系—幕間編   作:七星七夕

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当作品は二次創作であり、原作、実際の物事、人物、事象には一切の関連がありません、ご注意ください
また、死ぬほど捏造設定があり、原作の隙間を縫うような部分がいくつも散見されますが、これは個人の好みでありそういった作風であるとご理解いただければと思います。個人的にはその隙間は想像の余地のままになってたらうれしいな!

また、当作品は恋愛小説です
版権キャラクターとの恋愛描写や性行為描写が苦手な方は回避をお勧めします
主人公が大怪我したり戦闘したり場合によっては修行するかもしれませんが誰がなんと言おうとこの作品は恋愛小説です。ご理解いただければと思います
カップリングは「吉良イヅル×オリジナルキャラ」になります。ハーレム等の予定はありません、悪しからずお願いします









幕間10

幕間10

 

 

「…何があったんだい、これは」

 

 貴方は座卓に並べられた数々の料理を見て言った

 作ったのは私で、貴方が困るのは当たり前のこと

 

「えっと…これはその…」

 

 でもまぁやっぱり、言葉には詰まる

 

 

********

 

 

 "あまりにも細くて少し心配だな"

 なんて考えたのは今日の仕事終わりの買い物の中

 

 彼の方はいつも異常に細い。なんなら私より絶対に体重が軽いと思う

 かと言って普段の食事を見ても、特に食が細いというわけでもないけど量を食べてる印象もなくて、人並みといった感じ

 

 だけど細い。異常に細いのだ

 それこそ行為中に眺める腰の細さといったらもう…個人的には延髄ものだけど同時に心配にもなってくる

 実際生活習慣が正しいかと言われると…みたいな人だし…

 そう思っているうちにあれやこれやと買い込んでしまった、その結果が座卓に並べられた料理の数々

 

「考え事をしながら買い物をしていたら買い込みすぎてしまいまして…どうしたものかととりあえず調理をしてたところです」

「考え事?」

「えっと…なんと言いますか」

 

 若干言いづらい

 

「?」

「い、イヅルさんの腰が細すぎて心配になってしまったといいますか…」

「…」

 

 あ、相手の眉間に皺がよった。気まずい

 

「いや、あの、本当好きなんです!」

「好き?」

「その細い腰が! イヅルさんの体で一番好きです! でも同時に心配にもなってしまって、感情の板挟みにあっていたらたくさん作ってしまって…!」

「君とんでもないこと言ってる自覚あるかい?」

「はっ…」

 

 思い返すと変態極まったようなことを言ったような。本音故に恥ずかしい

 

「僕の体にそんないい部分もないように思うけど」

「それは違います。イヅルさんはいつ何時も美しいですが私はその細くて少し骨の浮いた最高の腰回りを見逃しません。かぶりつきたいくらい好きです」

「…鏡花ってそういう人なのかい?」

「そういう人とは?」

「変態」

「そうですね」

 

 それにしても包み隠さないな、発言が

 自分が変態でなかったことなど一度もないけど

 迷いのない私の返事に貴方は呆れたようにため息をついた

 

「でも心配なのも本当なんですよ!? 食が細いようでもなさそうなのにお体が細いので…」

「ただそこまで胃腸が強くないだけだ。君が心配することじゃない」

「…むしろその胃腸で潰れるまでお酒飲んでるんですか?」

「…」

 

 貴方はさっと目を逸らす。私は少し返答に困った

 やはり副隊長とは、"隊長"とついていたところで中間管理職ということだろうか

 

「あぁでも、作り過ぎてしまったのは本当ですし、少し誰かに分けましょうか。松本副隊長とか、檜佐木副隊長も貰ってくれそうですよね」

 

 なんてへらりと笑うと貴方は少し不機嫌そうに眉を動かす

 

「?」

「あぁいや、なんでもない」

 

 嘘っぽい。気になるなぁ、そういうの

 

「まさか全部食べる気だった…とか言わないですよね?」

「…」

 

 貴方はまた気まずそうに視線を逸らす。そんな無茶したら…とは思うけど、嬉しい自分の方が大きい

 でもざっと五人はお腹いっぱいになる量を作ってしまったんだよな…軽く見積もってそんな感じだから、とても二人では食べきれない

 

 筑前煮にだし巻き卵ときんぴらごぼうに生姜焼き、極めつけはたくさん作ってしまった紅白なます

 なます、好きなんだよね…お酢も取りやすいしつい作り始めると大量になってしまう

 

「無茶しないでください。胃腸が弱いのでしたらすぐに壊します」

 

 結局私が作りたかっただけ…みたいなところもあるだろうし、そんなに貴方が責任を感じることでもないと思う

 それなのに、貴方の表情は少し不貞腐れたよう

 

「如何なさいましたか?」

「いや…」

「何かあるなら言ってくださいね?」

 

 そう言って、私は台所の入り口に立ったままの貴方の手を取る。すると貴方は少しばかり照れた様子で私と目を合わせなかった

 

「…檜佐木さんに渡すのは、惜しいと思って」

「!」

「…」

 

 なんだその嬉しい発言は、死んでしまう

 檜佐木副隊長だけダメなのなんか面白いけど

 

「その…君が僕のために作ってくれたわけだから」

「そう、ですけど…改めて言われると照れますね…」

 

 ちょっと沈黙。恥ずかしい

 

「と、とにかく渡していい方には渡してしまいましょうか! イヅルさん、松本副隊長と雛森副隊長の連絡先知ってますよね?」

 

 あはは! と誤魔化すように笑った。貴方は「あぁ、うん…」とまた歯切れの悪い返事

 

「如何しましたか?」

「いや…できるだけ食べるよ」

「だからダメですって」

 

 ダメだって言ってるでしょうが。お腹弱い人が食べ切れる量じゃないから

 冷蔵庫で保存するにしても限界があるからやめてほしい

 

「でも君が気を遣ってくれたのに悪い」

「半分自己満足なんですから気にしなくていいですよ。私友達いないから目上の方を頼ってるだけですし」

 

 友達? 知らない人ですね

 多分一生作ることはないと思う

 

「…」

 

 あ、珍しくむくれた

 かわいい…どうしようこの人。でもやっぱり無理してほしくない

 

「そうですね、お好きなものがあれば少し多めに食べてくれたら嬉しいです」

「そんなことでいいのかい?」

「何かありませんか?」

 

 とりあえず尋ねてみる。メニューを訊かれたので簡単に答えると、貴方は少し考えるような仕草をとった

 

「そうだな、君が得意だと言っていただし巻き卵がいい」

「!」

 

 覚えててくれたの!?

 そんな瑣末なことを…ありがたさしかない…

 

「い、イヅルさんがいいのでしたら…ありがとうございます」

「なんでお礼?」

「覚えていてくださったのが嬉しかったので…今用意しますね」

 

 わたわたと準備に入る。ちょっと照れる、やっぱり

 お味噌汁もささっと作って、ご飯も盛って、作った料理を居間の座卓に並べていく

 なんかやっぱり、こういうの夫婦っぽい…うれしい

 

***

 

「準備できました」

 

 若干まだ照れの残る私がそう笑うと自室で仕事をしていた貴方が居間へやってくる

 二人で手を合わせてから食べ始めると、毎度貴方は少し表情が明るくなるからそこも作っていて嬉しくなってしまうのだ

 

「美味しいですか?」

 

 私が訊くと、貴方は「うん」と返してくれる。その時の笑顔はいつも柔らかくて、美味しいものが作れたんだなって、勝手に嬉しくなるんだ

 とりあえず食べ切ってお茶を飲みつつ…誰に何を渡すか考える

 

「やっぱり松本副隊長ですかね? 雛森副隊長お料理上手ですし。でもそれだと配りきれないから…」

 

 なんて私がぶつくさ言ってると、貴方の視線が向いていることに気づく

 

「如何しましたか?」

「なんでもない…と言うと違うな」

「?」

「長く保存できたらよかったんだけど」

「お料理ですか?」

「うん」

「!」

 

 その言葉にまた嬉しくなってしまった

 つい笑ってしまう

 

「いつでも作りますよ。わかっているでしょう?」

 

 何度も貴方の家で料理は作ってきたし、お弁当もあるんだからなんだって、いつだって作るのに

 

「でも君は僕の体を心配してくれたわけだから」

「そういう意味だと私がいなくても早く寝て欲しいなって。仕事もほどほどにして欲しいなって…」

「…」

 

 料理だけで健康は得られない

 確かに細いの心配だけど、食べてくれればいいって話じゃないから。健康な生活して欲しいって意味です

 

「あ、目を逸らさないでくださいよ」

「…まぁ、善処はするよ」

「それできないやつですよね?」

 

 はぁ、とため息をついた。仕方ない部分もあるんだけどさ

 私を抱き枕にしないと寝れないとか、あったらよかったのになぁ!

 

「とにかく、配る方を決めませんと…」

「松本さんくらいしか思いつかない…」

「吉良副隊長も交流広いわけじゃないってことですか?」

「というか…」

 

 貴方は少し言い淀む。私がそれを見ていると、少し困ったように貴方は顔を赤くした

 

「男には、あげたくないなと…」

「!!」

 

 それは、それはあなた、嬉しくなってしまう

 嬉しくならないわけなくて、にやつきそうだ

 

「あと、雛森君だけど…断ったりはしないと思う。人から何かともらってるところを見たことがあるから」

「雛森副隊長に渡すにあたって抵抗がある部分は、私が雛森副隊長ほどお料理が上手くないってことです」

 

 多分私が雛森副隊長に勝てるところなんて一生に一個もできないと思う

 

「気にしないと思うけど。そもそも君は十分料理が上手いと思う」

「褒めても私の体しかあげられませんよ」

「そういうことじゃなくて」

 

 両手を広げて歓迎してみたけどだめだった、真面目に言ったのに

 

「こういう時は先輩の胸を借りるつもりでやってみるものだと…昔教わった。君は今その時なんじゃないかな」

「…」

 

 貴方が言うなら、それを否定できる私でもない

 

「貴方がそう言ってくださるなら…」

 

 少し間を置いて、心を決める

 

「雛森副隊長がもしよろしければ、お渡ししようかと…」

「わかった」

 

 そういった貴方は、優しく微笑んでいた

 

「あぁでも」

「なんでしょうか?」

「明日も食べたいから、その分は残しておいて欲しい」

「!」

 

 いつだって作るっていったじゃないですか!

 そうやってすぐ嬉しいことを言って!

 

「わ、わかりました…」

 

 もうなんて言っていいかわからなかった

 だって、いつもより貴方のこときっと考えてたんだもの、今日の料理を作る時って

 それを、そんなに大事にしてもらったら、嬉しくないわけないじゃない!

 

 とりあえず顔を真っ赤にしながら料理を取り分けた

 貴方は美味しいって食べてくれたからかもしれない、まだ顔が熱い

 

 

 

 

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