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大ゲルマン帝国 ミュンヘン 某所
ここは、ジオン軍への対応にあたるドイツ軍の部隊が拠点にしている駐屯地である。
「交渉人が到着しました!」
ドイツ軍兵士の声が聞こえる。
「おう! どうした?」
将校は読んでいた書類を閉じて椅子から立ち上がった。彼はミュンヘン市に降下した「ジオン軍」なる軍勢が送った交渉人をドイツ政府との交渉が行われる施設「褐色館」まで誘導するという自身の任務を思い出しながら、声がした方に顔を出した。
するとそこには……。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
見慣れぬ軍服を着た三人の男性と一人の女性の姿があった。一人は壮年の男性で、二人はがっしりとした体型をした男性である。そして最後の一人は、凶暴さを考えさせる女性であった。
「……あ、あなた達は一体……?」
将校は、見慣れない軍服を着た集団に問いかけた。彼は相手の正体を計りかねていた。すると壮年の男性が口を開いた。
「私はジオン軍代表のトワニング准将です。こちらは他のジオン軍代表の三人です」
「あ……」
将校は彼らの正体を理解した。彼らこそがミュンヘンに降下したジオン軍の代表であり、自分が「褐色館」に誘導するように命令されている人々であると。
「それであなたがここの責任者でよろしいでしょうか?」
「ま……まあ」
「では交渉の場所まであなた方に案内していただきます」
トワニングの言葉を聞いた将校は内心の緊張を必死で押さえながら、ジオン軍の代表達を褐色館—NSDAPの本部—へと誘導した。
ソビエト連邦上空 地球連邦軍ブレックス艦隊旗艦「シャンカラ」
ここ数日間での世界情勢は正に風雲急を告げていた。
突如出現した未来人勢力たちの接触により世界各国は大混乱に陥ったのである。
未開の宇宙から来訪し、未知の技術を操る、そして我々のあり得たかもしれない未来の世界からやってきた彼らに対して、超大国たちは頭蓋をハンマーで殴られたが如き衝撃を受け、狼狽えるしかなかった。
だが、流石は超大国たちである。
狼狽え、慌てふためくのみでは無かった。
彼らの論理と戦略、持てる力を持って現状を理解し、適応を始めたのである。
大日本帝国は既にジオン公国と接触を始め、ドイツ帝国は遅まきながらも漸く事態を把握し全貌の解明に動き出していた。
アメリカ合衆国は太平洋と大西洋の向こうの仮想敵国たちの動きを慎重に観察し、今後、自国がどう動くべきかを分析している。
そんな中でも、その超大国たちの動きに遅れず…いや、最も未来人勢力との接触に成功していたのはソビエト連邦であった。
失敗に終わったが彼らにメッセージを発信し、彼らの降下してきた部隊を比較的平和的に受け入れ、そして自らの存在を地球連邦にすぐさま伝える事が出来たのである。
その成果は地球連邦の現場責任者であるブレックス・フォーラとソビエト連邦の最高指導者、ニコライ・カルダシェフとの会談という外交的成功を齎したのである。
カルダシェフと複数人の側近、軍人、そして彼の秘書は今、1960年代基準の最高クラスのスーツとシャツ、革靴を身にまとい、地球連邦軍の艦船に移動していた。
方法は言うまでもなく、地球連邦軍があらかじめ用意しておいた小型艇を利用したものである。
小型艇と言えども客室に案内されたため内部は非常に快適であり部屋の温度は勿論のこと、高速で移動しているにも拘らず圧迫感も何も感じなかった。
「まさか、未来人と会談する時が来ようとは…こんなのつい一週間ぐらい前なら想像も出来ませんでしたよ。ねぇ、同志カルダシェフ?」
カルダシェフにそう話しかけたのは秘書だった。
彼は現在極度の緊張状態にあり、少しでも気を紛らわす為にそう話しかけた。
緊張するのも無理はない。
何しろこの会談では何が起きるか全く予想が付かない。
会談の結果次第では折角再建したばかりのソビエト連邦の存続に関わる可能性すらあるのだ。
失敗は許されない。
「?…同志カルダシェフ?」
秘書が怪訝そうな顔でもう一度目の前の指導者に呼びかける。
だが様子がおかしい。
彼は先程から目を閉じて、眠っているように見えているが…
そして秘書はすぐさまその原因に気付いた。カルダシェフは意識を失っていたのである。
「同志カルダシェフ!同志カルダシェフ!!しっかりして下さい!」
秘書は慌ててカルダシェフの肩を大きく揺さぶる。
また、彼の異常に気付いた周囲の人間も慌てて駆け寄ってくる。
だが、特に大きな病気等では無かったらしい。すぐさまカルダシェフは「ふあぁぁ!?」という情けない声と共に飛び起きたのだった。
「大丈夫ですか!同志カルダシェフ!」
「あ、あぁ、いや、すまない…。もうすぐ、私が夢にまで見た宇宙船に乗れるのだと思うと、少し気が遠くなってしまって…」
「本当に大丈夫ですか、同志!会談の結果によっては我が国の存亡にかかわる可能性だってあるんですよ!」
「そこは勿論…分かってるよ?」
秘書は内心で「本当にわかってるのかよ」と悪態をついた。
そうこうしているうちに、小型艇は目的の地球連邦軍艦艇「シャンカラ」に接近しつつあった。
最初は豆粒ほどの大きさしかなかった宇宙船も、ドッキング間近ともなってくると客室の小さな窓からは勿論、小型艇正面のコクピットでも捉えきれないほどの巨体となって目の前に現れた。
因みに「シャンカラ」はマゼラン改級戦術指揮艦と同じく全長は327mという大きさを誇る。
大日本帝国最大の戦艦、「大和」が263mであることを考えてもその大きさがどれ程のものかが伝わるだろう。
更にこれは地球ではなく宇宙空間を航行することを考えられた船舶であることを考えれば、その技術的水準の高さはソビエト連邦側でも簡単にうかがい知ることが出来た。
「同志…もうすぐですね。」
「あぁ…ここで我が国の運命が決まる。その事がひしひしと伝わって来たよ。…それから私の意識も少し飛びそ「それは終わってからにしてください。」…あぁ」
様々な人間の思いを乗せながら、首脳会談が始まろうとしていた。
小型艇はドッキングし、それと同時にシャンカラに搭乗することになった。
空気圧と重力を調整し、各パーツが接続され、そしてようやく扉が開かれた。
扉の向こうでは、小銃を構えた衛兵と「シャンカラ」艦長ブレックスその人だった。
一瞬の間にお互いに緊張が走る。
当然だ、互いが互いに相手の姿、表情、雰囲気から真意を読み取ろうとしていたのだから。
軍人のブレックスは勿論として、元科学者のカルダシェフすらもソビエト国内の政治家や官僚たちとの駆け引きによってその術を身に着け常に実践していたのだ。
(ふむ…一見温和でそこいらの若造と大して変わらないように見えるが…目が違う。あれは無数の困難や試練をくぐってきた男の目だ。)
(あれが未来人か…こうして見ると我々とは大して変わらないように思える。個人的にも厳格そうだが、優しそうな人物ではあるが果たして…)
カルダシェフとブレックスは一瞬の間に様々な事を洞察した後、お互いに歩み寄った。
「初めましてソビエト連邦最高指導者閣下、カルダシェフ殿。本日は宜しくお願い致します。」
「いえいえ、こちらこそブレックス艦長。此度の会談が実りあるものになることを祈っております。では、いきましょう。」
二人は社交辞令じみた挨拶を終えた後、会談を予定している艦長室に向って歩き始めた。
艦長室に着いた後、会話を切り出したのはブレックスであった。
「ところで、カルダシェフ閣下は何故ソビエト連邦の指導者にならせられているのですか?私が知る限りの歴史では、貴方は高名な科学者ではありましたが政治家ではありませんでしたが…」
その会話を聞いたソビエト連邦首脳陣、またカルダシェフ自身もやや驚き動揺しているようだった。
どうやらヘッケンの「自らは並行世界の未来人だ」という話は本当だったらしい。
ブレックスの発言にやや戸惑い、そしてどこか感傷的になりながらもカルダシェフは返答する。
「この世界の私はご覧の通りソビエト連邦の最高指導者ですが、あなた方の世界の私は科学者だったのですか?だとすれば羨ましい…この世界の私は科学を愛してはいましたが、その道一筋になることは許してくれませんでしたから。」
「それはやはり…ナチスの勝利が原因でしょうか。」
ブレックスはやや気まずそうに問いかける。
「その通りですね。旧ソビエト連邦は、大祖国戦争時にドイツ、いえ今は大ゲルマン帝国でしたね。その国家との絶滅戦争に耐える事が出来ずに崩壊しました。大ゲルマン帝国は戦争に勝利した後、我が国の領土を『東方生存圏』として切り取り、そこにいるロシア人を奴隷化しました。正確な数は分かりませんが、この大祖国戦争と大ゲルマン帝国の植民地化政策によって数千万人のロシア人が命を奪われました。…しかも悲劇はそれだけで終わりませんでした。崩壊したソ連はその後三々四五に分裂して内戦状態に陥り、平和何てどこにもない時代がついこの間まで続いていたんです。…勿論、そんな時代では私も科学一筋というのは難しかったわけですよ…」
「それは…」
ブレックスはカルダシェフに何か話そうとしたが、その言葉が見つからない。
並行世界のロシアは、ナチスドイツが勝利した時点で非常に困難な歴史を歩んできただろうという事は想像していたが、あまりの悲惨さにブレックスは言葉を失ってしまった。
ふと顔を上げてみると、カルダシェフの側近たちも、崩壊した祖国と彼に負けず劣らずの過酷な人生を歩んできたのだろう。
俯き肩を震わせるもの。目を閉じて何か物思いにふけっている者。あるカルダシェフの側近は、口を押さえ涙を流していた。
当初、ブレックスはこの会談にあまり乗り気ではなかった。
何しろ自分達と文化や思想が異なっているだけでなく、地球連邦の指揮系統が今どこにあるかも分からないような状況で何を話し合うのかと。
おまけにこちらが下手に出れば、付け上がって分不相応な要求をしてくるのではないか、と恐れていたのである。
しかし、実際は違った。彼らは戦争で数え切れないほどの物を奪われた。家族、恋人、故郷、幸福な未来…。さらに、それらは最早永久に帰ってくることは無いのだ。
ブレックスは、再び口を開く。
「我々も同じですよ、貴方方と。」
「え…?」
カルダシェフは驚いたように顔を上げる。
「我々もジオン公国との戦争によって多くの物を奪われ、壊されました。仲間、日常、部下…そして挙句に転移現象で祖国すら完全になくなってしまいました。我々も、そしてあなた方も、色々な物を失ってやっと今、進もうとしているのでしょうな。」
最早、地球連邦側にもソビエト側にも、最初のような緊張は無くなっていた。今の彼らにあるのはセンチメンタリズムと奇妙な一体感だった。
「カルダシェフ閣下。申し訳ないが、今の我々には与えられている能力と規模から考えれば、技術支援などの貴方方が期待している成果は出せない。」
それを聞いたカルダシェフは少し目を見開いたが、直ぐに納得した様に
「…そうですよね。少なくとも今ここで決めることはできないでしょう。聞く限りではあなた方地球連邦側も今大変だと聞きますから。」
と返した。しかし、ブレックスは食いつくように話を進める。
「ですが、私に今できることは少なくとも、失った者たち同士で支え合っていきたいと思うのもまた事実です。閣下、私は今ここにお約束いたします。我が地球連邦はソビエト連邦と今日から共にあるという事を。」
「そ、それは本当ですか!」
カルダシェフは驚きと喜びのあまり立ち上がる。彼の側近たちからも歓声が上がっていた。
「えぇ。今の我々でもそれぐらいなら何とかできます。将来的には我々も生き残りのために動かざるを得ませんから。ですがそれ以上に…」
そう話すと、ブレックスはカルダシェフに手を差し伸べる。
「私が、貴方達と共に戦えば、失ったものを取り戻せると信じていますから」
カルダシェフは目を赤くしながらブレックスの差し出した腕を取った。
ソビエト連邦と地球連邦の友好の、小さな最初の一歩だった。
「ところで、我々がファーストコンタクト時に送信したメッセージでしたが、いかがだったでしょうか?」
「…?いえ、そのようなものは特に受信しておりませんが…」
「え?いやしかし、我々は確かに転移現象当時、トーキョー上空の緑色の船団に向け、異星人との初接触用の映像を送信したのですが…」
「…緑色?それはもしや、ジオンの艦隊では…!?」
「!?!?」
ブレックスとの会談で判明したこの事実が原因で、カルダシェフの胃痛はこの後、しばらく治ることはなかった。
アメリカ合衆国 ニューヨーク とあるホテル
『皆』
地球連邦軍統合参謀本部から合衆国へ派遣された特命全権大使ヨハン・イブラヒム・レビルの声を聞き、居並ぶ地球連邦使節団の将校が一斉に敬礼した。
『もう時間だ。今日の主賓として食堂に向かおうじゃないか』
レビルに促された一同は食堂に入り、各自の席に腰掛けた。
『本日のメニューが、皆さまの口に合えばよいのですが。まず、私から食前酒を振る舞いましょう』
ホテルで出迎えた合衆国のカークパトリック大統領は一同にグラスを配った。
『それでは、乾杯』
カークパトリックの言葉と共にグラスが掲げられ、一堂は一斉に中に入ったワインを飲んだ。
お口に合うといいのですが、と言いながらカークパトリック大統領はレビルに説明した。
『実はこのワインには特殊な事情がありまして』
カークパトリックは美しいワインの瓶をテーブルに置いた。
『これは私の私物のブルゴーニュワインです。原産地ブルゴーニュは数十年前に破壊され、もはや製造することができません。
地球連邦の農業技術なら同様のものを生産、いえそれ以上の事が可能かと考えています』
レビルはカークパトリック大統領の説明を聞き、ワインの匂いを嗅いだ。
『つまり、世界的な食料生産の向上が目的なのですか?』
カークパトリック大統領は頷いた。
『はい、その通りです』
レビルはワインを再び飲むと、目を大きく見開いた。
カークパトリックはその様子を見て、微笑んだ。
『そもそもの株が断絶していますので。ですが、地球連邦ならば』
『いえ』
レビルはカークパトリックの話を遮り、一呼吸置いてワイングラスを置いた。
『あなたの言いたいことの一つは、間違いなく可能でしょう。しかしもう一つは、今のままでは難しいでしょうな』
『ええと、それは……』
カークパトリックはそこで、言葉を飲み込んだ。
もしかしたら、未来の地球ですら食料問題を解決出来ていないのだろうか。
軍事力や宇宙への適応はもちろん魅力的だが、この期待外れかもしれない話題については、これ以上続けるべきではないのかもしれなかった。
気まずい沈黙の中、厨房の奥の方からはガラガラとした音が聞こえ、いよいよ前菜が運ばれてきた。
……そして、地球連邦使節団の驚きの声がホテルの食堂に鳴り響いた。
『こ、これは!』
『なんだと?』
レビルは使節団が騒ぐ様子を見て、焦りの表情を浮かべた。
『どうした!何を騒いでいる!』
テーブルの上に並べられていたのは、クラムチャウダーとシュリンプカクテル。
宇宙世紀ではほとんど見ないような貴重な食材を使った、見事の二品の前菜だ。
レビルはそれらを見て少し呆然とし、更に一瞬だけ表情を暗くしかけたようだった。
すぐにそれを正して意を決したような表情になったのを見ると、カークパトリックは次の言葉を待った。
「……こちらの事情を、お話しましょう。あなた方の世界でも、この年代になってくると環境破壊……人口増加だとか気候変動だとか言われ始めていないでしょうか?」
カークパトリックは、今度は少し考えてから頷いた。
人口増加はともかくとして、森林伐採や乱開発の問題、その結末としての暗い未来の話などは、大統領として何度かは聞いたことがあった。
そしてお互いの食い違いの正体、これから何が言われるのかについて、うっすらと予想がつくような気がした。
『話が早そうですな。我々の地球はほとんどその言説たちの言う通りの末路を迎え、作物もほとんど遺伝子改良種や培養物に変わりました。
本題に入りましょう。地球の食料自給率を100%引き上げるだけの物を、地球連邦は持っています。しかしながら我々は技術はあっても資源と土地は残り僅か。
戦争にも文明の維持にも、合衆国との協力が絶対に必要なのです。』
話を聞き終えたカークパトリックは、概ね予想通りの内容を飲み込んだ。
そして環境破壊よりも深刻な問題――大ゲルマン帝国と大日本帝国の事――が頭をよぎってから、自分に出せる限り最良の結論を出した。
『我が合衆国も進歩の恩恵を享受したいと考えていますから、そのための取引が必要なら喜んで』
レビルは大きく頷いた。
『よろしい!では連邦と地球の農産業技術提携を推進していきましょう!』
レビルとカークパトリック大統領はグラスを打ち鳴らし、そしてお互いに少しだけ打ち解けたような気がした。
積もる話などせずとも、地球連邦とアメリカ合衆国の目的は一致していたのだ。
そして恐らく、性質も、考え方も、由来でさえも。
大日本帝国 帝都 某会議場
日本中、そして共栄圏の内外は皆、円卓に座る賀屋や福田などの老健な政治家と、ギニアス・サハリンと名乗る男に率いられた軍服姿の宇宙人—否、並行世界の未来人—の言葉に耳を傾けていた。
「しかし、宇宙に進出しても戦争とは。いつの時代も人類は戦う運命なのでしょうかな。」
中心に浮かび上がるホログラムを見つつ、皮肉混じりに賀屋が答えた。
「戦うため、ではなく勝つためです。現にあなた方も勝ち取るべくして勝ち取られた筈です。」
「しかし、信じられませんな。我々が大東亜戦争において負けるなどと。」
動じることなく、ギニアスは淡々と答え、一方福田首相が呟くように話した。
「それに関しては同感です。我々の辿った歴史においては、ニコライ・カルダシェフは宇宙科学の教科書に乗るはずの人物ですから。」
「…もしそうなら、恐らく私は名を残すことなく絞首台に上がるでしょうな。」
「それは…」
賀屋の言葉に、未来人達は顔を見合わせた。
図星か、あるいは教科書に名前すらないのだろう。
「いや、結構。もとより、よその歴史に振り回される気はございません。」
「こちらこそ、とんだ失敬を。」
「みなさま、話を戻しましょう。」
2人は在り来りな社交辞令で話を切り上げ、福田が仕切り直す。
「これが、我々が辿った歴史であり、我々が辿った未来なのです。突然にして世界が変わり、元の地球を失った今、我々は地球に戦いを挑む意味はありません。どうか、我々と共に未来を歩んで頂きたいのです!」
ギニアスの言葉に、皆が言葉を詰まらせた。
これは究極の決断だ。
彼らの話の真偽も、その真意も分からない今、誰もが1歩踏み出せない状況だった。
一同が言葉を詰まらせる中、賀屋が語り出した。
「我々のメッセージを受け取り、この暗黒の大地に降り立った皆々様。皆様方がこの宇宙で置かれている状況は、十分に理解いたしました。」
「賀屋どの…」
「私、賀屋興宣は、この大東亜共栄圏を代表して、宇宙の皆様を歓迎いたします!」
勢いがあまり、立ち上がった賀屋の宣言と同時に、議場がざわめき出した。
「何を勝手に!」
「これは独断だぞ!」
「陛下のご意向は…」
同時に、福田や賀屋に対してのヤジも飛んできた。
だが二人は臆することも、動じることも無かった。
今ここで撤回すれば、彼らジオン公国との間に亀裂を残すことになる。
そしてそれはギニアス達にとっても不都合なものだった。
「兄様…」
「アイナ、この機を逃すつもりは無い。」
左隣で不安がる妹に、優しく言葉を投げかけた後、右隣の部下に、真剣に問いかけた。
「来てくれるな、ノリス。」
「どこまでも、お供致しまする。」
ノリスは武人たる面持ちで言葉を返した。
それを聞いたギニアスは対面の政治家達に向き直り、語り出した。
「頼もしきお言葉、感謝いたします。ゆえに、我々もお答えいたしましょう!」
「ほう、それはどのような…?」
「望むものを、望むだけ。我々に出来うる限りのことを。」
大ゲルマン帝国 ミュンヘン
シーマ・ガラハウは怒涛の展開に舌を巻いていた。
上層部のあの眉唾物の情報—つまりは第二次世界大戦の結果が違う世界のものへ、地球が変貌したこと—が事実だったかと思えば、その地球のナチスドイツはなぜか自分たちが来ること察知していたようで、今現在彼らとの交渉場所に高級車で連れていかれている。
数日前の自分に今の自分の状況を伝えたならば、きっと鼻で笑われたことだろう。
(それにしても…)
シーマはそれまでの考えを振り切り、車の窓から外を眺める。
(なぜかは知らないが、ひどい街並みだねぇ)
彼女が見ていたその先には、戦場の如く破壊された街並みがあった。
食料の配給の列に並ぶ者、かつて家だったであろう瓦礫の山をどかす重機、そしてあらゆる場所にいる、銃を持って治安維持に当たっているであろう軍人達。
そう言った悲惨な光景がどこまでも広がっていた…あのかつて自らの手で破壊した、連邦側についたコロニー群のように。
彼女がそこまで考えたところで、車が停車する。
運転していたナチスドイツの士官に促されて車から降りると、目の前にはどこかで見た事のある気がする、やけに古風な大きな建物があった。
「これは…褐色館…?」
隣のトワニング准将の呟きに対し、案内役の士官が微かに肩を動かしたのを、シーマは見逃さなかった。
ナチス士官の無言の案内のまま”褐色館”—後にシーマが聞いたところによれば、ここはナチ党の本部とのことだった—の中に、ジオンからきた四人組は入っていった。
大ゲルマン帝国 ミュンヘン 褐色館 会議室
「まさか…まさかこんな事が起きるとはな…」
褐色館の大広間にて大ゲルマン帝国の天才科学者、フォン・ブラウン博士は自身の理解を遥かに超えた超常的な現実にただただ溜息をつくしかなかった。
そしてそれは他のこの場にいた面々も同じだった。
彼らもみな宇宙人だと思い込んでいた未来人相手に教えられた並行世界を、未来の世界を見せつけられ、ただ圧倒され、受け入れることも拒絶することも出来ずに動揺を隠す為に嘆息するしかない。
大日本帝国の言葉で「お通夜状態」と言う言葉があるが、それは今、正にこの時の為に用意された言葉であると言っても過言では無かった。
豪華なシャンデリアも、洒落た内装も、それらを彩る美しい絵画も今は全て灰色に染まり、色を失っているかのように彼らには思えた。
なぜ彼らがこれほどまでに意気消沈しているかは、数時間前に行われたジオン公国と大ゲルマン帝国との会談までに遡る…。
数時間前
褐色館はかつてないほどの物々しい雰囲気に包まれていた。
周辺の市街地では幾つもの非常線が張られ、アサルトライフルと拳銃を装備した親衛隊員と国防軍人が警戒態勢に入っていた。
そして褐色館そのものでも突如決まった会談の準備で慌ただしく使用人や親衛隊員が動き回っており、万に一つも「来賓」が傷つくことが無いよう万全を期すため、あらゆる家具をチェックし盗聴器や発信機、小型爆弾が無いかを調べまわっている。
「今日だけでも日米の鼠共がかなり入り込んでいるな…排除出来た数だけでも100名以上に及んでいる。全く会談の情報をどこから嗅ぎ付けてきたのやら…」
そうボヤくのはラインハルト・ゲーレン国家諜報局長官である。
彼の経歴は陸軍参謀本部の第12課から始まっており、その内容の正確さや非常に高い情報収集能力を買われ諜報機関の親玉にまで上り詰めたベテラン且つ叩き上げのエリートであった。
現在でも彼は自分自身の諜報網を利用し、世界各国で繰り広げられる情報戦を戦い抜いていた。そしてその実力はこの会談でも遺憾なく発揮されているのである。
「それだけ排除できているのならば最早会談の実施自体に不安はありませんな。後は…会談が無事成功するかどうかでしょう。」
神経質になっているラインハルト・ゲーレンに言葉を掛けたのはテオドール・オーベルレンダーである。
彼は長年に渡って培ってきた勘と経験から会談は始められると判断していた。
だが、権謀術策著しい大ゲルマン帝国内外において生き延びてきた彼であっても今回の会談では緊張を隠しきれていない。
何しろ相手は得体のしれない未来人なのだ。
こちらが如何に友好的且つ良識的にふるまっても彼らのお気に召さない可能性も否定できない。
更に一度大ゲルマン帝国と未来人勢力は矛を交えてしまっている。国家間の関係修復に向けた取り組みも行わなければならないだろう。
そこまで考えて、オーベルレンダーは手汗を流しながらコップを手に取り、中の水を飲み干す。
「私としても会談の成功を祈らざるを得ないな…先の軍事衝突では我が軍に少なくない損害が出たからな。」
そう語るのは大ゲルマン帝国国防軍最高司令部総長、エルンスト・レーマーである。
世界最強レベルの陸軍力を以て嘗てミュンヘンで未来人勢力と対峙した大ゲルマン帝国軍だったが、キルレートは未来人1に対して大ゲルマン帝国は8~10以上のという、圧倒的な技術力の差と戦力の差を思い知らされたのである。
最終的には航空戦力と陸上戦力の数で圧倒したことでどうにか勝利を収める事が出来たが、未来人勢力が降下させた戦力を考えれば実質的には敗北と言っても良かったのだ。
レーマーは表向き平静を装っているが、内心では未来人からどのような要望がされるかを考えて怯えていた。
もし会談が決裂し、再び軍事衝突でも起きたら…と。
「しかし、まぁこの会談を成功させるために博士を呼んだわけですから。ねぇ、博士?…博士?」
オーベルレンダーは場を和ませるために、敢えて先程から沈黙を守っているフォン・ブラウン博士に話題を振った。
だがしかし、彼は話しかけられたにもかかわらず、一言も話そうとしない。
彼の性格と立場上、無視などするはずがないのだが。
訝しんだオーベルレンダーがフォン・ブラウン博士を注意してみていると、彼はコップを、いや全身を小刻みに震わせながら硬直していた。
更に呼吸も荒く肩で大きく上下させている。
顔を見てみると目を見開き、脂汗をダラダラと垂らしながら口呼吸をしている。
完全な緊張状態であったのだ。誰かから話しかけられても気が付かないほどに。
「博士?大丈夫ですかな?」
緊張しすぎていると言えるほどプレッシャーが掛かっている博士に対して、オーベルレンダーが肩を叩きながら話しかける。
すると、博士はようやく気付いたのか驚いたように彼に向き直り、そしてコップを膝より下の机に置いた。
「す、すみません。ありがとうございます…。」
「大丈夫かね?体調が優れないようであれば欠席することも出来るが…」
オーベルレンダーはフォン・ブラウンの身を案じて欠席を提案した。
だが、博士は手のひらを左右に振って提案を断る。
「問題ありません。ただ、この様な会談の場は初めてな上に相手が未来人ですので…色々考えこんでしまいまして…」
「考えすぎると言うのもまた考え物だよ…安心したまえ。何かあれば我々がどうにかするよ。」
オーベルレンダーはまるで子供をあやすようにフォン・ブラウン博士に話しかける。
「…ではそろそろ時間なので、未来人の方々を呼んでくるよ。」
そう言ってオーベルレンダーは席を立ち、会議室から出て行った。彼らにとって長い時間が始まった瞬間である。
(はぁ、どうしたものか…)
フォン・ブラウンは憂鬱だった。
突然「未来人との会談が決まったので、重要参考人として出席してほしい」とゲーレンに依頼されたと思ったらあれよあれよという間にここに連れてこられてしまった。
外交での会談の場など初めてだというのに、しかも相手は未来人―確かジオン公国だったか―と来ている。
正直来たくなかったが、RLR長官と言う立場上、出席しないわけにもいかなかったのだ。
(…早く終わってくれないかな)
それが今の彼の切実な願いだった。
そんな事を考えているうちにオーベルレンダーが未来人の使者を連れてきた。
そして彼でもわかる社交辞令を済ませた後で会談がついに始まった。
未来人勢力はジオン公国というらしかった。
「それでは私から自己紹介をさせていただきます。私はテオドール・オーベルレンダー。その隣にいるのがラインハルト・ゲーレン。更に隣がエルンスト・レーマー、端にいるのがヴェルナー・フォン・ブラウン博士です。」
するとフォン・ブラウンの名前を聞いた瞬間に、何故かジオン側はどよめき、あからさまに動揺しているようだった。
「…どうしましたか?私の名前が何か…」
思わずブラウン博士がジオン側に聞き返す。するとジオン側が言いずらそうに答える。
「し、失礼しました。私はランバラル大尉と申します。実は…フォン・ブラウン博士は我々の時代では知らない人間はいないほどの、宇宙開発史における歴史的偉人とされているのです。」
「何ですと!?」
今度はナチス側が動揺する番だった。
「貴方の名を冠した月面都市が建設されているほどで…」
「え、月面都市!?貴方方の時代ではそんなものが建設されているほど技術が進展しているのですか!?」
ナチス幹部は二重の意味で衝撃を受けている。
フォン・ブラウン博士が偉人になるほど時間が経過した未来の世界から彼らが来ているというのは事実だという事。
そして月面都市が建設される程度に宇宙開発能力が高いという事は、それに準じて軍事技術が向上しているという事。
…とてもではないが、到底かなう相手ではないと思い知らされた。
「…未来、という事は貴方方は我々が今後どのような展開を辿るのかということもご存じなのでしょうか?」
そう聞いたのはラインハルト・ゲーレンだった。
彼がこの質問をしたのは当然、自分達が知っている機密情報や今後の戦略を彼らが「歴史的事実」として認識している可能性が高いからだ。
もしそうだとすれば、諜報も何もあったものではない。
一方的に情報を知られている以上、手も足も出ずに敗北することは免れない。
「いえ、我々は貴方方の事は分からないのです。」
「…と言いますと?」
「…大変申し上げにくいのですが、貴国は我々の世界では第二次世界大戦では敗北し、連合国によって領土を分割支配されていたのです。」
「!?…バ、バカな…」
またしても絶句するしかないナチスの面々。
無理もない。
確かにあの世界大戦における勝利は薄氷の上だったという自覚はあるが、それほどまでに悲惨な状況になっていたとは思わなかったのだ。
「…どうやらこの場における隠し事は無駄のようですな。お互いにとっては初耳の事ばかりなのですから。」
憔悴しきった様子でオーベルレンダーは話す。
彼の長年の経験と勘によって、ここは腹の探り合いをするのではなく、互いの情報を開示して今後を話し合った方がよほど建設的だと判断したのだ。
「実は、アメリカ合衆国は既に地球連邦と接触を開始しており、我が国も貴方方の事を認識しています。」
「ふむ…では我々は貴方方に接近するべきだという事でしょうか。」
大ゲルマン帝国とジオン公国の会談は続く。
だがしかし、大ゲルマン帝国にとって衝撃的な情報の開示は次々と続いていったのであった。
アメリカ合衆国 ワシントンD.C. ホワイトハウス 大統領執務室
レビルとの会談で、合衆国政府は地球連邦と宇宙世紀時代についての情報を手に入れた。
しかし目下の問題は、その情報をどう受け取るかだった。
地球連邦政府は、人類統一国家を樹立し、”地球圏”の平和維持と繁栄のために行動すると主張している。
この「平和」とは、地球の統一であり、ジオン公国という新しい枢軸との戦争であり、太陽系全体への支配体制の確立を意味しているようだった。
しかし、合衆国は半世紀前にも手痛い失敗をしたばかりだった。
少なくとも、合衆国と地球には”地球圏”もろとも新たな混乱が吹き荒れるだろう。これまでのような時代は二度と訪れないかもしれない。
もし勝ったとしても、アメリカも地球連邦政府の影響下に置かれる事になる。何れにせよ、合衆国の繁栄など夢物語になってしまうだろう。
このままでは駄目だ。何か手を打つ必要がある……。
待てよ、影響下に置く?
カークパトリック大統領は机の上においてあった書類を見た。
地球連邦政府を監視し、必要な時に干渉する方法……それを、もしかしたら思いついたかもしれなかった。
大使の派遣は既に人材も決まっており、近日中には実施される。
ここは今は変えられない。
一方で、OFNとしての支援と人員派遣にはまだかなりの数ヶ月の余裕がある。
今考えていることは宇宙文明への実質的な敵対行為であり、失敗すればドイツが既に送った以上の強烈な”メッセージ”になるだろう。
しかしこれをしなければ、合衆国は遠からず今のままではいられなくなる。
カークパトリック大統領は、受話器を取った。
「CIAのヘンリー長官を呼びなさい。新たな作戦よ!」
イタリア帝国 首都ローマ クイリナーレ宮殿
イタリア政府は諸大国の間の緊張が危機的な状況にあることを察知し、それに対応するために国際的な協力が必要だと考えていた。
国王ウンベルト二世と首相ジョルジョ・アルミランテは迅速な措置を取るため、閣僚や著名な知識人との接触を繰り返してきた。
閣僚会議の招集には時間が必要であり、会議の準備の間にも各国首脳は自国の利益のために動くだろう。
そう判断したアルミランテは宮殿で直接国王と向かい合った。
二人は各国の緊張が高まる事態を危惧しており、既に1950年代のドイツ経済崩壊に続く一連の事件をも上回る勢いで現在の世界情勢は加熱していた。
簡単な挨拶を交わすと、まずアルミランテが本題に入った。
「陛下、私は昨今の世界情勢に懸念を抱いています」
「数年前の石油危機の混乱を経験してなお、世界には多くの問題が存在します。その中でもここ数日は特に諸外国の間で緊迫感が高まっていますが、原因として有力だと思われるのが数日前に出現した未確認飛行物体群です。観測所や米国大使館からはドイツやアメリカに未確認飛行物体が着陸したとの情報も入っており、我が国はこの非常事態に対応する必要があります」
アルミランテは緊張する世界情勢をいち早く察知し、自国の立場について考えていた。
「我が国と同盟国・友好国による国際会議を召集して、国際問題を話し合うべきです」とアルミランテは提案した。
国王は「全く同感だ」とアルミランテの考えに同意しつつ、「しかし問題はどのように会議を開くかだ」と付け加える。
大規模な国際会議が開かれると、各国要人が集まることになる。そのため多くの国が重要視する問題には発言権の面で差が生まれてしまう。
「会議開催前に合意すべき内容を整理するように」
「了解です」
会議が開かれる場所はローマになるべきかどうかという点については、「この件に関してはまだ議論の余地がある」とした。
アルミランテは「明日にはその作成に取り掛かりましょう」と述べ、各国の問題や見解を共有しつつ、国際協力の重要性を強調することが重要だと二人は意見が一致した。
会議の開催場所や議題、国際協力への取り組み等について議論するうちに、時計の針は回り、夜のうちに始まった議論は深夜まで続いた。
数日後 ローマ クイリナーレ宮殿
「じゃあ、あの6人全員か?」
「ああ。前がソテロと常長公、後ろ4人は商人らしい。」
イタリア王の公務の場たるクイリナーレ宮殿。その大広間に突然呼び出され、待たされ、暇を持て余した2人の日本人がいた。
「しっかし、よく知ってるな?ここの壁画に日本人が描かれてるだなんて。」
西田誠哉。駐伊特命全権大使であり、20年以上日本とイタリアの架け橋となった人物だ。
「義兄さんの受け売りだ。機会があれば見ておくといいってな。」
山田良市海軍少将。イタリアの駐在武官でもあり、次期海軍大臣と目されている鴛淵孝大将の妹婿でもある。
「その壁画が描かれた時期に、支倉使節団がいらしていたのですよ。」
流暢なイタリア語。2人の声では無い。
2人は後ろを振り返った。そこには、この半島国家の首相が立っていた。
「ニシダ様にヤマダ様、大変お待たせしました。」
「いいえ、待たされるのは慣れております、アルミランテ首相。しかし、こちらにお招き頂くのは初めてですな。これまで銅色のお話は大使館でしていましたというのに。」
「事情が変わりました。」
アルミランテが言うのと同時に、数人の人間が部屋へと入って来た。
「あなた方は…!」
西田は目を見開いた。
アメリカ大使に第三帝国長官。ソ連の使節団の代表までいる。
「やはり来ていたか、ニシダ。」
「一体どういうつもりです?」
真っ先にアメリカ大使が口を開いたが、遮るように、そして軍人らしく山田はアルミランテを問い詰めた。
「なぜ我々4大国を引き会わせようとなさるので?」
だがアルミランテは臆さなかった。
「ここ数日で、多くのことが起こりすぎています。」
「と、いいますと?」と山田。
「突然にして空が眩く空が光り、多くの宇宙船が地球を取り囲み、次々と地球に降り立っている。」
「宇宙人にとっちゃあ、当たり前のことでしょう。」
「戦争中という無視できない問題を抱えたままなのですよ。火薬にまみれた地球に、松明片手に降りられているのが現状です。」
「では、我々には何をしろと仰るので?」と西田。
「いかがでしょう、皆様。今こそ、国際会議を開催しては?」
「国際会議?」
西田は言葉を疑った後、笑い出した。
「ハッ、ご冗談を。火に油を注ぐ行為ですぞ?」
「当然だ、我々は劣等人種に話す舌など持たん。」
「反動どもに我々と思想は理解出来んだろうに。」
各国の大使が口々に他所の悪口を言い出した。
が、それを遮るが如く、アルミランテは語り出した。
「誤解を持ったまま、何も出来ないままでいるつもりではありません。我が国はどこにも肩入れするつもりもございません。どうかこのローマで、話し合いの席に座ってはいただけませんか?」
「ハッハッハッ…」
それを聞いて西田は再び笑いだし、言い放った。
「分かりました。協力致しましょう!」
〜今回の話のまとめ〜
カルダシェフ「かくかくしかじか(独ソ戦敗北によるソ連の崩壊など)」
ブレックス「そ、それは…戦争で沢山のものを失ったのは、我々と同じですな…」
ソ連と連邦の間で友好関係が築かれた!
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アメリカと地球連邦の間で、食料増産技術提携において合意が築かれた!
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賀屋&福田「あなた方を受け入れましょう」
ギニアス「ならばこちらもそれに全力で答えましょう!」
日本とジオンの間で協力関係が確立!
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フォンブラウン博士「私はヴェルナー・フォン・ブラウンです」
ジオン勢「!?…あなたの名前を冠した月面都市があるんですが…」
ナチスドイツ勢「!?」
↓
カークパトリック「なんとかしてアメリカの独立と繁栄を保障してえなぁ…せや!CIAを呼んで連邦に潜入させよう!」
↓
イタリア「やべえよやべえよ、このまま誰も情報公開しない状態だと各国間の緊張上がって大変なことになるぞ…せや、うちを拠点になんとか国際会議を開かせよう!」
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イタリア「うちら中立に徹するんでなんとか国際会議開けませんか」
各国大使「しょうがないなあ…わかったよ」
〜今回の話まとめ終わり〜
第十話は1月26日に投稿されます。どうかお楽しみに!