう
「そうだ、イヅルさんも一つ食べませんか? 美味しそうなので分け合いたいです」
「君のものだから気にしなくていい。僕は甘いものはあまり食べないから」
「そうですか…一人で食べるのも寂しいと思ったんですが、無理をさせたいわけじゃないので了解しました」
美味しそうだから一緒に食べれたら良かったんだけどなぁ、なんて考えていたら貴方が気まずそうに視線を逸らして向き直る
「君がそんなに一緒に食べたいなら…一個だけ」
「…! いいんですか!?」
「一個だけだ。君にあげたんだから」
「わかりました! あそこの大岩に座って景色を見ながら食べましょう!」
「わかった、行こう」
「はい!」
私は貴方の手を引いて大岩まで歩き出す。今日は満月が綺麗で、貰ったお菓子みたいだなってなんとなく思った
あぁ、嬉しいな。胸が高鳴って仕方ない
貴方の誕生日が近いから私がお祝いするつもりでいたのに、こんな素敵なことが待ってるなんて
本当に、本当に嬉しくてどうにかなりそう
滑り込みホワイトデー
急いであげてるんで間隔あけは後でやります…(間隔あけやりました/2025/4/8)
ホワイトデーのお菓子でマカロンは「あなたは特別な存在」という意味…らしい
この辺は基本的に変動しやすい情報なのでなんとも言えないですが、本当にそうだったらいいのになぁなんて考えます
吉良副隊長にホワイトデー、鏡花さんにバレンタインデーを教えたのはどちらも鏡花さんのファンクラブの人たちです