系—幕間編   作:七星七夕

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当作品は二次創作であり、原作、実際の物事、人物、事象には一切の関連がありません、ご注意ください
また、死ぬほど捏造設定があり、原作の隙間を縫うような部分がいくつも散見されますが、これは個人の好みでありそういった作風であるとご理解いただければと思います。個人的にはその隙間は想像の余地のままになってたらうれしいな!

また、当作品は恋愛小説です
版権キャラクターとの恋愛描写や性行為描写が苦手な方は回避をお勧めします
主人公が大怪我したり戦闘したり場合によっては修行するかもしれませんが誰がなんと言おうとこの作品は恋愛小説です。ご理解いただければと思います
カップリングは「吉良イヅル×オリジナルキャラ」になります。ハーレム等の予定はありません、悪しからずお願いします



幕間5

幕間5

 

「吉良副隊長、本日の経過報告です」

「あぁ、ありがとう。君も先に上がって」

 

 そう言う貴方に、私は少し複雑な気持ちになる

 この人が定時で上がったところを、私は殆ど見たことがない

 

「吉良副隊長はまだお仕事ですか?」

「まだ纏まってない書類が幾つかあるから」

「…わかりました、失礼します」

 

 こう言ったらなんだけど仕事中の貴方は一番頑固な気がする

 仕事をすると決めたらそこしか見えてないって言うか、合同鍛錬でも入ってない限り執務室から出るのすら殆ど見たことがない

 

 今日も長いんだろうな、と廊下を歩いて考える

 帰り際に食堂で夕食を食べてからふと、思った。あの人晩御飯どうするのかなぁって

 

 飲み屋でさらっと幾つか食べる感じなんだろうか

 夜だから食べないのかなぁ…いやでも泊まりの時とか食べてるものな、それはないか

 

 なんか、できることないかなぁ…

 

「浮かない顔だね」

 

 食器を片付けてると食堂のおばちゃんに声をかけられた。そんなに顔に出ていただろうか

 

「いえ、なんでも」

 

 そう返す私の表情筋が動いてる自信はない

 

「釣れないねぇ、いつものことだけどさ」

「すみません」

「なんか悩んでるんだろ、言ってみな」

「えっと…」

 

 そこまで仲良いわけでもない人に話しても良いものだろうか

 少し悩んだけど、食堂には他に人もいなかったので吐露してみる

 

「…彼氏が、残業が多くて。晩御飯どうしてるのかなって」

「彼氏って吉良副隊長だろ?」

「なっ…」

「知ってるよぉ。おばちゃん長いからね!」

 

 ぼかした意味とは

 そうはっきり言われると茹蛸のような熱さを顔に感じてしまう

 

「…そうですけど」

 

 なんて、驚いて答えてしまう私も私だ

 

「吉良副隊長ねぇ…食堂が閉まるまでに来る時もあるけど、朝とお昼以外であんまりみたことはないねぇ」

「やっぱりそうなんですか…」

 

 ふむ…いつも遅くまで残業して、私にも分けてくれれば良いのに

 彼の方しかできない仕事があるのもわかるけどさ

 

「あんた、お弁当でも差し入れてあげたらどう?」

「えっ」

「料理できなかった?」

「いえ…人並みには」

 

 お弁当と一口に言っても台所もないしな…と悩んでいるとおばちゃんからまた声がかかった

 

「台所貸してあげるよ。また必要だったら言ってくれればいいさ」

「良いんですか?」

「洗い物はちゃんと片付けておくれよ」

「…はい!」

 

 そこからは使って良い食材なんかを聞いてささっとお弁当を仕立てる。おにぎりと卵焼き、あとは食堂で余ってた副菜を二品ほど

 

 流石に死覇装で行くと怒られそうなので、おにぎりの粗熱を取る間に私服に着替える。食堂に戻ってから作ったお弁当を携え執務室の扉を叩いた

 返事があって中に入る。やっぱり貴方は山になった書類を処理していて内心ため息をついた

 

 休んでと言っても休まないのが貴方というか、仕事と決めると気を抜けないと言うか…真面目で誠実な貴方らしい好きなところだけど嫌いなところ。せめてもう少し息を抜いて私にも仕事分配してくれれば良いのに

 

 ただでさえ副隊長の普段の仕事に隊長職の書類まで重なってるんだから、いくら戸隠三席がいるといっても限界がある

 

「…緋月君?」

「少し、休憩しませんか?」

 

 私がそう言うと、貴方は眉間に指を当てて小さくため息。そこから切り替えたように私をみた

 

「…お茶、淹れてもらえる?」

「もちろんです」

 

 給湯室でお茶を淹れて、おぼんにお弁当と急須と湯呑みを二つ乗せて持っていく。執務室に戻ると、来客用のソファで寛ぐ貴方が見えた

 

「お待たせしました。おまけ付きです」

「おまけ?」

「差し入れを作ってみました。食堂の方が協力してくれて…簡単なものなんですけど」

 

 お茶を湯呑みに注ぎながら言う。そこで一つ息をついた

 

「お夕食、食べてるかわからなかったから」

 

 普段着の小袖を汚さないように気をつけつつ、湯呑みを一つ貴方の元に置く。貴方は私の言葉に少し驚いてるようだった

 

「そんなに心配かけてたかな」

「いつも心配してますよ」

 

 本当は二人とも定時で上がって飲み屋さん行ったりとか、ご飯屋さんで食べたりとか、帰りにお菓子買ってみたりとか…したいわけだけど

 流石にそこまですぐには難しくてもちょっと差し入れするくらいなら私にだって、できるはずだから

 

「なんか悪いな、ここまでしてもらってしまって」

「そんな大層なお弁当にはできてないので気にしないでください。私が勝手にやったことですから」

 

 自分の分のお茶を一口。適温で入れられたのか口当たりが優しくて美味しい

 

「…せっかく持ってきてくれたのなら、いただこうかな」

「私はこの一杯で帰りますから、気にしないでくださいね」

「…わかった」

 

 私はそこで「おや?」となった。貴方にしては歯切れの悪い返事、なにか思うところでもあったのかな

 でも何事もなかったように貴方はお弁当の包みを開け始める。割り箸を割って卵焼きから手をつけた

 

「! だし巻き卵?」

「あー、それは…私の得意なものでして…つい調子に乗りました。お嫌いでしたか?」

「いや、好きだよ。だし巻き卵が得意なんてすごいじゃないか」

「そうでしょうか…?」

 

 私が好きなだけとも言う

 だし巻き卵美味しいので、料理本を買って寮で練習した。ついでに幾つか料理も覚えたので人並みにはできるはず

 

「比較する人がいないのでよくわからないですね…」

「だし巻き卵って意外と難しいよ」

「それは、確かに」

 

 寮で練習して会得するまでもずいぶんかかったな、と思いだす。比較対象がいないので料理が上手いかまではやっぱりわからないけど

 

「と言っても、私が作ったのはおにぎりとだし巻きくらいで副菜は分けてもらったものですよ」

「謙遜しなくて良い。嬉しいよ、ありがとう」

「…!」

 

 貴方にそう言われると、嬉しい。嬉しくて嬉しくて顔が赤くなるのを感じる

 

「こ、こちらこそありがとうございます…」

「? なんで君がお礼を言うんだい?」

「あ、いえ、お気になさらず…」

 

 無意識なんだよなぁ…さらっと人を褒めるんだよなぁ…すごいところだけど、尊敬するけど、照れくさい。でも嬉しい。そんな貴方が好き

 

 とりあえずお茶飲んで一息、ちょうど飲み切ったのと貴方がお弁当を食べ切るのが重なったので区切りがいい

 

「お弁当箱、洗いますので渡してください」

 

 私てもらおうと手を出すと何故か腕を引かれる。不意のことに驚いていると頬にキスをされた

 

「!?!????!!!?!」

 

 思わぬ行動に固まる

 え、いや…なんで…?

 普段そんなことする人じゃないのに…ふれあいとかそういうことでもない限り手を繋ぐ程度じゃない…

 

「き、きらふくたいちょ…ぅ…」

 

 ぎこちない動きで貴方を見ると、思ったより予想外の反応だなみたいなかおをされた。私の中は嬉しいと驚きを反復横跳びしているというのに

 

「…嫌だったかな?」

 

 なんて貴方は頬を指で軽く掻きながら照れ気味に視線を逸らす

 私はそれをみて無理やり瓦解した理性を取り戻した

 

「嫌じゃない、嫌じゃないです!」

 

 嫌なんてそんなわけないじゃんか!

 びっくりしただけで!

 

「嬉しかったけど、びっくりしちゃって…!」

「普段やらないからね」

「だからびっくりしたんです!」

 

 心臓がうるさい。めちゃくちゃときめいてる

 なんで? なんでこうなったの?

 貴方がこちらを向き直すと、少しだけ笑った

 

「君がこんなに良くしてくれるのが嬉しかったから、何かお返しを…と思ったんだけど」

「お礼なんてなくても毎日持っていきますよお弁当くらい…!」

「じゃあ要らなかったかな」

「それとこれは別です。ありがたく受け取ります」

 

 キスなんてどれだけしてもいいからね!

 

「君らしいね」

 

 そう言って貴方はまた笑った。って言うか笑っ…!

 

「…っ!」

 

 顔が真っ赤になった

 滅多に笑わない貴方が笑ってくれるのが嬉しいはずなのに。ときめいてしまって、穏やかでいれなくて、無理だこれは

 

 貴方が好きだ、好きだ、好き!

 

「じゃ、じゃあいきますね! 明日も持ってきますから!」

 

 心臓がさらにうるさくなっていけない。この場にいたらいつかときめきで倒れてしまう

 立ち上がってお弁当箱を回収した私の腕を貴方がもう一度掴む。それにも喜びを感じつつ貴方の方を見ると、貴方が私をみていた

 

「明日は定時で上がるつもりだから、どこか寄って帰ろうか」

 

 ダメだ倒れる。目の前が真っ白になる

 喜びで死にそう

 とりあえず言葉を返さなくては

 

「…っ、甘味処に、いきたいです」

「了解」

 

 手が腕から離れていった私は赤い顔を隠せないまま執務室を出て走った

 気を紛らすように給湯室で洗い物をして、部屋に戻ってから布団を敷いてダイブする

 

「〜〜〜〜〜〜っ!!!」

 

 だめだこれはだめだ

 どうしてこう、こっちのときめきを刺激してくるかなあの人は

 

 死んじゃう! 死んじゃうから!

 

 とりあえず明日甘味処行きたいなんて勢いで行っちゃったけどどうしよう。ところてんあるところがいいよね、うん

 とりあえず、とりあえず寝よう。明日も仕事だ

 

 でもこれ、寝れるのかな…?

 

 

 

 

 

 

 

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