三国志外伝『死神と呼ばれることになる名も無き一般兵のお話』 作:車馬超
「うえぇぇっ!! ひっぐひっぐっ!! ぐすぅんっ!! あうぅううううっ!!」
「なるほどなるほど……よくわからない董卓の理屈で十常時は殺されたけど、弁皇子が伯父である何進将軍の護衛で面識のあったお前を庇ってくれたから命は助かったと……」
「うぅぅぅっ!! ぐぅうぅううっ!!うわぁあああんんっ!!」
「次いで弁皇子を連れて帰ったことで何進将軍の妹からも取り成してもらえて、今度こそこの二人の護衛兵としてやっていこう……と決意を固めた途端に二人とも毒殺されたと……」
夜空の下で何もかも焼け落ちて閑散とした地べたに座り込み、恥も外聞もなく泣きわめく俺の言葉を解析してながらも友人は呆れたような目で見つめてくる。
少しだけ自分が情けない気もするけれど涙は止まらないし、向こうも的確に俺が言いたいことを理解してくれるのでこのまま感情のままに叫び続けることにする。
「うぅぅうっ!! あぅぅぅっ!! ううっ!! ひっくひっくっ!! うぇええええんっ!!」
「そうして役職を失ったお前は董卓に自害するか死ぬ気で自分の配下として働くか迫られて、仕方なく董卓軍に入ったと……」
「うあぁぁぁっ!! あぁぁぁ……うぅ……ぐすぐす……」
「そしたらものすごぉく残虐で乱暴な奴らばかりで、だけどそのノリに合わせないといけなくて人見知りなのにヒャッハーする羽目になって精神的重圧で胃に穴が開きそうなほど苦しんだんだな……」
「ぐすん……うん、でもそうしてたら比較的良心派かつ董軍随一の武勇を誇る華雄様が頑張りを認めてくれてね……それで色々と指導してくれるようになった上に使えそうだからって兵卒としてだけど自分の部隊にまで入れてくれて……この方の下なら頑張れる、そう思ったところで例の反董卓連合とかいう奴らが攻めてきやがったんだよぉ……」
何だかんだでめちゃくちゃ暴虐で出鱈目だけれど、中央政権を握っている董卓軍は歴史の覇者になりうる……そう俺が確信した矢先の出来事だった。
この中華に存在する多くの君主が董卓を倒すためだけに手を組んで大量の兵力で攻め寄せてきた時は絶望しかけたほどだ。
(それでも仲穎様……いや董卓の奴は堂々としていて、その態度だけは頼もしかった……何よりも呂布とかいう新しい武将、はよくわからないけれど華雄将軍の武勇を知ってる俺はすぐに落ち着けた……このお方に勝てる奴がいるはずない……この方の傍にいれば絶対安全だって信じられたから……なのに何なんだよあの髭野郎はっ!?)
「……遠目で見てたが凄かったなぁお前の仕えていた華雄将軍……だけどそれ以上に玄徳様の右腕である雲長様が……」
「ビュって鳴ってそれっきり……たったの一振りであのお方が……あぁぁぁ……どうしてこんな理不尽なことがぁぁ……」
「あれには俺も驚いたけど、まあ上には上がいるってことだな……それよりよく無事だったなお前? 十常時が殺されて董卓が暴れて洛陽が燃えて、流石に死んだと思ってせめて骨だけでも拾ってやろうかと思ってきたんだが……」
「ぐっすん……と、董卓軍は弱肉強食……できない奴は死ねって感じの風潮だったから俺も必死で最低限の武勇は身につけてたし、負け戦には慣れてるから何とか逃げ切れたんだよ……まあ董卓様には軟弱物は要らんって感じで置いて行かれたんだけどさ……でも捨てる神あれば拾う神ありってのは本当なんだな」
「……まあ、なんだかんだで幼馴染で親しくしてるからな……お前のことは見捨てておけないって……今度こそ俺のところに来るだろ?」
友人は何か勘違いをしているようだが、それでも俺を思いやる優しい言葉をかけてくれる事実に嬉しくなる。
こんな友人がいて俺は本当に幸せ者だ……心の底からそう思うが、それでも俺は友人の言葉に首を横に振って見せた。
「いや、そうじゃなくてな……もちろんお前がこうして来てくれたことも誘ってくれたことも嬉しいんだが……実は焼け落ちた洛陽で飢えかけていた俺達をあるお方が救ってくださったんだっ!!」
「えっ? そ、そうなのか? い、いやそれはそれでいいことだとは思うが……じゃあ何でこんなところで泣きわめいてたんだよ?」
「そのお方に付き従ってこの地から遠く離れた場所に行かないといけないからさ……最後にお世話になった華雄将軍を始めとした人々のことを思い出してたら感極まってつい……はは、見られたのがお前でよかったよ」
「……たく人に心配させといてそれかよ……本当に困ったやつだな……この後遠くに行くっていうんならもっとしっかりしろよ……場所によっては俺が助けにいけないところの可能性もあるんだからよ」
「わかってるって……だけど安心しろよ、今度のはお前が有望だって言っていたお方のところだからな……今度という今度という今度こそは絶対に上手くやっていけると確信してるんだ俺はっ!!」
決意も高らかに叫ぶ俺をほんのわずかにじっと見つめた後で、友人はようやく安堵したかのように微笑みを浮かべるのだった。
「……そっか……その言い方だとお前は孫堅様のところに行くんだな……そうか、あのお方のいる軍ならば大丈夫だろうな」
「ああ……本当に今までありがとな……あのお方の下で思いっきり成り上ったら、絶対お前にもお礼しに行くからなっ!!」
「はは……期待しないで待ってるよ……んでいつ行くんだ?」
「明日だ……だからこれでお別れだな……本当に最後の最後に会えてよかったよ……いつかまたな」
そう言って差し出した俺の手を友人は強く掴んできて、俺達はそのまま別れを惜しむかのように握手し続けるのだった。
「……ふう、じゃあ名残惜しいけどそろそろ陣に戻らないと……じゃあな親友っ!!」
「おう、頑張ってこい親友……ふふ、これで俺もようやく安心でき……ん? あの星、なんで急に流れ落ちて……え、ええとあの星から見える天運は……っ!!? あぁっ!! だ、駄目だ親友っ!! 戻ってこぉおおいいっ!!」
ついに大いなる君主を仰ぐことに成功した主人公。
約束された成功に向かって第一歩を踏み出した彼の運命とは?
次回『江東の虎、江夏に散るっ!!』お楽しみに。
主人公ステータス
統率:5(+15)=20
武力:12(+20)=32
知力:8(-2)=6
内政;6(+2)=8
外交:1(+4)=5
魅力:3(+5)=8
特技:+歩兵/+騎兵/+酒豪/+拷問/+挑発/+治安/+訓練/+遁走
友人ステータス
統率:35(+5)=40
武力:30(+0)=30
知力:55(+5)[+10]=70
内政:40(+5)=45
外交:35(+5)=40
魅力:60(+5)=65
特技:耕作/商才/虚報/偵察/天文/歩兵/[医術&妖術]/舌弁/+人望/+名士