〜前回のあらすじ〜
TNOソ連「同志カルダシェフが直々に作った宇宙人初接触用の映像飛ばすぞ〜!」
ジオン艦隊「ええ…ナニコレ…」
〜一方その頃〜
地球連邦艦隊「ロシア地域に降下して地上の友軍と連絡とるで〜」
TNOソ連「ファッ!?なんか降りてきたこいつら、よく見たら人間だぞ!?」
地球連邦降下部隊「こいつら連邦軍じゃねえ、ソビエトだ!?」
カルダシェフ「(報告を聞いて)ファッ!?宇宙人じゃなくて未来人だったの!?しかも戦争中!?やべえよやべえよ…」
〜前回のあらすじ終わり〜
今回はソ連以外の三つの超大国、および地球連邦とジオンが中心の話となっています。
少々短めですが、よろしければ高評価・お気に入り登録等よろしくお願いします。
コロニー衝突約一日半後 大ゲルマン帝国 ゲルマニア 総統官邸総統執務室
「やはり、か…。」
この部屋の主たる大ゲルマン帝国二代目総統:アルベルト・シュペーアは、確信に近い感情を抱き、自分以外誰もいない執務室で一人声を出した。
彼は今ゲーレン率いる帝国諜報局からの報告書を読み進めており、その中で未確認飛行物体が多数ソ連領内に降下したとの情報を見つけ、自身の脳内の疑惑を確信の域へと高めていた。
彼からすれば、未確認飛行物体のソ連への上陸──この惑星の三つの超大国たる日本、アメリカ、そして大ゲルマン帝国を差し置いて、である──という行為自体、その未確認飛行物体が、宇宙起源のものではなく、ソ連を起源としたものであるとの彼の仮説の証明に他ならなかった。
我々以上に高度な文明を持つであろう宇宙人が、あのようなつい最近まで統一すらされていなかった大地に、自ら好んで降り立とうとすることがある訳ない、よってあれは宇宙人ではなくソ連の何かしらの試作兵器の類だろう──これが、シュペーアの導いた最終結論だった。
彼がそう思索にふけっていると、静かなノックの音が響いた。
「総統閣下、お呼びの人物が到着しました」
「よし、入れ」
総統の許可を得て、シュペーアの秘書、そして彼女に連れられた一人のスーツを着た男が部屋に入る。
「では、私はここで」
そう言ってシュペーアの秘書は部屋を去り、残された二人はしばし雑談を楽しんだ。
シュペーアはもとよりこの男:ヴェルナー・フォン・ブラウンの頭脳に着目しており、またフォン・ブラウンの側からしてもかつて内戦前の四人の総統候補の中で、自分の宇宙開発計画について融通してくれたのはシュペーアだけであったこともあり、彼らは良き友人となっていた。
そしてその後、急にシュペーアが沈黙する。
「一つ聞こう、ブラウン君」
沈黙の後そう前置いて、シュペーアはある質問を口にした。
「今回の未確認飛行物体の件だが…単刀直入に聞こう、あれはボリシェヴィキの仕業か?」
「…その可能性は…」
「いや、わかっている。最後まで言わなくていい」
「では…」
かねがねより我々RLRが策定していた異星人とのファーストコンタクト手順を、と続けようとしたフォン・ブラウンを、シュペーアが手で制す。
「…いや、ブラウン君、今回の件、君には迷惑はかけないつもりだ。私が軍部に掛け合って、最大限の警備体制を敷かせよう」
「…?いや、しかし」
「君の心中、お察しするよ。君もショックだろう?自分が一番得意とした分野で、日本でもアメリカでもなく、よりにもよって眼中にもなかったあの薄汚いスラヴ人どもに先を越されるとは…」
「!?!?」
「気持ちはわかる。私もかつて、自分の本職だった建築においてユダヤ人に抜かされたとき、想像を絶する絶望に襲われたものだった…」
「いや、ですが…」
「隠さなくていい。誰だって眼中にもなかった相手に抜かされたら絶望寸前の状況に置かれるものだ…」
この日、フォン・ブラウンは結局終始7歳年上であり、この国の最高権力者でもあるシュペーアのペースに流され、件の未確認飛行物体群が異星人のものであるとの可能性が高いという、従来彼にするはずだった報告が最後までできなかった。
このことは後々、大ゲルマン帝国の初期の対宇宙政策全体に大きく響き、とんでもない悲劇につながっていくのだった…
同時間帯 アメリカ合衆国 ワシントン某所
アメリカ合衆国は飛行物体の出現に対し、非常に敏感になっている。
アメリカ大統領:ジーン・カークパトリックは、記者会見でこの飛行物体は地球のものではないと断言した。
そして専門家たちが集められ、調査が開始された。
宇宙を研究対象とする学者は数多くいるが、その研究者たちからして、今回の飛行物体の異常な動きには首をひねるばかりだった。
まるで何かを探しているかのように、宇宙の闇のなかをさまよっているのだ。だが、それはほんの数日間のことでしかなかった。
飛行物体は向きを変え、月と地球のラグランジュポイントに移動していった。
そしてそれ以来、宇宙からは何の手がかりもない。
そして、専門家たちによる調査の打ち合わせが行われているワシントン某所では、夜中にも関わらず二人の学者が話し込んでいた。
…二人とも今の時刻には気づいていない。
「あの飛行物体って……」
「そうね。あれは明らかに地球のものではなかったわね」
「じゃあ、何なんです?」
「さぁ? それがわかれば苦労しないんだけどねぇ」
「わからないんですか?」
「だって宇宙人は専門じゃないんだもの。それにソ連の最高指導者…ニコライ・カルダシェフだったっけ…は地球外知的生命体探査の専門家だけど、そのソ連もあの飛行物体が何なのか突き止められてないらしいし」
「でも、何かわかるんじゃありません?」
「そりゃまぁね。でも、今のところは何もわかっていないというのが現状」
そこまで話すと、二人はそれぞれため息をついた。だが、片方が何かに気づいたように顔を上げると、また話し始めた。
「そうなんですか……、じゃあ、もうひとついいですか?」
「何?」
「あの飛行物体が現れたとき、UFOマニアたちは騒いでましたよね。それで興味を持って調べたんですよ。そうしたら、アメリカのアラスカ州で別の飛行物体を目撃したという人たちが多くいることがわかってきたんですけど……」
片方がそこまで言うと、もう片方は驚きの声を上げた。
「えっ! そんなことになってるの!」
「はい。それでですね、その目撃者の証言によると、ソ連領に降りていくような動きをしていたということだったんです」
「へぇ~。そりゃすごい発見ね」
「ですよね。でも、どうして今までニュースにならなかったんでしょう?」
「それは簡単。東京とかウィーンの上に現れた飛行物体の方がヤバそうだったからよ」
「あっ、そういうことだったんですか……」
しばらく沈黙が続く。
「それにしても、よくこんな情報を手に入れられたわね」
「はい。仲間にUFOマニアがいるものですから、そいつから教えてもらったんです」
「ふぅん……。でも、それならその仲間からも話を聞けばよかったんじゃないの?」
「いえ、あいつは科学なんて信じていませんから」
「あら、そう。残念ね」
「ところで話は変わりますけど、結局、あの飛行物体って何なんでしょうね?」
「さぁね。わたしには見当もつかないわ。ただ言えることは、あの飛行物体は明らかに地球人のものじゃないってことだけ」
「ですよねー」
そんな話を続けているうちに時間は過ぎていき、やがて夜が明けてきた。そして、いつものように太陽が昇り始める。何が起きても、この太陽だけは変わらない。
同時間帯 大日本帝国 国立天文台三鷹キャンパス
「では、藍色の船団から着陸艇が降下したのか?」
賀屋興宣は天文台の職員達に向かって、やや威圧気味に言い放った。
もっとも、それが賀屋自信の意思か、或いはこの天文学的異変への対応で何日も寝てないからかは分からないが。
その威圧的な言葉に返事を返したのは研究室長の飛鳥だった。
「着陸艇という確証はありませんが、地球に何かを投下したという点には間違いございません。」
賀屋は威圧的な態度を崩さず「して、その場所は?」と再び疑問を投げかけた。それに応えたのは室長の妻だった。
「降下時の速度と角度から軌道を推測すると、ソビエト領内のノヴォシビルスクの辺りと思われます。」
賀屋は眉をひそめた。
先を越された、大使館から送られてきたあのメッセージを見ての判断だろう。
このままでは宇宙人の技術を独占されてしまう。それだけは避けなければならない。
「あ、あの…元総理…?」
秘書の呼び声で我に帰った。時計の針は10分以上進んでいた。
らしくない、と思いながら秘書に声をかけた。
「秋野君、そのソ連から公式発表は?」
「え?あ、ありませんが…」
「ならば外務省に連絡して、降下の事実確認を行ってくれ。」
それから、天文台の職員に向き直って言い放った。
「これからは24時間、艦隊の監視を行ってもらう。」
「え?」
「その間、常に今ここにいる人数と同数を維持しておくように。」
「は、はい…」
一同は耳を疑った。かつてのこの国のトップが突然とんでもないことを言い出したのだから、当然ではあるが。
お上が絶対の風潮が残るこの日本で、賀屋の考えに口出しすることは反逆にも等しいことだった。
が、その沈黙の中で「何考えてるんだ、あの人…」と誰かが小声で呟いた。
そして、賀屋の地獄耳はそれを聞き逃さなかった。
「ほう?」
その声の方向には1人、私服姿の少年が座っていた。中学生ぐらいだろうか?癖のある黒髪、色白の肌、深紅の瞳。童顔だが美形の少年だ。
「今言ったのは君かね?」
賀屋は少年に向き直り、威圧的に言葉をかける。
しかし少年は臆することなく立ち上がり、「ええ、そうですよ。本当の事言って何が悪いんです?」と言い放った。
すると室長夫妻が焦ったようにその少年の元に駆け寄った。
「ちょっと真!何言ってるの!?」
「だっておかしいだろ!ただでさえ父さん人が足りてないって言ってたのに、そんなので帰らずに更に働けって!無茶苦茶じゃないか!」
飛鳥 真。それが彼の名前らしい。
「すみません、すみません!うちの息子が失礼を!」
必死に謝る室長夫人、と言うより母親には目もくれず、賀屋も態度を崩さず真に言い返した。
「真君、それの対策を講じないほど我々も馬鹿じゃない。通常の天体の観測を中止しその人員をこちらに回す。それでも必要な分の人員が足りなければ大学や元職員から用意をしよう。…少なくとも国家の命運が左右される時期に、その鍵を握る者に不当な扱いをするつもりは無い。」
少し言葉を詰まらせたあと、真は更に言い放った。
「じゃあ、その宇宙人が日本に来たらどうするんです?」
「ちょっと真!」
母親が止めようとしたが、既に遅かった。
この疑問は天文台の管轄では無いが、共栄圏内外の多くの人間が疑問に思ってることだろう。現職首相の福田が対応に追われ続けている今、自分の彼への返答が事実上の公式見解となる。
それでも賀屋は臆さず、言葉を返した。
「彼らに敵意があれば交戦することになるが、そうでなければ受け入れよう。」
「本気かよ!?もしそいつらがむぐっ!」
父親に口を塞がれたが、何が言いたかったのかは理解できる。
「真君、いや全員聞け!かつて米国の西海岸に移住した日本人は白人から不信感と無関心を理由に差別を受けてきた!我々がその過ちを繰り返してはならない!我々大東亜共栄圏と共にありたいと言うのならそれを拒むような真似はしてはならない!たとえそれが黄色人種でなく白人でも黒人でも、それが宇宙人だとしても答えは変わらんとも!」
話し終えたと同時に、フロア内に拍手が響き渡った。
それでも真は何か言いたげなので、賀屋は再び彼に向き合った。すると、両親の目が離れた彼は案の定不満げに話し出した。
「そんな理想が、通用するんですか?」
「当然、試してみなければ答えは分からないだろう。」
その時、彼の物であろう学生証を目にした。陸軍幼年学校。なるほど、物怖じしないのも頷ける。
「いずれ、君の力も借りることにもなるだろう。そして逆に君に、その疑問が問いかけられることになるかもしれないな。」
「どういうことです?」
「君はまだ若い。だがいずれ分かるようになる。」
賀屋が帰った後、飛鳥研究室長、と言うより父は真に向かって言葉をかけた。
「すまないな真、しばらくは家に帰れなさそうだ。」
「父さん…」
「学校が再開するまで、まだ時間はあるんだろ?その間、茉由のことは頼んだぞ。」
真は少し黙ったあと、ぼそっと「わかった…」と呟いた。
「お前にしっかりしてもらわなくちゃ困る。」
父は、真の手を取ってお札を握らせた。
「これで、茉優に何か美味いものでも買ってやれ。」
「…ありがとう、父さん」
この時真は知らなかった。
賀屋が去り際に言ったことが、現実のことになるとは。
コロニー衝突約39時間後 地球近郊宙域 ジオン公国所属ドズル艦隊 ムサイ級軽巡洋艦『ファルメル』
「なんだったんだ、今のは…?」
沈黙が支配するブリッジの中で、他のブリッジクルーと共に困惑を顔に浮かべるダニガン。
再合流を果たしたコンスコン艦隊から緊急通信がきたと思ったら、いきなり彼らが地球から傍受したとされる謎の映像を見せられたのだから、無理もないことであったが。
『私にもよくわかりません、トーキョー上空の宙域を探していたら、いきなりロシア方面から通信が飛んできたのです。』
「ううむ…」
コンスコンの返答に対し、思わず唸るダニガン。
『それだけではありません。これは我々が東京直上に滞空していた時に撮ったトーキョーの写真なのですが…』
「!?」
「なんだこの未発展具合は!?地球の都市とはまるで思えん…」
この地球のトーキョーの写真を見て、驚愕するダニガン一同。
そこにあったのはまるで、旧西暦時代レベルの建築物ばかりであった。
『閣下、これらのことからおわかりいただけるとは思いますが、単純にコロニーの衝突では説明しきれないほどの異常が、今現在の地球に起こっています。』
「…では、どうする?」
『私の意見を言わせて貰えば、本国のドズル閣下にこれらの資料を交えた報告をした上で、一旦地球近郊の宙域から撤退して様子を見るほうがよろしいかと…』
コンスコンのその提案に対し返答しようとしたダニガンだったが、しかしそこで通信員が口を挟んだ。
「…閣下!地球の欧州地域から何かの放送を傍受しました!」
「何?スクリーンに繋げろ!」
「は、はい!」
コンスコンとダニガンは互いの艦のスクリーンに目をむけ、そして困惑した。
画面の中では、褐色の軍服風の衣服を身に着けたアナウンサーが、堂々とした声質で、時折紙に目を移しながらテレビ画面に 向かってこう話しかけていた。
「今回のソビエト連邦の未確認飛行物体の建造に対し、我らが偉大なるシュペーア総統は『世界の平和と秩序を著しく乱しかねない行為だ』と強く批判いたしました」
そう話すと、映像が切り替わりアナウンサーの姿は消え、何処かの広場で激しい身振り手振りを織り交ぜながら力強い演説をする、これまた褐色の軍服を着た壮年男性の姿が現れた。
そしておそらく兵士や民間人と思われる集団が、笑顔を浮かべながら彼に拍手喝采を浴びせている。
「ソビエト連邦は巨大な宇宙船を建造し、全世界にその情報を公開しようとしていない!これは我々大ゲルマン帝国と戦後世界秩序に対する挑戦であり、世界平和を脅かす行動であり、断じて許すことは出来ない!」
「だが諸君!ゲルマン民族の、偉大なるアーリア民族の諸君!どうか思い出して欲しい!今から30年前の我が国の状況を!当時のゲルマン帝国は敵対国に溢れていた!悪辣なるユダヤ国際資本主義者とボリシェビキの包囲網に対して我が国は国力においても、資源においても明らかに劣勢であった!だが我が国の獅子奮迅の活躍を発揮した国防軍と我が国の先進技術、そしてアーリアの血統によって全て打ち破り、勝利した!」
「今日の我が帝国は30年前に比べて遥かに恵まれている!世界最大の軍事力を持ち、帝国を支える東方生存圏は莫大な資源を吐き出し続け、そして敵は混血主義のアメリカと劣等人種の大日本帝国のみである!」
「仮にスラブの奴隷たちがいかほどの科学技術を手に入れようと、それは全て形骸であるとこの私が保障する!そして、思いあがったボリシェビキ共に我が国の真の実力を知らしめ、叩きつけ、我らアーリアの理想郷を、千年帝国の夢を、盤石な物にしようではないか!ジーク・ハイル!!」
そのシュペーアと呼ばれた壮年男性の演説に国民達も魅了されたのか、皆口々に「ジーク・ハイル!」「ハイル・シュペーア!」と叫び、壇上の男に狂気的な忠誠心を見せつけている。そして映像は再び、アナウンサーの画面へと戻った。
「偉大なるシュペーア閣下は、ボリシェビキの殲滅を我らに約束した!アーリアの子らよ!それにふさわしい働きをしようではないか!」
そういった叫び声にも近い激励と共に、放送は終わりを迎えた。
一連の放送を、ダニガンとコンスコン、そしてその二人の部下たちは一様に困惑しながら見ていた。
「閣下、これは一体どうすれば…」
「…コンスコン、お前の案を採用する。撤退だ。」
「…了解しました…」
ダニガン艦隊は一旦このことを本国に報告するために、地球近郊宙域から撤退した。
これが吉と出るか凶と出るか、それはまだ神のみぞ知る。
同時間帯 地球連邦 ルナツー 将校用会議室
「連絡が取れたのは、これだけか…?」
「…どうやら、そのようですな…」
ここはかつて資源採掘用として使われていた小惑星を利用して作られた、ルナツー要塞内の将校用会議室。
今現在ここでは、連邦の軍事通信用ネットワークで連絡が取れた、准将以上の階級の人物が全員会議にリモートも含め参加していた。
…最も、この一週間のジオンとの戦いで大半の者が命を落とすか行方不明となり、その数は少なくたったの7名であったが。
冒頭でそのことに驚いた様子を見せていたゴップ大将に対し、沈痛な表情で頷いたのがレビル中将である。
この二人の他に会議に参加できていたのは、中将では第四宇宙艦隊より遠隔参加のティアンム、ゴップと共にコロニー落とし前にジャブローより退避したワイアット、そしてレビルお抱えの参謀として行動をともにしていたエルランの三人。
少将に至っては、戦争の開始前より宇宙勤務だったコーウェンとルナツーの総司令を務めるワッケインの二名だけであった。
しかし、このあまりにも多い欠員以上に厄介な問題が、ゴップの口から伝えられた。
「地球と一切連絡がつかない…!?」
「ああ…首相や議会ならばともかく、私がついさっきまでいたジャブローはおろか、どの地球上の軍の基地とも一切連絡が取れん…」
頭を抱えるゴップに、愕然とする他の将校たち。
「馬鹿な!ジャブローは地球上で最も安全な場所であるはずだぞ!コロニーも落ちた場所は全く違う場所だったではないか!」
「ジャブローも含めどことも連絡が取れないとなると、もう地球の人々はコロニー落としですでに…」
「やはりあの時、地球から出てきたあの怪光が関係あるのか!?」
「あの時の光の原因はやはりコロニー落としに伴うものだったのか…!」
「ジオンの奴らめ…一体どんな悍ましい兵器をあのコロニーに乗せて落としたというのだ!?」
「落ち着け諸君!」
レビルが大声をあげ、混乱していた会議を鎮め、こう続けた。
「ジャブローと連絡が取れんならば、我々が今暫く代わりの最高司令部として動く他あるまい。そして今現在ジオンと戦うために必須なのは、各地に散り散りになっているであろう部隊の回収だ」
「レビル君の言う通りだ。私たちは、行方不明の部隊を見つけるために、どんな手段でも使わなければならない。地球連邦軍は連邦市民を守って戦うためにいるのだから、そう簡単には死なせてはやれない」
「しかしゴップ大将、一体どうやって生存者を見つけ出すのですか?未だジオンの奴らは健在です。奴らに再び攻撃を受ければ、今度こそ宇宙軍は壊滅してしまいます」
エルランがそう質問すると、ティアンム中将がモニター越しに悔しそうな表情を見せた。
ティアンムの下で戦っていた第四宇宙艦隊の将兵の多くは、この一週間のジオンとの戦闘で死亡または行方不明になってしまったのだから、無理もないことであった。
ゴップはしばし沈黙した後、口を開く。
「…私は一部の厳選された特殊部隊を、壊滅したサイド1・2・4に差し向けて、まだ現地で生き残っている将兵達をここサイド7やサイド5に再結集させるつもりだ」
「その上で地球に連絡・回収部隊を送り、なるべく多くの地球の軍人を宇宙に打ち上げる、これしかあるまい」
「そして地球に送り込む部隊についてですが…」
「私は宇宙軍から一個艦隊を派遣すべきと考えます」
そう発言したのはレビルだった。
彼はルウム方面軍の艦隊司令を務めており、今回ルウムより遠隔参加していた。
「ほう、それは何故?」
「地球に展開している部隊を回収するために、大規模な部隊を送らなければなりません。今ならまだ間に合うはずです」
「それは無理ですな。ジオンも必死に攻勢をかけてくる。彼らが地球に到着した時にはすでに地球連邦軍が全滅して手遅れになっている可能性もある」
ゴップの言葉には冷徹さがあった。しかしレビルはそれにも怯まない。
「しかし、それでは地球に向かう部隊の危険が大きい! 」
その言葉を聞いたゴップはため息をつく。
「ふむ……レビル中将には何か考えがあるのですか? 私にはただ地球で孤立する友軍への情に流されて話しているようにしか思えないのだが」
ゴップは冷たい視線をレビルに向けた。
「……っ!」
レビルは何も言えなかった。
ゴップはその様子を見てさらに続ける。
「中将は軍人としてより人間としての意識が強いようだ。貴官のような人間は戦場で真っ先に死ぬことになる」
ゴップは鋭い眼光でレビルを見る。その目を見ただけでレビル以外の将の背筋は凍ったが、レビルは動揺しなかった。
「我々には時間がない。もはやジオンの次の作戦まで一刻の猶予もない。我々は連邦市民を守る義務がある。そのためにも戦力の集中が必要なのです」
ゴップは落ち着いた声で言い、その口調には威厳があった。
「…………」
レビルは黙り込んでしまう。
その時、一人の男が立ち上がった。
それは連邦軍のルナツー司令官ワッケイン少将である。
「お待ちください。この場では私の意見を聞いて頂きたいと思います」
ワッケイン少将は言う。
「どうぞ」
ゴップが促すとワッケイン少将は話し出した。
「現在、我が軍は各戦線に展開中であり、ジオンの動きを監視しています。そこからの情報によると、彼らは我々の動きを警戒しているようです。彼らの目的は地球圏の占領ではなく、戦争の早期終結にあると思われます」
ワッケイン少将の言葉に一同は沈黙した。
「…しかし、彼らの思惑通りには戦争は進まなかった。戦争は続き、我々は音をあげていない。」
ゴップ大将は今ようやく気づいたように言う。
「ええ、おそらく彼らはなんらかの手段で停戦協定を結ぶつもりでしょう。それが何かはまだわかりませんが……」
「つまり我々が動くことでジオンに停戦交渉の時間を与えるというわけか」
「そういうことになります」
「ふむ……」
ゴップ大将は少し考える素振りを見せると、顔を上げた。
「わかりました。レビル中将は一個艦隊を率いて地球への連絡に向かい、ジオンとのパイプがあるエルラン中将はジオンとの停戦交渉を開始する。その間は二人が不在の前線はこのゴップが支える。それでいいでしょうか」
ゴップがそう言うとそれぞれの将校は賛成し、会議は終了した。
この時、この会議に参加している誰もが、自分たちの知る地球は被害を受けれどまだそこにあると考えていた。
彼らのその考えが打ち砕かれるまで、あと少しであった…。
〜今回の話のまとめ〜
シュペーア総統「あの未確認飛行物体が真っ先にソ連に降下した!異星人だったら地球の超大国三つを無視するわけないから、明らかにあれはソ連所属の新兵器だ!」
ヴェルナー・フォン・ブラウン「(絶句)」
〜一方ドイツ以外の勢力〜
アメリカ「東京とかウィーンの上空にあるやつは離れていくわソ連領に降りて行くわで…なんだったんだろアレ…」
日本「ひとまず観測を続けて、敵意がなければ受け入れよう(技術をソビエトに独占されたらまずいしな)」
ジオン艦隊「どうなってんだ…ナチスドイツやソビエトから連絡は届くし地球は未発展だし…もうやだ一旦帰って報告しよう」
何も知らない地球連邦軍本部「ジャブローや議会と連絡が取れん…とりあえず地球各地に連邦軍部隊を派遣して再度通信網を確立しよう…」
〜今回の話のまとめ終わり〜
アナザー出身キャラ解説:
・飛鳥 真(あすか しん):cv.鈴村健一
TNO世界におけるシン・アスカ。
この世界ではコーディネイターでもなんでもなく、日本の国立天文台三鷹キャンパス局長の息子で、陸軍幼年学校の将校生徒。
TNO地球と宇宙世紀地球の入れ替わりの時点で14歳。
黒髪赤眼の少年。
普段は物静かで大人しい性格だが、非常に正義感が強く、時に上官にも躊躇いなく口答えすることが多い。
幼い頃より両親共に家を空けることが多く、よく妹と共に軍人一家の上総家に預けられていた。
その影響から、彼自身も軍人になる道を志す。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
アメリカと地球連邦中心の話である第3話は12/1に投稿される予定です。
どうかお楽しみにお待ちください!