トロいわ、悟くん。   作:狐大総統

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はじめまして。処女作ですが、どうぞ。


はじめましてのドブカス

side悟

「悟、禪院直哉って知ってるかい?」 

1級呪霊の討伐任務後、唐突に傑がそんなことを聞いてきた。

「あー、禪院家当主の息子だっけ?ザコに興味ねーからよく覚えてねーけど、ソイツがどうかしたのかよ」

「その彼が東京校に入学するって話を夜蛾先生に聞いてね。悟の印象を聞いておきたかったんだが、これは実際に会わないと分からなさそうだね」

「おいおい、その話マジかよ?何を考えてんだ、禪院家は。禪院と五条の当主の息子同士が同じ高専とか、御前試合を再現しようとでも考えてんのか?」

「なんだい、その御前試合って?」

「五条家と禪院家は大昔からバチバチなんだけどよ、その原因が御前試合っつーものなんだよ。当時の当主同士が本気で殺り合って両方死んで、結果として今もバチバチが続いてるってワケ」

「可哀想なものだね。仮に御前試合をするにしても、相手が悟とあってはあまり勝利が期待できるものではないだろうし」

御前試合のことを聞いて、傑は禪院家の方角に向けて心底憐れむような目を向けていた。

「いやー、わかんねーぞ?当時の五条家当主は俺と同じ無下限と六眼の抱き合わせだぜ。そいつが死んだってことは、俺もポックリ行く可能性はゼロじゃねーわけだし」

そのような軽口を言ってみると、傑は目を見開いて驚いているようだった。

「本当かい?それが本当なら、少し真面目に対応した方が良さそうだね。」

「まあ、そんときの禪院家当主の術式にあった奥の手がヤバすぎたってのもあるけどな。禪院家から十種影法術持ちが産まれたってのは聞いたことねーから、特に問題ねーだろ。」

仮に十種影法術持ちだったとしても俺が勝つしといったことを傑に伝え、その話は終わった。

 

 

 

 

 

 

 

side傑

高専に帰宅し、悟は部屋に戻るとのことで別れると、なんだか慌ただしい様子だった。

「何かあったんですか?」

「ああ、傑か。禪院家の新入生が、任務中に特級に変化した可能性のある呪霊を足止めすべく残って、現在生死不明となっているんだ。」

夜蛾先生に聞いてみると、そのような答えが返ってきた。

では、私達が行きますよといったことを伝えようとすると、その前に聞いたことの無い声が聞こえてきた。

「だーれが生死不明やねん。こちとら元気ピンピン、勝手に死んだ可能性を出さんといてくれへんか?」

「直哉!生きていたのか!」

夜蛾先生の驚いた様子に、どうやら彼が例の禪院直哉ということを理解した。

「当たり前や。さすがに特級に変化しよったときは肝が冷えたけどな。まあ、おかげで色々と収穫もあったし結果オーライやろ。」

傑は、ヘラヘラとした様子で夜蛾先生に伝えている彼を見るに安全に逃げ切れたようだと感じた。

「では、特級へと変化した呪霊に関しては私と悟で祓ってきますよ。私達であれば特に問題は無いでしょうし」

そのように夜蛾先生へと伝えてこの場を去ろうとすると、禪院直哉から少し驚く言葉が発せられた。

「いや、特級呪霊はもう俺が祓ったったで。」

「本当かい?たしか、夜蛾先生の話では君はまだ準1級だったはずだが、1人で祓えたということかい?」

「ホンマやっつっとるやろ。てか、キミ誰やねん。」

「そういえば、自己紹介をしていなかったね。私は夏油傑。君の先輩にあたるから、今後は頼ってくれるといい。」

「ほーん、キミがあの傑くんか。悟くんの付き人で有名な」

「ははは、それは聞き捨てならないな。よし、少し外で運動でもしようか。少々誤解があるようだしね」

禪院家のボンボンに教育をしてあげようと心優しい私がそう提案すると、夜蛾先生が止めに入った。

「待て、傑。直哉は今戻ってきたばかりだぞ。認められない」

「いや、ええで。こっちも試してみたいことあるしな。胸ぇ貸してもらおか」

そのような発言をしつつも、態度は全くもって胸を貸してもらうようなものではない。

夜蛾先生は諦めたようにため息をつくと、運動場の使用許可と自身の見守る中でやるようにといくつかルールを決めた。

 

1.再起不能な攻撃の禁止

2.四肢欠損を伴う攻撃の禁止

3.あくまで訓練の範囲内で行うこと

4.夜蛾先生が終了の合図を出したら、即刻やめること。

 

これら四つのルールで行うことである。

運動場に移動し、夜蛾先生から始めの合図が出ると、様子見として数の多いイカ型2級呪霊を弾幕のようにして放つ。

直哉に攻撃が当たろうとしたとき、直哉がおもむろに腕を振りかぶったかと思うと、目の前が爆風を起こした。

咄嗟に呪霊を盾にして防いだが、それなりにダメージを与えられたうえ、先ほど放ったイカ型呪霊は祓われてしまった。

「それが術式かい?爆風を起こす術式とは、見た目によらずパワータイプなんだね」

「やれんのはこれだけやないけどな。今のは挨拶代わりや」

「それはご丁寧にどうも!」

言うと同時に、防御力が高い呪霊3体をタンクとして前に出し、その背後に音響砲撃が可能な呪霊を控えさせ、空中には音波攻撃可能な呪霊で直哉を囲った。

「私の術式の強みは物量でね。パワータイプには音で動けなくするという手も使えるんだ。もちろん、他の対抗手段もあるが、訓練だからあまり弱いものイジメになってしまっては良くないだろう?」

「誰が弱いものやねん。こんな簡単に後ろ取られよって、油断すんのやめた方がええで」

気づくと、私の背後に直哉が手をかざして立っていた。

「詰みや。わかるやろ」

「パワータイプかと思ったが、案外スピードタイプなのか」

「誰もパワータイプとは言っとらんやろ」

「それはそうだね。

 

 

ところで、君が話してるのは本当に私かい?」

 

この言葉と同時に、直哉と話していた私から何百本もの棘が直哉目掛けて刺しにかかった。

 

「幻覚だよ。植物系の呪霊でね、幻覚作用のある花粉を出して、自身の棘で仕留めるタイプなんだ。結構使い勝手が良くて重宝しているよ」

「なかなかやるやんけ、傑くん。俺も少しはちゃんとやらなアカンみたいやな」

「ところで、避けるか防ぐとは思っていたが、君の術式ってなんなんだい?まるで、悟の無下限を見ているようなんだが」

驚くことに、直哉は悟のように棘の攻撃を自身の手前で触れもせずに止めており、少し異質さを感じさせた。

「んー、それはやなぁ」

直哉が口を開こうとしたとき、夜蛾先生がいる方向から声が聞こえた。

「『投射呪法』だろ。お前の親父と同じ、速度を上げる系の術式。さっきやってたのは拡張術式か。」

「おや、悟。部屋に戻ったんじゃなかったのかい?」

「こんだけ、戦闘音が聞こえたら来るだろ」

そんなことを言いながら、こちらへと近づいてくる。

「久しぶりやなぁ、悟くん」

「久しぶりもなにも、こっちはお前のこと覚えてねーっつの。つか、傑とやりあえるようになるとか、急に強くなりすぎだろ。半年前の会合では印象に残らないくらいザコだったくせに、何があったんだよ。」

悟は本気で不思議がっているようで、直哉へとそう問いかけた。

「呪力の核心をな、ついさっき掴んでん。今なら悟くんのこと倒せる気がするわ。傑くんとの戦闘途中で悪いんやけど、悟くん戦ってくれん?」

発言とは真逆で悪びれもせずに、悟へと伝える。

「いいぜ。傑、選手交代だ。俺がやる。」

「まったく、仕方がないねぇ。今度、特級呪霊を奢ってくれるならいいだろう」

「OK、交渉成立!」

そう言うと、悟は直哉の前に立った。

 

「いつでもいいぜ。」

「ほな、いかせてもらうわ」

 

 

 

 

side悟

 

傑と別れたあと、自室でくつろいでいると急に何かが爆発したような音がしたので発生源と考えられる校庭に向かうと、傑と良い勝負をしている金髪頭がいた。

六眼で見る限り、術式が禪院家相伝の投射呪法ということもあり、すぐに例の新入生と理解したが、あまりに自身が抱いていた印象と変わりすぎており、興味をひかれた。

傑と代わって実際に戦いだしてみると、こっちの攻撃は体術だろうが蒼だろうが見えない壁のようなもので一時停止される。

向こうの攻撃は地面だけでなく空まで蹴って加速し、殴りや蹴りを空振りすると起こる爆風を地上からも空からも絨毯爆撃のように打ち付けてくるが、俺の無下限で止めるといった決着が着かなさそうな戦いをしていた。

「おいおい、これじゃお前の呪力切れで終わるぜ?俺に呪力切れが無えのはお前も分かってんだろ?」

そう言うと、直哉は一度止まってこちらへと話しかけてきた。

「それもそうやね、ちょっと手加減するのそろそろやめるわ」

「イキッてんじゃねーよ、それが本当ならやってみやがれ」

そう言うと、直哉が目の前からかき消え、自身に衝撃が走った。

「は?」

ワケがわからず、俺は後方へとふっ飛んだかと思うと、次は右へふっ飛び、かと思うと左へふっ飛んだ。

どうなってんだ?投射呪法は事前に24fpsで作った動きを後追いする術式だ。そもそも、こんな初速から音速なんざあり得ない。

いや、待てよ。まさか…

「その初速のカラクリは術式反転か!」

「正解や、気づくのトロいなぁ悟くん。」

六眼で注視して、やっと分かった。本来、投射呪法は徐々にスピードを重ねがけして亜音速を超える。だが、アイツは術式反転によって初速はMAXから始まり徐々にスピードを重ねがけするごとに遅くなっていく効果のうち、初速のみ使用している。そして、遅くなる前に順転へとギアチェンジし、更に加速してるってことか。

「まあ、それなりに縛りも必要やってんけどな。本来重ねがけして遅くなりすぎるぶんとかはうまく処理せなあかんし」

そんなことをいいながら、こちらへと歩いて近づいてくる。

「反転術式なんざ、いつ会得したんだよ」

「ついさっきやで?特級と戦ってて死にかけたときに呪力の核心を掴んでん。ちなみに、爆風を起こしたりとかは順転のままやで。これは術式対象を空気にしとるだけやね。悟くんの無下限を貫いたのも術式対象の変更やねんけど、まあコレはあとで悟くんを倒したあとにでも教えたるわ。」

チッ、身体が動かねぇ。回避も無理だな。

 

 

「じゃあ、とりあえず眠っといてな。元最強の悟くん」

この言葉と同時に、俺は気を失った。




時間ができたら続きを書いてみます。
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