また、死ぬほど捏造設定があり、原作の隙間を縫うような部分がいくつも散見されますが、これは個人の好みでありそういった作風であるとご理解いただければと思います。個人的にはその隙間は想像の余地のままになってたらうれしいな!
また、当作品は恋愛小説です
版権キャラクターとの恋愛描写や性行為描写が苦手な方は回避をお勧めします
主人公が大怪我したり戦闘したり場合によっては修行するかもしれませんが誰がなんと言おうとこの作品は恋愛小説です。ご理解いただければと思います
カップリングは「吉良イヅル×オリジナルキャラ」になります。ハーレム等の予定はありません、悪しからずお願いします
幕間8
あるお昼のことだ
私は急遽伝えることがあって出先の彼の方にそれを伝令しに隊舎を出ていた。丁度彼の方も帰るところだったので一緒に歩いて帰っていたところ
「やぁ、吉良副隊長と緋月ちゃんじゃ無いの」
目の前に京楽隊長と伊勢副隊長が現れる。二人がどうしてここにいるのかは知らないけど、ひとまず「お疲れ様です」と二人で頭を下げた
吉良副隊長は私が京楽隊長と面識があるのを知ってるのか、と最初に気づく。私の斬魄刀騒ぎの時かな…多分だけど
「緋月ちゃん今日も別嬪さんだねぇ」
「も、申し訳ありませんがそんなことはありません。美人というのは伊勢副隊長のような方を指しますので」
動揺して否定してしまう。でも嘘はついてない、私美人じゃ無いし…吉良副隊長も、綺麗だとは言ってくれるけど本当、目つきも悪いしクマ酷いし。吉良副隊長はやめてって言ったけど本当はいつもお化粧してたいくらいなんだから
「だってさ七緒ちゃん。いい子だねぇ」
「け、決してそんなことは…ありがとうございます」
照れた伊勢副隊長かわいい。やっぱり美人っていうのは伊勢副隊長とか、雛森副隊長とか、松本副隊長とか…そういう人を指すよね。あ、でも卯ノ花隊長と虎徹副隊長に涅副隊長も美人。どうして隊長格の女性ってこうも美人なんだろう
私なんてどちらにせよ程遠い。吉良副隊長は時折美人だって言ってくれるけど絶対違うものが見えてると思う
「それにしてもこんな所で会うなんて珍しいね。何か用事かな?」
「仕事の関係できていまして」
「そうだったの。折角会ったしどうかな? 二人ともうちでお茶していくのは」
あ、これナンパっぽい。とつい思ってしまって吉良副隊長の後ろに隠れる。私はそんなナンパについて行かないぞ
「ひ、緋月七席…。すみません、誘っていただいて恐縮なのですがまだ仕事が残っていまして」
「仕事はゆっくりやればいいんじゃない? たまには息抜きと思ってさ」
「は、はぁ…」
正直上官にそう言われて断れる訳もないよね。京楽隊長の少しだけ後ろで伊勢副隊長がため息をついたのが見えた
「隊長はいつも休んでばかりじゃないですか」
「いやぁ、吉良副隊長はいつも根詰めてるからさ。たまにはいいじゃない」
「はぁ…それには同意しますが、まだ隊長も仕事が残ってますよ」
「後でちゃんとやるから」
その言葉にまた伊勢副隊長はため息をつく。もう言っても聞かないんだろうな、と言う諦めが彼女の口を開かせたように思えた
「…後でちゃんと仕事してくださいね」
「さ、七緒ちゃんもこう言ってることだしどうだろう?」
「…わかりました、ご招待にお預かりします。緋月七席はどうする?」
「緋月ちゃんもきてほしいなぁ。女の子が多いと華があっていい」
なんて柔らかく言うけど、絶対断れないってわかってて言ってるよねこれ
「…京楽隊長がそう仰るのでしたら」
我ながら権力の圧に負けた。しかし吉良副隊長がいるのならまぁ、たまにのことだから悪くない
全員で八番隊舎に移動して、縁側でお茶をいただく。京楽隊長はお酒を飲もうとして伊勢副隊長に怒られていた
「いい天気だねぇ」
「…そうですね」
なんて柔らかい雰囲気の中私は伊勢副隊長と無言でお茶を啜っている。そも吉良副隊長以外とのこういった場は慣れない
「緋月ちゃん、緊張してる?」
「こういった場には慣れてませんので…」
「もっとリラックスしていいよ。お茶も美味しいから」
「は、はい…」
難しいな。吉良副隊長がいるので粗相のないようにしたいし
「京楽隊長がこう仰ってくれてるから気にしなくていい。気楽にね」
「…わかりました」
ことり、と湯呑みを傍に置いて空を見上げる。見事な枯山水の上で雲を浮かべながら晴れる空は確かに美しいものだ
「美しいお庭ですね」
「そうかい? そういってもらえると庭に力を入れた価値があるね」
しかし私にこれ以上風情のある言葉が出てくることはないわけで、本当に己の社交性のなさが浮き彫りになる
「無理に話すことはないよ。君たちは息抜きに来てるんだから」
なんて、私の緊張を読み取ったのか京楽隊長が言う。私はそれに少し恥ずかしくなった。こういった場の勝手がわからない
「あ、ありがとうございます…」
京楽隊長と私で吉良副隊長を挟むように座っているからか貴方の前髪に隠れてその表情は見えないけど、ただ緊張が少し解けているのは感じて、私には中々こうはしてあげられないなと思ってしまい少しだけ悲しくなる
私は吉良副隊長の部下であることに誇りを持っているけど、もし上官だったらこんな顔をさせてあげられるのだろうか。もしそうなら、私が守りたくて与えたい貴方の幸せはそこにあるのかな
「…」
無表情を装いつつ少しだけ落ち込む。私がその空気を与えたかったのにと
「ところでなんだけど」
なんて、京楽隊長が口を開く。不思議に思って二人で京楽隊長を見ると、相手はにっこりとした笑顔で言った
「二人は付き合ってるの?」
その一言にお茶を吹きそうになる。絶対わかってて言ってるでしょそれ!
「は、発言は控えさせていただきます」
「右に同じです」
仮にも仕事中なんだから言える訳ないのに。付き合ってるの隠してないけどかと言ってほいほい言う感じでもないし
「今は仕事とか忘れよう? ね? 休みだと思ってさ」
「かと言って大っぴらに言うわけには…」
「確かに隠してるわけでもないですが…」
私の態度でばればれと言うのが本当のところだけど
「隠してないならいいじゃない。ねぇ七緒ちゃん」
「そのことについては私も気になりますね」
意外だ。伊勢副隊長そういうの気になる方なんだ…
だめだ、逃げられそうにない。私は潔くここで諦める
「…確かに、吉良副隊長とお付き合いをさせていただいてます」
「緋月君!?」
「だってここまで来たら黙ってるのも無理ですよ」
「そ、そうだけど…っ」
そんなやり取りを京楽隊長たちは朗らかな顔で見ていた。なんか悔しい。でも顔を赤くする吉良副隊長はかわいいから許す
「やっぱり噂は本当だったんだねぇ」
「結構出回ってましたしね」
そんな隊外に出回るほど噂になってたのか。でもまぁ、副隊長クラスが付き合うとなるとそうなるのかな…わかんないけど
「どっちから告白したの?」
いや修学旅行の女子か。思わず内心で突っ込んでしまった
「い、いいじゃないですか、私たちの話は…」
「いいじゃない、おじさんに少し教えてよ。話の種だと思ってさ」
「えぇ…」
思わず吉良副隊長に助けを求めたけどそっと顔を逸らされた。この救援は絶望的だ
「二人はお互いのどこが好きなの?」
よっし、吉良副隊長にも白羽の矢が立った。私だけなんてさせないぞ、貴方も道連れにする
「わ、私は…ギャップみたいなものが好きです」
「ギャップ?」
「吉良副隊長は、いつも無表情でお仕事をされているけど、でも俳句の中や二人でいるときはいくつも表情があって…そういうところが好きです」
私は貴方の矛盾を愛してるけど、そんなギャップも好き。貴方が私の前でいろんな表情をしてくれるのは嬉しくてもっと知りたくなる
「吉良副隊長は?」
「ぼ、僕もですか!?」
「そりゃそうでしょ。女の子にだけ恥かかせるわけにはいかないんだから」
「僕は…」
なんて、照れたのか貴方は少し言葉に詰まったけど観念したように口を開いた
「僕は、彼女の一途なところが好きです。後は嘘をつかないところ」
「!」
あ、やばいこれ思ったより恥ずかしい。顔が真っ赤になる。そもそも私のどこが好きなんて初めて聞いたんじゃないかな…! 私そういうの気にしたことないから…!
「いいねぇ、青春だ」
「素敵ですね」
「えと…ありがとうございます」
いけない、二人して顔が赤い!
慣れてないから勘弁して!
「…っ、改めて言われますと尚更恥ずかしいと言いますか…!」
「…」
「初々しいねぇ。そろそろ七緒ちゃんも素敵な人を…」
そこでごす、と思い音がした。京楽隊長の頭には分厚いファイルが乗せられている
「それ以上はセクハラですよ」
「そんなことないでしょぉ」
なんて二人のやりとりも仲が良さそうだ。まるでそう、親子のような
そんな二人を見てると小さな笑みが溢れそうになる。でも私は吉良副隊長の前以外で笑うつもりはない
すん、とお茶に口をつけると吉良副隊長がこちらを見ていた
「如何しましたか?」
「いや…本当に笑わないなと思って」
伊勢副隊長に一方的にやられる京楽隊長。そんな二人のやりとりの中貴方は私に言う
「貴方の前以外で笑うつもりはありません」
それを守らなければ嘘になってしまう。貴方に嘘はつきたくない
私を見た貴方は、今度はしょうがないというような視線を私に送るとそっと私の手に自分の手を少しだけ重ねた
「今は僕もいるし構わない。今日みたいな日まで気を張る必要はないんだ」
「…そうでしょうか?」
「少なくとも僕はそう思う」
「貴方が言うなら…わかりました」
なんて言って、小さく微笑む。それを貴方は満足そうに見ていて嬉しい
「笑顔も素敵だねぇ。やっぱり女の子は笑顔でなくちゃ」
「「!」」
見られてたのか。なんか恥ずかしいな…
「も、申し訳ありません。少し気が抜けました」
「いいよいいよ。ボクも吉良副隊長の言う通りもう少し気を抜いたほうがいいと思うな」
「!」
聞いてたのか! なんか底が知れないな、この人…ちょっと苦手かも知れないと思って少し身構える
「女の子は華なんだから。ねぇ? 七緒ちゃん」
「私は普段から笑いませんが」
「だから七緒ちゃんももっとわらっ…」
そこでまたごす、と伊勢副隊長がファイルで京楽隊長の頭を殴った
「仕事中ですよ隊長」
「せっかく忘れてたんだからもうちょっといいじゃない…」
「ダメです。いい加減戻ってください」
確かに休憩にしては長く居座ってしまった。そろそろ私たちも戻らなくては
「では僕たちもお暇させていただきます。お誘いありがとうございました」
「失礼いたします」
「えぇ〜緋月ちゃんはもう少しのんびりしていったらいいんじゃないかなぁ」
「直接の上官は吉良副隊長ですので。申し訳ありません」
京楽隊長からのお誘いをバッサリ切り落としたところで、伊勢副隊長が出口まで案内してくれた
「なんだか追い出したみたいなってしまってごめんなさいね」
「いえ、お気になさらず」
「楽しかったです」
緩やかな時間で少し癒されたな。いいこともあったし
八番隊舎を離れたところで本来の目的である三番隊舎に戻る。さすがにその間で手を繋いだりはしないけど、貴方にだけ聞こえる声でそれを口にした
「…私に対して好きなところがあるの、嬉しいです」
「!」
貴方は不意を突かれたような顔をして少し照れる。その後間を置いて返してくれた
「好きなところはたくさんあるから…」
「本当ですか? 私もです」
見た目から中身まで好きなところなんて山みたいにある。だから貴方がそう言ってくれるのは天にも昇る心地
「今度教えてくださいね」
「…勇気があったら」
「楽しみにしてます」
なんて、言葉だけいちゃつきながら隊舎を目指す。昼下がりの空は綺麗で、貴方がいるからもっと輝いて見えた
いつ教えてくれるだろう
貴方が思う私の好きなところ
終